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2、四年前、ミミナが追放されるまで2
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初めての夜会に参加させてもらったが、お父様の言っていたとおり婚約は難しいかもしれない。
「さすが平民風情の令嬢ですこと。ドレスコードも知らないのでしょうか」
「おそらくはブザン伯爵があえてそうさせたのでしょう。最近になって書類処理がしっかりとなされるようになったからって、調子に乗っているのでしょうね」
「ブザン伯爵の不貞もあり得ないですが、その子もあんなんじゃあり得ないですね」
わたしのことを侮辱されるならいいのだが、お父様の悪口を聞かれるのが辛かった。
わたしのために仕事をやらせてくれていたし、残り物のごはんだって与えてくれる。
今日のためにと用意してくれた初めてのドレスだって優しさを感じている。
どうしてもサイズがなかったからと、膝上二十センチくらいまでの丈しかないドレスなため、生足を披露してしまっている。
このことを指摘されているのだとは思うが、急だったために仕方がないことだ。
そうとも知らずに悪口ばかり言ってくる人たちが辛い。
二人がペアになってダンスを楽しんでいるが、わたしはひとりきり。
だが、今になって楽しくなってきた。
たくさんの料理が並べられていて、どれも取り放題食べ放題だからだ。
こんな高待遇は経験したことがない。
求婚されなければ追放されてしまうため、今のうちに食べられるだけ食べた。
そして、おなかが満たされた後はジュースも飲めるだけ飲んだ。
見たこともないグラスが用意されていて、それを手にして一気に飲む。
妙な味ではあるが、とにかくたくさん飲む。
すると、徐々に身体がフラフラとしてきて、まともに歩けるような状況ではなくなった。
もはや羞恥心がどうのこうのと言っていられるような状況でもない。
下着があらわになろうが直したり隠したりする余裕すらないのだ。
意識が遠のいていくところで、誰かがわたしを担いでどこかへ連れられていくような感覚に襲われた。
幻覚? ユメ?
目の前には絵画でしか見たことのないような国宝級と言ってもいいほどのカッコいい美男子にお姫様抱っこをしてもらっている気がした。
見ただけで興奮してしまうほどの美しい美男子を見てしまったこと。今日はなぜか感情任せな気持ち。そしてユメで間違いないと思ったため、感情が大爆発してしまったのである。
「王子様~、わたひを抱いてくだしゃい」
「ん?」
「家から追放されちゃうんです~。せめていい思い出作りたいんでしゅ」
『ユメの中だけでも』という言葉をつけ忘れたが、まあ些細なことだろう。
美男子はニコリと微笑んだ。
幸せすぎてもはや制御ができない。
ギュッと抱きしめてもう離れないとアピールする。
「ようやく見つけた。やはりキミだったんだね」
「んはい?」
「キミにそんなことを言われたら、我慢できなくなってしまいそうだよ」
なにを言っているのかわからなかったが、美男子の声一文字一文字がどれもカッコいい。
ユメの中だというのに、意識が遠のいていった。
♢
「起きなさい!!」
「ひゃっ!」
とてつもなく冷たい水が身体に感じると一気に目覚めた。
それは慣れている。義母様のエル=レイバグがたまに起こしにくるときは決まってこのパターンなのだ。
いつもの天井。
だが、着ている服が夜会で着たときの丈が短いドレスである。
ユメだったのか現実だったのかがモヤモヤしてしまっている。
そして身体が異様にだるさを感じていて、さらに頭もズキズキと痛い。
「お、おはようございます」
「そんなに素足を大勢の方々に魅せただなんて、なんて恥ずかしい人なのでしょう。とても貴族として誇れるべき人ではありませんね。それを証明できただけでもよかったのでしょうか」
わたしの格好を見ながらゲラゲラと満足そうに笑いだした。
丈は短いけれどもドレスの素材はしっかりしたものだし、贅沢品だと思う。
もう二度と着れないかもしれない機会だったし、着させてくださりありがとうございますと思っている。
義母様も満足そうだし、最後も笑顔でお別れができたことが救いだ。
というのも……。
「追放……ですよね?」
「ええ、そうよ。ようやく忌々しい出来損ないとオサラバできると思うと清々するわね」
お父様と義母様がどんなに頑張って魔力を開花させようとしてくれても、それは叶わなかった。
どれほど責められても仕方のないことだし、むしろわたしが謝らなければならない。
「最後の最後でアンタが夜会でご迷惑をかけたことは一生許しませんわよ!?」
「はい? きゃっ! いたいいたいいたたたた!!」
なにを言っているのか聞こうとしたら、いきなりお腹周りに強い電流が流れてきた。
義母様がいつもわたしに指導している魔力の譲渡行為だ。
激痛が走るものの、これで魔力を得られるかもしれないと、何度も頑張ってきたことである。
なぜ今してくるのか。それは最後の最後に魔力が開花すれば追放も白紙になるかもしれない。
そう思って頑張ってくれているのだろうから必死に耐えた。
痛すぎてショック死してしまいそうなのに耐えながら。
「はあ……はあ……。やっぱりダメね」
「う……うぐぐぐぐ……申し訳――」
「とっととここから消えなさい」
「せめて今までお世話になった使用人さんたちやグルガ義兄様にもご挨拶を……」
「あら。ブザン様から言付けよ。散々待ったのだから一刻も早く家から消えろ、と。この意味はわかるわよね?」
二日間待ってもらったのだ。
しかもダメ元で魔力指導も受けた。
これでダメだったのだから仕方がない。
わたしは納得したうえで義母様に深くお辞儀をしてからすぐに荷物をまとめた。
「さすが平民風情の令嬢ですこと。ドレスコードも知らないのでしょうか」
「おそらくはブザン伯爵があえてそうさせたのでしょう。最近になって書類処理がしっかりとなされるようになったからって、調子に乗っているのでしょうね」
「ブザン伯爵の不貞もあり得ないですが、その子もあんなんじゃあり得ないですね」
わたしのことを侮辱されるならいいのだが、お父様の悪口を聞かれるのが辛かった。
わたしのために仕事をやらせてくれていたし、残り物のごはんだって与えてくれる。
今日のためにと用意してくれた初めてのドレスだって優しさを感じている。
どうしてもサイズがなかったからと、膝上二十センチくらいまでの丈しかないドレスなため、生足を披露してしまっている。
このことを指摘されているのだとは思うが、急だったために仕方がないことだ。
そうとも知らずに悪口ばかり言ってくる人たちが辛い。
二人がペアになってダンスを楽しんでいるが、わたしはひとりきり。
だが、今になって楽しくなってきた。
たくさんの料理が並べられていて、どれも取り放題食べ放題だからだ。
こんな高待遇は経験したことがない。
求婚されなければ追放されてしまうため、今のうちに食べられるだけ食べた。
そして、おなかが満たされた後はジュースも飲めるだけ飲んだ。
見たこともないグラスが用意されていて、それを手にして一気に飲む。
妙な味ではあるが、とにかくたくさん飲む。
すると、徐々に身体がフラフラとしてきて、まともに歩けるような状況ではなくなった。
もはや羞恥心がどうのこうのと言っていられるような状況でもない。
下着があらわになろうが直したり隠したりする余裕すらないのだ。
意識が遠のいていくところで、誰かがわたしを担いでどこかへ連れられていくような感覚に襲われた。
幻覚? ユメ?
目の前には絵画でしか見たことのないような国宝級と言ってもいいほどのカッコいい美男子にお姫様抱っこをしてもらっている気がした。
見ただけで興奮してしまうほどの美しい美男子を見てしまったこと。今日はなぜか感情任せな気持ち。そしてユメで間違いないと思ったため、感情が大爆発してしまったのである。
「王子様~、わたひを抱いてくだしゃい」
「ん?」
「家から追放されちゃうんです~。せめていい思い出作りたいんでしゅ」
『ユメの中だけでも』という言葉をつけ忘れたが、まあ些細なことだろう。
美男子はニコリと微笑んだ。
幸せすぎてもはや制御ができない。
ギュッと抱きしめてもう離れないとアピールする。
「ようやく見つけた。やはりキミだったんだね」
「んはい?」
「キミにそんなことを言われたら、我慢できなくなってしまいそうだよ」
なにを言っているのかわからなかったが、美男子の声一文字一文字がどれもカッコいい。
ユメの中だというのに、意識が遠のいていった。
♢
「起きなさい!!」
「ひゃっ!」
とてつもなく冷たい水が身体に感じると一気に目覚めた。
それは慣れている。義母様のエル=レイバグがたまに起こしにくるときは決まってこのパターンなのだ。
いつもの天井。
だが、着ている服が夜会で着たときの丈が短いドレスである。
ユメだったのか現実だったのかがモヤモヤしてしまっている。
そして身体が異様にだるさを感じていて、さらに頭もズキズキと痛い。
「お、おはようございます」
「そんなに素足を大勢の方々に魅せただなんて、なんて恥ずかしい人なのでしょう。とても貴族として誇れるべき人ではありませんね。それを証明できただけでもよかったのでしょうか」
わたしの格好を見ながらゲラゲラと満足そうに笑いだした。
丈は短いけれどもドレスの素材はしっかりしたものだし、贅沢品だと思う。
もう二度と着れないかもしれない機会だったし、着させてくださりありがとうございますと思っている。
義母様も満足そうだし、最後も笑顔でお別れができたことが救いだ。
というのも……。
「追放……ですよね?」
「ええ、そうよ。ようやく忌々しい出来損ないとオサラバできると思うと清々するわね」
お父様と義母様がどんなに頑張って魔力を開花させようとしてくれても、それは叶わなかった。
どれほど責められても仕方のないことだし、むしろわたしが謝らなければならない。
「最後の最後でアンタが夜会でご迷惑をかけたことは一生許しませんわよ!?」
「はい? きゃっ! いたいいたいいたたたた!!」
なにを言っているのか聞こうとしたら、いきなりお腹周りに強い電流が流れてきた。
義母様がいつもわたしに指導している魔力の譲渡行為だ。
激痛が走るものの、これで魔力を得られるかもしれないと、何度も頑張ってきたことである。
なぜ今してくるのか。それは最後の最後に魔力が開花すれば追放も白紙になるかもしれない。
そう思って頑張ってくれているのだろうから必死に耐えた。
痛すぎてショック死してしまいそうなのに耐えながら。
「はあ……はあ……。やっぱりダメね」
「う……うぐぐぐぐ……申し訳――」
「とっととここから消えなさい」
「せめて今までお世話になった使用人さんたちやグルガ義兄様にもご挨拶を……」
「あら。ブザン様から言付けよ。散々待ったのだから一刻も早く家から消えろ、と。この意味はわかるわよね?」
二日間待ってもらったのだ。
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これでダメだったのだから仕方がない。
わたしは納得したうえで義母様に深くお辞儀をしてからすぐに荷物をまとめた。
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