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【視点】マーヤの誤魔化し方2
「父上、彼女がマーヤです」
「うむ」
「は、初めまして皇帝陛下。両親に捨てられ、孤児院で育ちました。小さいころから魔法が使えて、当時は孤児院の中では有名でした」
マーヤは真っ先に自分の過去の自慢できるエピソードだけを伝えた。
少しでも凄い人間なんだとアピールしたかったのである。
「その割にはマーヤという名など、聞いたこともなかったが」
「そ……それは私の魔法を誰も認めてくれなかったからです。でも、ラファエル様は私の才能を認めてくださったんです」
「魔法とは無縁のラファエルが……か。とはいえ、論より証拠。其方の魔法、この目で見届けよう」
皇帝からはまるで信じてもらえていないとマーヤは感じていた。
だが、マーヤには絶対の自信があり余裕の表情をしている。
「こんな場所で発動して良いのですか?」
「構わぬ。いざとなれば向こうで待機している王宮直属の魔道士がマーヤの魔法を打ち消してくれよう」
「もし私の魔力が優っていたとしても知りませんからね」
「大した自信だな。あやつらは国の中でもトップクラスの魔力を誇る魔道士だが……」
皇帝の言葉を聞いて、マーヤは魔道士たちの方を向き、勝ち誇ったような表情をしていた。
「せっかくなので、先日追放した水の聖女リリアと同じ水属性を放ちましょうか。『水よ来たれーー』」
躊躇することなくマーヤは魔法を発動し続けた。
「なんだと……!?」
皇帝だけでなく、魔道士たちも驚きの表情を隠せないでいた。
王宮の中庭が水浸しになってしまうほどの大量の水をどんどん具現化していったのだ。
「おぉ、流石私の婚約者にふさわしい力……」
「凄いでしょう! 全然疲れませんわよ。まだまだ放出できますけど良いんでしょうか?」
「わかった! もう良い!」
マーヤは勝ち誇った表情をしながら発動を止めた。
『浄化!!』
王宮直属魔道士の一人が水を消し去る魔法を発動して、マーヤが具現化した水は綺麗さっぱりなくなる。
これにはマーヤも悔しかった。
王宮の魔道士に負けてなるものかと、対抗意識を燃やしていた。
「これでは私の真の力を発揮できていませんわね。もっと発動しても良いですわよ」
あまりにも自信があるマーヤを見て、魔導士たちも魔力の多さを認めるしかなかった。
魔導士たちは当然、危険な魔力増幅薬の存在は知っている。
だが、わざわざこんな時のために飲むようなバカはいるわけがないだろうと考えているので、マーヤが魔道具を使っていたことなど微塵にも思わなかったのだ。
故に、魔道士たちがマーヤの発動した威力が自分たちに近い威力を持っていると判断して称賛の拍手を送る。
「ふむ……マーヤとやら。疑ってすまぬ。ラファエルが勝手に連れてきた婚約者だからロクな女ではないと思ってしまっていた」
「誰にでも勘違いってありますからね」
「其方の魔力は素晴らしいことは理解できた。謝罪の意味も含め婚約は認めよう」
それを聞いてマーヤもラファエルも飛び跳ねるように喜んでいた。
「だが!」
「はい?」
「マーヤよ、王女としての嗜みがまるでなっとらん。ラファエルと結婚するのであれば、王族としての嗜みを学習せよ」
「学習!? 私はそんなバカだというのですか!?」
「そうではない。無論、そのような機会がなかったのだから知らぬのも無理はない。これから覚えれば良い」
マーヤは結婚さえできれば自由に生きていけると思い込んでいた。
勉強など糞食らえと思っていたマーヤにとって、地獄以外の何者でもない。
「マーヤ。私のためにしっかりと学習してくれたまえ」
「馬鹿者! お前もだラファエル……」
「なぜ私まで!?」
「今まではリリアの追放のために全力を注ぐためにある程度放任してきた。だが、お前の行動もあまりにも王族に反しておる。王位継承までの間、一から学習し直すのだ!」
「げ……」
ラファエルもマーヤも予想外のことを命じられて喜びが一気に絶望へと変わる。
だが、二人ともどうやって学習から逃げようかと必死に考えているだけであった。
更に、マーヤはこのとき魔力増幅薬の仕組みに気がついていなかったのである。
今回マーヤ本来の百倍以上の魔力を薬に頼って一気に放出してしまったため、もう二度と魔法を放つことすら出来なくなったことを知らなかった。
「うむ」
「は、初めまして皇帝陛下。両親に捨てられ、孤児院で育ちました。小さいころから魔法が使えて、当時は孤児院の中では有名でした」
マーヤは真っ先に自分の過去の自慢できるエピソードだけを伝えた。
少しでも凄い人間なんだとアピールしたかったのである。
「その割にはマーヤという名など、聞いたこともなかったが」
「そ……それは私の魔法を誰も認めてくれなかったからです。でも、ラファエル様は私の才能を認めてくださったんです」
「魔法とは無縁のラファエルが……か。とはいえ、論より証拠。其方の魔法、この目で見届けよう」
皇帝からはまるで信じてもらえていないとマーヤは感じていた。
だが、マーヤには絶対の自信があり余裕の表情をしている。
「こんな場所で発動して良いのですか?」
「構わぬ。いざとなれば向こうで待機している王宮直属の魔道士がマーヤの魔法を打ち消してくれよう」
「もし私の魔力が優っていたとしても知りませんからね」
「大した自信だな。あやつらは国の中でもトップクラスの魔力を誇る魔道士だが……」
皇帝の言葉を聞いて、マーヤは魔道士たちの方を向き、勝ち誇ったような表情をしていた。
「せっかくなので、先日追放した水の聖女リリアと同じ水属性を放ちましょうか。『水よ来たれーー』」
躊躇することなくマーヤは魔法を発動し続けた。
「なんだと……!?」
皇帝だけでなく、魔道士たちも驚きの表情を隠せないでいた。
王宮の中庭が水浸しになってしまうほどの大量の水をどんどん具現化していったのだ。
「おぉ、流石私の婚約者にふさわしい力……」
「凄いでしょう! 全然疲れませんわよ。まだまだ放出できますけど良いんでしょうか?」
「わかった! もう良い!」
マーヤは勝ち誇った表情をしながら発動を止めた。
『浄化!!』
王宮直属魔道士の一人が水を消し去る魔法を発動して、マーヤが具現化した水は綺麗さっぱりなくなる。
これにはマーヤも悔しかった。
王宮の魔道士に負けてなるものかと、対抗意識を燃やしていた。
「これでは私の真の力を発揮できていませんわね。もっと発動しても良いですわよ」
あまりにも自信があるマーヤを見て、魔導士たちも魔力の多さを認めるしかなかった。
魔導士たちは当然、危険な魔力増幅薬の存在は知っている。
だが、わざわざこんな時のために飲むようなバカはいるわけがないだろうと考えているので、マーヤが魔道具を使っていたことなど微塵にも思わなかったのだ。
故に、魔道士たちがマーヤの発動した威力が自分たちに近い威力を持っていると判断して称賛の拍手を送る。
「ふむ……マーヤとやら。疑ってすまぬ。ラファエルが勝手に連れてきた婚約者だからロクな女ではないと思ってしまっていた」
「誰にでも勘違いってありますからね」
「其方の魔力は素晴らしいことは理解できた。謝罪の意味も含め婚約は認めよう」
それを聞いてマーヤもラファエルも飛び跳ねるように喜んでいた。
「だが!」
「はい?」
「マーヤよ、王女としての嗜みがまるでなっとらん。ラファエルと結婚するのであれば、王族としての嗜みを学習せよ」
「学習!? 私はそんなバカだというのですか!?」
「そうではない。無論、そのような機会がなかったのだから知らぬのも無理はない。これから覚えれば良い」
マーヤは結婚さえできれば自由に生きていけると思い込んでいた。
勉強など糞食らえと思っていたマーヤにとって、地獄以外の何者でもない。
「マーヤ。私のためにしっかりと学習してくれたまえ」
「馬鹿者! お前もだラファエル……」
「なぜ私まで!?」
「今まではリリアの追放のために全力を注ぐためにある程度放任してきた。だが、お前の行動もあまりにも王族に反しておる。王位継承までの間、一から学習し直すのだ!」
「げ……」
ラファエルもマーヤも予想外のことを命じられて喜びが一気に絶望へと変わる。
だが、二人ともどうやって学習から逃げようかと必死に考えているだけであった。
更に、マーヤはこのとき魔力増幅薬の仕組みに気がついていなかったのである。
今回マーヤ本来の百倍以上の魔力を薬に頼って一気に放出してしまったため、もう二度と魔法を放つことすら出来なくなったことを知らなかった。
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