【完結】新たな恋愛をしたいそうで、婚約状態の幼馴染と組んだパーティーをクビの上、婚約破棄されました

よどら文鳥

文字の大きさ
17 / 24

嬉しい気持ちと残念な気持ち

 荷物をまとめ、ライムハルト殿下と共に馬車で故郷へ向かう。
 寄り道で、実家に顔を出すことになった。
 保留状態にしていただいているので、まだ正式に殿下と婚約が決まったわけではないが、私の気持ちはほぼ固まっていた。
 その報告に加え、命を懸けるダンジョンに入るわけなので、その旨もお父様には伝えておこうかと思う。

 そして夜。
 故郷までは遠いので、馬車の中で野宿となる。
 馬車の中ではライムハルト殿下と二人きりなので、多少の覚悟はしていた。

 だが……。

「殿下、暗闇の中どこへ行かれるのですか?」
 足音が馬車の入り口からしたので気がついた。

「心配かけてすまない。だが、私は外で寝ようかと思っている」
「何故ですか? 風邪ひきますよ?」
「すまないが、私も男なのだよ。ソフィアのような美しい女性と一晩一緒にいたら、気が狂ってしまいそうで怖いのだ」

 正直なお方だ。
 私とて、既に殿下のことを意識しているのでドキドキして寝れないかもしれないと考えていた。
 おかげで殿下のわずかな足音にも気がつけたわけだが……。

「そのときはそうなっても構いません。外で寝られる方が心配で私は一晩中起きているでしょう」
「しかし……、恥ずかしながら保証できぬ」
「それは私も同じですから……」

 殿下があまりにも正直に心情を語ってくれるので、私も本音で伝えてしまった。
 暗闇なので殿下がどんな顔をされているのかはわからないが、私は少なくとも真っ赤になって心臓の鼓動も著しく早くなっている。
 なんてことを言ってしまったのだろう。
 これでは私がお願いしているみたいではないか。

「では……お言葉に甘えさせていただく」
「へ……?」

 なんと、殿下は私の真横に寝そべり、同じ毛布に入ってきたのだ。
 殿下の持っている毛布も重ねてきたので、暖かい。
 彼の体温も伝わってくる距離なので、更に暖かく感じた。

「ソフィア……こんな時にお願いするのもどうかと思うが、私のことは今後、名前で呼んでいただけないだろうか」
「お望みとあらば従います」
「いや、その主従関係のようなものも無しにしてもらいたい。ソフィアとは対等にいきたいのだ」
「しかし……、王子相手にそのような態度は……」
「構わぬ。公の場以外では同じ冒険者として、常に対等な立場でいたい。これは私の望みでもある」

 そう言いながら、私の頭を撫でてきた。
 反則だろう!
 こんなことをされては冷静さも失い、言われるがまま従うしかできない!

「ライムハルトと呼ばせていただきます……」
「うむ、嬉しい」

 しばらく無言が続き、ライムハルトの吐息が私の後頭部あたりに吹きかかる。

 変な気分になってしまいそうだ……。
 このような状態で寝れるわけがない!

 私の気持ちなどお構いなしに、ライムハルトはグッスリと寝てしまった。

「よくこの状況で寝れるわね。それとも、私に女としての魅力がない……」

 紳士な行動をとってくださるのは嬉しい。
 だがその一方で、少しくらい触ってこようとする男っぽい行動を全くされない上、すやすやと眠ってしまうことには不満だった。
 しばらくして、私も眠りについた。

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されて追放された私、今は隣国で充実な生活送っていますわよ? それがなにか?

鶯埜 餡
恋愛
 バドス王国の侯爵令嬢アメリアは無実の罪で王太子との婚約破棄、そして国外追放された。  今ですか?  めちゃくちゃ充実してますけど、なにか?

王子に婚約破棄されて国を追放「魔法が使えない女は必要ない!」彼女の隠された能力と本来の姿がわかり誰もが泣き叫ぶ。

佐藤 美奈
恋愛
クロエ・エルフェシウス公爵令嬢とガブリエル・フォートグランデ王太子殿下は婚約が内定する。まだ公の場で発表してないだけで、王家と公爵家の間で約束を取り交わしていた。 だが帝立魔法学園の創立記念パーティーで婚約破棄を宣言されてしまった。ガブリエルは魔法の才能がある幼馴染のアンジェリカ男爵令嬢を溺愛して結婚を決めたのです。 その理由は、ディオール帝国は魔法至上主義で魔法帝国と称される。クロエは魔法が一番大切な国で一人だけ魔法が全然使えない女性だった。 クロエは魔法が使えないことに、特に気にしていませんでしたが、日常的に家族から無能と言われて、赤の他人までに冷たい目で見られてしまう。 ところがクロエは魔法帝国に、なくてはならない女性でした。絶対に必要な隠された能力を持っていた。彼女の真の姿が明らかになると、誰もが彼女に泣いて謝罪を繰り返し助けてと悲鳴を上げ続けた。

婚約者はメイドに一目惚れしたようです~悪役になる決意をしたら幼馴染に異変アリ~

たんぽぽ
恋愛
両家の話し合いは円満に終わり、酒を交わし互いの家の繁栄を祈ろうとしていた矢先の出来事。 酒を運んできたメイドを見て小さく息を飲んだのは、たった今婚約が決まった男。 不運なことに、婚約者が一目惚れする瞬間を見てしまったカーテルチアはある日、幼馴染に「わたくし、立派な悪役になります」と宣言した。     

王太子殿下から婚約破棄されたのは冷たい私のせいですか?

ねーさん
恋愛
 公爵令嬢であるアリシアは王太子殿下と婚約してから十年、王太子妃教育に勤しんで来た。  なのに王太子殿下は男爵令嬢とイチャイチャ…諫めるアリシアを悪者扱い。「アリシア様は殿下に冷たい」なんて男爵令嬢に言われ、結果、婚約は破棄。    王太子妃になるため自由な時間もなく頑張って来たのに、私は駒じゃありません!

妹に婚約者を奪われ、舞踏会で婚約破棄を言い渡された姉は、怒りに魔力を暴発させた。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

姉の所為で全てを失いそうです。だから、その前に全て終わらせようと思います。もちろん断罪ショーで。

しげむろ ゆうき
恋愛
 姉の策略により、なんでも私の所為にされてしまう。そしてみんなからどんどんと信用を失っていくが、唯一、私が得意としてるもので信じてくれなかった人達と姉を断罪する話。 全12話

聖女の魔力を失い国が崩壊。婚約破棄したら、彼と幼馴染が事故死した。

佐藤 美奈
恋愛
聖女のクロエ公爵令嬢はガブリエル王太子殿下と婚約していた。しかしガブリエルはマリアという幼馴染に夢中になり、隠れて密会していた。 二人が人目を避けて会っている事をクロエに知られてしまい、ガブリエルは謝罪して「マリアとは距離を置く」と約束してくれる。 クロエはその言葉を信じていましたが、実は二人はこっそり関係を続けていました。 その事をガブリエルに厳しく抗議するとあり得ない反論をされる。 「クロエとは婚約破棄して聖女の地位を剥奪する!そして僕は愛するマリアと結婚して彼女を聖女にする!」 「ガブリエル考え直してください。私が聖女を辞めればこの国は大変なことになります!」 「僕を騙すつもりか?」 「どういう事でしょう?」 「クロエには聖女の魔力なんて最初から無い。マリアが言っていた。それにマリアのことを随分といじめて嫌がらせをしているようだな」 「心から誓ってそんなことはしておりません!」 「黙れ!偽聖女が!」 クロエは婚約破棄されて聖女の地位を剥奪されました。ところが二人に天罰が下る。デート中にガブリエルとマリアは事故死したと知らせを受けます。 信頼していた婚約者に裏切られ、涙を流し悲痛な思いで身体を震わせるクロエは、急に頭痛がして倒れてしまう。 ――目覚めたら一年前に戻っていた――

妹に幼馴染の彼をとられて父に家を追放された「この家の真の当主は私です!」

佐藤 美奈
恋愛
母の温もりを失った冬の日、アリシア・フォン・ルクセンブルクは、まだ幼い心に深い悲しみを刻み付けていた。公爵家の嫡女として何不自由なく育ってきた彼女の日常は、母の死を境に音を立てて崩れ始めた。 父は、まるで悲しみを振り払うかのように、すぐに新しい妻を迎え入れた。その女性とその娘ローラが、ルクセンブルク公爵邸に足を踏み入れた日から、アリシアの運命は暗転する。 再婚相手とその娘ローラが公爵邸に住むようになり、父は実の娘であるアリシアに対して冷淡になった。継母とその娘ローラは、アリシアに対して日常的にそっけない態度をとっていた。さらに、ローラの策略によって、アリシアは婚約者である幼馴染のオリバーに婚約破棄されてしまう。 そして最終的に、父からも怒られ家を追い出されてしまうという非常に辛い状況に置かれてしまった。