3 / 16
3 ザザンガ視点 割り込みは許さん!
しおりを挟む
「これにて、こちらの書類は正式に受理されました」
婚約破棄は確定した。父上に報告して、多額の慰謝料を支払えば円満に解決なんだが、絶対に怒られる。もしかしたら勘当されるかもしれない。
それでも、僕には絶対に譲れない信念がある。
『割り込み禁止』だ。
小さい頃、近所のおばさんが飴玉を配っていた。
僕は順番通りに並んでいたのに、急に伯爵か公爵であろう子供が割り込んできた。おばさんも相手が相手だっただけに何も言えず、何食わぬ顔でその子供に先に渡した。しかもその飴玉が最後だった。
抗議したかったが伯爵家には逆らえないことくらいは知っていたから何もできない。それ以来、不公平な世の中だとずっと思うようになった。
『せめて僕だけでも……』
そう思い、絶対に順番や順序を乱してはいけないと心に誓ったんだ。たとえどんな内容であっても。
だからこそ、幼馴染のエイプリーがこっちへ帰ってきたときは気持ちが複雑になってしまった。
国外へ行ってしまったから婚約はなかったことになってしまったと思い込んでいたのに、そうじゃなかった。
きっと僕のために、婚約を覚えていてくれたから帰ってきてくれたんだ!
そう確信できたからこそ、ジュリーンとは婚約を破棄した。
「行くぞ!」
順序としてはエイプリーと婚約したのが先。
絶対に守らなきゃ。
覚悟を決めて気合を入れ、父上のもとへ報告しに行く。
♢
「おい! 冗談はやめてくれ」
「本当なんです父上。もう婚約破棄の書類も受理してきましたから、ほら」
用紙をしっかりと見せた。
これは卑怯な作戦かもしれないが、何がなんでも婚約した順序だけは守らなきゃ。
「バカか貴様は!」
予想通り顔が大魔神のようになった。
でも父上、僕の信念は変わりませんから。
大魔神の顔に向かって、『僕は真面目です』と言わんばかりに真剣な表情をした。
「はぁ……お前は本当にバカ息子だ……。折角進めた縁談までも勝手に壊してしまいおって……」
「それに関しては申し訳ございません。ですが、僕にはその縁談の前に既に婚約をしていた相手がいるのです。そちらが先に決まっていたので、順序はしっかり守るべきかと」
「ならばお前の行動は順序が正しいと言えるのか?」
「はい?」
「この婚約破棄についてだ! お前のくだらん信念を最優先して、勝手に婚約を破棄して受理までしてから報告しにきたことがだ! おまえの言う順序としては私にまず相談するのが正しいものではないのか?」
父上、それは間違っています。だって、そういった順序は人それぞれ考え方があるからですよ。
僕が忠実に従う順序とは約束したり整列に従うと言った、確定的なことをいうのですから。
「父上に多大な迷惑をかけてしまったことは謝罪します。ですが、僕は今回の行動も優先の仕方も、目的のために間違っていないかと思います」
「はぁ……もう知らん! 慰謝料はお前が全額負担するのだぞ。私からは不足額の貸し出しだけは許可するが、支払いに関しては無関与とする」
それだけでも充分です。しかも僕が想像していた結果よりもマシだ。
「それから約束しろ! お前のその婚約者が何者かは知らんが、絶対に泣かせるでない! 充分に親交を深めてから私に紹介しにきなさい。その上で婚約を認めるかどうかを決める」
「はい! もちろんです! 父上、ありがとうございます」
なんとか平和的に終わらせられそうだ。
慰謝料が莫大な額なのは仕方のないことだが、これも順序をしっかりと守るためだもんな。
これで僕の名誉は守られたと思えば……それでも高いな……。
さて、明日にでもエイプリーに会いに行って婚約の話を進めてこようか。
ああ、明日が楽しみで寝れない!
婚約破棄は確定した。父上に報告して、多額の慰謝料を支払えば円満に解決なんだが、絶対に怒られる。もしかしたら勘当されるかもしれない。
それでも、僕には絶対に譲れない信念がある。
『割り込み禁止』だ。
小さい頃、近所のおばさんが飴玉を配っていた。
僕は順番通りに並んでいたのに、急に伯爵か公爵であろう子供が割り込んできた。おばさんも相手が相手だっただけに何も言えず、何食わぬ顔でその子供に先に渡した。しかもその飴玉が最後だった。
抗議したかったが伯爵家には逆らえないことくらいは知っていたから何もできない。それ以来、不公平な世の中だとずっと思うようになった。
『せめて僕だけでも……』
そう思い、絶対に順番や順序を乱してはいけないと心に誓ったんだ。たとえどんな内容であっても。
だからこそ、幼馴染のエイプリーがこっちへ帰ってきたときは気持ちが複雑になってしまった。
国外へ行ってしまったから婚約はなかったことになってしまったと思い込んでいたのに、そうじゃなかった。
きっと僕のために、婚約を覚えていてくれたから帰ってきてくれたんだ!
そう確信できたからこそ、ジュリーンとは婚約を破棄した。
「行くぞ!」
順序としてはエイプリーと婚約したのが先。
絶対に守らなきゃ。
覚悟を決めて気合を入れ、父上のもとへ報告しに行く。
♢
「おい! 冗談はやめてくれ」
「本当なんです父上。もう婚約破棄の書類も受理してきましたから、ほら」
用紙をしっかりと見せた。
これは卑怯な作戦かもしれないが、何がなんでも婚約した順序だけは守らなきゃ。
「バカか貴様は!」
予想通り顔が大魔神のようになった。
でも父上、僕の信念は変わりませんから。
大魔神の顔に向かって、『僕は真面目です』と言わんばかりに真剣な表情をした。
「はぁ……お前は本当にバカ息子だ……。折角進めた縁談までも勝手に壊してしまいおって……」
「それに関しては申し訳ございません。ですが、僕にはその縁談の前に既に婚約をしていた相手がいるのです。そちらが先に決まっていたので、順序はしっかり守るべきかと」
「ならばお前の行動は順序が正しいと言えるのか?」
「はい?」
「この婚約破棄についてだ! お前のくだらん信念を最優先して、勝手に婚約を破棄して受理までしてから報告しにきたことがだ! おまえの言う順序としては私にまず相談するのが正しいものではないのか?」
父上、それは間違っています。だって、そういった順序は人それぞれ考え方があるからですよ。
僕が忠実に従う順序とは約束したり整列に従うと言った、確定的なことをいうのですから。
「父上に多大な迷惑をかけてしまったことは謝罪します。ですが、僕は今回の行動も優先の仕方も、目的のために間違っていないかと思います」
「はぁ……もう知らん! 慰謝料はお前が全額負担するのだぞ。私からは不足額の貸し出しだけは許可するが、支払いに関しては無関与とする」
それだけでも充分です。しかも僕が想像していた結果よりもマシだ。
「それから約束しろ! お前のその婚約者が何者かは知らんが、絶対に泣かせるでない! 充分に親交を深めてから私に紹介しにきなさい。その上で婚約を認めるかどうかを決める」
「はい! もちろんです! 父上、ありがとうございます」
なんとか平和的に終わらせられそうだ。
慰謝料が莫大な額なのは仕方のないことだが、これも順序をしっかりと守るためだもんな。
これで僕の名誉は守られたと思えば……それでも高いな……。
さて、明日にでもエイプリーに会いに行って婚約の話を進めてこようか。
ああ、明日が楽しみで寝れない!
145
あなたにおすすめの小説
王子が親友を好きになり婚約破棄「僕は本当の恋に出会えた。君とは結婚できない」王子に付きまとわれて迷惑してる?衝撃の真実がわかった。
佐藤 美奈
恋愛
セシリア公爵令嬢とヘンリー王子の婚約披露パーティーが開かれて以来、彼の様子が変わった。ある日ヘンリーから大事な話があると呼び出された。
「僕は本当の恋に出会ってしまった。もう君とは結婚できない」
もうすっかり驚いてしまったセシリアは、どうしていいか分からなかった。とりあえず詳しく話を聞いてみようと思い尋ねる。
先日の婚約披露パーティーの時にいた令嬢に、一目惚れしてしまったと答えたのです。その令嬢はセシリアの無二の親友で伯爵令嬢のシャロンだったというのも困惑を隠せない様子だった。
結局はヘンリーの強い意志で一方的に婚約破棄したいと宣言した。誠実な人柄の親友が裏切るような真似はするはずがないと思いシャロンの家に会いに行った。
するとヘンリーがシャロンにしつこく言い寄っている現場を目撃する。事の真実がわかるとセシリアは言葉を失う。
ヘンリーは勝手な思い込みでシャロンを好きになって、つきまとい行為を繰り返していたのだ。
【短編】義妹に婚約者を奪われた姉は「計画通り」とほくそ笑む
みねバイヤーン
恋愛
「フィオーナ。すまないが、私との婚約を解消してくれないだろうか」
デーヴィッド子爵令息は思い詰めた様子で切り出した。
「私はエラを愛してしまった。エラと結婚したい」
そう告げるデーヴィッドに、フィオーナは婚約解消の書類を差し出した。それに署名すれば、デーヴィッドは自由の身。晴れてフィオーナの義妹エラと結婚できる。署名をし、エラに思いを伝えに向かうデーヴィッドを見送り、フィオーナは「計画通り」とほくそ笑んだ。
妹が婚約者を奪いました。後悔してももう遅いですよ?
マルローネ
恋愛
伯爵令嬢のセラは妹のニエルに自分の婚約者であるオルテガを奪われた。
悲しみに暮れるセラだったが優しい幼馴染の王子に助けられる。
さらに妹たちへの制裁も開始されることになり……。
幼馴染に婚約者を奪われましたが、私を愛してくれるお方は別に居ました
マルローネ
恋愛
ミアスタ・ハンプリンは伯爵令嬢であり、侯爵令息のアウザー・スネークと婚約していた。
しかし、幼馴染の令嬢にアウザーは奪われてしまう。
信じていた幼馴染のメリス・ロークに裏切られ、婚約者にも裏切られた彼女は酷い人間不信になってしまった。
その時に現れたのが、フィリップ・トルストイ公爵令息だ。彼はずっとミアスタに片想いをしており
一生、ミアスタを幸せにすると約束したのだった。ミアスタの人間不信は徐々に晴れていくことになる。
そして、完全復活を遂げるミアスタとは逆に、アウザーとメリスの二人の関係には亀裂が入るようになって行き……。
(完結)私は一切悪くないけど、婚約破棄を受け入れます。もうあなたとは一緒に歩んでいけないと分かりましたから。
しまうま弁当
恋愛
ルーテシアは婚約者のゼスタから突然婚約破棄を突きつけられたのでした。
さらにオーランド男爵家令嬢のリアナが現れてゼスタと婚約するとルーテシアに宣言するのでした。
しかもゼスタはルーテシアが困っている人達を助けたからという理由で婚約破棄したとルーテシアに言い放ちました。
あまりにふざけた理由で婚約破棄されたルーテシアはゼスタの考えにはついていけないと考えて、そのまま婚約破棄を受け入れたのでした。
そしてルーテシアは実家の伯爵家に戻るために水上バスの停留所へと向かうのでした。
ルーテシアは幼馴染のロベルトとそこで再会するのでした。
【完結】私よりも、病気(睡眠不足)になった幼馴染のことを大事にしている旦那が、嘘をついてまで居候させたいと言い出してきた件
よどら文鳥
恋愛
※あらすじにややネタバレ含みます
「ジューリア。そろそろ我が家にも執事が必要だと思うんだが」
旦那のダルムはそのように言っているが、本当の目的は執事を雇いたいわけではなかった。
彼の幼馴染のフェンフェンを家に招き入れたかっただけだったのだ。
しかし、ダルムのズル賢い喋りによって、『幼馴染は病気にかかってしまい助けてあげたい』という意味で捉えてしまう。
フェンフェンが家にやってきた時は確かに顔色が悪くてすぐにでも倒れそうな状態だった。
だが、彼女がこのような状況になってしまっていたのは理由があって……。
私は全てを知ったので、ダメな旦那とついに離婚をしたいと思うようになってしまった。
さて……誰に相談したら良いだろうか。
姉の所為で全てを失いそうです。だから、その前に全て終わらせようと思います。もちろん断罪ショーで。
しげむろ ゆうき
恋愛
姉の策略により、なんでも私の所為にされてしまう。そしてみんなからどんどんと信用を失っていくが、唯一、私が得意としてるもので信じてくれなかった人達と姉を断罪する話。
全12話
婚約してる彼が幼馴染と一緒に生活していた「僕は二人とも愛してる。今の関係を続けたい」今は許してと泣いて頼みこむ。
佐藤 美奈
恋愛
公爵令嬢アリーナは、ダンスパーティの会場で恋人のカミュと出会う。友人から紹介されて付き合うように煽られて、まずはお試しで付き合うことになる。
だが思いのほか相性が良く二人の仲は進行して婚約までしてしまった。
カミュにはユリウスという親友がいて、アリーナとも一緒に三人で遊ぶようになり、青春真っ盛りの彼らは楽しい学園生活を過ごしていた。
そんな時、とても仲の良かったカミュとユリウスが、喧嘩してるような素振りを見せ始める。カミュに繰り返し聞いても冷たい受け答えをするばかりで教えてくれない。
三人で遊んでも気まずい雰囲気に変わり、アリーナは二人の無愛想な態度に耐えられなくなってしまい、勇気を出してユリウスに真実を尋ねたのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる