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第二章 貧民街編
9 謝罪
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旧エフティーネ家までの道中、買い物もしたかったので民衆エリアへ向かいやや遠回りのルートで歩く。
貧民街に一度立ち入れば二度と王都へは戻ってこれないと思っているため、残されたお金を全て使って食べ物や衣類、生活に必要な最低限のものと、自給自足できるように野菜や果物の種を買えるだけ買っておきたかった。
「シャイン様ですよね?」
商店街エリアへ入ろうとしたとき、聞き覚えのある声が後ろから聞こえたので振り向く。
「え……と、どちらさま?」
どこかで見たことあるような気もするが、何しろ私は前世とその前までの記憶が混じっているので色々な情報が入っているのだ。
細かいところまでは記憶にない。
「ミーナと言えばわかりますか?」
「ミーナ……? ミーナ、ミーナ……」
「蜜館で働き、シャイン様の旦那様を寝とった女です……」
「あぁ、思い出した!」
ミーナはすぐに私の前で土下座の体勢をとった。
こんな場所でそんなことされたら目立ちすぎるだろう……。
「頭上げてくれる? なんで土下座しているかがわからない」
「寝とって処刑されるはずなのに、シャイン様が訴えずにいてくださったおかげで私はこうして生きていられるのです。その感謝とその経緯に対する謝罪です」
旦那が寝取られたら、普通だったらブチ切れて裁判を起こすだろう。
だが、何度も言うがブロンダが誰と寝ようとも関係ない。
そもそも、婚約する以前からブロンダはそれが当たり前だった。
いちいち裁判をしていたら、王都の女性が消滅するかもしれない。
さすがに言いすぎたが、それくらいの尻軽男だった。
しかも伯爵という権力で強引に寝とっていたパターンがほとんどらしい。
「とりあえず頭を上げて。謝るのは私の方なのだから」
「何故です!?」
「蜜館で働いていたんでしょう? それなのに外でわざわざ相手にしなきゃいけないなんて、あの男が権力を利用して無理に強要されたのでは?」
「そうですが……」
ならばむしろ彼女たちは被害者。
本来謝るのは元妻として私の方なのだ。
「元妻として、ミーナさんに迷惑をかけてしまい申し訳ありません!」
私は深く頭を下げた。
ミーナはひどく驚いた表情になって、慌てふためく。
「あわわわ……こ……公爵令嬢ですよね!? そのようなお方がこんな頭を下げるなんて……」
「一緒に住んでいた者が悪いことをしたら、同居者が謝るのは当然のことでしょう?」
「え……えぇ!?」
身分の差か……。
私はこれでも立場上王族に分類される。
ミーナ的には驚いても不思議ではないのか。
「一つだけ伺ってもよろしいですか?」
「なにかしら?」
「シャイン様は王都を出られて貧民街へ移住すると風の噂で聞きましたが……」
「なんで知ってんの!?」
さっき決まったばかりのことだ。
いや、もしかしたらお父様のことだから、予め決めていて噂を流した可能性があるかもしれない。
私が逃げられないようにするために……。
「昨日、蜜館を退職するときに聞きまして」
「え? 退職?」
「シャイン様の仰るとおり、ブロンダ伯爵に脅迫され店以外での強要されていました。しかしながら、店側からすれば理由はなんであれ職務規約違反になりますので……」
「そう……」
いたたまれない気持ちになる。
どれだけブロンダは周りに迷惑をかけていたことなのか……。
しかも、貴族側は誰一人として民衆側に助けを差し伸べないようだ。
あまりにも腐っている。
「私も……」
「ん?」
「私も、貧民街へ一緒に連れてっていただけませんか?」
「はぁああ!? 何言ってんの!?」
ミーナのぶっ飛びすぎた発言を聞いて、商店街の入り口で人通りもある中、私は大声で叫んでしまった。
貧民街に一度立ち入れば二度と王都へは戻ってこれないと思っているため、残されたお金を全て使って食べ物や衣類、生活に必要な最低限のものと、自給自足できるように野菜や果物の種を買えるだけ買っておきたかった。
「シャイン様ですよね?」
商店街エリアへ入ろうとしたとき、聞き覚えのある声が後ろから聞こえたので振り向く。
「え……と、どちらさま?」
どこかで見たことあるような気もするが、何しろ私は前世とその前までの記憶が混じっているので色々な情報が入っているのだ。
細かいところまでは記憶にない。
「ミーナと言えばわかりますか?」
「ミーナ……? ミーナ、ミーナ……」
「蜜館で働き、シャイン様の旦那様を寝とった女です……」
「あぁ、思い出した!」
ミーナはすぐに私の前で土下座の体勢をとった。
こんな場所でそんなことされたら目立ちすぎるだろう……。
「頭上げてくれる? なんで土下座しているかがわからない」
「寝とって処刑されるはずなのに、シャイン様が訴えずにいてくださったおかげで私はこうして生きていられるのです。その感謝とその経緯に対する謝罪です」
旦那が寝取られたら、普通だったらブチ切れて裁判を起こすだろう。
だが、何度も言うがブロンダが誰と寝ようとも関係ない。
そもそも、婚約する以前からブロンダはそれが当たり前だった。
いちいち裁判をしていたら、王都の女性が消滅するかもしれない。
さすがに言いすぎたが、それくらいの尻軽男だった。
しかも伯爵という権力で強引に寝とっていたパターンがほとんどらしい。
「とりあえず頭を上げて。謝るのは私の方なのだから」
「何故です!?」
「蜜館で働いていたんでしょう? それなのに外でわざわざ相手にしなきゃいけないなんて、あの男が権力を利用して無理に強要されたのでは?」
「そうですが……」
ならばむしろ彼女たちは被害者。
本来謝るのは元妻として私の方なのだ。
「元妻として、ミーナさんに迷惑をかけてしまい申し訳ありません!」
私は深く頭を下げた。
ミーナはひどく驚いた表情になって、慌てふためく。
「あわわわ……こ……公爵令嬢ですよね!? そのようなお方がこんな頭を下げるなんて……」
「一緒に住んでいた者が悪いことをしたら、同居者が謝るのは当然のことでしょう?」
「え……えぇ!?」
身分の差か……。
私はこれでも立場上王族に分類される。
ミーナ的には驚いても不思議ではないのか。
「一つだけ伺ってもよろしいですか?」
「なにかしら?」
「シャイン様は王都を出られて貧民街へ移住すると風の噂で聞きましたが……」
「なんで知ってんの!?」
さっき決まったばかりのことだ。
いや、もしかしたらお父様のことだから、予め決めていて噂を流した可能性があるかもしれない。
私が逃げられないようにするために……。
「昨日、蜜館を退職するときに聞きまして」
「え? 退職?」
「シャイン様の仰るとおり、ブロンダ伯爵に脅迫され店以外での強要されていました。しかしながら、店側からすれば理由はなんであれ職務規約違反になりますので……」
「そう……」
いたたまれない気持ちになる。
どれだけブロンダは周りに迷惑をかけていたことなのか……。
しかも、貴族側は誰一人として民衆側に助けを差し伸べないようだ。
あまりにも腐っている。
「私も……」
「ん?」
「私も、貧民街へ一緒に連れてっていただけませんか?」
「はぁああ!? 何言ってんの!?」
ミーナのぶっ飛びすぎた発言を聞いて、商店街の入り口で人通りもある中、私は大声で叫んでしまった。
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