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エドナ山脈へ
エドナ山脈は危険な場所ということで、御者とカルム様、イデアと私の四人で向かうことになった。
出発前に御者が地図を出し、最終確認を行う。
「王都を出て北へ二百キロほど進めばエドナ山脈に到着できましょう。前回同様、道中危険なモンスターと遭遇しないことを願うばかりですが……」
「……この辺りのモンスターなら弱い生物しかいないはず。私でも片付けられる」
「イデア様がいれば大丈夫でしょう。しかし、以前訪れた更に先の山脈は未知の領域です。馬では登れませんので私は待機となります」
ここでもイデアの凄さが伝わってきた。
どうやら彼女の力も信頼も絶大らしい。
そこまで凄い人が私のメイドになってくれた理由をいつか聞いてみようと思うが、今はエドナ山脈へ向かうことが先決だ。
「うむ。危険と判断したら我々を待たずに避難してほしい。時間をかけてでも歩いて帰ってみせる」
「しかし……」
「どちらにしても待機している間にモンスターに襲われて命を失ってしまえば同じことだろう。ならば馬と自分の命を優先してほしい」
カルム様は私だけでなく、カサラス王国に関わっている全ての生き物に対して命を大事にしてほしいとおっしゃっているようだ。
なるほど。
これだけ酷い環境の中でも、みんなで協力して国を維持してこられた理由がなんとなくわかった気がする。
「カルム王子殿下の指令に従います。それでは出発致します」
ゆっくりと馬車は動き出し、王都の出入り口を抜けた。
♢
モンスターに襲われないか周囲に気を配りながらも、楽しくおしゃべりをしたりして更に交流を深めていった。
喋っていると時間が経つのは早いもので、辺りが真っ暗になった為、野営をすることにした。
「水よ来たれ」
イデアが魔法を詠唱して、カップに水を注いでいった。
四人分と馬が飲むための水を具現化したにもかかわらず、イデアは息ひとつ切らしていなかった。
「ありがとう」
「……いえ、大したことはしていません」
マーヤと比べてしまうのも失礼だが、同じ魔道士でも魔力もスタミナも雲泥の差だと感じた。
つい愚痴をこぼしてしまう。
「エウレス皇国にいた例の魔道士はイデアが具現化した半分の水で息が上がっていたわね」
「……確かに具現化の魔法は高等技術にはなりますから魔道士であることは間違いないかと。ですが、確かその者は皇太子と婚約したのでしたっけ? 皇太子も見る目がないのですね。他国の悪口はアレですが余程バカなのでしょう。そんな者が仕切ったら国が崩壊しますね」
イデアは普段は無口だが、時々スイッチが入ると歯止めが効かなくなってしまうようだ。
予想以上にイデアはラファエルのことをズタボロに言っている。
まぁラファエルが国を仕切ることはまだ先のことだろうから、今は大丈夫だろう。
エウレス皇国のことを心配している暇はないのだが、やはり故郷がどうなっているのかは気になることがある。
オーズドール山脈に辿り着くまではあと半分程度。
今夜は何もない荒野で静かに過ごし朝を迎える予定だ。
夜は交代で見張りをして、馬車で寝て過ごすことになる。
しかし、私は見張を免除されてしまい申し訳なく思っていた。
外で見張りをしてくれているカルム様に近づき話をした。
「私にも何かできそうなことがあればやります」
「ありがとうリリア。気持ちは嬉しいが、私たちの任務はリリアを守ること。ここは私たちに任せてゆっくり休んでもらいたい」
当然といった様子でそう答えてきた。
何の役にも立てないが、せめてもと思いカルム様の体に持参した毛布をかぶせた。
「風邪などひかぬよう、引き続きよろしくお願いいたします」
「あぁ、ありがとう」
にこりと笑うカルム様を見て、つられて私も微笑んだ。
馬車の中で横になっているイデアと御者にも毛布をかぶせてから、私も明日に備えて目を閉じた。
今の私にはこれくらいしか出来なかったのだ。
出発前に御者が地図を出し、最終確認を行う。
「王都を出て北へ二百キロほど進めばエドナ山脈に到着できましょう。前回同様、道中危険なモンスターと遭遇しないことを願うばかりですが……」
「……この辺りのモンスターなら弱い生物しかいないはず。私でも片付けられる」
「イデア様がいれば大丈夫でしょう。しかし、以前訪れた更に先の山脈は未知の領域です。馬では登れませんので私は待機となります」
ここでもイデアの凄さが伝わってきた。
どうやら彼女の力も信頼も絶大らしい。
そこまで凄い人が私のメイドになってくれた理由をいつか聞いてみようと思うが、今はエドナ山脈へ向かうことが先決だ。
「うむ。危険と判断したら我々を待たずに避難してほしい。時間をかけてでも歩いて帰ってみせる」
「しかし……」
「どちらにしても待機している間にモンスターに襲われて命を失ってしまえば同じことだろう。ならば馬と自分の命を優先してほしい」
カルム様は私だけでなく、カサラス王国に関わっている全ての生き物に対して命を大事にしてほしいとおっしゃっているようだ。
なるほど。
これだけ酷い環境の中でも、みんなで協力して国を維持してこられた理由がなんとなくわかった気がする。
「カルム王子殿下の指令に従います。それでは出発致します」
ゆっくりと馬車は動き出し、王都の出入り口を抜けた。
♢
モンスターに襲われないか周囲に気を配りながらも、楽しくおしゃべりをしたりして更に交流を深めていった。
喋っていると時間が経つのは早いもので、辺りが真っ暗になった為、野営をすることにした。
「水よ来たれ」
イデアが魔法を詠唱して、カップに水を注いでいった。
四人分と馬が飲むための水を具現化したにもかかわらず、イデアは息ひとつ切らしていなかった。
「ありがとう」
「……いえ、大したことはしていません」
マーヤと比べてしまうのも失礼だが、同じ魔道士でも魔力もスタミナも雲泥の差だと感じた。
つい愚痴をこぼしてしまう。
「エウレス皇国にいた例の魔道士はイデアが具現化した半分の水で息が上がっていたわね」
「……確かに具現化の魔法は高等技術にはなりますから魔道士であることは間違いないかと。ですが、確かその者は皇太子と婚約したのでしたっけ? 皇太子も見る目がないのですね。他国の悪口はアレですが余程バカなのでしょう。そんな者が仕切ったら国が崩壊しますね」
イデアは普段は無口だが、時々スイッチが入ると歯止めが効かなくなってしまうようだ。
予想以上にイデアはラファエルのことをズタボロに言っている。
まぁラファエルが国を仕切ることはまだ先のことだろうから、今は大丈夫だろう。
エウレス皇国のことを心配している暇はないのだが、やはり故郷がどうなっているのかは気になることがある。
オーズドール山脈に辿り着くまではあと半分程度。
今夜は何もない荒野で静かに過ごし朝を迎える予定だ。
夜は交代で見張りをして、馬車で寝て過ごすことになる。
しかし、私は見張を免除されてしまい申し訳なく思っていた。
外で見張りをしてくれているカルム様に近づき話をした。
「私にも何かできそうなことがあればやります」
「ありがとうリリア。気持ちは嬉しいが、私たちの任務はリリアを守ること。ここは私たちに任せてゆっくり休んでもらいたい」
当然といった様子でそう答えてきた。
何の役にも立てないが、せめてもと思いカルム様の体に持参した毛布をかぶせた。
「風邪などひかぬよう、引き続きよろしくお願いいたします」
「あぁ、ありがとう」
にこりと笑うカルム様を見て、つられて私も微笑んだ。
馬車の中で横になっているイデアと御者にも毛布をかぶせてから、私も明日に備えて目を閉じた。
今の私にはこれくらいしか出来なかったのだ。
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