つきせぬ想い~たとえこの恋が報われなくても~

宮里澄玲

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 ど、どうしよう…今更ながら緊張してきた……。落ち着け、私!
 
 一平の寝室のベッドに腰かけていた繭子は少し震える掌を胸に当て、高まる緊張感と戦っていた。
 
 先ほど、話が終わって繭子の髪を撫でていた一平が耳元で囁いたのだ。
 「……そろそろシャワー浴びる? それとも、ゆっくり風呂に浸かりたい? ただし、その場合は俺も一緒に入るけど」
 繭子は跳び上がった。 
 「えぇっ! ダメです! 一緒なんて絶対ムリ、ムリです! あ、あの…シャワーで……」
 焦りながら繭子が答えると、一平は笑った後、ちょっと頬を膨らませた。
 「そんなに嫌がらなくても……。残念、一緒に入りたかったのに。まあ、それはまたのお楽しみに取っておこう。じゃあ、タオルとか準備してくるね」
 ソファから立ち上がった一平が浴室の方に向かった。
 繭子は1人で顔を赤らめ俯いた。ちょっと大袈裟に反応しすぎちゃったかな……でも一緒にお風呂はさすがに勘弁してほしい…恥ずかしすぎる。
 「繭子さん、準備できたからお先にどうぞ」
 一平の声に顔を上げ、立ち上がった繭子の頬に一平が優しく唇を当てた。
 「あ…はい…すみません、お先に失礼します」
 さらにボッと顔が赤くなり、荷物を手に急いで浴室に駆け込んだのだった。

 「…っていうかマスターってあんなキャラだったの……?」  
 元々優しいけど、両思いになってからさらに優しく、甘くなったような気がする……。
 この日のために用意した、裾にレースが施された薄いピンクのシルク素材のパジャマワンピースを着て浴室の脱衣所から出てきた繭子を見ると驚いた表情をしてから、とてもよく似合っていて綺麗だよ、と褒めちぎり、熱の籠った目で繭子の頬をさらっと撫でたのだ。
 交代でシャワーを浴びに行った一平を待ちながら呟いていると、
 「俺が何だって?」
 「ひゃっ!」
 一平が寝室に入ってきたことに全く気づいていなかった繭子は驚いて跳びあがった。
 その姿に一平がクククッ…と笑った。
 「さっきから跳び上がってばかりだね。面白いな…」
 「す、すみません…私…」
 隣に腰かけた一平が繭子をそっと抱き寄せた。
 「ホントにかわいい…。ん? 身体が強張ってるな。リラックスして……」 
 一平が微笑みながら繭子をそっとベッドに横たわらせた。
 もう1つ、繭子には不安に思っていることがあった。
 「あの…私…貧弱な体つきなんで、ガッカリさせてしまうかもしれません…すみません…」
 一平が軽くため息をつく。
 「ガッカリなんてしないから。俺は君がどんな身体だろうと気にしないし、それに、最初に会った頃より随分健康的になってふっくらしているじゃないか。大丈夫だよ」
 「本当ですか…?」
 「本当だよ。それに、俺も白状するけど、実はこういう行為はすごく久しぶりでちょっと緊張しているんだ…。でも、たっぷり時間をかけて隅々まで君を愛して満足してもらえるように努力するから俺を信じて身を任せてほしい」
 「……っ!」
 一平の言葉に繭子はブワッと顔が真っ赤になったが、その真剣で誠実な眼差しを受け、繭子はゆっくりと深く頷いた。
 「……はい、一平さん」
 「…っ、やっと名前で呼んでくれたね。いつになったら呼んでくれるのかと思っていたよ。嬉しいよ…。好きだよ…繭子」
 「っ、一平さん…。私も好きです……」 
 2人は見つめ合うと、そっと唇を重ね合った。

 チュ…チュ…チュ……。
 一平は繭子の髪を撫でながら、安心させるように額や目尻や頬にバードキスを繰り返す。柔らかい唇の感触を受けているうちに繭子の口からかすかな吐息が漏れ始めた。
 「……ん」
 繭子の余分な力が抜けてくると、唇を首筋の方へなぞるように移動させた。鼻の頭も使って上下に優しくなぞる。
 「んっ、フッ…」
 繭子はゾクッとして首を左右に振った。
 「くすぐったい…? 気持ちいい…?」
 一平が囁くと、繭子は、両方です…、と恥ずかしそうに答えた。
 ふっ…と微笑んだ一平の手がワンピース越しに繭子の右胸に触れた瞬間、繭子の背がしなった。
 「ッン…!」  
 繭子の反応に気をよくした一平は掌全体で胸を包み込むようにしながら優しく揉みながら顔を左胸の方に移動させると先端に舌を付けた。
 「あっ…!」
 身体に甘い痺れが走った。舌先で転がされるように刺激され、しばらくすると今度は右胸を同じように舌で転がされ、シルクの肌触りも相まって、繭子は今まで味わったことのない感覚にどうにかなりそうだった。
 「繭子の綺麗なワンピース姿をもっと堪能したいところだけど、そろそろ脱がすね…」
 バンザイをするように腕を上げさせられ、ワンピースを脱がされた。あっと言う間に下着姿だけになってしまった。一平も着ていたTシャツとスウェットパンツ、下着を脱ぎ捨てた。繭子は一平の均整の取れた全身を目の当たりにし、思わず俯いてしまった。
 「…素敵だ。ワンピースとお揃いなんだね…。すごくいい、君の白い綺麗な肌に似合っている…脱がすのがもったいないくらいだ…」
 一平は感嘆しながらも、繭子の背に手を回すとブラのホックを外し、腕から抜いた。繭子が顔を上げてとっさに両腕で胸を隠そうとすると、一平に阻まれた。
 「だめ、隠さないで。よく見せてくれ」
 「…恥ずかしい…小さいから…」
 「そんなことないよ、俺にはちょうどいい」  
 そして、腕を掴まれたまま、再び唇で先端をなぞられた。
 「アっ…!…ん!…ん……」
 布越しではなく直接触れられてさらに痺れが走った。繭子の抵抗が止むと一平は押さえていた繭子の両腕を放し、指や掌や舌を使って繭子の両胸を愛し続けた。
 そのうちに下腹部がおかしな感じになってきて思わず身を捩る。それに気づいた一平が下着越しに繭子の秘部にそっと触れた。
 「…っ! ンッ!」
 繭子の腰がビクッと跳ね上がる。 
 「…熱い。もう濡れているかな…。汚しちゃうといけないから脱がせるよ…」
 一平が下着に手をかけると、スルッと脱がせた。恥ずかしくて閉じようとした脚の間に一平が指を這わせた。そしてそっと脚を開かせると、敏感な花芽に優しく触れた。
 「ハッ…! アンッ…!」
 先ほどよりもさらに鋭い刺激に体中に電流が走りのけぞった。
 「…濡れているよ…。痛い?」
 答える代わりに首を横に振ると、繭子の唇に一度軽く触れてから一平が微笑んだ。
 「よかった。優しくするから力を抜いていて…」
 一平の指が再び花芽に触れると、ゆっくりと円を描くように優しく撫でた。
 「あぁ…ん…はぁ…あ…」
 指の動きと合わせるように声が漏れ、背筋が痺れる。繭子の反応を見ながら一平は少し指の動きを速めながら再び胸を顔を寄せて同時に舌で撫でられた。 
 「ンッ…! アアッ!」
 繭子の声が先ほどよりも高く上がる。中からどんどん蜜があふれ出し、身体が熱くなり、何かがせり上がってくるような感覚が起こり始めてきた。
 一平がさらに小刻みに花芽を刺激しながら、繭子の耳元で囁いた。
 「たぶんもうすぐだろうから…大丈夫…そのまま来る感覚に身を任せて…かわいいよ…好きだ、繭子…」
 「…あっ…ああ……ぁ、アアアアアアッ…!」
 名前を囁かれた瞬間、身体の中で何か大きな塊が弾け、腰をのけ反らせながら、繭子は達した……。
 身体が脱力し、初めての感覚に訳が分からないまま息を整えていると、一平に抱き寄せられた。
 「…大丈夫? 色っぽかったよ…。気持ちよくなってもらえてよかった…イってくれて嬉しいよ」
 繭子は、ああこれがイくってことなのか……と初めての感覚に驚きながら達した余韻に浸っていた。
 「…一平さん…ありがとうございます…」
 繭子が頬を上気させながら微笑むと、一平がその頬に触れ口づけをした。
 
 「もう少し慣らさないと辛いと思うから……」
 そう言うと一平は繭子と唇を合わせてから、また頭を胸に移動させ、舌で両胸の先端を交互に触れて繭子の身体を熱くさせた。
 それから徐々に唇がお腹の方に下がっていき、繭子が、あっ…と思う間もなく、大きく脚を広げられ、先ほど指で撫でられたところに一平の舌が触れた。
 「アッ…! そんな…ダメ…!」
 恥ずかしさのあまり脚を閉じようとしても男性の力には敵わない。そんな繭子の抵抗にもお構いなしに一平は愛撫を続ける。
 「…んっ…はぁ…ふっ…あっ!…ん…」
 あぁ恥ずかしい…でも…どうしよう…気持ちよくて身体に力が入らない…。
 一平は恥ずかしそうにしながらも気持ちよさそうに身体を震わす繭子の様子を上目でチラッと見ると、舌をもう少し下げて潤っている入り口の部分をぐるりと舐めた。
 「…っ! ああ!」
 繭子が腰を反らして高い声を上げた。
 よかった、ここもちゃんと感じるようだ、と分かった一平は少しだけ舌を中に入れて、親指で上の花芽も同時に刺激した。
 「やっ…、あ、あぁ! あ……」
 繭子が首を左右に激しく振りながら、一平の愛撫に身を焦がしていた。
 さらに繭子から溢れる蜜で唇を濡らしながら、一平は動きを止めることなく繭子を再び高みに上り詰めさせようとひたすら集中した。
 そのうち繭子の喘ぎ声が短く鋭く切羽詰まったようなものに変わっていく。
 「…アッ、アッ、アッ、アッ、…ンッ、ハァ、ハッ、ハッ…、……ァ、ァ、……ァアアアアアア…!」
 繭子は大きく腰を反らすと、目の前がパンと弾け、身体を硬直させた後、ベッドに崩れ落ちた。

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