37 / 61
元気になってもらいたい
今のカルム様の力では私の腕を振り解けない。
それほど疲労で衰弱してしまっているらしい。
「もしも私が不眠不休で水の加護を与えなければいけない、となったらどうしますか?」
「無論無理するなと言うし、何か私にも手伝えることがあればやろうと言うだろう! 当然のことだ」
例え話でも、カルム様がそう言ってくれることに私はとても嬉しかった。
「今そういう気持ちなんですよ、私……」
カルム様は起き上がろうとするのをやめて、再びベッドに横になった。
「カルム様、私もこの件はお手伝いさせていただけませんか?」
「しかし……リリアは十分すぎるほど働いてもらっているのだし」
「ルビーとともに国中の水を反映させる行動は無理のない範囲で毎日行なっております。現状、昼から夜までは仕事がありません。私もその時間で何か行うべきかと」
「国を救ってくれたリリアにこれ以上は……」
カルム様の優しさと気遣いはとても嬉しい。でも、こういう状況では素直に喜べなかった。
「カルム様達が休まずに国務をされている中、どうやって私に休めと? とてもじゃありませんが心配で休めません。それに、この件で解決できそうな方法もあるかもしれませんよ」
「本当か!?」
「温浴施設が間も無く内装も完成しますよね?」
「あぁ。だが既にそこで働いてもらう魔道士は既に足りてしまっている」
水をお湯に変える魔道士が既に集まっているのは知っている。
「今の王都の環境ならば、各家庭で小さな温浴施設……お風呂場とでも言いましょうか。きっと流行するかと思います。そうなったら炎属性の魔道具が爆発的に流行ると思うんです」
「なるほど……。先読みすると一理ありそうだ。魔道士たちにはその魔道具の製造を依頼するというわけか」
あまり長く会話していると、カルム様の体調がまた悪くなってしまいそうな雰囲気がある。
「ともかく今は一旦休んでください。明日はルビーと共に帰ったらすぐにこちらへ来ますから」
「すまない……リリアよ。ちょっとこちらへ来てくれないだろうか?」
「はい?」
カルム様の指をさした場所はカルム様のベッドの上、超至近距離だ。
よくわからないまま言われたとおりにカルム様の真横に座る。
「リリアよ……いつもありがとう」
そう言って私の手をギュッと握ってくれた。
まだこういう免疫がない私にとって、嬉しすぎて心臓が破裂してしまいそうだ。
「いつかまたリリアと一緒に……ダンスを昔の……」
「カルム様?」
何かを言いかけてくれていたようだが、喋らなくなってしまった。
横を見るとスヤスヤと寝息をたてながら眠っていたのだ。
徐々に私の手を握ってくれている握力も弱くなっていく。
「カッコいい……」
最初ここへ連れてきたときのカルム様は青ざめていたが、今は安心したような表情をしている。
カルム様の寝顔は今まで何度か見てきたが、ここまで至近距離で見るのは初めてだ。
しかも同じベッドの上で……こんな間近で……。
普段の表情も素敵なのだが、寝顔も美しい。
カルム様のことを明らかに愛してしまっている。
好きすぎて、この状況で頬にキスをしてしまいたいとも思ってしまう。
いやいや、変なことを考えてはいけない!
だが、もうしばらくだけ、触れている手を離さないで、今度は私がカルム様の手を握っておく。
いつまでもこうしていたいが、ゆっくりと手を離してカルム様に布団をかける。
そっと、病室を出ていった。
カルム様の手の温もりをしばらく大事にしていた。
それほど疲労で衰弱してしまっているらしい。
「もしも私が不眠不休で水の加護を与えなければいけない、となったらどうしますか?」
「無論無理するなと言うし、何か私にも手伝えることがあればやろうと言うだろう! 当然のことだ」
例え話でも、カルム様がそう言ってくれることに私はとても嬉しかった。
「今そういう気持ちなんですよ、私……」
カルム様は起き上がろうとするのをやめて、再びベッドに横になった。
「カルム様、私もこの件はお手伝いさせていただけませんか?」
「しかし……リリアは十分すぎるほど働いてもらっているのだし」
「ルビーとともに国中の水を反映させる行動は無理のない範囲で毎日行なっております。現状、昼から夜までは仕事がありません。私もその時間で何か行うべきかと」
「国を救ってくれたリリアにこれ以上は……」
カルム様の優しさと気遣いはとても嬉しい。でも、こういう状況では素直に喜べなかった。
「カルム様達が休まずに国務をされている中、どうやって私に休めと? とてもじゃありませんが心配で休めません。それに、この件で解決できそうな方法もあるかもしれませんよ」
「本当か!?」
「温浴施設が間も無く内装も完成しますよね?」
「あぁ。だが既にそこで働いてもらう魔道士は既に足りてしまっている」
水をお湯に変える魔道士が既に集まっているのは知っている。
「今の王都の環境ならば、各家庭で小さな温浴施設……お風呂場とでも言いましょうか。きっと流行するかと思います。そうなったら炎属性の魔道具が爆発的に流行ると思うんです」
「なるほど……。先読みすると一理ありそうだ。魔道士たちにはその魔道具の製造を依頼するというわけか」
あまり長く会話していると、カルム様の体調がまた悪くなってしまいそうな雰囲気がある。
「ともかく今は一旦休んでください。明日はルビーと共に帰ったらすぐにこちらへ来ますから」
「すまない……リリアよ。ちょっとこちらへ来てくれないだろうか?」
「はい?」
カルム様の指をさした場所はカルム様のベッドの上、超至近距離だ。
よくわからないまま言われたとおりにカルム様の真横に座る。
「リリアよ……いつもありがとう」
そう言って私の手をギュッと握ってくれた。
まだこういう免疫がない私にとって、嬉しすぎて心臓が破裂してしまいそうだ。
「いつかまたリリアと一緒に……ダンスを昔の……」
「カルム様?」
何かを言いかけてくれていたようだが、喋らなくなってしまった。
横を見るとスヤスヤと寝息をたてながら眠っていたのだ。
徐々に私の手を握ってくれている握力も弱くなっていく。
「カッコいい……」
最初ここへ連れてきたときのカルム様は青ざめていたが、今は安心したような表情をしている。
カルム様の寝顔は今まで何度か見てきたが、ここまで至近距離で見るのは初めてだ。
しかも同じベッドの上で……こんな間近で……。
普段の表情も素敵なのだが、寝顔も美しい。
カルム様のことを明らかに愛してしまっている。
好きすぎて、この状況で頬にキスをしてしまいたいとも思ってしまう。
いやいや、変なことを考えてはいけない!
だが、もうしばらくだけ、触れている手を離さないで、今度は私がカルム様の手を握っておく。
いつまでもこうしていたいが、ゆっくりと手を離してカルム様に布団をかける。
そっと、病室を出ていった。
カルム様の手の温もりをしばらく大事にしていた。
あなたにおすすめの小説
ゴースト聖女は今日までです〜お父様お義母さま、そして偽聖女の妹様、さようなら。私は魔神の妻になります〜
嘉神かろ
恋愛
魔神を封じる一族の娘として幸せに暮していたアリシアの生活は、母が死に、継母が妹を産んだことで一変する。
妹は聖女と呼ばれ、もてはやされる一方で、アリシアは周囲に気付かれないよう、妹の影となって魔神の眷属を屠りつづける。
これから先も続くと思われたこの、妹に功績を譲る生活は、魔神の封印を補強する封魔の神儀をきっかけに思いもよらなかった方へ動き出す。
婚約破棄の上に家を追放された直後に聖女としての力に目覚めました。
三葉 空
恋愛
ユリナはバラノン伯爵家の長女であり、公爵子息のブリックス・オメルダと婚約していた。しかし、ブリックスは身勝手な理由で彼女に婚約破棄を言い渡す。さらに、元から妹ばかり可愛がっていた両親にも愛想を尽かされ、家から追放されてしまう。ユリナは全てを失いショックを受けるが、直後に聖女としての力に目覚める。そして、神殿の神職たちだけでなく、王家からも丁重に扱われる。さらに、お祈りをするだけでたんまりと給料をもらえるチート職業、それが聖女。さらに、イケメン王子のレオルドに見初められて求愛を受ける。どん底から一転、一気に幸せを掴み取った。その事実を知った元婚約者と元家族は……
〖完結〗聖女の力を隠して生きて来たのに、妹に利用されました。このまま利用されたくないので、家を出て楽しく暮らします。
藍川みいな
恋愛
公爵令嬢のサンドラは、生まれた時から王太子であるエヴァンの婚約者だった。
サンドラの母は、魔力が強いとされる小国の王族で、サンドラを生んですぐに亡くなった。
サンドラの父はその後再婚し、妹のアンナが生まれた。
魔力が強い事を前提に、エヴァンの婚約者になったサンドラだったが、6歳までほとんど魔力がなかった。
父親からは役立たずと言われ、婚約者には見た目が気味悪いと言われ続けていたある日、聖女の力が覚醒する。だが、婚約者を好きになれず、国の道具になりたくなかったサンドラは、力を隠して生きていた。
力を隠して8年が経ったある日、妹のアンナが聖女だという噂が流れた。 そして、エヴァンから婚約を破棄すると言われ……
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
ストックを全部出してしまったので、次からは1日1話投稿になります。
ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!
沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。
それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。
失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。
アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。
帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。
そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。
再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。
なんと、皇子は三つ子だった!
アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。
しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。
アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。
一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。
聖女の座を奪われてしまったけど、私が真の聖女だと思うので、第二の人生を始めたい! P.S.逆ハーがついてきました。
三月べに
恋愛
聖女の座を奪われてしまったけど、私が真の聖女だと思う。だって、高校時代まで若返っているのだもの。
帰れないだって? じゃあ、このまま第二の人生スタートしよう!
衣食住を確保してもらっている城で、魔法の勉強をしていたら、あらら?
何故、逆ハーが出来上がったの?
偽りの家族を辞めます!私は本当に愛する人と生きて行く!
ユウ
恋愛
伯爵令嬢のオリヴィアは平凡な令嬢だった。
社交界の華及ばれる姉と、国内でも随一の魔力を持つ妹を持つ。
対するオリヴィアは魔力は低く、容姿も平々凡々だった。
それでも家族を心から愛する優しい少女だったが、家族は常に姉を最優先にして、蔑ろにされ続けていた。
けれど、長女であり、第一王子殿下の婚約者である姉が特別視されるのは当然だと思っていた。
…ある大事件が起きるまで。
姉がある日突然婚約者に婚約破棄を告げられてしまったことにより、姉のマリアナを守るようになり、婚約者までもマリアナを優先するようになる。
両親や婚約者は傷心の姉の為ならば当然だと言う様に、蔑ろにするも耐え続けるが最中。
姉の婚約者を奪った噂の悪女と出会ってしまう。
しかしその少女は噂のような悪女ではなく…
***
タイトルを変更しました。
指摘を下さった皆さん、ありがとうございます。
私生児聖女は二束三文で売られた敵国で幸せになります!
近藤アリス
恋愛
私生児聖女のコルネリアは、敵国に二束三文で売られて嫁ぐことに。
「悪名高い国王のヴァルター様は私好みだし、みんな優しいし、ご飯美味しいし。あれ?この国最高ですわ!」
声を失った儚げ見た目のコルネリアが、勘違いされたり、幸せになったりする話。
※ざまぁはほんのり。安心のハッピーエンド設定です!
※「カクヨム」にも掲載しています。
婚約破棄はまだですか?─豊穣をもたらす伝説の公爵令嬢に転生したけど、王太子がなかなか婚約破棄してこない
nanahi
恋愛
火事のあと、私は王太子の婚約者:シンシア・ウォーレンに転生した。王国に豊穣をもたらすという伝説の黒髪黒眼の公爵令嬢だ。王太子は婚約者の私がいながら、男爵令嬢ケリーを愛していた。「王太子から婚約破棄されるパターンね」…私はつらい前世から解放された喜びから、破棄を進んで受け入れようと自由に振る舞っていた。ところが王太子はなかなか破棄を告げてこなくて…?