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「ゴルザーフ陛下ともあろうおかたならば、証明できるものも持ってきているでしょう?」
「そ……それは」
「なにしろ、我がメビルス王国から王金貨二千枚で一ヶ月間お借りするという話もあったでしょう。ならば、すぐ手に取れるよう準備していたはず。避難とはいえ、持ってくるのが当然かと」
「む、むろんそう考えるのは当然なのだが、どういうわけか勝手に改ざんされてしまっていてな」
神様が直してくれたのです。
でも……。
「魔力を込めた書類を改ざんなど、信じがたいですな。どちらにせよ、ヴィレーナを解雇した事実は変わらないのでしょう?」
「そ、それは……」
ゴルザーフ陛下が珍しく焦っているようですね。
彼の徹底した準備は、メビルス王国で関わった人たちの誰もが知っていたようです。
そのため、どのような状況であってもゴルザーフ陛下が重要な書類を持ってこないわけがないと踏んだのでしょう。
もちろん、私が王宮直属聖女でなくなっていたら持ってくるわけがありませんが。
「仮に書類に王宮直属聖女と書かれていたとしても、これまでのヴィレーナに対する仕打ちを考えたらどうかと思いますが」
「なにをばかなことを。実際に見たとでも?」
「私は直接は見ておりませんね」
「ならば空想で物事を言うでない」
「しかし、その後の調べで我が国からブブルル王国へ交渉へ行く際、一人の兵がそちらに残り調査をしていたことがわかりましてね」
「な!?」
「高額で取引をするのですから、聖女のことを調べるのは当然かと。しかしながら、ヴィレーナのことをゴミのように扱い、しかもいずれ解雇することもゴルザーフ国王と宰相で話していたそうですな」
ついに無言のままなにも言い返してこなくなりました。
さらに、このタイミングで王宮の外が騒がしくなってきたのです。
「対談中に申しわけございません。ブブルル王国かた避難してきたという者たちが大勢押し寄せてきていまして」
「うむ。ブブルル王国の大臣や宰相はこちらへ連れてきたまえ」
「ははっ!」
それを聞いたゴルザーフ陛下は、動揺を隠しきれなかったようです。
「なぜそんなに無警戒に入れることができるのだ?」
「問題ありません。それに、この件はゴルザーフ国王にとっても大事なことなのでは?」
「いや、私一人で……いい。他の者は決して入れるでない」
「残念ながらそうはいきませんな」
保護魔法が役に立ちました。
国王陛下の命を救った経緯があるため、なにがあっても安全という保証付きであることは立証されています。
そのため、本来ならば安易に王宮へ招き入れないことでもすぐに話を進めることができるというわけです。
ゴルザーフ陛下は、分が悪かったのか、その場から立ち去ろうとしましたが、時すでに遅し。
すでにブブルル王国の大臣たちは玉座の間の前に待機していたのです。
「へ、陛下!! なぜあなたさまがここに!?」
「く……」
なぜかゴルザーフ陛下が大臣たちから睨まれています。
大変なことになってきたみたいですが、私はもうしりません。
「そ……それは」
「なにしろ、我がメビルス王国から王金貨二千枚で一ヶ月間お借りするという話もあったでしょう。ならば、すぐ手に取れるよう準備していたはず。避難とはいえ、持ってくるのが当然かと」
「む、むろんそう考えるのは当然なのだが、どういうわけか勝手に改ざんされてしまっていてな」
神様が直してくれたのです。
でも……。
「魔力を込めた書類を改ざんなど、信じがたいですな。どちらにせよ、ヴィレーナを解雇した事実は変わらないのでしょう?」
「そ、それは……」
ゴルザーフ陛下が珍しく焦っているようですね。
彼の徹底した準備は、メビルス王国で関わった人たちの誰もが知っていたようです。
そのため、どのような状況であってもゴルザーフ陛下が重要な書類を持ってこないわけがないと踏んだのでしょう。
もちろん、私が王宮直属聖女でなくなっていたら持ってくるわけがありませんが。
「仮に書類に王宮直属聖女と書かれていたとしても、これまでのヴィレーナに対する仕打ちを考えたらどうかと思いますが」
「なにをばかなことを。実際に見たとでも?」
「私は直接は見ておりませんね」
「ならば空想で物事を言うでない」
「しかし、その後の調べで我が国からブブルル王国へ交渉へ行く際、一人の兵がそちらに残り調査をしていたことがわかりましてね」
「な!?」
「高額で取引をするのですから、聖女のことを調べるのは当然かと。しかしながら、ヴィレーナのことをゴミのように扱い、しかもいずれ解雇することもゴルザーフ国王と宰相で話していたそうですな」
ついに無言のままなにも言い返してこなくなりました。
さらに、このタイミングで王宮の外が騒がしくなってきたのです。
「対談中に申しわけございません。ブブルル王国かた避難してきたという者たちが大勢押し寄せてきていまして」
「うむ。ブブルル王国の大臣や宰相はこちらへ連れてきたまえ」
「ははっ!」
それを聞いたゴルザーフ陛下は、動揺を隠しきれなかったようです。
「なぜそんなに無警戒に入れることができるのだ?」
「問題ありません。それに、この件はゴルザーフ国王にとっても大事なことなのでは?」
「いや、私一人で……いい。他の者は決して入れるでない」
「残念ながらそうはいきませんな」
保護魔法が役に立ちました。
国王陛下の命を救った経緯があるため、なにがあっても安全という保証付きであることは立証されています。
そのため、本来ならば安易に王宮へ招き入れないことでもすぐに話を進めることができるというわけです。
ゴルザーフ陛下は、分が悪かったのか、その場から立ち去ろうとしましたが、時すでに遅し。
すでにブブルル王国の大臣たちは玉座の間の前に待機していたのです。
「へ、陛下!! なぜあなたさまがここに!?」
「く……」
なぜかゴルザーフ陛下が大臣たちから睨まれています。
大変なことになってきたみたいですが、私はもうしりません。
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