小頭はBL

壺の蓋政五郎

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小頭はBL 11

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「ああ、鉄男が物覚え悪くてふんどしを締められない。それにみんなの前じゃ恥ずかしいからって困っちゃうよ」
 健司が誤魔化した。
「みんな帰るそうです。今回俺が当番だから小頭がまだいるなら最後に鍵をお願いします」
「OK、ヨイサ コラサ、阿部ちゃんありがとう」
 阿部はドアの前で首をひねって戻って行った。
「どうした阿部ちゃん、小頭は何してる?」
 菊池が残っていた。
「それが鍵閉めて神輿の練習してるみたいです。新しい子がふんどしの締め方がどうのこうのって言ってました」
「鍵閉めてるってか?」 
 菊池はピンときた。鉄男の色気に健司が嵌ったと予想した。
「小頭が鍵閉めて帰るそうです。菊池さんも帰ったら、俺も帰ります」
 阿部が鍵をテーブルに置いた。
「俺はもうなんぼかいる、小頭に話があるから」
 阿部を見送った菊池は事務室のドアに耳を当て中の様子を窺った。
「もっと強く押し当ててください、今日はしっかりとふんどしの締め方を覚えて帰りたいんです」
 鉄男は初心者の健司がじれったい。健司は構造すらも分からないから挿し方など論外である。挿そうとすると滑る。
「あっ、あれ、いや押し当てているんだけどな、ここ、ふんどしが緩んでいるとしゃがんだ時に緩んでお尻の穴が見えてしまうからしっかりと締めないといけないんだ。ここ、ここが見えてしまうから」
 擦るだけで健司は堪えられなくなってしまった。鉄男はそれを察した。
「小頭、いいわ、そのまま擦り付けて、そう、そう、その代わり私のモノを握って」
 鉄男は挿入を諦めた。初心者の健司には無理である。ゆっくりと二人で過ごせる部屋で、十分なマッサージをしてからする。そう決めた鉄男は健司の手で果てることにした。
「こうかい?」
 健司は不思議だった。鉄男はどっちが気持ちいいのだろう、鉄男だけではない、アナルに入れてもらうことと、モノをしごくことを同時に受け入れる性が不思議に感じた。自分は男のアナルにぶち込みたい。女にははなから興味がない。
「そう、もっと早く擦って」
「こうかい」
「同時にモノで擦って」
「こうかい」
 ドアを叩く音がした。菊池は聞き耳を立てるのに必死で頭をドアに当ててしまった。
「しっ、誰かいる。ヨイサ コラサ」
「はっはっ、ヨイサ コラサ」
 二人は途中で行為を止めて神輿の練習だと思わせた。残念だが諦めなければならない。健司はふんどしを締めて半纏を羽織る。モノが収まらないので角帯で押さえ付ける。鉄男はズボンを穿いてふんどしをマフラーのように肩に掛けた。
「ヨイサ コラサ ヨイサ コラサ」
 健司が鍵を開けてドアをスライドすると菊池の頭が部屋に飛び込んだ。
「ヨイサ コラサ ほら菊池さんも」
「ヨイサ コラサ 菊池さん、ふんどしありがとうございます」
 鉄男は借りたふんどしを菊池の肩に掛けた。
「ふんどしの締め方をやっと覚えてくれたよ、さあヨイサ コラサ」
 菊池も段々と乗せられていく。
「よ、ヨイサ コラサ、何か違うな」
「ヨイサ コラサ」
 鉄男が菊池を誘う。
「ヨイサ コラサ」
 健司を先頭に公会堂を出た。
「ヨイサ コラサ、それじゃ菊池さん」
 健司が別れの挨拶をする。
「ヨイサ コラサ それじゃ小頭、鉄男君、次回また」
 乗せられた菊池の掛け声が聞こえなくなるまで見送った。
「小頭うちに来てください」
 菊池の掛け声が聞こえなくなると鉄男が言った。健司もその気になっていた。しかしこのまま鉄男と絡んでしまう結末が恐かった。今泉の人達に自分の性壁が知れてしまう。それでも今泉の人達は今まで通りに小頭と慕ってくれるのだろうか、子供達はどうだ、雨の日は交差点で子供等を見守る。「小頭行ってきま~す」と声を掛けてくれるだろうか。
「鉄男君、やっぱり君は勘違いしているようだ。俺は男に興味はない。君のような性がおかしいと言う訳じゃない。ただ俺は君と一回でもそんな関係になってしまえばこのちっぽけな町じゃ生きていけないような気がする。小松組の先代とも約束した。今泉の頭になれとね。俺はその道を進む」
 健司はバンに乗り込んだ。
「嘘吐き、小頭の嘘吐き」
 鉄男が健司を睨んだ。
「私は男の人が好き、好きで好きで遊ばれたことも何度もあった。でも鎌倉に来て、もう性欲で男と寝ないと誓ったの。最初は意味不明な般若心経も読経していると何となく感じるものがあって性欲を抑えられた。でも好きな人が出来たらおもいきり抱き締めて欲しいの。それは神様も許してくれると思うの。それが小頭なの」
 鉄男の正直な気持ちである。健司は鉄男が遊ばれていたと言う話に驚いた。年下の女みたいな男の子が男と絡んでいた。遊ばれたと言う表現は一度や二度ではない。さっきふんどしの締め方を教えている時もリードされていたような気がする。自分は突っ込み方も知らない所謂童貞である。思い出すとまた膨れ上がった。
「鉄男」
「はい、小頭」
 鉄男は運転席から立ち上がる健司のモノが飛び出しているのを見て嬉しかった。
「俺は今泉の小頭だよ。鉄男を構っている暇はないんだ」
 バンに乗り込みエンジンを掛けた。バックで駐車場を出て走り去った。鉄男が水溜りに映る半月を蹴飛ばした。
「さあ何時まで寝てるんだ、さっさと起きろ」
 健司が寝坊している康介の部屋をノックした。寝ぼけ眼で康介が出て来た。
「小頭は聞いていないんですか?」
「何を?」
「入って下さい」
 康介の部屋に入る。康介はブリーフ一枚で寝ている。そのブリーフから朝立ちのモノが飛び出している。健司は反応してしまった。
「すいません一発いいですか、朝は一発しないとすっきりしなくて。二分で終わりますから」
 健司に有無を言わせぬ間に始まった。
「仕方ねえ、俺も付き合うか、弟子のお前ひとりに恥かかせちゃ小頭の名が廃る」
 昨夜鉄男とやり損なった性欲が収まり切れない。そして今目の前に康介のモノを見て我慢が出来なかった。
「ありがとうございます。小頭とはもう他人の関係じゃないような気がします。橘樹邸の帰り、置き場の下小屋の中、決定的なのが安寿様の悪霊祓い、小頭に対して羞恥心がなくなりました。いつでもどこでもOKって感じです」
「そんなことはいいから早く始めろ」
「はい、僕のおかずはこれです」
 押し入れの布団の下から取り出した一冊の写真集、売れっ子アイドルの水着姿が表紙である。
「これで感じるのか?」
「ええ、この子がデビューした時からファンなんです。特にこの一枚」
 康介がそのページを捲ると粘って張り付いている。
「小頭のおかずは何ですか?」
 健司は返答に困った。康介の尻穴が見たいが疑われる。
「俺は恥ずかしいからお前の後ろでやるよ。康介の尻穴を橘樹夫人に被せるから見せて欲しい」
「はい、こんな感じでいいですか」
 康介が横向きに寝て片足をテーブルに載せた。写真集をモノのすぐ下に置いて始める。健司は康介と同じ姿勢で横になった。康介は夢中になって行為に励む。健司は康介の尻穴にモノが触れるほどに近付けてしごいている。
「こ、小頭、俺、もう直です。小頭は?」
「お前の尻穴が段々橘樹夫人の尻穴に見えて来た。でも触れないとなかなか想像が到達しない」
 どうしても触れて発射したい健司が言った。
「いいですよ、触れてください、ああっ」
「そうか、それならこれぐらいでどうだ」
 健司が腰を突き出すと触れた。
「ああっ」
「俺もだ」
 康介は写真集に、健司は康介の尻穴に飛ばしてしまった。
「凄い量いですね」
 康介が拭きながら囃した。
「わりい、わりい、完全に橘樹夫人と一致したから感じてしまったんだ」
 健司が誤魔化して照れた。
「それで大事な話って何だ?」
 モノをしまいながら健司が訊いた。
「はい、小松組を解散するらしいです」
「誰がそんなデマを?」
「後藤さんから昨夜聞きました。頭から直接聞いたそうです。だから僕にも実家に戻る支度をしろって」
 健司は信用しなかった。そんな大事な話なら先ず自分に相談するだろう。
「後藤さんは酔ってお前を脅かすつもりで言ったんだろう。今頃忘れているよ」
「いえ、今日朝一、頭と話があると小頭が来る前に食堂に行きました」
 健司は飛び出した。食堂に入ると四人が向かい合って難しい顔をしている。頭の晃と晶子、尚子と後藤が同じ長椅子に座り向かい合っている。健司は康介の話が事実であると直感した。
「頭、どういうことです?」
 健司が隣のテーブルに着いた。
「聞いたのかな?」
「康介から聞きました」
「そうか、それなら話が早い。小頭には黙って進めようと考えていた。それは傷つけたくないからだ」
 晃が言うと尚子が泣き出した。
「尚子さん、どうしました?」
 健司が心配すると尚子はテーブルに顔を伏せた。
「小松組を解散する理由は二つある。もうこのまま続けていても展望は開けない。近いうちに立ち行かなる。まだうちに余裕があるうちに辞めたい」
「それなら俺に跡目をください。先代と約束しました。ハナから大きな事業を展開するつもりはありません。贅沢しなくても食うだけでいいんです。今泉の頭になって町の人達と盛り上げていく」
 健司が言い放った。
「二つ目がある。それは小頭のことだ。俺から言わなくても思い当たるだろう。尚子姉ちゃんをいつまでも独りにしておくわけにもいかない」
 尚子が表に飛び出した。
「尚子」 
 晶子が追い掛ける。健司は晃の言っている意味を考えた。もしかしたら自分の性壁だろうか。いや、尚子と所帯を持たせる作戦としてこんな芝居をしているのかもしれない。いい方に考えたくなる。きっとそうに違いない。
「尚子さんとには近いうちに話をする。だから二つとも廃業の理由にはならない」
 苦しいが健司が答えた。
「小頭、もう無理だよ。女遊びをしたことがない、彼女がいるような時期は小松組に来てから一度もない。それに安寿様の誘いを断った。昨夜はコンビニの子とどこで何をしていたんだ。帰宅したのは深夜だったと後藤さんから聞いている。あの子はおかまらしいね。小頭の正体はバレてんだよ」
 晃は健司が言い訳出来ないようにまくし立てた。
「女遊びが頭や後藤さんのように達者ならいいんですか?彼女が出来る出来ないは器量と運がある。俺には器量も運もないだけだ。安寿様の件は俺には不適当と感じたから断ったが姐さんに組のためにと諭されて続けている。コンビニの鉄男とは長話をしていただけです。頭、噂は聞いています。住建の柴田さんに煽てられて騙されていないかと工務店の棟梁から注意するよう言われました。まさかとは思いますがそうなんですか?だったら止めた方がいい、あの人を良く言う人は一人もいない」
 健司も耳にしていたが晃が急な廃業を言い出したのは柴田の入れ知恵じゃないかと思った。
「工務店てどこの棟梁から聞いたの?」
「それは口が裂けても言えない。迷惑が掛かる」
「柴田さんの魅力を分かっていないんだ、あの人の裁量は凄い。それに俺を買ってくれている。俺はあの人に付いていくよ。このまま小松組で町とびを続けるつもりはない」
 晃は健司の思いを突っぱねた。
「後藤さんと梨田さん、それに康介はどうするんですか?」
「それは小頭に心配はかけない、既に手配している。人のことより自分のことを心配したらどうだ、噂が知れたら村八分になるぞ。今のうちに今泉を出て行った方がいいと思う」
 健司は性癖を隠すことは出来ないと諦めた。嘘を吐き通して生きていくのはさすがにつらい。それでもここで打ち明けることは出来ない。 
  
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