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蠱惑Ⅱ『酒仕込み唄』
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半年前に社員旅行がありました。酒蔵見物で全員がバスから降りました。一階は店舗。試飲コーナーで飲み比べては、これが甘いのとか、これは辛口だなとか、素人が分かったような口利きで盛り上がっていました。二階は倉庫で立ち入りが禁止されています。三階が資料館で見学が自由です。店側の説明ガイドはいません、見学自由なスペースとなっていました。この酒蔵は200年前に創業しましたが震災の影響を受けて10年前に廃業したそうです。昔ながらの製造過程やら、使用した小道具が棚に陳列されていました。大きな酒樽の横に半年前に社員旅行がありました。酒蔵見物で全員がバスから降りました。一階は店舗。試飲コーナーで飲み比べては、これが甘いのとか、これは辛口だなとか、素人が分かったような口利きで盛り上がっていました。二階は倉庫で立ち入りが禁止されています。三階が資料館で見学が自由です。店側の説明ガイドはいません、見学自由なスペースとなっていました。この酒蔵は200年前に創業しましたが震災の影響を受けて10年前に廃業したそうです。昔ながらの製造過程やら、使用した小道具が棚に陳列されていました。大きな酒樽の横に半纏を着た杜氏の人形が三体あります。二体は樽の中をかき混ぜる仕草をしています。もうひとりは酒の仕上がり状況を見ているのでしょうか、厳しい顔を半纏を着た杜氏の人形が三体あります。二体は樽の中をかき混ぜる仕草をしています。もうひとりは酒の仕上がり状況を見ているのでしょうか、厳しい顔を樽に寄せています。壁には仕込み唄が大きく書かれていました。『はあよいさのこら~さ 酒の神様、おなごを嫌う、されど親方いい男~やれさ~のほいさ~ やれどっこいさ~の~こ~らさ~』杜氏の人形の声が今にも聞こえてきそうな気がしました。しかしお世辞にも面白いとは言えない資料館でした。酒造りに興味のある方ならまだしも、酒など飲むだけが趣味の私にはその歴史に触れることなどまったく面倒なことでした。私を含め25名が会計と庶務課の社員です。この酒蔵見物の時間は15分です。トイレ休憩を兼ねた一時的な立ち寄りです。買い物以外に時間はありませんでした。店のガイドがいるならともかく、土産の送り先を書くのに順番待ちしている彼等に資料館見学の余裕などありませんでした。私は悔しくなりました。私だけが三階まで上って興味もない資料館見学をしたのが腹立たしくなりました。誰かを騙して足を運ばせようと醜い意地悪を思い付きました。
「いやあ素晴らしい、酒蔵の全てが分かる資料館だよ。この酒蔵の歴史が詰まっていて感動すらした。たまげた」
私はレジに並ぶ若い同僚の前で声を上げました。しかし一瞬振り返るだけで、レジを終えても階段を上がる者はいませんでした。
「香川さん、そんなに面白いでしたか?」
「ああ、酒飲みなら見ておくべきだね。見なきゃ人生の損するね」
「そうですか、どうする?」
三人のうちの二人が悩んでいます。時計を見ると集合時刻まで5分しかありません。ですが5分あればさっと見て廻れます。
「疲れたし」
二入は諦めました。
「僕見て来ます。折角香川さん推薦の資料館を見学しなければ一生後悔します」
階段を駆け上がったのは高卒で今年入社した毛利でした。毛利はやさしい子です。居場所が無い私に常に声を掛けてくれます。『さすが大先輩のアドバイス、勉強になります』が私の前では口癖です。お世辞と分かっていても嬉しい限りです。
私は万年幹事です。この会社には40年勤めていますが役職はありません。事務処理の仕事をしております。算盤とか簿記とか、商業高校を優秀な成績で卒業して、会計処理の仕事をしていました。しかし今はそんなもの全く必要とされなくなりました。子供の時からパソコンをおもちゃ代わりに弄っていた子供達には会計ソフトがあれば私の算盤術も簿記も不要の長物となったのです。当然私にはソフトを駆使することは出来ず、若い孫のような社員の世話役的存在になったのです。
「香川さん、飲み会したいんですけど、どこかいいお店紹介してくれませんか?」
孫のような社員に頼まれても今じゃ不快な気はしなくなりました。
「ああいいよ、どんな飲み会?男だけ、それとも女の子が混じるのかな?」
40年で培った経験が有望な社員の手助けとなるならと割り切るようになりました。残り二年で定年です。それまで若い後輩たちのために幹事に徹するのが私自身の為でもあるのです。
バスの集合時間が過ぎました。バスガイドが何回も往復して人数を数えています。私は幹事ですのでいつも運転席の後ろに席を取っています。
「誰かな、いないのは?隣を見てみて」
私が後ろに声を掛けました。
「毛利君です」
女の声が帰って来ました。
「さっきあいつ、資料館に上がって行きましたよ」
「まだ夢中になってんじゃねえの」
「まったくよ、こっちは買い物早く切り上げて戻って来たのによ」
後ろから不満の声が聞こえてきました。
「ラインしてみろよ」
同僚同士も苛立ちから喧嘩口調になっていました。
「既読になったけど返信は無い。あいつおかしいんじゃねえの。人を待たせておいてよ」
車内は毛利の無責任さで空気が澱んでいます。
「ちょっと、すいません」
私は運転手に一礼して酒蔵に戻りました。
「すいません、うちの社員を見ませんでしたか?」
酒蔵の店員は首を傾げています。
「そうですか、もし見掛けたらすぐにバスに戻るよう伝えてください」
私はバスに戻りラインを送りました。同僚が言っていたように既読になりますが返信はありません。
「香川さん、出発しましょうよ。あいつわざと遅れているんですよ」
「もう五分だけ」
私は運転手に手を合わせました。運転手も苛ついていました。これから渋滞が始まる時刻です。その前に抜けてしまおうと組んだ工程です。五分、十分の遅れが一時間、二時間の遅れに繋がります。運転手の咳払いが聞こえました。発車の催促をしています。
「あのう、到着が18:00を回ると追加料金が発生します。契約書に書いてあります。宜しいでしょうか?」
ガイドが私に確認しました。
「仕方ない。行きましょう」
バスは発車しました。もしかした下痢でトイレから出られないのだろうか?資料館で躓いて転んで怪我をして立ち上がれないのだろうか?そんなことはないだろうと否定しながらも色んな不祥事が頭をよぎりました。
旅行の翌日は日曜日で休みです。毛利に三度ラインしました。すぐに既読になりますが返信はありません。毛利は同僚に迷惑を掛けてしまい返信するのも辛いのではないかと、いい方に解釈しました。明日になれば『すいませんでした』とみんなの前で頭を下げるシーンを望んでいました。そして出勤しました。いつもなら私より早く来て、屋上でストレッチをしています。私は鞄を机に置いてすぐに屋上に行きましたが毛利の姿はありませんでした。そんな日が10日も続きました。
「香川さん、毛利君のこと、何か聞いていませんか?」
課長に呼ばれました。
「すいません、連絡はしているんですが返信が無くて困っています」
「みんなに聞いたらすぐに既読になるそうじゃありませんか、それでいて返信が無いのは無責任か、または何かあったのか。もしかしたら彼のスマホを他の人が持っていることもゼロではありませんよね」
「課長は毛利が犯罪に巻き込まれたとおっしゃるのですか?」
「いや薄いと思いますがその可能性もあるでしょう。そうでなければ無責任も甚だしい。撤退していただくしかない」
「もう少し、待ってやっていただけませんか。お願いです」
毛利がいなくなると私が寂しくなります。同じ高卒で何か親近感があります。それに私を慕ってくれています。資料館に上がったのも私の腹立たしさを汲み取ってくれたからです。私の意地悪だと知っていて、面白くもない資料館にわざわざ見学に行ってくれたのです。
「香川さん、毛利君のご実家にも連絡しなければならなくなります。その前に何とか見つけ出して欲しい。辞めるなら辞める、それは仕方のない事ですが、中途半端なままでは会社も責任を問われます。そうだ香川さん、あの酒蔵に行って、足取りを辿っていただけませんか」
課長は初めから私を酒蔵に行かせるためにわざわざ足を運んだのでしょう。毛利の進退をはっきりさせたかったのです。私が会社に居てもいなくても体勢に影響はありません。私は毛利の自宅アパートに行き、いなければその足で酒蔵に向かうことにしました。
「こんにちは」
ポストにはチラシが詰まっています。居ないと思いながらも声を掛けました。私は彼のアパートの玄関前でライン電話をしました。受話器があげられました。
「毛利君、毛利君だね。私だ、香川だよ。みんな心配してる。家にいるのかい、私は君んちの前にいる。居るなら開けてくれないか」
変な節の歌が微かに聞こえましたが毛利の返事はありません。
「毛利君、毛利君」
隣から夫人が出て来ました。
「毛利さん留守ですよ」
「何か言い残しているんですか?」
「大家さんが確認したから間違いありません。会社の旅行で二日間空けると大家さんに言い残してます。お土産を持ち帰ると大家さんも喜んでいたんです。毛利さんいい人だから大家さんにも好かれていますから。でも十日も戻らないので不審に感じてご実家に許可を得て中に入ったんですよ」
「それ何時の話ですか?」
「昨日です」
私は大家に行き経緯を訊きました。大家は毛利のことを我が子のように心配していました。
「会社で何かあったんですか?あんないい子そうそういませんよ」
大家は毛利の失踪が私のせいであるかのように言いました。
「実家に戻っていることはありませんか?親御さんが隠しているとか」
「ありません。あたしは親御さんに東京のお袋さんと呼ばれています。毛利君も懐いてくれています。それに毎日電話をして確認をしています。親御さんは私に嘘は吐きません。家賃の心配までしてくださって。会社はどうなっているんですか?」
大家に睨まれました。
「すいません」
謝る以外に大家の怒りを鎮めることは出来そうもありませんでした。見つかったら必ず一報を入れると約束して後にしました。そしてあの酒蔵に行きました。
「こんにちは、私は10日前に立ち寄らせていただいたグループの幹事です。その節はお世話になりました」
「こちらこそありがとうございます」
女将は礼を言いながらも何しに来たのかを探っている様子でした。私は実情を話していいかどうか迷いました。女将も営業なのかどうか、私の心中を察しているようで、愛想笑いもぎごちなく感じられます。
「あのう」
「はい」
私の出方を待ちわびていたようです。
「三階の資料館を見学させていただいていいでしょうか。先日見学して虜になってしまいました」
「はあ、どうぞどうぞ」
女将はほっとしたような表情で手を階段に差し向けた。まさか毛利がいるわけがありませんが、何かを感じたならそれを見極めたいと思いました。二階まで上がると歌声が聞こえてきました。歌謡曲でもない、クラシックでもない、どちらかと言えば民謡調。中三階の踊り場まで上がると声がはっきりとしました。
『はあよいさのこら~さ 酒の神様、おなごを嫌う、されど親方いい男~やれさ~のほいさ~ やれどっこいさ~の~こ~らさ~♪』♪
あの壁に歌詞が張り付けてある酒仕込み唄でした。三階に上がり驚きました。酒のラインが動いています。先日来た時は杜氏の人形が三体でしたが四体に増えていました。驚いたのは電動で動いているじゃありませんか。動きはぎごちないが大樽を櫂棒で攪拌しているのは三人の蔵人でしょう。そして櫂入れを見守りながら歌うのは杜氏です。口の動きもぎごちなく、ロボットとしては高性能とは言えませんがそれがまたいい雰囲気を醸し出しています。
『♪はあよいさのこら~さ 酒の神様、おなごを嫌う、されど親方いい男~やれさ~のほいさ~ やれどっこいさ~の~こ~らさ~♪』
杜氏の歌に合わせて蔵人が掛け声を入れます。私も釣られてしまいました。いつまで聞いていても飽きない光景です。私は杜氏のロボットに会釈しました。すると勘違いでしょうが返してくれたような気がしました。
「今日はラインが動いていますね。素晴らしい」
「はあ?ラインですか?」
「ええ、先日は人形と思っていましたがよりリアルに酒蔵体験が出来ました。旅行の時も動かしていただいていたら全員が資料館に足を運んだと思います。実に残念」
「はあ」
女将には私の喜びが通じないようでした。そりゃ毎日観て「いれば飽きるでしょうから、初めての見学者とは感じ方が違うのは当然だと納得しました。
「ところで女将さん、先日旅行の時に、資料館に上がった青年がいたのを覚えていますか?」
私は思い切って聞いてみました。分からなければ仕方ないが、聞かずに帰れば悔いが残るし、課長に子供の使いと笑われるでしょう。
「資料館に見学に上がられたあの若い方ですよね。覚えておりますがどうかされましたか?」
「実は、資料館に上がった切り戻って来ていないんです」
「戻っていないと言うのは会社にですか?」
「ええ、会社にも自宅アパートにも戻っていないんです。あの日からずっと」
女将は首を傾げたが想い出すことは何もない。
「そうですか、それは心配ですね、親御さんもご存知ないんですか?」
「まだ実家に確認した訳ではありませんが、アパートの大家さんが彼の親御さんと懇意にしているので間違いないと思います」
私は女将に礼を言った。序に大吟醸の四合瓶を二本買いました。そして帰り際に、駄目押しで、毛利のラインビデオ電話に掛けました。呼び出しはなります。
「香川さん、どうかされましたか?」
毛利が出ました。私は驚いて喉が詰まりました。
「すいません、休憩終了です。すぐに仕込みの続きですのでまた」
電話を切られました。仕込み中とはどういうことだろう。毛利の電話のバックミュージックはどこかで聞いたような民謡調でした。
「ああっ」
そうです、壁に掛かれた酒仕込み唄です。私は階段を駆け上がりました。
「お客さん」
女将が私の背に声を掛けました。中三階の踊り場まで走ると威勢のいい酒仕込み唄が聞こえます。それもさっきのロボット4体ではなく、大勢の合いの手が入ってます。
『♪はあ よいさ~のこらさ~ どっこいさ~のこ~ら~さ~』
「これは一体」
私は入り口で立ち止まりました。動きはぎごちなくまるでロボットのようですが、表情は気色が良くて、声もその一体一体の口から出ているように感じました。
「女将さん、これは」
女将は腰を抜かしてへたり込みました。
「見学ですか?」
つかつかと近付いて来た一体のロボットが私に言いました。法被に姐さん被りの蔵人です。どこかで見たことがある顔、それに声。
「私ですよ香川さん、毛利ですよ」
姐さん被りを外した毛利が笑いました。
「毛利君、どうして?」
「どうしてもこうしてもありませんよ。あなたが見学しろと仰った。みんなが無視して誰も行かないなら私が行くしかありませんでしょ。毛利さんがカッコ付かないでしょ は~どっこいせ~ こ~ら~せ~」
毛利は私と話しながらも合いの手を入れていました。
「ごめん、悪かった。私は一人だけ見学して、面白くもない資料館に足を踏み入れた。誰かにもその『来なきゃよかった、騙された』と思い知らせたかったんだ。それを毛利君が、気を遣ってくれて見学してくれた。でも、ここまですることはないだろう。さあまだ間に合う。私と一緒に帰ろう。お願いだ」
「いいんですよもう、それに僕が帰ったらこの人達に悪い」
「彼等は誰なんだ?」
「私と同じ思いをした人達ですよ。気遣いで見学をしてそのまま戻れなくなった人達」
「ロボットじゃないのかね?だってあの動きはまるでロボット」
私が見上げるとこっちを見て微笑んだ。
「ロボットに見せかけているんですよ。まだ仕込みの真似事ですから、いずれ製造ラインを動かすことになります。人数も揃ったんです。は~どっこいせ~のこ~らせ」
「そんなことをしてどうするのかね?」
「気遣いを本物にするんですよ。誰かに気遣うことで損をするのはもうこりごりです。ここに見学に来た人たちが、この姿を見て、凄いと驚いて帰る日がもうすぐそこまで来ているんですよ。忙しくなりますよ、女将さん」
女将は腰を抜かしたまま階段を這って下りました。踊り場で毛利が抱え上げました。
「駄目ですよ女将さん、今誰かに言っては、そうだ蔵人たちに女将さんを紹介しましょう。は~どっこいせ~」
毛利は女将を抱え上げて大樽の前で降ろしました。そして女将の周りに輪になりました。
『♪はあよいさのこら~さ 酒の神様、おなごを嫌う、されど親方いい男~やれさ~のほいさ~ やれどっこいさ~の~こ~らさ~♪』
女将の周りを回りながら仕込み唄を歌います。私が逃げようとすると杜氏が笑いながら通せんぼをしました。
「私は関係ない。この仕込み唄のグループに入ることはない。そんな気遣いをしなくていい」
私は杜氏にはっきり言いました。
「それじゃどうして僕に気を遣わせたんだよ」
女将の周りを廻る毛利が大きな声で言いました。
「面白くもない資料館を面白いだなんて人を騙したんだよ香川さんは。誰も階段を上らなければ僕が上るしかないじゃないか。もし僕が上らなければ香川さんが落ち込むじゃないか。それぐらい分かってよ。人に気を遣わせるならそれぐらいの覚悟をしてよ」
毛利が言いました。
「もういい。我等の気遣いは永遠に続くんだ」
杜氏が言いました。シャッターが閉められました。女将はもうショックで意識がありません。私はシャッターに背を預けて逃げ場を失いました。
『♪はあよいさのこら~さ 酒の神様、おなごを嫌う、されど親方いい男~やれさ~のほいさ~ やれどっこいさ~の~こ~らさ~♪』
「はあーどっこさのこらさ」
合いの手を入れないと杜氏に睨まれます。音程の外れた私の合いの手に毛利が笑いました。
了
「いやあ素晴らしい、酒蔵の全てが分かる資料館だよ。この酒蔵の歴史が詰まっていて感動すらした。たまげた」
私はレジに並ぶ若い同僚の前で声を上げました。しかし一瞬振り返るだけで、レジを終えても階段を上がる者はいませんでした。
「香川さん、そんなに面白いでしたか?」
「ああ、酒飲みなら見ておくべきだね。見なきゃ人生の損するね」
「そうですか、どうする?」
三人のうちの二人が悩んでいます。時計を見ると集合時刻まで5分しかありません。ですが5分あればさっと見て廻れます。
「疲れたし」
二入は諦めました。
「僕見て来ます。折角香川さん推薦の資料館を見学しなければ一生後悔します」
階段を駆け上がったのは高卒で今年入社した毛利でした。毛利はやさしい子です。居場所が無い私に常に声を掛けてくれます。『さすが大先輩のアドバイス、勉強になります』が私の前では口癖です。お世辞と分かっていても嬉しい限りです。
私は万年幹事です。この会社には40年勤めていますが役職はありません。事務処理の仕事をしております。算盤とか簿記とか、商業高校を優秀な成績で卒業して、会計処理の仕事をしていました。しかし今はそんなもの全く必要とされなくなりました。子供の時からパソコンをおもちゃ代わりに弄っていた子供達には会計ソフトがあれば私の算盤術も簿記も不要の長物となったのです。当然私にはソフトを駆使することは出来ず、若い孫のような社員の世話役的存在になったのです。
「香川さん、飲み会したいんですけど、どこかいいお店紹介してくれませんか?」
孫のような社員に頼まれても今じゃ不快な気はしなくなりました。
「ああいいよ、どんな飲み会?男だけ、それとも女の子が混じるのかな?」
40年で培った経験が有望な社員の手助けとなるならと割り切るようになりました。残り二年で定年です。それまで若い後輩たちのために幹事に徹するのが私自身の為でもあるのです。
バスの集合時間が過ぎました。バスガイドが何回も往復して人数を数えています。私は幹事ですのでいつも運転席の後ろに席を取っています。
「誰かな、いないのは?隣を見てみて」
私が後ろに声を掛けました。
「毛利君です」
女の声が帰って来ました。
「さっきあいつ、資料館に上がって行きましたよ」
「まだ夢中になってんじゃねえの」
「まったくよ、こっちは買い物早く切り上げて戻って来たのによ」
後ろから不満の声が聞こえてきました。
「ラインしてみろよ」
同僚同士も苛立ちから喧嘩口調になっていました。
「既読になったけど返信は無い。あいつおかしいんじゃねえの。人を待たせておいてよ」
車内は毛利の無責任さで空気が澱んでいます。
「ちょっと、すいません」
私は運転手に一礼して酒蔵に戻りました。
「すいません、うちの社員を見ませんでしたか?」
酒蔵の店員は首を傾げています。
「そうですか、もし見掛けたらすぐにバスに戻るよう伝えてください」
私はバスに戻りラインを送りました。同僚が言っていたように既読になりますが返信はありません。
「香川さん、出発しましょうよ。あいつわざと遅れているんですよ」
「もう五分だけ」
私は運転手に手を合わせました。運転手も苛ついていました。これから渋滞が始まる時刻です。その前に抜けてしまおうと組んだ工程です。五分、十分の遅れが一時間、二時間の遅れに繋がります。運転手の咳払いが聞こえました。発車の催促をしています。
「あのう、到着が18:00を回ると追加料金が発生します。契約書に書いてあります。宜しいでしょうか?」
ガイドが私に確認しました。
「仕方ない。行きましょう」
バスは発車しました。もしかした下痢でトイレから出られないのだろうか?資料館で躓いて転んで怪我をして立ち上がれないのだろうか?そんなことはないだろうと否定しながらも色んな不祥事が頭をよぎりました。
旅行の翌日は日曜日で休みです。毛利に三度ラインしました。すぐに既読になりますが返信はありません。毛利は同僚に迷惑を掛けてしまい返信するのも辛いのではないかと、いい方に解釈しました。明日になれば『すいませんでした』とみんなの前で頭を下げるシーンを望んでいました。そして出勤しました。いつもなら私より早く来て、屋上でストレッチをしています。私は鞄を机に置いてすぐに屋上に行きましたが毛利の姿はありませんでした。そんな日が10日も続きました。
「香川さん、毛利君のこと、何か聞いていませんか?」
課長に呼ばれました。
「すいません、連絡はしているんですが返信が無くて困っています」
「みんなに聞いたらすぐに既読になるそうじゃありませんか、それでいて返信が無いのは無責任か、または何かあったのか。もしかしたら彼のスマホを他の人が持っていることもゼロではありませんよね」
「課長は毛利が犯罪に巻き込まれたとおっしゃるのですか?」
「いや薄いと思いますがその可能性もあるでしょう。そうでなければ無責任も甚だしい。撤退していただくしかない」
「もう少し、待ってやっていただけませんか。お願いです」
毛利がいなくなると私が寂しくなります。同じ高卒で何か親近感があります。それに私を慕ってくれています。資料館に上がったのも私の腹立たしさを汲み取ってくれたからです。私の意地悪だと知っていて、面白くもない資料館にわざわざ見学に行ってくれたのです。
「香川さん、毛利君のご実家にも連絡しなければならなくなります。その前に何とか見つけ出して欲しい。辞めるなら辞める、それは仕方のない事ですが、中途半端なままでは会社も責任を問われます。そうだ香川さん、あの酒蔵に行って、足取りを辿っていただけませんか」
課長は初めから私を酒蔵に行かせるためにわざわざ足を運んだのでしょう。毛利の進退をはっきりさせたかったのです。私が会社に居てもいなくても体勢に影響はありません。私は毛利の自宅アパートに行き、いなければその足で酒蔵に向かうことにしました。
「こんにちは」
ポストにはチラシが詰まっています。居ないと思いながらも声を掛けました。私は彼のアパートの玄関前でライン電話をしました。受話器があげられました。
「毛利君、毛利君だね。私だ、香川だよ。みんな心配してる。家にいるのかい、私は君んちの前にいる。居るなら開けてくれないか」
変な節の歌が微かに聞こえましたが毛利の返事はありません。
「毛利君、毛利君」
隣から夫人が出て来ました。
「毛利さん留守ですよ」
「何か言い残しているんですか?」
「大家さんが確認したから間違いありません。会社の旅行で二日間空けると大家さんに言い残してます。お土産を持ち帰ると大家さんも喜んでいたんです。毛利さんいい人だから大家さんにも好かれていますから。でも十日も戻らないので不審に感じてご実家に許可を得て中に入ったんですよ」
「それ何時の話ですか?」
「昨日です」
私は大家に行き経緯を訊きました。大家は毛利のことを我が子のように心配していました。
「会社で何かあったんですか?あんないい子そうそういませんよ」
大家は毛利の失踪が私のせいであるかのように言いました。
「実家に戻っていることはありませんか?親御さんが隠しているとか」
「ありません。あたしは親御さんに東京のお袋さんと呼ばれています。毛利君も懐いてくれています。それに毎日電話をして確認をしています。親御さんは私に嘘は吐きません。家賃の心配までしてくださって。会社はどうなっているんですか?」
大家に睨まれました。
「すいません」
謝る以外に大家の怒りを鎮めることは出来そうもありませんでした。見つかったら必ず一報を入れると約束して後にしました。そしてあの酒蔵に行きました。
「こんにちは、私は10日前に立ち寄らせていただいたグループの幹事です。その節はお世話になりました」
「こちらこそありがとうございます」
女将は礼を言いながらも何しに来たのかを探っている様子でした。私は実情を話していいかどうか迷いました。女将も営業なのかどうか、私の心中を察しているようで、愛想笑いもぎごちなく感じられます。
「あのう」
「はい」
私の出方を待ちわびていたようです。
「三階の資料館を見学させていただいていいでしょうか。先日見学して虜になってしまいました」
「はあ、どうぞどうぞ」
女将はほっとしたような表情で手を階段に差し向けた。まさか毛利がいるわけがありませんが、何かを感じたならそれを見極めたいと思いました。二階まで上がると歌声が聞こえてきました。歌謡曲でもない、クラシックでもない、どちらかと言えば民謡調。中三階の踊り場まで上がると声がはっきりとしました。
『はあよいさのこら~さ 酒の神様、おなごを嫌う、されど親方いい男~やれさ~のほいさ~ やれどっこいさ~の~こ~らさ~♪』♪
あの壁に歌詞が張り付けてある酒仕込み唄でした。三階に上がり驚きました。酒のラインが動いています。先日来た時は杜氏の人形が三体でしたが四体に増えていました。驚いたのは電動で動いているじゃありませんか。動きはぎごちないが大樽を櫂棒で攪拌しているのは三人の蔵人でしょう。そして櫂入れを見守りながら歌うのは杜氏です。口の動きもぎごちなく、ロボットとしては高性能とは言えませんがそれがまたいい雰囲気を醸し出しています。
『♪はあよいさのこら~さ 酒の神様、おなごを嫌う、されど親方いい男~やれさ~のほいさ~ やれどっこいさ~の~こ~らさ~♪』
杜氏の歌に合わせて蔵人が掛け声を入れます。私も釣られてしまいました。いつまで聞いていても飽きない光景です。私は杜氏のロボットに会釈しました。すると勘違いでしょうが返してくれたような気がしました。
「今日はラインが動いていますね。素晴らしい」
「はあ?ラインですか?」
「ええ、先日は人形と思っていましたがよりリアルに酒蔵体験が出来ました。旅行の時も動かしていただいていたら全員が資料館に足を運んだと思います。実に残念」
「はあ」
女将には私の喜びが通じないようでした。そりゃ毎日観て「いれば飽きるでしょうから、初めての見学者とは感じ方が違うのは当然だと納得しました。
「ところで女将さん、先日旅行の時に、資料館に上がった青年がいたのを覚えていますか?」
私は思い切って聞いてみました。分からなければ仕方ないが、聞かずに帰れば悔いが残るし、課長に子供の使いと笑われるでしょう。
「資料館に見学に上がられたあの若い方ですよね。覚えておりますがどうかされましたか?」
「実は、資料館に上がった切り戻って来ていないんです」
「戻っていないと言うのは会社にですか?」
「ええ、会社にも自宅アパートにも戻っていないんです。あの日からずっと」
女将は首を傾げたが想い出すことは何もない。
「そうですか、それは心配ですね、親御さんもご存知ないんですか?」
「まだ実家に確認した訳ではありませんが、アパートの大家さんが彼の親御さんと懇意にしているので間違いないと思います」
私は女将に礼を言った。序に大吟醸の四合瓶を二本買いました。そして帰り際に、駄目押しで、毛利のラインビデオ電話に掛けました。呼び出しはなります。
「香川さん、どうかされましたか?」
毛利が出ました。私は驚いて喉が詰まりました。
「すいません、休憩終了です。すぐに仕込みの続きですのでまた」
電話を切られました。仕込み中とはどういうことだろう。毛利の電話のバックミュージックはどこかで聞いたような民謡調でした。
「ああっ」
そうです、壁に掛かれた酒仕込み唄です。私は階段を駆け上がりました。
「お客さん」
女将が私の背に声を掛けました。中三階の踊り場まで走ると威勢のいい酒仕込み唄が聞こえます。それもさっきのロボット4体ではなく、大勢の合いの手が入ってます。
『♪はあ よいさ~のこらさ~ どっこいさ~のこ~ら~さ~』
「これは一体」
私は入り口で立ち止まりました。動きはぎごちなくまるでロボットのようですが、表情は気色が良くて、声もその一体一体の口から出ているように感じました。
「女将さん、これは」
女将は腰を抜かしてへたり込みました。
「見学ですか?」
つかつかと近付いて来た一体のロボットが私に言いました。法被に姐さん被りの蔵人です。どこかで見たことがある顔、それに声。
「私ですよ香川さん、毛利ですよ」
姐さん被りを外した毛利が笑いました。
「毛利君、どうして?」
「どうしてもこうしてもありませんよ。あなたが見学しろと仰った。みんなが無視して誰も行かないなら私が行くしかありませんでしょ。毛利さんがカッコ付かないでしょ は~どっこいせ~ こ~ら~せ~」
毛利は私と話しながらも合いの手を入れていました。
「ごめん、悪かった。私は一人だけ見学して、面白くもない資料館に足を踏み入れた。誰かにもその『来なきゃよかった、騙された』と思い知らせたかったんだ。それを毛利君が、気を遣ってくれて見学してくれた。でも、ここまですることはないだろう。さあまだ間に合う。私と一緒に帰ろう。お願いだ」
「いいんですよもう、それに僕が帰ったらこの人達に悪い」
「彼等は誰なんだ?」
「私と同じ思いをした人達ですよ。気遣いで見学をしてそのまま戻れなくなった人達」
「ロボットじゃないのかね?だってあの動きはまるでロボット」
私が見上げるとこっちを見て微笑んだ。
「ロボットに見せかけているんですよ。まだ仕込みの真似事ですから、いずれ製造ラインを動かすことになります。人数も揃ったんです。は~どっこいせ~のこ~らせ」
「そんなことをしてどうするのかね?」
「気遣いを本物にするんですよ。誰かに気遣うことで損をするのはもうこりごりです。ここに見学に来た人たちが、この姿を見て、凄いと驚いて帰る日がもうすぐそこまで来ているんですよ。忙しくなりますよ、女将さん」
女将は腰を抜かしたまま階段を這って下りました。踊り場で毛利が抱え上げました。
「駄目ですよ女将さん、今誰かに言っては、そうだ蔵人たちに女将さんを紹介しましょう。は~どっこいせ~」
毛利は女将を抱え上げて大樽の前で降ろしました。そして女将の周りに輪になりました。
『♪はあよいさのこら~さ 酒の神様、おなごを嫌う、されど親方いい男~やれさ~のほいさ~ やれどっこいさ~の~こ~らさ~♪』
女将の周りを回りながら仕込み唄を歌います。私が逃げようとすると杜氏が笑いながら通せんぼをしました。
「私は関係ない。この仕込み唄のグループに入ることはない。そんな気遣いをしなくていい」
私は杜氏にはっきり言いました。
「それじゃどうして僕に気を遣わせたんだよ」
女将の周りを廻る毛利が大きな声で言いました。
「面白くもない資料館を面白いだなんて人を騙したんだよ香川さんは。誰も階段を上らなければ僕が上るしかないじゃないか。もし僕が上らなければ香川さんが落ち込むじゃないか。それぐらい分かってよ。人に気を遣わせるならそれぐらいの覚悟をしてよ」
毛利が言いました。
「もういい。我等の気遣いは永遠に続くんだ」
杜氏が言いました。シャッターが閉められました。女将はもうショックで意識がありません。私はシャッターに背を預けて逃げ場を失いました。
『♪はあよいさのこら~さ 酒の神様、おなごを嫌う、されど親方いい男~やれさ~のほいさ~ やれどっこいさ~の~こ~らさ~♪』
「はあーどっこさのこらさ」
合いの手を入れないと杜氏に睨まれます。音程の外れた私の合いの手に毛利が笑いました。
了
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