22 / 50
22
しおりを挟む
同じ土俵にさえなってしまえば、そう簡単には勝手なことを言われずに済むかもしれない。
とはいえ、デズム義父様は治安維持の総括をしているそうだし、下手なことはできないが。
「本来ならば最高位の侯爵にまで上げてしまいたいほどのことをしている。だが、あくまでまだ二人とも学生の身だ。侯爵まで叙爵してしまったら学園でも浮いてしまうだろう」
「お気遣いありがとうございます。今後とも色々な物を開発していきたいと思います。実は他にも試作段階ですが、考えているものがございまして」
「ほう。聞かせてくれぬか?」
「私にも教えて欲しいです」
レオルド様の物作りは見ていて楽しい。
先にどのような物を作っているのかを知ったら、もっと楽しくなりそうだしワクワクするかもしれない。
レオルド様は、後頭部を手で掻きながら恥ずかしそうにしていた。
「まだできるかどうかはわかりませんが……」
「構わぬよ」
「遠くにいても声が聞けるような道具、その場の音声を記録し再生できるような物、髪の毛や血液や爪などを採取し、親子関係や兄弟関係を証明できるような物ですね。仮の名としてそれぞれ、電話、オーディオ、DNA鑑定と考えております」
またまた信じられないような物を作ろうとしていた。
どうやってそんなことができるようになるのかは分からないが、応援する。
「ふむ。それぞれ商品になったら新たな時代がやってくるような気もするな。ところで、最後に言っていたDNA鑑定というのは?」
「一部とはいえ、架空の親子や兄弟関係で、上位貴族から金品を不正に入手するようなことを噂で聞いたことがあります。もしくはそのせいで苦しんでいる人たちもいるかと。このDNA鑑定で決定的な証拠を作ることができれば、その手の問題も少しは解決できるのではないかと」
レオルド様は趣味で物づくりをしていると思っていたが、人々のためにもやっているのだなとこのとき思った。
もちろん、冷蔵庫やエアコンも人々のためになっているだろうが、一部の人対象に作ろうとしている姿勢には感激だ。
「やはりレオルドの努力や考え方、功績を考えれば今すぐに侯爵にしてあげたいものだ。なんなら国王をやるか?」
「いえ、とんでもございません」
冗談にも程がある……。
国王陛下は笑っているだけだったが、言われた私たちは焦ってしまったではないか。
ともあれ、こうやって国王陛下が冗談交じりのことを言ってくれるだけ有りがたい。
国の一番偉い人と親しみをもって会話ができるようになったのだから。
もしかしたら、国王陛下には私の過去の話をして、もしもの場合に助けを求めることができるのかもしれない。
ただし、周りに迷惑はかけたくないため、あくまで最終手段としておく。
とはいえ、デズム義父様は治安維持の総括をしているそうだし、下手なことはできないが。
「本来ならば最高位の侯爵にまで上げてしまいたいほどのことをしている。だが、あくまでまだ二人とも学生の身だ。侯爵まで叙爵してしまったら学園でも浮いてしまうだろう」
「お気遣いありがとうございます。今後とも色々な物を開発していきたいと思います。実は他にも試作段階ですが、考えているものがございまして」
「ほう。聞かせてくれぬか?」
「私にも教えて欲しいです」
レオルド様の物作りは見ていて楽しい。
先にどのような物を作っているのかを知ったら、もっと楽しくなりそうだしワクワクするかもしれない。
レオルド様は、後頭部を手で掻きながら恥ずかしそうにしていた。
「まだできるかどうかはわかりませんが……」
「構わぬよ」
「遠くにいても声が聞けるような道具、その場の音声を記録し再生できるような物、髪の毛や血液や爪などを採取し、親子関係や兄弟関係を証明できるような物ですね。仮の名としてそれぞれ、電話、オーディオ、DNA鑑定と考えております」
またまた信じられないような物を作ろうとしていた。
どうやってそんなことができるようになるのかは分からないが、応援する。
「ふむ。それぞれ商品になったら新たな時代がやってくるような気もするな。ところで、最後に言っていたDNA鑑定というのは?」
「一部とはいえ、架空の親子や兄弟関係で、上位貴族から金品を不正に入手するようなことを噂で聞いたことがあります。もしくはそのせいで苦しんでいる人たちもいるかと。このDNA鑑定で決定的な証拠を作ることができれば、その手の問題も少しは解決できるのではないかと」
レオルド様は趣味で物づくりをしていると思っていたが、人々のためにもやっているのだなとこのとき思った。
もちろん、冷蔵庫やエアコンも人々のためになっているだろうが、一部の人対象に作ろうとしている姿勢には感激だ。
「やはりレオルドの努力や考え方、功績を考えれば今すぐに侯爵にしてあげたいものだ。なんなら国王をやるか?」
「いえ、とんでもございません」
冗談にも程がある……。
国王陛下は笑っているだけだったが、言われた私たちは焦ってしまったではないか。
ともあれ、こうやって国王陛下が冗談交じりのことを言ってくれるだけ有りがたい。
国の一番偉い人と親しみをもって会話ができるようになったのだから。
もしかしたら、国王陛下には私の過去の話をして、もしもの場合に助けを求めることができるのかもしれない。
ただし、周りに迷惑はかけたくないため、あくまで最終手段としておく。
82
あなたにおすすめの小説
完】異端の治癒能力を持つ令嬢は婚約破棄をされ、王宮の侍女として静かに暮らす事を望んだ。なのに!王子、私は侍女ですよ!言い寄られたら困ります!
仰木 あん
恋愛
マリアはエネローワ王国のライオネル伯爵の長女である。
ある日、婚約者のハルト=リッチに呼び出され、婚約破棄を告げられる。
理由はマリアの義理の妹、ソフィアに心変わりしたからだそうだ。
ハルトとソフィアは互いに惹かれ、『真実の愛』に気付いたとのこと…。
マリアは色々な物を継母の連れ子である、ソフィアに奪われてきたが、今度は婚約者か…と、気落ちをして、実家に帰る。
自室にて、過去の母の言葉を思い出す。
マリアには、王国において、異端とされるドルイダスの異能があり、強力な治癒能力で、人を癒すことが出来る事を…
しかしそれは、この国では迫害される恐れがあるため、内緒にするようにと強く言われていた。
そんな母が亡くなり、継母がソフィアを連れて屋敷に入ると、マリアの生活は一変した。
ハルトという婚約者を得て、家を折角出たのに、この始末……。
マリアは父親に願い出る。
家族に邪魔されず、一人で静かに王宮の侍女として働いて生きるため、再び家を出るのだが………
この話はフィクションです。
名前等は実際のものとなんら関係はありません。
悪役令嬢は処刑されないように家出しました。
克全
恋愛
「アルファポリス」と「小説家になろう」にも投稿しています。
サンディランズ公爵家令嬢ルシアは毎夜悪夢にうなされた。婚約者のダニエル王太子に裏切られて処刑される夢。実の兄ディビッドが聖女マルティナを愛するあまり、歓心を買うために自分を処刑する夢。兄の友人である次期左将軍マルティンや次期右将軍ディエゴまでが、聖女マルティナを巡って私を陥れて処刑する。どれほど努力し、どれほど正直に生き、どれほど関係を断とうとしても処刑されるのだ。
【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください
ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。
義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。
外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。
彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。
「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」
――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。
⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎
【完結】本物の聖女は私!? 妹に取って代わられた冷遇王女、通称・氷の貴公子様に拾われて幸せになります
Rohdea
恋愛
───出来損ないでお荷物なだけの王女め!
“聖女”に選ばれなかった私はそう罵られて捨てられた。
グォンドラ王国は神に護られた国。
そんな“神の声”を聞ける人間は聖女と呼ばれ、聖女は代々王家の王女が儀式を経て神に選ばれて来た。
そして今代、王家には可愛げの無い姉王女と誰からも愛される妹王女の二人が誕生していた……
グォンドラ王国の第一王女、リディエンヌは18歳の誕生日を向かえた後、
儀式に挑むが神の声を聞く事が出来なかった事で冷遇されるようになる。
そして2年後、妹の第二王女、マリアーナが“神の声”を聞いた事で聖女となる。
聖女となったマリアーナは、まず、リディエンヌの婚約者を奪い、リディエンヌの居場所をどんどん奪っていく……
そして、とうとうリディエンヌは“出来損ないでお荷物な王女”と蔑まれたあげく、不要な王女として捨てられてしまう。
そんな捨てられた先の国で、リディエンヌを拾ってくれたのは、
通称・氷の貴公子様と呼ばれるくらい、人には冷たい男、ダグラス。
二人の出会いはあまり良いものではなかったけれど───
一方、リディエンヌを捨てたグォンドラ王国は、何故か謎の天変地異が起き、国が崩壊寸前となっていた……
追記:
あと少しで完結予定ですが、
長くなったので、短編⇒長編に変更しました。(2022.11.6)
絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので
ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。
しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。
異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。
異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。
公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。
『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。
更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。
だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。
ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。
モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて――
奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。
異世界、魔法のある世界です。
色々ゆるゆるです。
【完結】嫌われ公女が継母になった結果
三矢さくら
恋愛
王国で権勢を誇る大公家の次女アデールは、母である女大公から嫌われて育った。いつか温かい家族を持つことを夢見るアデールに母が命じたのは、悪名高い辺地の子爵家への政略結婚。
わずかな希望を胸に、華やかな王都を後に北の辺境へと向かうアデールを待っていたのは、戦乱と過去の愛憎に囚われ、すれ違いを重ねる冷徹な夫と心を閉ざした継子だった。
子供が可愛いすぎて伯爵様の溺愛に気づきません!
屋月 トム伽
恋愛
私と婚約をすれば、真実の愛に出会える。
そのせいで、私はラッキージンクスの令嬢だと呼ばれていた。そんな噂のせいで、何度も婚約破棄をされた。
そして、9回目の婚約中に、私は夜会で襲われてふしだらな令嬢という二つ名までついてしまった。
ふしだらな令嬢に、もう婚約の申し込みなど来ないだろうと思っていれば、お父様が氷の伯爵様と有名なリクハルド・マクシミリアン伯爵様に婚約を申し込み、邸を売って海外に行ってしまう。
突然の婚約の申し込みに断られるかと思えば、リクハルド様は婚約を受け入れてくれた。婚約初日から、マクシミリアン伯爵邸で住み始めることになるが、彼は未婚のままで子供がいた。
リクハルド様に似ても似つかない子供。
そうして、マクリミリアン伯爵家での生活が幕を開けた。
王子に買われた妹と隣国に売られた私
京月
恋愛
スペード王国の公爵家の娘であるリリア・ジョーカーは三歳下の妹ユリ・ジョーカーと私の婚約者であり幼馴染でもあるサリウス・スペードといつも一緒に遊んでいた。
サリウスはリリアに好意があり大きくなったらリリアと結婚すると言っており、ユリもいつも姉さま大好きとリリアを慕っていた。
リリアが十八歳になったある日スペード王国で反乱がおきその首謀者として父と母が処刑されてしまう。姉妹は王様のいる玉座の間で手を後ろに縛られたまま床に頭をつけ王様からそして処刑を言い渡された。
それに異議を唱えながら玉座の間に入って来たのはサリウスだった。
サリウスは王様に向かい上奏する。
「父上、どうか"ユリ・ジョーカー"の処刑を取りやめにし俺に身柄をくださいませんか」
リリアはユリが不敵に笑っているのが見えた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる