ぼくと怪物三人組@トーキョーベイエナジーアイランド

alphapolis_20210224

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第三部 アップルパイ、閉回路ソースを添えて

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 機器の組み上げと人工知能の稼働には思ったより時間がかかったが仕方ない。悟られないように動かなければならなかった。

 あらゆる部品は別の目的を装って集められた。自警団としての活動をほとんどやめてしまった『カクブンレツ』は環境保護に目覚め、エナジーアイランドの水、空気、土壌の汚染具合を監視し、さらに島に来る野鳥の観察を始めた。そのためにあちこちで試料を採取したり、小鳥に発信機付き足環をつけたりする様子が見られるようになった。
 そして、本土の研究所や大学などの教育機関、それと環境保護団体と連絡を取りあい、試料の分析を行うようにもなった。

 部品集めはそうした活動のための機器を自作しているように見えたし、実際にそちらの用法でも使っていた。

「坊っちゃん、これが最後」
 ビクタが運んできた部品を接続して試験を走らせながら言った。機械いじりはまかせている。隣の部屋の一角がラックと配線で黒々としていた。廃棄オートマトンやパレットやらの制御ユニットをはずして並列につないだものだった。
 ウォーデとぼくがパブリックドメインの汎用型人工知能を改造し、ファーリーが並列演算を最大限効率化するプログラムを作るのと各演算ユニットへの書き込みをやってくれた。

「これで修正十二回目。動いてよ」
 ファーリーの髪から放電が走り、ラックの柱に火花が散った。生体バッテリーを最新型に置き換え、臀部にも追加している。満充電だと輪郭がかなり変わって見えた。
「おめでとう。やっとだね」
「やっとだ」とウォーデ。
 ビクタはあわてたように電磁波シールドの部品を挿した。「忘れるとこだった。これでコンプリート」

「じゃ、こいつの名前、アルゴスな」
「見張るから? 坊っちゃんシンプルなネーミング」

「いいだろ。わかりやすくて」
 そういいながら、アルゴスの光学センサーの前にモニターを置いた。これが工夫だった。万が一を考え外部とのケーブル接続は一切しない。電源ですらほかで充電したバッテリーをつなぐ仕組みだった。
 だからマシンの分布状況については公開されている情報をいったんモニターに表示させ、それをアルゴスが文字通り『見る』ようにした。この仕組みを提案した時、「坊っちゃんは大丈夫か」とウォーデに心配されたが、警察相手ならそのくらいしないといけないと思う。なんせマザーが情報を抜かれてたくらいなんだから。

 結果は生体認証を通った者の瞳に直接投影される。つまりアルゴスの前に立たないといけない。さっそく表示されたが、これは肩慣らしのようなもので信頼に値しない。これが本当だとしたら目に見える範囲すべてに警官がいる事になる。

「調子はいいみたいだな」
 ウォーデの瞳がちらちら光っている。投影された情報が青緑色に反射していた。
「学習にもそれほどかからないかもよ」
 ファーリーも機嫌のよい声だった。目視で集めた情報もモニターに表示され、警官とそれ以外が分けられている。でも、目視は情報にむらがありすぎるのが欠点だった。だから学習データとして利用する。

 これでうまくいくだろう。本土から来た警察を監視下に置く第一歩だ。

「アルゴスはヘルメスにやられた。坊っちゃん、ビウェア」
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