レディブラスト 〜The Young Justice〜

橘樹太郎

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第16話:英雄を訪ねて

16-7:人ならざる友

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 その次に着いた部屋は遺跡の様な所で、どう見ても映画の撮影スタジオに迷い込んだみたいだった。

「何・・・・・・ここ?」

「おや、ここに侵入者獲物が迷い込むとは」

「誰・・・・・・!?」

 後ろを振り向くが誰も居らず、私が辺りを落ち着きなく見渡していると───

「ご主人を追ってきたのだろうが、妾を倒さぬ限り、彼には会えぬぞ」

 その言葉の後に、私のところが急に暗くなる。そしてシュルシュルという"蛇特有の音"が背後で聴こえ、振り返ってみると───

 それは大蛇だった。それも映画に出てくる長さの。
 黒、緑、黄といった三色の模様に、宝石の様なに美しく、そして妖しい琥珀色の瞳───全長はどのぐらいあるかは分からないが、10メートル近くの長さである事は明確だった。

「先に自己紹介をしよう、妾は"姫夜叉ヒメヤシャ"。
ご主人の盟友ともだ」

 私は、蛇に睨まれた蛙のようにその場から動けなくなってしまう。喋る蛇自体は、今までの戦いを通してそこまで驚きはしないが、背筋が凍りつき、石になったように身動きが取れなくなっていた。

「しかし、今度の獲物は小娘か。
私に食べられて恐怖と快楽に溺れながら栄養となるが良い」

 私は死の危険を察知し、何とかその場から脱する。しかし、姫夜叉はその巨軀からだに似合わず、素早い動きで追い詰めてきた。

 サウンドブラストを放とうにも、狙いが定まらず、遂には尾で床に叩き付けられた。

 床に拳を付いて立ちあがろうとした瞬間、周りに蛇の体が私を囲んでおり、そのまま巻き付かれた。

 締め付けられる私は痛みに叫び、姫夜叉は笑った。

「女子供は痛め付けずに食べるものだが、まぁ良い。抵抗をしたお主が悪いのだからな」

 私は身体にエネルギーを溜めてこの窮地から脱しようとするが、力が入らなくなっていた。

「足掻いても無駄だぞ、妾の身体に触れた異能力者は能力を失うのだからな」

 そう言われても信じられず、そのまま頑張っていたが、私の近くには彼女の口内が広がっていた。

 牙は無く、甘い匂いが私の身体を包み込む。そして、頭から一瞬で食べられ、大蛇が自身の頭を上へ向けると、私はそのまま奥へと呑み込まれてしまった。


 蛇の体内は狭く、身動きなど取れない。甘い匂いが私の意識を失くそうとするが、閉所への恐怖が私を追い詰め始め、パニックを起こし始めた。

 腕を動かす事もままならない。
徐々に狭くなっていく肉壁は、私の体全体を圧迫し始めていた。

 パニックになり、泣き出す私は徐々に酸素を無くしていき、逆に苦しむ状況を作ってしまった。

 ───もうどうする事もできない。
私が虚ろな気持ちで消化されるのを待っていると、今まで包み込む様に迫っていた肉壁が急に引っ込み始めた。

 その後、私は後ろへと滑り落ちていき、そのまま体内から吐き出された。


 ネバネバした粘液まみれになりながらも光へ引き戻された私の近くには、キャプテンが跪いていた。

 どうやら彼も戦っている途中だったようで、恐らくあのロボットは倒したようだった。

「こ、このおっ・・・・・・!!
わ、妾を狩りを邪魔しおってぇ・・・・・・!!」

 激昂する姫夜叉は、私を再び食べようとするが、私は左腕にチャージする。そして、お返しと言わんばかりに大蛇の顎下へ向かい、拳を顎に突き上げた。

 アッパーで宙へ突き上げられた姫夜叉は、天井へとぶつかり、その反動で床へと戻る。しかし、私は追い討ちを掛けるように頭上へ踵を振り下ろし、彼女は強い衝撃で落ちていった。

 姫夜叉は地面でピクピクと体を痙攣させた後、口から泡を出してそのまま動かなくなった。


 私は立ち上がったキャプテンの元へ駆け寄った。

「大丈夫ですか?」

「ああ・・・・・・連戦はこの歳なるときっついな」

「あの、"2度"も助けて頂きありがとうございます」

「2度? 2度目は何だ?」

「えっ、アダムさ───違った。
キャプテンが私をあの蛇から吐き出させたんじゃないんですか?」

「いや・・・・・・あの蛇は途中で苦しみ始めてな。"誰か"の気配を感じてる様な物言いだったが・・・・・・」

「誰かの・・・・・・?」

 そんな話をしていると、室内に放送が入る。その声は2人の知る忌まわしき渋い声だった。
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