15 / 17
15【ざまぁ】制度改正を試みた結果
無能父上は亡き者にしたので、私が繰り上がりで王になった。
バレることもなくあっさりと。
「ドックス陛下、一大事です!」
「何事だ!?」
はいはい、国王としての仕事ですね。
良いでしょう……、私の実力を今こそ見せてやるときなのだから。
「隣にできた新国家に次々と移住し、我が国の人口はすでにピークの半分未満に……」
「つまり……どういうことだ?」
邪魔者が消えて済々している。
おそらく出ていった奴らはレレーナやダインに味方する者に違いない。
ならばむしろいなくなってくれた方が好都合だろう。
それなのに、コイツはどうしてここまで焦っているのかわからない。
「出ていった者のほとんどが高所得者です。つまり、国に多額を納めていた納税者が一斉にいなくなってしまったということです!」
「ふむ、つまり、……どうなる?」
「わからないのですか! 国の運営がより厳しいものに……、いや、このままでは運営自体ができなくなるかもしれません!」
バカだなコイツは。
これだから元父上の部下たちは……。
たかが少し税収が減ったところで、対策をたてればいいだけのことだ。
私ならそれを簡単にやってみせる。
「私が国王になったからには心配する必要もあるまい」
「し……しかし、計算したところ、昨年の十分の一ほどの税収になる見込みですが……」
「たかが十分の一か。全く問題ない」
蜜館の女が三十人いたとしよう。
それが三人にまで減ってしまっても、相手がいるのだから問題はない。
お金だって同じたとえに当てはまる。
しかも国を出ていった者が半数以上いると言っていただろう?
ならばその分使われる金も半分になる。
結果、十分の一ではなく五分の一と計算すれば良い。
その程度ならば、今いる民衆どもの税金を五倍に引き上げれば万事解決というわけだ。
これほど簡単な計算すらできない部下を持って残念だよ。
父上の雇っていた者たちはバカだらけのようだ。
「良いか? 私が今から提示することを民衆共に伝えよ。確実に国は成り立つであろう」
大急ぎだったので、字は雑で汚いが、読めないほどではないはずだ。
部下にこの提案書を渡し、読み直していたがあまり良い顔をしていない。
「ドックス陛下……。このようなことをすれば住民の怒りを買いますぞ……」
「構わん。そもそもあいつらは自らなんとかしようという気にならず国を頼るからいけない。国に頼るならばそれなりの納税をしてもらわないと困る。父上は甘すぎだったからこうなっているのだよ」
「どうなっても責任は負えませんぞ……?」
「良いからさっさとこの通りに動くのだ」
なんなのだあの部下は。
無能な上で私に反論してくるなど十年早いわ。
たかが税金を五倍に引き上げただけだろう。
もちろん私自身だって同じように払うのだ。
父上の金を相続しているからこれくらいの金額の用意なら容易だ。
♢
数日後、税金五倍になった瞬間に住民は激怒して何度も王宮への問い合わせやデモが起こった。
「まったく……この程度で慌てふためきおって」
「やはり無茶だったのです。いっそのこと、元に戻した方が良いのでは?」
「いや、その必要はあるまい。私自ら全員に公言してやろう」
さすがに暗殺とかされたら敵わんからな。
少し離れた王宮の屋上から音声拡散道具を使って大声で演説をした。
「民衆の皆よ、たかが五倍の額で文句を言うのであれば、我が国には必要もない。すぐに隣の国へ行けばよかろう。私は逃げるものは追わぬ。だが、この国で忠誠を誓うものは丁重にもてなすと誓おう」
私に対して敬意を示せば可愛がる。
当然のことだ。
だからこそ、蜜館の女共のことは大事にしたいし、今後もお世話になるだろう。
そんな当たり前のことを言ったつもりだったのだが……。
「こんなクソ国家なんかにいられるか!」
「無能陛下は民衆を金になる道具としてしか見ていない!」
「隣にできた国へ引っ越すわ!」
文句ばかり聞こえてくる。
所詮はデモをしてきたバカ共だ。
残った民衆共と協力し、我が国を蘇らせればそれでいい。
「陛下……。申し訳ないが私もこれ以上は未来が見えない国でやっていけませぬ。辞表を提出し、国を出ていきたいと思います」
「そうか。無能な父上が雇ったお前など止めるつもりはない。好きにするが良い」
「ありがとうございます。ではごきげんよう」
部下など新たに雇えばいいのだ。
私に文句ばかり言うような奴など必要もない。
さて、募集をかけるか。
いや、残った王宮の中で良さそうなやつを探せば良いか。
今日は演説で疲れたので、明日やればいいだろう。
私はそのまま自室へと戻り、一晩過ごした。
そして翌日、自室を出て王宮内を歩き回ったが、誰もいなくなっていた。
「こんなバカなことが……」
一体なぜだ。
私についてこようと思う人間がゼロだとでも!?
慌てて王宮の屋上から王都を見渡すが、人の影すら見えないことに気がついた。
「へ……!?」
ーーーーーーーーーーー
【後書き】
次回の更新は、2月14日予定です。
バレることもなくあっさりと。
「ドックス陛下、一大事です!」
「何事だ!?」
はいはい、国王としての仕事ですね。
良いでしょう……、私の実力を今こそ見せてやるときなのだから。
「隣にできた新国家に次々と移住し、我が国の人口はすでにピークの半分未満に……」
「つまり……どういうことだ?」
邪魔者が消えて済々している。
おそらく出ていった奴らはレレーナやダインに味方する者に違いない。
ならばむしろいなくなってくれた方が好都合だろう。
それなのに、コイツはどうしてここまで焦っているのかわからない。
「出ていった者のほとんどが高所得者です。つまり、国に多額を納めていた納税者が一斉にいなくなってしまったということです!」
「ふむ、つまり、……どうなる?」
「わからないのですか! 国の運営がより厳しいものに……、いや、このままでは運営自体ができなくなるかもしれません!」
バカだなコイツは。
これだから元父上の部下たちは……。
たかが少し税収が減ったところで、対策をたてればいいだけのことだ。
私ならそれを簡単にやってみせる。
「私が国王になったからには心配する必要もあるまい」
「し……しかし、計算したところ、昨年の十分の一ほどの税収になる見込みですが……」
「たかが十分の一か。全く問題ない」
蜜館の女が三十人いたとしよう。
それが三人にまで減ってしまっても、相手がいるのだから問題はない。
お金だって同じたとえに当てはまる。
しかも国を出ていった者が半数以上いると言っていただろう?
ならばその分使われる金も半分になる。
結果、十分の一ではなく五分の一と計算すれば良い。
その程度ならば、今いる民衆どもの税金を五倍に引き上げれば万事解決というわけだ。
これほど簡単な計算すらできない部下を持って残念だよ。
父上の雇っていた者たちはバカだらけのようだ。
「良いか? 私が今から提示することを民衆共に伝えよ。確実に国は成り立つであろう」
大急ぎだったので、字は雑で汚いが、読めないほどではないはずだ。
部下にこの提案書を渡し、読み直していたがあまり良い顔をしていない。
「ドックス陛下……。このようなことをすれば住民の怒りを買いますぞ……」
「構わん。そもそもあいつらは自らなんとかしようという気にならず国を頼るからいけない。国に頼るならばそれなりの納税をしてもらわないと困る。父上は甘すぎだったからこうなっているのだよ」
「どうなっても責任は負えませんぞ……?」
「良いからさっさとこの通りに動くのだ」
なんなのだあの部下は。
無能な上で私に反論してくるなど十年早いわ。
たかが税金を五倍に引き上げただけだろう。
もちろん私自身だって同じように払うのだ。
父上の金を相続しているからこれくらいの金額の用意なら容易だ。
♢
数日後、税金五倍になった瞬間に住民は激怒して何度も王宮への問い合わせやデモが起こった。
「まったく……この程度で慌てふためきおって」
「やはり無茶だったのです。いっそのこと、元に戻した方が良いのでは?」
「いや、その必要はあるまい。私自ら全員に公言してやろう」
さすがに暗殺とかされたら敵わんからな。
少し離れた王宮の屋上から音声拡散道具を使って大声で演説をした。
「民衆の皆よ、たかが五倍の額で文句を言うのであれば、我が国には必要もない。すぐに隣の国へ行けばよかろう。私は逃げるものは追わぬ。だが、この国で忠誠を誓うものは丁重にもてなすと誓おう」
私に対して敬意を示せば可愛がる。
当然のことだ。
だからこそ、蜜館の女共のことは大事にしたいし、今後もお世話になるだろう。
そんな当たり前のことを言ったつもりだったのだが……。
「こんなクソ国家なんかにいられるか!」
「無能陛下は民衆を金になる道具としてしか見ていない!」
「隣にできた国へ引っ越すわ!」
文句ばかり聞こえてくる。
所詮はデモをしてきたバカ共だ。
残った民衆共と協力し、我が国を蘇らせればそれでいい。
「陛下……。申し訳ないが私もこれ以上は未来が見えない国でやっていけませぬ。辞表を提出し、国を出ていきたいと思います」
「そうか。無能な父上が雇ったお前など止めるつもりはない。好きにするが良い」
「ありがとうございます。ではごきげんよう」
部下など新たに雇えばいいのだ。
私に文句ばかり言うような奴など必要もない。
さて、募集をかけるか。
いや、残った王宮の中で良さそうなやつを探せば良いか。
今日は演説で疲れたので、明日やればいいだろう。
私はそのまま自室へと戻り、一晩過ごした。
そして翌日、自室を出て王宮内を歩き回ったが、誰もいなくなっていた。
「こんなバカなことが……」
一体なぜだ。
私についてこようと思う人間がゼロだとでも!?
慌てて王宮の屋上から王都を見渡すが、人の影すら見えないことに気がついた。
「へ……!?」
ーーーーーーーーーーー
【後書き】
次回の更新は、2月14日予定です。
あなたにおすすめの小説
嘘吐きは悪役聖女のはじまり ~婚約破棄された私はざまぁで人生逆転します~
上下左右
恋愛
「クラリスよ。貴様のような嘘吐き聖女と結婚することはできない。婚約は破棄させてもらうぞ!」
男爵令嬢マリアの嘘により、第二王子ハラルドとの婚約を破棄された私!
正直者の聖女として生きてきたのに、こんな目に遭うなんて……嘘の恐ろしさを私は知るのでした。
絶望して涙を流す私の前に姿を現したのは第一王子ケインでした。彼は嘘吐き王子として悪名高い男でしたが、なぜだか私のことを溺愛していました。
そんな彼が私の婚約破棄を許せるはずもなく、ハラルドへの復讐を提案します。
「僕はいつだって君の味方だ。さぁ、嘘の力で復讐しよう!」
正直者は救われない。現実を知った聖女の進むべき道とは……
本作は前編・後編の二部構成の小説になります。サクッと読み終わりたい方は是非読んでみてください!!
この野菜は悪役令嬢がつくりました!
真鳥カノ
ファンタジー
幼い頃から聖女候補として育った公爵令嬢レティシアは、婚約者である王子から突然、婚約破棄を宣言される。
花や植物に『恵み』を与えるはずの聖女なのに、何故か花を枯らしてしまったレティシアは「偽聖女」とまで呼ばれ、どん底に落ちる。
だけどレティシアの力には秘密があって……?
せっかくだからのんびり花や野菜でも育てようとするレティシアは、どこでもやらかす……!
レティシアの力を巡って動き出す陰謀……?
色々起こっているけれど、私は今日も野菜を作ったり食べたり忙しい!
毎日2〜3回更新予定
だいたい6時30分、昼12時頃、18時頃のどこかで更新します!
「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった
歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。
だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」
追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。
一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。
誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。
「その言葉は、もう翻訳できません」
婚約破棄を求められました。私は嬉しいですが、貴方はそれでいいのですね?
ゆるり
恋愛
アリシエラは聖女であり、婚約者と結婚して王太子妃になる筈だった。しかし、ある少女の登場により、未来が狂いだす。婚約破棄を求める彼にアリシエラは答えた。「はい、喜んで」と。
「聖女はもう用済み」と言って私を追放した国は、今や崩壊寸前です。私が戻れば危機を救えるようですが、私はもう、二度と国には戻りません【完結】
小平ニコ
ファンタジー
聖女として、ずっと国の平和を守ってきたラスティーナ。だがある日、婚約者であるウルナイト王子に、「聖女とか、そういうのもういいんで、国から出てってもらえます?」と言われ、国を追放される。
これからは、ウルナイト王子が召喚術で呼び出した『魔獣』が国の守護をするので、ラスティーナはもう用済みとのことらしい。王も、重臣たちも、国民すらも、嘲りの笑みを浮かべるばかりで、誰もラスティーナを庇ってはくれなかった。
失意の中、ラスティーナは国を去り、隣国に移り住む。
無慈悲に追放されたことで、しばらくは人間不信気味だったラスティーナだが、優しい人たちと出会い、現在は、平凡ながらも幸せな日々を過ごしていた。
そんなある日のこと。
ラスティーナは新聞の記事で、自分を追放した国が崩壊寸前であることを知る。
『自分が戻れば国を救えるかもしれない』と思うラスティーナだったが、新聞に書いてあった『ある情報』を読んだことで、国を救いたいという気持ちは、一気に無くなってしまう。
そしてラスティーナは、決別の言葉を、ハッキリと口にするのだった……
金喰い虫ですって!? 婚約破棄&追放された用済み聖女は、実は妖精の愛し子でした ~田舎に帰って妖精さんたちと幸せに暮らします~
アトハ
ファンタジー
「貴様はもう用済みだ。『聖女』などという迷信に踊らされて大損だった。どこへでも行くが良い」
突然の宣告で、国外追放。国のため、必死で毎日祈りを捧げたのに、その仕打ちはあんまりでではありませんか!
魔法技術が進んだ今、妖精への祈りという不確かな力を行使する聖女は国にとっての『金喰い虫』とのことですが。
「これから大災厄が来るのにね~」
「ばかな国だね~。自ら聖女様を手放そうなんて~」
妖精の声が聞こえる私は、知っています。
この国には、間もなく前代未聞の災厄が訪れるということを。
もう国のことなんて知りません。
追放したのはそっちです!
故郷に戻ってゆっくりさせてもらいますからね!
※ 他の小説サイト様にも投稿しています
偽聖女の汚名を着せられ婚約破棄された元聖女ですが、『結界魔法』がことのほか便利なので魔獣の森でもふもふスローライフ始めます!
南田 此仁@書籍発売中
恋愛
「システィーナ、今この場をもっておまえとの婚約を破棄する!」
パーティー会場で高らかに上がった声は、数瞬前まで婚約者だった王太子のもの。
王太子は続けて言う。
システィーナの妹こそが本物の聖女であり、システィーナは聖女を騙った罪人であると。
突然婚約者と聖女の肩書きを失ったシスティーナは、国外追放を言い渡されて故郷をも失うこととなった。
馬車も従者もなく、ただ一人自分を信じてついてきてくれた護衛騎士のダーナンとともに馬に乗って城を出る。
目指すは西の隣国。
八日間の旅を経て、国境の門を出た。しかし国外に出てもなお、見届け人たちは後をついてくる。
魔獣の森を迂回しようと進路を変えた瞬間。ついに彼らは剣を手に、こちらへと向かってきた。
「まずいな、このままじゃ追いつかれる……!」
多勢に無勢。
窮地のシスティーナは叫ぶ。
「魔獣の森に入って! 私の考えが正しければ、たぶん大丈夫だから!」
■この三連休で完結します。14000文字程度の短編です。