少年王と時空の扉

みっち~6画

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12 力の限り走りぬけ②

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 ごう音が、隼斗のすぐ横をすり抜けていった。
 砂地が盛り上がり、隼斗の体を散々に揺らす。金切り声が辺りにこだまし、猫みたいに小さくなってやり過ごした隼斗は、大量の砂をかぶった。
 はいつくばったままのかっこうで、必死に前に進んでいくと、がくり、と上半身が折れ曲がった。
 うっ、と最初に上げた声のあとは、叫ぶ余裕もなく体が回転する。砂丘のてっぺんから、向こう側に転げ落ちたのだ、と知ったのは底まで落ちて空を仰いだときだった。
 風の流れのままに出来上がった砂丘は高く、サンドワームも家族の姿も見ることができない。
「父さん、母さん……姉ちゃん?」
 何事か考える余裕もなく、隼斗の意識はしだいにぼやりと、消えた。


 ――これは、金だな。
 耳元で、だれかの声がする。
(違うよ)
 夢見心地のまま、隼斗は反論した。
 ――ならば、価値のないものか?
(そんなわけない)
 ある、あるよ、と口の中で何度も繰り返す。
 ――ふぅむ。盗んだものか?
(違うよ。もらったんだ)
 ――だれに?
(……知らない人……初めて会った人に、だよ)
 ――ならば構うまい。それを、おれによこせ。
(だめだよ。これはぼくが選ばれて、もらったものなんだから)
 ――いいではないか。もうすぐ死ぬのだろう? おまえ。


 ハッとしてまぶたを持ち上げると、あまりの痛さに体が震えた。
 辺りはすでに真っ暗で、自分のいる場所がどこなのか、まったく分からない。 
「父さん? 母さん? ……姉ちゃん?」
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