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変装
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「殿下、いや、ジェダルはあなたを湖に捨てるよう命じてきた。もしも窮屈でなければ家にいてもらえれば安全だが」
「しっかりと確認をするようなお方じゃありませんからね。ですが、お父様やお母様には安否の知らせを可能ならしたいですね」
ウェッカさんから、今回の私を暗殺する計画の流れを詳しく聞いた。
ジェダルはどこまでも腐っている男だ。
ただ暗殺するだけでなく、婚約者である私の身体をおもちゃのようにしようとしていたなんて。
ここまでされては私だってただ黙っていようとは思えなかった。
「ウェッカさん、お手数かけて申し訳ないのですが、今からいうものをなんとか入手できないでしょうか?」
「構わんよ。可能なものならば全て手に入れてこよう」
「では……」
「容易に手に入るが、何に使うのだ?」
不思議そうな表情をしてきた。
まぁ隠すつもりもないので先に言ってもいいか。
「男装しようかと思いまして。男装するための道具です。これで外も出歩けるようになりますし、あわよくばジェダルの焦る姿を一緒に見れるかと」
「さすが……陛下が気に入られただけのことはあるな」
「褒められているのか呆れているのかわかりませんね」
「両方だな。だが、そんなあなただからこそ良い!」
少なくともウェッカさんからは褒められているようだ。
恥ずかしくなってしまい、私の顔が赤くなってしまった。
貴族令嬢でありながらも、ハッキリと物事を言ってしまう私のような性格を好いてくださるのはウェッカさんくらいだろう。
あとは私の数少ない友人くらいか。
♢
「これでよしっと」
「器用なのだな。まさか自作で男装する衣装や帽子、髭までも作ってしまうとは」
「ちょっと着替えてみますね」
「席をはずそう。着替えたら呼んでくれ」
どこまでも紳士なお方だ。
私が何も言わずとも自分から部屋を出て行ってくださった。
本来は私が部屋を出て着替えるのが筋だというのに。
「着替えましたよ」
「……すまないが、変装前の姿の方が好きだな」
「そうですか」
ちょっと嬉しい。
今の方がいいと言われたらショックを受けるだろう。
変装した姿は服装と髭と帽子のセンスを合わせれば三十代くらいの男。
顔の化粧も全て落としているから、そう簡単には気がつかれることはないだろう。
特に、髭で頬から顎まで全てを覆っているのだから。
目元まで深く被った帽子もあるので大丈夫だろう。
「明日から徐々にジェダルを部下達が問い詰めはじめる。陛下や第一皇子殿下には最後に報告することにしている。万が一にもかばおうとする可能性もあるからな」
「それはわかりましたけど、部下?」
「言っていなかったか? 俺は騎士団長だ」
「初耳です!!」
私ってば失礼すぎるだろう。
王宮にかなりいたはずなのに、騎士団長のことを知らなかったなんて……。
「気にすることではない。そもそも王宮の人間の半分以上は俺のことを知らないくらいだからな」
「そんなに……?」
「あぁ、普段表に出ないようにしていたからな。ジェダルからの信頼を勝ち取るために」
「そこまでしてあの男から信頼を得てなんの得が……?」
「こうしてあなたと出逢えるためにだ」
もうダメかもしれない。
私の目から涙がこぼれそうだった。
真っ直ぐなウェッカさんのことを完全に異性として見てしまっている。
今すぐにでも気持ちを打ち明けたいが、この格好でいうのはやめておく。
今は三十代の男設定なのだからな。
ジェダルの件が片付いてから改めて、気持ちを伝えようと思う。
けれども、お父様やお母様はなんと言ってくるだろうか。
聞いたこところによると、ウェッカさんは騎士ではあるものの騎士爵でもないらしく、強さだけで団長になったんだという。
これはかなりの壁がありそうだ……。
「しっかりと確認をするようなお方じゃありませんからね。ですが、お父様やお母様には安否の知らせを可能ならしたいですね」
ウェッカさんから、今回の私を暗殺する計画の流れを詳しく聞いた。
ジェダルはどこまでも腐っている男だ。
ただ暗殺するだけでなく、婚約者である私の身体をおもちゃのようにしようとしていたなんて。
ここまでされては私だってただ黙っていようとは思えなかった。
「ウェッカさん、お手数かけて申し訳ないのですが、今からいうものをなんとか入手できないでしょうか?」
「構わんよ。可能なものならば全て手に入れてこよう」
「では……」
「容易に手に入るが、何に使うのだ?」
不思議そうな表情をしてきた。
まぁ隠すつもりもないので先に言ってもいいか。
「男装しようかと思いまして。男装するための道具です。これで外も出歩けるようになりますし、あわよくばジェダルの焦る姿を一緒に見れるかと」
「さすが……陛下が気に入られただけのことはあるな」
「褒められているのか呆れているのかわかりませんね」
「両方だな。だが、そんなあなただからこそ良い!」
少なくともウェッカさんからは褒められているようだ。
恥ずかしくなってしまい、私の顔が赤くなってしまった。
貴族令嬢でありながらも、ハッキリと物事を言ってしまう私のような性格を好いてくださるのはウェッカさんくらいだろう。
あとは私の数少ない友人くらいか。
♢
「これでよしっと」
「器用なのだな。まさか自作で男装する衣装や帽子、髭までも作ってしまうとは」
「ちょっと着替えてみますね」
「席をはずそう。着替えたら呼んでくれ」
どこまでも紳士なお方だ。
私が何も言わずとも自分から部屋を出て行ってくださった。
本来は私が部屋を出て着替えるのが筋だというのに。
「着替えましたよ」
「……すまないが、変装前の姿の方が好きだな」
「そうですか」
ちょっと嬉しい。
今の方がいいと言われたらショックを受けるだろう。
変装した姿は服装と髭と帽子のセンスを合わせれば三十代くらいの男。
顔の化粧も全て落としているから、そう簡単には気がつかれることはないだろう。
特に、髭で頬から顎まで全てを覆っているのだから。
目元まで深く被った帽子もあるので大丈夫だろう。
「明日から徐々にジェダルを部下達が問い詰めはじめる。陛下や第一皇子殿下には最後に報告することにしている。万が一にもかばおうとする可能性もあるからな」
「それはわかりましたけど、部下?」
「言っていなかったか? 俺は騎士団長だ」
「初耳です!!」
私ってば失礼すぎるだろう。
王宮にかなりいたはずなのに、騎士団長のことを知らなかったなんて……。
「気にすることではない。そもそも王宮の人間の半分以上は俺のことを知らないくらいだからな」
「そんなに……?」
「あぁ、普段表に出ないようにしていたからな。ジェダルからの信頼を勝ち取るために」
「そこまでしてあの男から信頼を得てなんの得が……?」
「こうしてあなたと出逢えるためにだ」
もうダメかもしれない。
私の目から涙がこぼれそうだった。
真っ直ぐなウェッカさんのことを完全に異性として見てしまっている。
今すぐにでも気持ちを打ち明けたいが、この格好でいうのはやめておく。
今は三十代の男設定なのだからな。
ジェダルの件が片付いてから改めて、気持ちを伝えようと思う。
けれども、お父様やお母様はなんと言ってくるだろうか。
聞いたこところによると、ウェッカさんは騎士ではあるものの騎士爵でもないらしく、強さだけで団長になったんだという。
これはかなりの壁がありそうだ……。
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