【完結】無能聖女と呼ばれ婚約破棄された私ですが砂漠の国で溺愛されました

よどら文鳥

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勘違いしてはいけない

「な!? あれだけあった書類の処理をもう終わらせたのか!? 一週間を目処に渡した量をたった一日で……」

 分厚い書類の山を、カルム様に渡しながら私は頷いた。

「エウレス皇国の時は書類の作成から誤字確認、内容に偽りがないかどうかの不備チェック、更に最終確認まで全てやっていましたのでこれくらいなら。もちろん誤字やミス表記の見落としがないように慎重にやりました」
「ありがとうリリア。まさか溜まっていた書類の半分近くをリリア一人でこなしてしまうとは……。とんでもないスピードで驚いたぞ……」
「エウレス皇国ではノロマとかグズとか言われていましたけどね」

 急にカルム様が珍しく不機嫌な表情になった。

「私が言うのはご法度だが……あの国の王宮の者達は、リリアのことをなんだと思っているのだ!? これほど仕事ができる人間は世界中探してもいるかわからんぞ……」
「いえ、それは過剰です」
「何を言っているのだ? 王宮の事務担当十人がかりで一日かけてやっと終わらせる量を、リリアは半日で終わらせてしまったのだ。国務までこれほどできてしまうリリアを過小評価するわけがない」

 国務で褒められたことがなかったので、こういう時にどう言ったらいいのか戸惑う。

「大変感謝する。この書類は一旦最終確認のために大臣に渡しておこう」
「私が最終確認ではないのですね」
「当然だ。疑うとかでは決してないが、手伝っていただいている立場の者ではなく、最後は最終責任者がチェックするのが当然だろう」

 手伝っているのは間違いないが、ここまで気を使っていただけていると思うと、やってよかったと心から思える。
 これで他の人たちの作業の負担が減ってくれれば万々歳だ。

 そして翌日、カルム様から再び国務の件で報告を受けることになる。

「まさかこんなに有能だとは……」
「与えてくださった仕事がやりやすかっただけのことですよ」

 それに国務の内容がエウレス皇国のときと比べて難易度が易しいのもある。
 例えば、資料や報告書、予算の数字入力は最終確認まで全て私がやっていた。
 誤字脱字が一つでもあってはならないし、万が一そんなことをしてしまえば重大な責任を負わされることになっていたのだ。

 元々はラファエルの仕事なはずだが、全てを私に押し付けてきていた。
 今頃彼はどうやって国務を全うしているのかは謎だが。

「昨日言ったように、最終確認として大臣が再鑑してくれていたのだが、一つもミスがなく、その上完璧なので喜んでおられた」
「それはよかったです。これで皆さんも少しは激務から解放されれば良いのですが」
「それは間違いない。ようやく何人かは休みを取得できるようになって喜んでいるしリリアに感謝しているぞ」

 カルム様が私の両手を包むように握りながら頭を下げてきた。

「ありがとうリリア。もう少しの間、協力してくれると助かる」
「も、もちろんですよ! カルム様も休めるようにしないと!」
「私はかまわん。今こうしてリリアと会話できていることで十分休めているのだから」

 何も言い返せずに顔が真っ赤になった。

 ──もしかしたら、カルム様も私のことを恋愛対象として見てくれているのでは……!?

 いやいや、国の王子ともあろう方が私なんかに夢中になってくれているとは考えにくい。
 今こうして、手を握ってくださっている。
 それだけでも大変幸せで名誉なことだと思うようにしておいた。

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