【完結】無能聖女と呼ばれ婚約破棄された私ですが砂漠の国で溺愛されました

よどら文鳥

文字の大きさ
49 / 61

召喚魔法

 ルビーに乗り、湖があると言われた場所へたどり着いた。
 だが、湖の面影は全くなく、だだっ広い乾燥した広野である。
 その中心部には炎を纏ったモンスターらしき生き物がいた。

「リリアよ、一つ気になるのだが、あれは見た目に惑わされてはいけないということか? どうも人間が絶対に勝てないというような相手には見えぬのだが……」
「どうでしょうか。ただ、あのモンスター一体だけで湖の水を全て吸収できるとは思えませんよね」

 そのとき、突然ルビーが力を溜めはじめて力を解放した。

「ぎゅーーー‼︎」

 ルビーがすぐに強化された水流ブレスを放つ。
 綺麗に命中した。
 すると、あっという間にモンスターはその場で倒れ、やがて姿を消した。

「これは……召喚か⁉︎ 息絶えた後に姿が消えるのは、召喚魔法特有の現象だろう」
「やはりそうでしたか。ならば辻褄が合います」
「まさか、人間がわざとこの湖に放ったとでも?」
「それによって儲けて良い生活を送れる者達がいるってことですね。周りに召喚魔法を使った者がいるはずです。探しましょう!」

 空中から手分けして辺りを見渡す。
 すると、急ぎ足で王都とは反対側へ逃げていく集団を発見した。
 こんなところに人がいるのは不自然だ。
ルビーが逃げている者たちの前に周り、目の前に降りたつ。

「くそう……まさか人が来るなんて」
「其方らがこの湖にモンスターを放ちワザと水不足におとしいれたのか⁉︎」
「これは商売だ……。法的にも裁くこともできないんだぞ」
「は?」

 カルム様が今まで見せたこともないような表情で睨みつけていた。

「別に湖自体が国の物というわけではない。俺たちはただ、モンスターに餌を与えていたに過ぎない」
「愚かな……。本当に水が無くなったとき、どれほど辛く苦しいか分からぬからそういう行為ができるのであろう……」
「何と言おうが俺たちは違法ではない手段で商売をしているだけだ」

 カルム様が今にも殴りかかりそうな状況だった。
 だが、私は止めることができない。
 今までずっと国の代表という立場で、水が全くない状況を必死に考えて乗り越える手段を考えていた人だ。
 悩みに悩んで苦労してきた。
 それなのに、目の前の男たちは水を私利私欲で奪っているのだ。
 私だってこんな奴らは一度痛い目を見てほしいと思ってしまうくらい腹立たしくなっている。

「わかったらどっか行ってくれ」
「断る。民が公平に使う水を独占しようなど、たとえ違法でないにしても放ってはおけぬ」
「この……しつこいんだよ!」

 なんとかできないものだろうか。
 この男たちが水を独占し、全てをモンスターに吸収させないようにしたい。

「ぎゅーーーっ‼︎」
「ルビー?」

 ルビーが激しく咆哮した。
 ルビーの声を聞き、男たちはガクガクと震えている。

「逃げろ‼︎ バケモンがキレちまった!」
「あんなのには勝てねぇ……」
「おぼえてろ。またいずれ水は独占しに来るんだからな!」

 男たちが逃げていくのと同じ頃、空が分厚い雲に覆われた。
 そして、この辺り一体が物凄い激しい雨が降ってきた。
 まるでバケツをひっくり返したかのような、とんでもない勢いだ。

「ルビーがこんな激しい雨を降らせたのね?」

 私とカルム様は、ルビーの翼に覆われて雨に打たれずに済んでいる。
 きっと逃げていった男たちはびしょ濡れだろう。

 しばらくすると、湖がみるみるうちに水溜りになっていった。
 泥水も混じり、色合いは綺麗とは言えないが、ひとまず水は溜まってきたのだ。

「ぎゅーーー‼︎」

 ルビーがさらに咆哮した。
 すると今度は、泥水のような色をしていた湖が、あっというまに綺麗な透き通った水に変化した。

「素晴らしい……まさかルビー殿はこんな力まであったとは」
「私も知りませんでした。水を浄化する能力ですね……」
「ぎゅーっ!」
「なんですって⁉︎」
「リリアよ、ルビーはなんと言っていたのだ?」
「あの程度のモンスターがどんなに水を吸収しようとも、この湖の水が枯れることはない、そういう力を与えたと言ってます」
「なんと!」

 これでデインゲル王国の水不足問題は解決できるんじゃないだろうか。
 水筒に水を汲み、王宮へ戻った。

あなたにおすすめの小説

ゴースト聖女は今日までです〜お父様お義母さま、そして偽聖女の妹様、さようなら。私は魔神の妻になります〜

嘉神かろ
恋愛
 魔神を封じる一族の娘として幸せに暮していたアリシアの生活は、母が死に、継母が妹を産んだことで一変する。  妹は聖女と呼ばれ、もてはやされる一方で、アリシアは周囲に気付かれないよう、妹の影となって魔神の眷属を屠りつづける。  これから先も続くと思われたこの、妹に功績を譲る生活は、魔神の封印を補強する封魔の神儀をきっかけに思いもよらなかった方へ動き出す。

婚約破棄の上に家を追放された直後に聖女としての力に目覚めました。

三葉 空
恋愛
 ユリナはバラノン伯爵家の長女であり、公爵子息のブリックス・オメルダと婚約していた。しかし、ブリックスは身勝手な理由で彼女に婚約破棄を言い渡す。さらに、元から妹ばかり可愛がっていた両親にも愛想を尽かされ、家から追放されてしまう。ユリナは全てを失いショックを受けるが、直後に聖女としての力に目覚める。そして、神殿の神職たちだけでなく、王家からも丁重に扱われる。さらに、お祈りをするだけでたんまりと給料をもらえるチート職業、それが聖女。さらに、イケメン王子のレオルドに見初められて求愛を受ける。どん底から一転、一気に幸せを掴み取った。その事実を知った元婚約者と元家族は……

〖完結〗聖女の力を隠して生きて来たのに、妹に利用されました。このまま利用されたくないので、家を出て楽しく暮らします。

藍川みいな
恋愛
公爵令嬢のサンドラは、生まれた時から王太子であるエヴァンの婚約者だった。 サンドラの母は、魔力が強いとされる小国の王族で、サンドラを生んですぐに亡くなった。 サンドラの父はその後再婚し、妹のアンナが生まれた。 魔力が強い事を前提に、エヴァンの婚約者になったサンドラだったが、6歳までほとんど魔力がなかった。 父親からは役立たずと言われ、婚約者には見た目が気味悪いと言われ続けていたある日、聖女の力が覚醒する。だが、婚約者を好きになれず、国の道具になりたくなかったサンドラは、力を隠して生きていた。 力を隠して8年が経ったある日、妹のアンナが聖女だという噂が流れた。 そして、エヴァンから婚約を破棄すると言われ…… 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 ストックを全部出してしまったので、次からは1日1話投稿になります。

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

聖女の座を奪われてしまったけど、私が真の聖女だと思うので、第二の人生を始めたい! P.S.逆ハーがついてきました。

三月べに
恋愛
 聖女の座を奪われてしまったけど、私が真の聖女だと思う。だって、高校時代まで若返っているのだもの。  帰れないだって? じゃあ、このまま第二の人生スタートしよう!  衣食住を確保してもらっている城で、魔法の勉強をしていたら、あらら?  何故、逆ハーが出来上がったの?

偽りの家族を辞めます!私は本当に愛する人と生きて行く!

ユウ
恋愛
伯爵令嬢のオリヴィアは平凡な令嬢だった。 社交界の華及ばれる姉と、国内でも随一の魔力を持つ妹を持つ。 対するオリヴィアは魔力は低く、容姿も平々凡々だった。 それでも家族を心から愛する優しい少女だったが、家族は常に姉を最優先にして、蔑ろにされ続けていた。 けれど、長女であり、第一王子殿下の婚約者である姉が特別視されるのは当然だと思っていた。 …ある大事件が起きるまで。 姉がある日突然婚約者に婚約破棄を告げられてしまったことにより、姉のマリアナを守るようになり、婚約者までもマリアナを優先するようになる。 両親や婚約者は傷心の姉の為ならば当然だと言う様に、蔑ろにするも耐え続けるが最中。 姉の婚約者を奪った噂の悪女と出会ってしまう。 しかしその少女は噂のような悪女ではなく… *** タイトルを変更しました。 指摘を下さった皆さん、ありがとうございます。

私生児聖女は二束三文で売られた敵国で幸せになります!

近藤アリス
恋愛
私生児聖女のコルネリアは、敵国に二束三文で売られて嫁ぐことに。 「悪名高い国王のヴァルター様は私好みだし、みんな優しいし、ご飯美味しいし。あれ?この国最高ですわ!」 声を失った儚げ見た目のコルネリアが、勘違いされたり、幸せになったりする話。 ※ざまぁはほんのり。安心のハッピーエンド設定です! ※「カクヨム」にも掲載しています。

婚約破棄はまだですか?─豊穣をもたらす伝説の公爵令嬢に転生したけど、王太子がなかなか婚約破棄してこない

nanahi
恋愛
火事のあと、私は王太子の婚約者:シンシア・ウォーレンに転生した。王国に豊穣をもたらすという伝説の黒髪黒眼の公爵令嬢だ。王太子は婚約者の私がいながら、男爵令嬢ケリーを愛していた。「王太子から婚約破棄されるパターンね」…私はつらい前世から解放された喜びから、破棄を進んで受け入れようと自由に振る舞っていた。ところが王太子はなかなか破棄を告げてこなくて…?