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9 女王陛下
「セレス=プランタンでございます。お待たせして申し訳ありません」
女王陛下が応接室に入ってきたと同時に、まずは内心で驚いていた。
本当にシャロンやクラルド殿下を産んだのだろうかと疑ってしまうくらい若々しく美しい。
明らかに二十代前半くらいにしか見えないのだ。
「お初にお目にかかります。エルシラと申します。よろし──」
「まぁ!! ひょっとして、ザザーレンド王国で婚約されたと噂の聖女エルシラさんでしょうか!?」
「なんと!? エルシラという名はどこかで聞いたことがあったと思っておったが、まさかお主が……」
陛下が私のことを存じてくれていたことにも驚いたが、私よりも驚いていたのがシャロンだった。
ただでさえ大きい目をさらに大きくしてまんまるになっている。
可愛い。
「はは、婚約は無くなって今は旅人ですけれどね」
「まぁ、もったいない。ザザーレンド王国にとっては大きな損失でしょう」
「ザザーレンドの陛下からの申し立てですので私からはなんとも言えませんね」
それなりの慰謝料もいただいているので、あまり悪く言うつもりはない。
もう終わったことなのだ。
それよりも、実際にセレス陛下と対面してみて、このお方があのような脅迫まがいの手紙を書くとはとても思えない。
「話は大方聞いております。まずはシャロンと護衛達の命を救ってくれたこと、そしてクラルドの昏睡状態を治していただいたこと、本当に深く感謝いたします」
そう言いながら深く頭を下げてきた。
一刻の女王様がこんな態度をするなんて、もったいなさすぎる。
「頭をあげてください。私はただ自分にできることをしたまでですから」
「律儀なのですね。まさかこちらから直接交渉しに行く前に来ていただけるとは嬉しい想定外のことではありましたが」
「交渉とは……?」
「妾がザザーレンド王国に出向き、何でも直すという噂の聖女をお連れして兄上を治してもらいたいとお願いするところであったのだ」
なるほど、シャロンが長旅に出る目的は私だったのか。
それに、会話の流れから察するに、やはり脅迫する素振りは全く感じない。
ところで、先ほどからクラルド殿下が私の方をキョロキョロと見てくるのだが……。
あまり視線を向けられると恥ずかしくなってしまうではないか。
今はなんとか気にしないで本題を喋らなくては。
「以前ザザーランド王国に手紙を送られていますよね?」
「そうですね。クラルドのためにどうしても貴方の力をお借りしたくて私が直々に書きました。しかし、返事がなかったので直接交渉しにいくしかないものかと……」
「失礼ながら、手紙を書かれたのは二枚ですか?」
「そうですよ」
女王陛下は平然と頷いていた。
女王陛下が応接室に入ってきたと同時に、まずは内心で驚いていた。
本当にシャロンやクラルド殿下を産んだのだろうかと疑ってしまうくらい若々しく美しい。
明らかに二十代前半くらいにしか見えないのだ。
「お初にお目にかかります。エルシラと申します。よろし──」
「まぁ!! ひょっとして、ザザーレンド王国で婚約されたと噂の聖女エルシラさんでしょうか!?」
「なんと!? エルシラという名はどこかで聞いたことがあったと思っておったが、まさかお主が……」
陛下が私のことを存じてくれていたことにも驚いたが、私よりも驚いていたのがシャロンだった。
ただでさえ大きい目をさらに大きくしてまんまるになっている。
可愛い。
「はは、婚約は無くなって今は旅人ですけれどね」
「まぁ、もったいない。ザザーレンド王国にとっては大きな損失でしょう」
「ザザーレンドの陛下からの申し立てですので私からはなんとも言えませんね」
それなりの慰謝料もいただいているので、あまり悪く言うつもりはない。
もう終わったことなのだ。
それよりも、実際にセレス陛下と対面してみて、このお方があのような脅迫まがいの手紙を書くとはとても思えない。
「話は大方聞いております。まずはシャロンと護衛達の命を救ってくれたこと、そしてクラルドの昏睡状態を治していただいたこと、本当に深く感謝いたします」
そう言いながら深く頭を下げてきた。
一刻の女王様がこんな態度をするなんて、もったいなさすぎる。
「頭をあげてください。私はただ自分にできることをしたまでですから」
「律儀なのですね。まさかこちらから直接交渉しに行く前に来ていただけるとは嬉しい想定外のことではありましたが」
「交渉とは……?」
「妾がザザーレンド王国に出向き、何でも直すという噂の聖女をお連れして兄上を治してもらいたいとお願いするところであったのだ」
なるほど、シャロンが長旅に出る目的は私だったのか。
それに、会話の流れから察するに、やはり脅迫する素振りは全く感じない。
ところで、先ほどからクラルド殿下が私の方をキョロキョロと見てくるのだが……。
あまり視線を向けられると恥ずかしくなってしまうではないか。
今はなんとか気にしないで本題を喋らなくては。
「以前ザザーランド王国に手紙を送られていますよね?」
「そうですね。クラルドのためにどうしても貴方の力をお借りしたくて私が直々に書きました。しかし、返事がなかったので直接交渉しにいくしかないものかと……」
「失礼ながら、手紙を書かれたのは二枚ですか?」
「そうですよ」
女王陛下は平然と頷いていた。
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