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16 白いドレス

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 きっと、ザザーレンドはオルトレス陛下によって一段と良い国になっていくことだろう。
 色々と問題も発生してしまったが、私はあの国とも出逢えて良かったと思っている。
 クラルドたちからの許可も出ているので、定期的にザザーレンド王国の人たちの看病もできるし。

 やがて、遠く離れたザザーレンド王国とプランタン王国は友好国となり、プランタン王国の科学技術が徐々にザザーレンド王国に浸透していった。
 そして、技術を提供してもらったザザーレンド王国からは、貴重な資源をプランタン王国へ支給するというWINWINな関係になったのだ。

 さらに一年後。

「エルシラ。これは俺からの気持ちだ。受け取って欲しい」

 王宮の一室で、大きな白い箱を渡される。

「ここで開けてもいい?」
「もちろんだ」

 中には白い綺麗なドレスが入っていた。
 身体にあててみるとサイズもピッタリなようだし、何よりお洒落で綺麗だ。
 どうやって私のサイズがわかったのかは聞かないでおく。

「その……これはな、プランタン王国の風習で愛する者にドレスをプレゼントする。そのドレスをその場で着てくれたら婚約成立というものでな」
「わかりました」

 クラルドの目の前ですぐに着替え始める。
 下着を見られようと構わない。
 だが、相変わらずの紳士さでクラルドは私と反対側をずっと向いて待ってくれていた。
 そういうところがとても好きなのだ。
 でも、ちょっとくらい私の身体に興味を持ってくれてもいいだろうという気持ちもある。

 複雑な心境だ。

「これが……私!?」
「似合っている。綺麗だ、愛している」

 クラルドとの婚約が正式に決まったのだった。

 後日、それを知ったシャロンは『兄上にエルシラを奪われたのじゃー』と泣き叫んでいた。
 でも、シャロンとは姉妹になるだろう。
 それに、シャロンがいなかったら、このようなことにはなっていなかったのだ。
 シャロンをギュッと抱きしめて頭を撫でた。

「これからはシャロンともずっと一緒だからね。怒らない怒らない」
「わ、妾を子供扱いするでない!」

 可愛い!
 シャロンは今もなお口調は大人びているが、最近はそれもシャロンだなと思うようになった。

 さて、百年以上生きてきた聖女の私が初めての結婚式を迎えようとしている。
 クラルドの方が寿命は短いのはわかってはいるけれど、そのあともずっとずっと想っていられるだろう。
 もちろんシャロンやセレス王女陛下のこともだ。

 私にとっては短いこの大事な時間。
 一秒でも無駄にしないで大事な思い出を作っていこうと思っていた。


ーーーーーーーーーー

【後書き】
最後まで読んでくださりありがとうございました。
今作は久しぶりの新作でしたが如何でしたか?
今後も色々な作品を創作していきますので、よかったら今後もお付き合いください。
よろしくお願い致します。

最後に新作のお知らせです。

『妹が奪った婚約者が嫌だと言われ、私が婚約したら幸せが待っていました~家出のために魔法学を勉強していた結果、凄い魔法が使えるようになっていた~』

こちらも是非よろしくお願いいたします。
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