16 / 23
第二章 貧民街編
16 教える立場に逆戻り
しおりを挟む
「私!? 何がです? 私は特になにもしていないし」
「何を言っているんだ? あの野菜の育て方……今までの俺たちの常識を覆すようなやり方で育て、見事に芽を生やさせたではないか。その証拠に見てみろ。こんなに綺麗に芽が生えるなんて……」
前世の小学校で習った農園実習のまんま教えただけなんだけど……。
農園という文化がこっちではなかったから驚いているのかもしれないが、それでも褒めすぎだ。
「シャインの発想力と知識には驚かされる……。しかも、以前見せてくれたあの不思議な喧嘩の仕方。前々から気になっていたんだが」
「あぁ、柔道と合気道ですか?」
「じゅうどう? アイキドウ?」
そうか……。
格闘技としての文化もないんだっけ。
ザイラスはすでに強いし、そんな人が格闘技を覚えてしまったらほぼ無敵化してしまう。
あまり触れないで欲しかったが、私が格闘技の名称を口走ってしまったので、もう遅かった。
「是非、俺と俺の弟子にも指南して欲しいんだが!」
「は……はぁ……」
高校の部活で顧問の先生よりも強かったから、私が部員に指導を全丸投げされていたことを思い出す。
あの時ははっきり言ってめんどくさかった。
やる気のない男子や、サボってばかりの連中に教えろと言っても無理がある。
だが、今回はやる気しかないようなザイラスだし、まぁいいか。
ザイラスの弟子っていうくらいだから、よほど強いんだろうな……。
「そうと決まれば俺の家へ行って少し待っててくれ。すぐに弟子を連れてくる」
私の有無を言わさず強制かよ。
まぁ構わないけれど……。
貧民街ではやることも限られているし、前世のようにスマホゲーに没頭できる環境もないからな。
できればスマホを開発して前世にワープでもしてアプリゲーをインストールできれば良いんだが、さすがに無理がある。
この世界でできることを着実にやっていくしかないのだ。
ザイラスの家に行くまでの間、貧民街の人たちとすれ違うたびに必ず挨拶をしてくれる。
それが私には新鮮だったので、いつの間にか私からも気がつけば先に挨拶するようになった。
貧民街に来たことで、私自信も良い方向に変化があったのだ。
「待たせたな」
「はいはい……って、ひょ……」
ザイラスの連れてきた弟子が……。
「シャイン様、はじめまして。スティールと申します」
「シャ……シャイン=グレイでしゅ!」
どうしよう……。
私のドストライクが現る!!
スティールと名乗ったお方は、見た目は今の私よりちょい上くらい。
程よい筋肉質で、超がつくほどのイケメンなんだけど……。
こんなにピンポイントで好みの相手に柔道や合気道を教えるなんて、幸せすぎて死んでしまいそうだ。
「何を言っているんだ? あの野菜の育て方……今までの俺たちの常識を覆すようなやり方で育て、見事に芽を生やさせたではないか。その証拠に見てみろ。こんなに綺麗に芽が生えるなんて……」
前世の小学校で習った農園実習のまんま教えただけなんだけど……。
農園という文化がこっちではなかったから驚いているのかもしれないが、それでも褒めすぎだ。
「シャインの発想力と知識には驚かされる……。しかも、以前見せてくれたあの不思議な喧嘩の仕方。前々から気になっていたんだが」
「あぁ、柔道と合気道ですか?」
「じゅうどう? アイキドウ?」
そうか……。
格闘技としての文化もないんだっけ。
ザイラスはすでに強いし、そんな人が格闘技を覚えてしまったらほぼ無敵化してしまう。
あまり触れないで欲しかったが、私が格闘技の名称を口走ってしまったので、もう遅かった。
「是非、俺と俺の弟子にも指南して欲しいんだが!」
「は……はぁ……」
高校の部活で顧問の先生よりも強かったから、私が部員に指導を全丸投げされていたことを思い出す。
あの時ははっきり言ってめんどくさかった。
やる気のない男子や、サボってばかりの連中に教えろと言っても無理がある。
だが、今回はやる気しかないようなザイラスだし、まぁいいか。
ザイラスの弟子っていうくらいだから、よほど強いんだろうな……。
「そうと決まれば俺の家へ行って少し待っててくれ。すぐに弟子を連れてくる」
私の有無を言わさず強制かよ。
まぁ構わないけれど……。
貧民街ではやることも限られているし、前世のようにスマホゲーに没頭できる環境もないからな。
できればスマホを開発して前世にワープでもしてアプリゲーをインストールできれば良いんだが、さすがに無理がある。
この世界でできることを着実にやっていくしかないのだ。
ザイラスの家に行くまでの間、貧民街の人たちとすれ違うたびに必ず挨拶をしてくれる。
それが私には新鮮だったので、いつの間にか私からも気がつけば先に挨拶するようになった。
貧民街に来たことで、私自信も良い方向に変化があったのだ。
「待たせたな」
「はいはい……って、ひょ……」
ザイラスの連れてきた弟子が……。
「シャイン様、はじめまして。スティールと申します」
「シャ……シャイン=グレイでしゅ!」
どうしよう……。
私のドストライクが現る!!
スティールと名乗ったお方は、見た目は今の私よりちょい上くらい。
程よい筋肉質で、超がつくほどのイケメンなんだけど……。
こんなにピンポイントで好みの相手に柔道や合気道を教えるなんて、幸せすぎて死んでしまいそうだ。
32
あなたにおすすめの小説
勝手にしろと言ったのに、流刑地で愛人と子供たちと幸せスローライフを送ることに、なにか問題が?
赤羽夕夜
恋愛
アエノール・リンダークネッシュは新婚一日目にして、夫のエリオット・リンダークネッシュにより、リンダークネッシュ家の領地であり、滞在人の流刑地である孤島に送られることになる。
その理由が、平民の愛人であるエディットと真実の愛に満ちた生活を送る為。アエノールは二人の体裁を守る為に嫁に迎えられた駒に過ぎなかった。
――それから10年後。アエノールのことも忘れ、愛人との幸せな日々を過ごしていたエリオットの元に、アエノールによる離婚状と慰謝料の請求の紙が送られてくる。
王室と裁判所が正式に受理したことを示す紋章。事態を把握するために、アエノールが暮らしている流刑地に向かうと。
絶海孤島だった流刑地は、ひとつの島として栄えていた。10年以上前は、たしかになにもない島だったはずなのに、いつの間にか一つの町を形成していて領主屋敷と呼ばれる建物も建てられていた。
エリオットが尋ねると、その庭園部分では、十年前、追い出したはずのアエノールと、愛する人と一緒になる為に婚約者を晒し者にして国王の怒りを買って流刑地に送られた悪役王子――エドが幼い子を抱いて幸せに笑い合う姿が――。
※気が向いたら物語の補填となるような短めなお話を追加していこうかなと思うので、気長にお待ちいただければ幸いです。
幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ
猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。
そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。
たった一つボタンを掛け違えてしまったために、
最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。
主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?
今から婚約者に会いに行きます。〜私は運命の相手ではないから
ありがとうございました。さようなら
恋愛
婚約者が王立学園の卒業を間近に控えていたある日。
ポーリーンのところに、婚約者の恋人だと名乗る女性がやってきた。
彼女は別れろ。と、一方的に迫り。
最後には暴言を吐いた。
「ああ、本当に嫌だわ。こんな田舎。肥溜めの臭いがするみたい。……貴女からも漂ってるわよ」
洗練された都会に住む自分の方がトリスタンにふさわしい。と、言わんばかりに彼女は微笑んだ。
「ねえ、卒業パーティーには来ないでね。恥をかくのは貴女よ。婚約破棄されてもまだ間に合うでしょう?早く相手を見つけたら?」
彼女が去ると、ポーリーンはある事を考えた。
ちゃんと、別れ話をしようと。
ポーリーンはこっそりと屋敷から抜け出して、婚約者のところへと向かった。
【完結】真の聖女だった私は死にました。あなたたちのせいですよ?
時
恋愛
聖女として国のために尽くしてきたフローラ。
しかしその力を妬むカリアによって聖女の座を奪われ、顔に傷をつけられたあげく、さらには聖女を騙った罪で追放、彼女を称えていたはずの王太子からは婚約破棄を突きつけられてしまう。
追放が正式に決まった日、絶望した彼女はふたりの目の前で死ぬことを選んだ。
フローラの亡骸は水葬されるが、奇跡的に一命を取り留めていた彼女は船に乗っていた他国の騎士団長に拾われる。
ラピスと名乗った青年はフローラを気に入って自分の屋敷に居候させる。
記憶喪失と顔の傷を抱えながらも前向きに生きるフローラを周りは愛し、やがてその愛情に応えるように彼女のほんとうの力が目覚めて……。
一方、真の聖女がいなくなった国は滅びへと向かっていた──
※小説家になろうにも投稿しています
いいねやエール嬉しいです!ありがとうございます!
婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
日下奈緒
恋愛
アーリンは皇太子・クリフと婚約をし幸せな生活をしていた。
だがある日、クリフが妹のセシリーと結婚したいと言ってきた。
もしかして、婚約破棄⁉
包帯妻の素顔は。
サイコちゃん
恋愛
顔を包帯でぐるぐる巻きにした妻アデラインは夫ベイジルから離縁を突きつける手紙を受け取る。手柄を立てた夫は戦地で出会った聖女見習いのミアと結婚したいらしく、妻の悪評をでっち上げて離縁を突きつけたのだ。一方、アデラインは離縁を受け入れて、包帯を取って見せた。
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる