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35 緊張する夕食
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ダイル侯爵と、ダリア様ことアリア、そしてサバス様と私の四人でトリコロエル家の夕食をいただいている。
出てきた料理はどれも普段食べられないような高級なものばかりで、フォークの手がなかなか進まない。
いや、原因は料理だけではない。
「あら、ライアンちゃんったら苦手だったかしら?」
「無理に口にしなくとも大丈夫だぞ」
サバス様とアリアが微笑みながら美しい顔をこちらに向けてくる。
美男のサバス様が私の横に、そして目の前には空前絶後の美女アリアがいるから緊張して食事が進まないんです!
申し訳ありません……!!
「気持ちはわかるぞライアン殿。美人すぎるダリアを目の前にしては緊張して食べ物が喉を通らないのだろう? はっはっは、私もそうだった」
アリアだけでなく、イケメンすぎるサバス様もね。
だが、もう私はこの容姿に慣れてやるって決めたんだ。
水を一気に飲んで気持ちを引き締めた。
「申し訳ありません。お二人があまりにも神々しく見えて……。でも、いずれ必ず慣れます」
「……? ライアンよ、私はそんなオーラは出していないが」
サバス様に自覚はない。
少しくらいは自分がカッコいいと思ってもおかしくないはずなのに、どうして容姿が普通だと思っているのだろう……。
「ふふ……、ライアンちゃんはいつもこうなのよ。自分のことを分かっていないのよ」
「母上?」
サバス様が不思議そうな顔をしながらアリアを見ている。
さすがに親子だから、アリアの美女オーラは通じないらしい。
「ゆっくりで良いのよ。ダーリンも私に慣れるまで何年もかかったって言ったでしょう? でも今だったらこうしても……ほら、平気なのよ」
「うわ! こら、ダリアよ……。いきなり腕を掴んできたら心臓が……」
侯爵が物凄く慌てふためいている。
「そ、そうだライアン殿よ、しばらくダリアも家にいる。この間にでもライアン殿のご家族を連れてきて皆で親睦会をしたいと思うのだが」
「次のコンサートまでは仕事もお休みだし、名案なのよ」
「伝えておきますね。両親は会いたがっていたので、とても喜ばれると思います」
アリアが今度やるコンサートに関しては、ファンの私は当然知っている。
大きなホールで行うのだが、今回は民衆への感謝祭のようなものだ。
チケット販売は民衆に行なっているため私は手に入れることができなかった。
あまり駄々をこねるのは良くないので、行きたかったことは黙っておく。
「明日帰ったら報告しておきます。おそらくすぐにでも行きたいと言い出しそうですが」
「こちらとしてはいつでも構わんよ。ソルト殿には話したいこともあったし、なんなら当日そのまま来てくれても問題はない」
「ではそのように伝えます」
少し落ち着いたので、ゆっくりとスープをすする。
その後に普段食べないような各皿に少量ずつ盛り付けされている料理を一つずつ食べていく。
私が作る料理とはジャンルは違うが、将来的にはこういった高級感あふれるものも作れるようになりたい。
「美味しいです」
「料理が得意なライアン殿にそう言ってもらえたら、我が家専属のシェフも泣いて喜んでくれるだろう」
「そんな大袈裟な……」
「ソルト殿がその業界では有名だからな。娘であるライアン殿の料理も素晴らしいという噂が広まっている。今日もシェフは作るのに緊張したと申していたくらいだ」
「私もライアンちゃんが作る料理を食べてみたいのよ」
「わ、わかりました。ではその時はこちらの厨房をお借りしてもよろしいですか?」
ニコリと笑いながら二人とも首を縦にふった。
横にいるサバス様も笑みを浮かべながら喜んでいるように見える。
この笑顔を見るために、これからも私はしっかりと料理をして、お腹を満足させてあげたいと思う。
出てきた料理はどれも普段食べられないような高級なものばかりで、フォークの手がなかなか進まない。
いや、原因は料理だけではない。
「あら、ライアンちゃんったら苦手だったかしら?」
「無理に口にしなくとも大丈夫だぞ」
サバス様とアリアが微笑みながら美しい顔をこちらに向けてくる。
美男のサバス様が私の横に、そして目の前には空前絶後の美女アリアがいるから緊張して食事が進まないんです!
申し訳ありません……!!
「気持ちはわかるぞライアン殿。美人すぎるダリアを目の前にしては緊張して食べ物が喉を通らないのだろう? はっはっは、私もそうだった」
アリアだけでなく、イケメンすぎるサバス様もね。
だが、もう私はこの容姿に慣れてやるって決めたんだ。
水を一気に飲んで気持ちを引き締めた。
「申し訳ありません。お二人があまりにも神々しく見えて……。でも、いずれ必ず慣れます」
「……? ライアンよ、私はそんなオーラは出していないが」
サバス様に自覚はない。
少しくらいは自分がカッコいいと思ってもおかしくないはずなのに、どうして容姿が普通だと思っているのだろう……。
「ふふ……、ライアンちゃんはいつもこうなのよ。自分のことを分かっていないのよ」
「母上?」
サバス様が不思議そうな顔をしながらアリアを見ている。
さすがに親子だから、アリアの美女オーラは通じないらしい。
「ゆっくりで良いのよ。ダーリンも私に慣れるまで何年もかかったって言ったでしょう? でも今だったらこうしても……ほら、平気なのよ」
「うわ! こら、ダリアよ……。いきなり腕を掴んできたら心臓が……」
侯爵が物凄く慌てふためいている。
「そ、そうだライアン殿よ、しばらくダリアも家にいる。この間にでもライアン殿のご家族を連れてきて皆で親睦会をしたいと思うのだが」
「次のコンサートまでは仕事もお休みだし、名案なのよ」
「伝えておきますね。両親は会いたがっていたので、とても喜ばれると思います」
アリアが今度やるコンサートに関しては、ファンの私は当然知っている。
大きなホールで行うのだが、今回は民衆への感謝祭のようなものだ。
チケット販売は民衆に行なっているため私は手に入れることができなかった。
あまり駄々をこねるのは良くないので、行きたかったことは黙っておく。
「明日帰ったら報告しておきます。おそらくすぐにでも行きたいと言い出しそうですが」
「こちらとしてはいつでも構わんよ。ソルト殿には話したいこともあったし、なんなら当日そのまま来てくれても問題はない」
「ではそのように伝えます」
少し落ち着いたので、ゆっくりとスープをすする。
その後に普段食べないような各皿に少量ずつ盛り付けされている料理を一つずつ食べていく。
私が作る料理とはジャンルは違うが、将来的にはこういった高級感あふれるものも作れるようになりたい。
「美味しいです」
「料理が得意なライアン殿にそう言ってもらえたら、我が家専属のシェフも泣いて喜んでくれるだろう」
「そんな大袈裟な……」
「ソルト殿がその業界では有名だからな。娘であるライアン殿の料理も素晴らしいという噂が広まっている。今日もシェフは作るのに緊張したと申していたくらいだ」
「私もライアンちゃんが作る料理を食べてみたいのよ」
「わ、わかりました。ではその時はこちらの厨房をお借りしてもよろしいですか?」
ニコリと笑いながら二人とも首を縦にふった。
横にいるサバス様も笑みを浮かべながら喜んでいるように見える。
この笑顔を見るために、これからも私はしっかりと料理をして、お腹を満足させてあげたいと思う。
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