助監督はBL

壺の蓋政五郎

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助監督はBL 終

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「よし弥生その調子だ」
 監督が弥生の肩を揉み出した。
「でも弥生ちゃん、股間から汁が飛んでいるけど何か細工しているの」
 坂上が訊いた。
「さすが助監督、気付きましたか。実はこれを入れているんです」
 弥生がユニフォームを下げて尻を突き出した。
「あたしの手はロージンで粉っぽいから助監督、抜いてもらえます」
 坂上が弥生の股間に顔を近付けた。ゴムを引っ張ると短い紐が飛び出ている。
「紐があるでしょ。それを引っ張ってください」
 坂上は言われたように紐を引っ張った。
「ゆっくりね~」
 弥生が感じている。取り出したのは小型のバイブレターである。バイブと一緒に蜜が滴り落ちる。
「おう、もったいない」
 監督がアイスキャンディみたいにバイブをしゃぶった。
「監督私のバッグを持って来てください」
 弥生はバックからもう一回り太いバイブを出した。
「助監督、今度はこれを入れてください」
「入れるよ」
 ゆっくりと出し入れしながら押し込めた。そして筋パンのゴムを戻すと抜け止めになる。
「一回投球が終わるごとに大きくしていきます。風向きはマウンドから相手のベンチに吹いています」
「分かった、弥生ちゃんの作戦が、フェロモン匂いプンプンさせて骨抜きにしようとしているんでしょ?」
「ピンポン、タンポン」

『さすが爆竹ボンバーズのエース花形は三人を空振り三振に打ち取りました。どうやら投手戦になりそうですね田淵さん』
『そうですね、本格派と本筋派、見逃せない試合になりますよ』
『そうですね、青田さん、ファーマーズのバッティングはどうでしょうか?』
『問題はそこですね、四番の植木選手はトレードされたばかりですが打率王を取得した一流選手ですね。弱輩チーム立て直しに呼ばれた言わば助っ人ですからね、どこまで身を入れて出来るかどうかですね。また弥生投手がいくら筋見せでかく乱しても点が取れなけりゃ勝ちはありませんからね。それにボンバーズの打線がいつまでも筋に気を取られているとは限りませんよ。一発があるかもしれません』
『一発とはまさか筋狙いですか?』

 二回は四番の植木からである。ピッチャーの花形とは以前からライバル関係にあった。
「おい植木、こんなへっぽこチームに入って自分の価値を下げるつもりか」
 花形がマウンドを降りて植木に言った。
「花形、余計な心配をするな。へっぽこチームに負けたら引退だな」
 植木が言い返した。ツーストライクと追い込まれた三球目だった。バットを短く持ち替えてライト方向にライナーが飛んだ。ファーストの頭を抜いてライトがボールを追うが二塁打となった。

『二回の裏ファーマーズに初ヒットが出ました。植木は名門校から強豪チーム、そしてこのファーマーズに移籍して掲げる先ずは一勝の立役者となれるでしょうか。さあ5番は一発がある櫻島です。一発か三振の二択で生きる男櫻島、さあ故郷桜島のごとく猛々しく噴石を飛ばすことが出来るでしょうか』
『花形君は植木君に挑発されて冷静さを失っていますからね。高めに来たら危ないですよ』

「フレッフレッ花形、いいぞいいぞ花形」
 セットアップに入った敵である花形に向けて弥生がエールを送る。その姿態は花形の煩悩を揺さぶるには余りある姿であった。股を広げ筋のゴムを脇にずらしてパックンパックン押し開きをしている。花形はセットアップから投球に入れない。それどころか股間が膨らんできた。
「我慢しないいいよ、そこで一発コクのもいいあるよ」
 黄がヤジを入れた。股間にグラブを当てている。
「タイム」
 ボンバーズの監督がタイムを入れた。
「どうした花形?」
「あれを見てこれがこうなりました」
 股間の膨らみを見せた。
「こりゃまずいな、元通りにするには何分かかる?」
「元に戻ってもアレを見せられたら堂々巡りです。一発抜いて来ます」
「おい花形、おかずは」
「何とかします」
 花形はロッカールームに駆け込んだ。掃除のおばさんがいた。
「おばさん、悪いがチームのために俺の願いを聞いてくれ」
「なんだい、あたしに出来ることがありゃ遠慮なく言いなよ」
 姐さんかむりを外すと皺の深い顔はおやじに見えた。
「後ろ向いてくれるか」
「こうかい?」
「ズボンを下げてくれるかい」
「こうかい?」
 パンツは綿の分厚い生地でほつれている。花形は目を瞑り掃除のおばさんのアソコに突っ込んだ。
「うっ、何十年ぶりかねえ、若い衆のモノを咥え込むのは。不思議だねえ、カラッカラに乾いていたアソコがいくらか湿っぽくなるんだねえ、女は死ぬまで女だと言うが本当だねえ、お兄ちゃん」
 花形はおばさんの話は気にせず腰振りに集中した。脳が性欲を刺激する前に摩擦でイッてしまうつもりである。しかし無理があった。腰を振れば振るほど萎えてくるのはおばさんの尻が強烈な臭いを発しているからである。
「駄目だ」
 花形が腰振りを辞めた。
「しゃぶってやっか?」
 おばさんが入れ歯を外した。完全に萎えてしまった。これならこれでいいとマウンドに戻った。
「おっ、すっきりしたな花形」
 監督が声を掛けた。
「プレーボール」

『さあ試合再開です。花形投手、どうしたんでしょうねえ田淵さん』
『筋見せのパックンチョでおったちのビンビンだったんじゃないでしょうか』
『よく分かりませんが青田さんは花形のタイムをどうしてだと思いますか?』
『田淵さんの説明ではみなさんに通じませんね。筋開き陰毛かいかい目にして漏らさず。おケツに入らずんば筋を得ず。ですね』
『さあよく分かりませんが花形投手投球フォームに入りました。投げました。あっ、暴投です、なんとベンチで応援する弥生選手の筋に直撃しました。あれ、ボールが見当たりませんね。キャッチが探しています。
「ここよ」
 弥生が股間を広げた。ボールが筋を真っ二つに割って挟まっていた。
「い、いいんですか取らせてもらって?」
「いいわよ、その代わりあたしが塁に出てもセカンドに投げないでね」
「分かりました。ゆっくり盗塁してください。それじゃ失礼して」
 キャッチは弥生の筋に嵌ったボールを握った。少し回してみた。蜜が垂れて来た。
「いただきます」
 キャッチがそれを舐めだした。
「退場」
 アンパイヤがキャッチに退場を命じた。

『これは田淵さん、どう言うことでしょうか?』
『筋ナメナメの蜜ダラダラで玉グジュグジュしてからの竿バキバキでしたからね。これじゃさすがに退場も仕方ないでしょう』
『青田さんはいかがでしょうか?』
『沙羅双樹の筋の色、盛者必衰の理をあらわす。この試合分からなくなりましたよ』

 そして両チーム無得点のまま9回の攻防を残すのみとなった。ボンバーズはクリーンアップである。弥生の股間に埋まるバイブレターは回を重ねるごとに太くしている。蜜は垂れてフェロモンを発するが自分でも感じてしまい腰の切れが悪くなってきた。
「弥生、だいじょぶあるか?」
 キャッチの黄がマウンドに寄った。
「あううん、だ、大丈夫よ。この三人打ち取って、ああ、うううん、裏の攻撃で一点を捥ぎ取りましょう、おおっううっあああん」
「タイムしてバイブを取り替えるあるよ、もう少し細いでもだいじょぶあるよ」
「駄目よ、おおううっううん。あたしの蜜の匂いが、ああっううええん、敵のベンチにそよいでいるでしょ」
 ボンバーズのベンチは弥生の姿態からのフェロモンでメロメロになっていた。中にはユニフォームの上からしごいている選手もいる。

『さあ、最終回の攻防となりました。先行のボンバーズ、得点を挙げることが出来るでしょうか。弥生投手、振りかぶった、蜜を飛ばした、フェロモンが風になびく、ああ、どうしたんでしょう、投げずに股間に手を当ててしまった。ボーク、アンパイヤがボークを宣言しました。先頭バッターが塁に出ました。さあ、続く4番は昨年のホームラン王です。それにしても弥生投手どうしたんでしょうか田淵さん、股間を押さえ込むようにふらふらと前のめりになりましたが』
『アレじゃないですか、蜜が溢れてジュバジュバでその汁がタレタレのジュクジュクでドバドバのガバガバの可能性がありますね』
『あっ、田淵さん、放送席でしごくのは止めてください、あっ青田さんも、お二人共常識というものがないんですか、いくら弥生投手のフェロモンが香るからと言って、放送席でしごくのは非常識です』
『常識か非常識かは数で決まるもんです。あなたもしごけば常識になりますよ』
『そう言うもんですかね』
『そう言うもんです』
『それじゃお言葉に甘えて。さっきから股間が突っ張って毛が挟まって痛くて我慢していたんです』
『そうです、それじゃ三人に一緒にしごきましょう。そうそう、イクときは一緒ですよ』

 キャッチの黄が心配でマウンドに駆け寄った。
「弥生、やっぱり細いのに取り替えるあるよ」
「駄目よ、この太さと長さがなければフェロモンは出せない。黄さんお願い、バイブが回ってしまし抜けかけて来たから直したいの。抜くときに蜜があふれ出ちゃうから瞬時に黄さんのモノで塞いで欲しいの」
「ここでか?」
「ええ、時間がないわ」
「そうだ、それなら一ノ瀬のデカマラ使うあるよ。あいつのなら身体を密着させなくても届くあるよ、観客から見えないあるね」
 一ノ瀬を手招きした。事情を説明するとすぐに承諾した。
「僕が後ろから肩を叩く。その時に入れ替えましょう。その前に弥生さんのアソコを拝ませてください」
「これでどう?」
 ぱっくりと割れた筋からあそこまでが丸見えになる。一ノ瀬のモノがみるみる成長する。二人の身体は50センチも離れているのにモノだけがするすると伸びて弥生の股間に触れた。
「よし、弥生ちゃん抜くよ」
 黄が紐を掴んで極太バイブを抜いた。蜜が溢れる切なに一ノ瀬のモノが突き刺さる。
「うっ、バイブより太い、いいわあああ~ん」
 弥生は感じてしまった。
「プレイボール」
 マウンドの集まりが長いので主審が催促の合図を掛けた。
「一ノ瀬君、そのまま腰を振って」
 一ノ瀬は腰を振る。観客からはアキレス腱を延ばしている仕草に写る。
「イクよ」
「俺も」
 イッた瞬間モノとバイブを入れ替えた。一ノ瀬は自分モノを抱きかかえて守備に戻った。

『さあ、再開です。一ノ瀬選手は何かを抱えていますね』
『竿じゃありませんか、仕舞い切れずに前に抱きかかえているんですよ。弥生投手のあの仕草を見れば竿や竿竹でしょう』
『相当な大モノですね、青田さんもデカイと噂ですけど一ノ瀬選手のモノと比較されてどうですか?』
『川下の赤バット、大友の青バット、青田の茶バットと三バットと騒がれましたからね。一ノ瀬君のモノは立派だが迫力に掛けますね。まだ若い』

 ボンバーズの四番打者は昨年度のホームラン王である。モノも立派でおっ勃っている。それが黄捕手の視覚を邪魔している。
「それ見えないあるよ」
 黄がバッターに注意する。
「仕方ないだろう自然現象だ」
 バットを振るとモノも震える。
「アンパイア、あれ邪魔あるよ、ボールが見えないあるね」
 黄が立ち上がり主審に呼び掛けた。
「生理現象だ、お宅のピッチが挑発するからこういうことになる」
 そう言う主審のモノも勃っている。

『弥生投手ふら付きながらも投球フォームに入りました。股間から紐が見えています。その紐を伝い蜜が渇いたマウンドに染み込みます。汗と血と涙と蜜に塗れた実業団野球、素晴らしいですね田淵さん』
『これぞ野球の殿堂入り、いや電動入りですかね』
『うまいこと言いますね、それにしても主審も塁審もみんな勃っていますね』
『放送席、放送席、こちらアルペン』
『アルペンどうぞ』
『それがですね勃っているのは選手やアンパイヤだけではないようです。客席応援団もコキ始めました。ちょっとインタビューしてみましょう。どうですか?やはりおかずは弥生投手の筋ですか?あっ飛ばしました、私の質問は耳に入らないようです』
『盛り上がっているようですね青田さん、青田さん』
「いや失礼、ティッシュペーパーが張り付いちゃって取っていたんですがめり込んじゃいました。どうしましょう』

 弥生の手からボールが離れた。超スルーボールである。一塁ランナーが走る。二塁を蹴って三塁まで進んだ。
「ストライク」
 バッターのモノを超えてど真ん中に入った。
「ナイススワッピング」
 サードの吉岡が声を掛ける。そして二球目を投げた。バッターのモノに当たった。
「デッドボール、バッター一塁」
 主審が一塁を指差した。
「タイム」
 助監督の坂上が抗議に走る。
「デッドボールはおかしいでしょ、バッターのモノは正常じゃない。これがデッドボールなら誰でも勃たせてボックスに入りますよ」
「それは違う、それじゃ腹の出っ張り引っ込みで当たってもデッドボールにならない理屈だ」
 敵の監督に一理ある。そしてその作戦でデッドボールが三人続いてボンバーズが1点を先取した。7番打者は粗チンで届かず空振り三振となった。そして9回裏ファーマーズの攻撃である。
「みんな集まれ」
 監督が円陣を組ませた。
「打順は植木からだ。植木には何も言わん、頼む打ってくれ」
 植木は気合を入れて頷いた。
「植木が塁に出れば盗塁も成功するだろう、次は南だ。南頼む、パンツ脱いでくれ」
 監督が南に頭を下げた。
「どういうことですか?」
「弥生の次はお前のフェロモンでメロメロにして欲しい」
「分かりました、ピッチャーをメロメロにします。ちょっと着替えて来ます」
 南はダッグアウトに下がった。
「問題はその後だ、引き分けじゃ勝利にならん。いい策はないか」
「あります」
 坂上は手を上げた。
「南さんの次は一ノ瀬君です。その次に僕を代打に出してください。門外不出の作戦があります」
「まさかアレを出すのか?」
 植木が声を上げた。
「プレイボール」 
 主審の声が上がった。
「一ノ瀬さん、作戦があります。ロッカールームまで来てください。急ぎます」
 二人はロッカールームに走った。
「一ノ瀬君、作戦を告げます。敵は優勝候補であのピッチャーは大会ナンバーワンの実力があります。残念ですが僕も一ノ瀬君も真っ向勝負じゃ打てません」
「それでどうするんですか?」
 坂上は作戦を指示した。

 植木がバッターボックスに入った。
「花形、優勝候補のお前には悪いがここで帰ってもらう」
 植木が挑発する。
「おい植木、俺はお前の秘密を知っているぞ」
「何だもったいぶらずに言ってみろ」
「おまえがこっちだってことだよ」
 花形がグローブの裏を左頬に当てた。植木は動揺した。
「お前には分からんだろう。俺達マイノリティの気持なんか」
「分かるかよ、ああ気持ち悪い、尻穴にボールを突っ込んでやろうか」
「お前はそこまでの男だ、さあ来い」
 花形が振りかぶった。ツウーストライクツーボール。
『神様、俺に力を与えてください』植木が胸に手を当てた。
「神頼みか?神頼みは負を認めた証拠だ」
 花形が投げた。
「違う、正義を貫く約束だ」
 打った。センターを超えてフェンスに当たる。植木は2塁まで進んだ。

『南選手のユニフォームに観客がどよめいています。シースルーですね、バットを股に挟んでスリスリしています。素振りをするとフェロモンが風に乗りマウンドの花形投手にふりかかりました。あれはたまらんでしょう田淵さん?田淵さん、田淵さん、二回戦ですか?』
『ここでコカなきゃどこでコク』
『それじゃあたしもひとつ抜かせていただきましょうか、よっこらせっと』
『青田さんもですか、それじゃ私もやるしかありませんね。どっこいせいのせっと』

 南は腰を引いてキャッチーミットのすぐ前まで尻を突き出した。キャッチャーは南の尻穴に釘付けである。アンパイヤも姿勢を下げている。花形が投げた。ワンバウンドでアンパイヤの面に当たった。南は振り逃げをした。キャッチャーはボールを見失った。その間に南は2塁まで進んだ。植木は3塁に滑り込んだ。
『6番ファースト一ノ瀬』
「さあ一ノ瀬君、アナウンスされたよ。出番だ」
 一ノ瀬はブルペンから出て行った。

『あれ、一ノ瀬選手はバントのようですね、バッターボックスに入る前からバントの構えをしています。グリップエンドを股間に当て、ヘッド部に右手をあてがっています。それにしても短いバットですね、それに一回り細い。ヘッドを押さえる右手が小刻みに上下運動していますがどういう意味があるのでしょうか田淵さん』
『ピッチャーを惑わすつもりでしょう。ほら目の前に蝿が飛んでいれば気になって集中出来ませんよね、その効果を狙っているんだと思いますよ』
『青田さんはこのバント作戦、どう思いますか、ここは犠牲フライが妥当だと思いますが、青田さん、青田さん、また紙が挟まっちゃったんですか?だからトイレットペーパーで拭き取っちゃ駄目なんですよ』
『ついやっちゃうんだ。それで女房に怒られる』

 坂上が一ノ瀬に伝授した作戦はモノでバントすることである。坂上も一ノ瀬も特大モノを持ち合わせている。バットよりは短いし太さも足りないが、バントの体勢で身体を前傾すれば目立たない。モノにはメーカーのロゴを手書きで入れた。黄色のスプレーでバットらしく変色した。問題は持久力である。ずっとマックスの状態を維持しなければならない。だからヘッドを握る右手はたえずしごいている。花形が投げた。直球150キロの剛速球。坂上に直球は見逃すように指示された。まともに受けるとカリ部で折れるかもしれないと脅かされた。一ノ瀬はマックスを維持するために右手の動きを早くした。セカンドにいる南が股を開いてピッチャーの花形をヤジる。セットポジションで南の股間が目に入ってしまった。力が抜けてへなちょこボールになった。ワンバウンドツーバウンドで一ノ瀬の前に転がって来た。一ノ瀬はこれぞ狙い球とモノに当てた。

『載せました、バットの上にボールを乗せて走りました』
『染の助、染太郎も顔負けですね』
『いつもより長く乗せているんじゃありませんか』

 一ノ瀬は一塁を掛け抜けた。その間にサードランナーがホームイン。ボンバーズが一点を返した。

『監督が出て来ました。代打です、代打は植木と同期の坂上ですね。ワンアウト1,3塁、一打逆転サヨナラの大ピンチです。今大会ナンバーワンの呼び声が高い花形投手最大のピンチ。田淵さん、坂上選手は高校大学実業団とあまり成績を残していませんが代打はどういうことでしょうか?』
『ファーマーズに移籍する前ですが坂上選手がさよならスクイズを決めたことがありますね。もしかしたらそれに賭けているんじゃないでしょうか。真っ向勝負では到底打ち倒すことは出来ませんからね』
『でもスクイズもリスクが高いですね、ゲッツー喰らうかもしれませんよ青田さん?』
『しかし南選手の筋は見事ですね』
『青田さん、駄目だこりゃ』

 坂上がブルペンを出た。モノは真上に聳え立っている。根元で握り素振りをしている。
「坂上、今夜愛し合おうぜ。お前のモノを受け止めてやる」
 植木が坂上に声を掛けた。
「ありがとう、ほら増々固くなったよ」
「どれ」
 植木がモノの先を擦った。
「ああっ」
「我慢しろ、勝ってからだ」
 坂上がバッターボックスに入った。

『スクイズでしょうか或いはヒッティングか、坂上選手はグリップエンドを股間にめり込ませて握っています。バットを回しました。ヘッドに傷のような線が見えますが折れているんじゃありませんか』
 カリの皮が弛んでいる。
『ストライク、この試合一の剛速球です』
 坂上の狙いは剛速球である。カリで受けて弾き返す。変化球では打球が死んで三塁の南が生還出来ない。二球目も剛速球である。
「ほら、坂上、バントもヒッティングをも出来ないだろう。お前は植木とはめ合ってせいぜい楽しむんだな」
 花形が坂上を小ばかにした。
「坂上、あんな奴の話を聞くな。俺達の愛は永遠だ。誰に遠慮がいるものか、俺達仲間のためにも頑張ろうぜ、その礎となろうぜ」
 植木が恥も外聞もなく二人の関係を明かした。坂上のモノは植木に勇気をもらい更に太さと硬さを増した。花形が三球目を投げた。坂上が振った。

『坂上選手、ヒッティングです、ファウル、ファウルになりました。ここでタイムを掛けました。どうしたんですかね、坂上選手が唸っていますね』

 カリの皮を擦って血が滲んでいる。
「監督、俺が行きます」
 監督に代わり植木が坂上に寄った。
「大丈夫か、もういい、お前はよくやった。ここまでやれば神様は分かってくれるさ。三振しろ、限界だ」
 植木はモノを舐めた。観客からはバットの先を舐めているように見える。
「いや植木、俺やるよ。ここで挫けちゃ俺達の世界は開けない。いつもそうだった。モノが折れても俺を捨てないでくれよ植木」
「ばか野郎、俺がお前を捨てるかよ。お前の尻穴に叶う穴が他にあるかよ。お前がその気なら死ぬ気でやれ、お前のモノ骨は俺が拾う」
 二人は契りあった。四球目もファウルになった。

『田淵さん、粘りますね坂上選手、あれ、バットの先が赤くなっていますがどうしたんでしょうか?』
『まさか川下さんの赤バットを真似したんじゃないでしょうね』

 もう後がない。坂上は次の球に全神経を集中する。花形がモーションに入る。植木が南に走るようサインを出す。南が走る。球が手から離れた。剛速球がど真ん中に入る。内野が前進する。坂上は握ったモノを水平に倒した。ヘッドをしっかり握り球を捉えた。『グゴッ』と鈍い音がして球は前進してきたファーストの上を超えて落ちた。坂上は滑り込む。ホームは間に合わない。南がホームベースの上にしゃがんだ。ライトが一塁に入る。花形が素手で掴んでファーストに投げる。坂上と野手が当たる。坂上が倒れた。野手のグラブからボールが落ちた。
『セーフ』
 一塁塁審が声を上げた。ファーマーズナインが坂上に駆け寄る。うつ伏せに倒れている坂上を植木が抱え起こす。モノは萎んでユニフォームに収まっていた。花形が近付いて来た。
「俺のヤジ許してくれ。二人の愛にエールを送る」
 手を伸ばした。植木ががっちり握り返した。
「坂上、さあ行こう」
 立ち上がると観客席から拍手が湧いた。
「これで終わりじゃない。これから始まるんだ。俺達の地位を上げて行こうぜ」
 植木が坂上をハグした。
「やばい」
「どうした?」
「植木のやさしい声でまた勃ってきた」
「我慢しろ、みんなが見ているぞ。あれがモノだとバレたら失格だ」
「そんなこと言っても生理現象だよ」
 みるみるマックスになって行く。
「よし写真撮影が始まる。バントの構えで誤魔化せ」
 カメラマンが坂上の前に集まった。坂上はモノをバットにしてバントの構えで写真に納まった。その記念写真はファーマーズの社長室に永遠に飾られた。



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