少年王と時空の扉

みっち~6画

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15 力の限り走りぬけ⑤

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 弾かれたように顔を上げると、砂の遠くにそびえるピラミッドは、暗闇にさえ白っぽく浮かび上がって見えた。
「あそこに行くの? ぼくが?」
 家族を探すほうが先なのではないかと、まゆをひそめる。
 だが、静まり返った砂漠に人の気配はなく、このままここでじっとしていても、家族の見つかる保証はなかった。
「もしかしたら……」
 隼斗と同じような指示が、家族にも出ているのかも知れない。
「行ってみるしか、ないのかな」
 意識がとろけそうに薄れていくのをこらえ、砂地の上を進む。
 絶えず川の位置を横目に、まっすぐ進んでいることを確認しながら歩いた。
 やがて、タブレットのカウントダウンがさらに四つ減ったころ、隼斗の目にはピラミッドの三角形が大きく映り込んできた。
「眠いよ、もう。今は……真夜中の十二時くらい? あれ、向こうに何かある……」
 それが、土を固めて四方をくるんだ家であると気づくのに、それほど時間はかからなかった。
「……うわぁ、助かった?」
 安心した隼斗は、そのままその場にくずれ落ちた。

 肩を揺さぶられまぶたを持ち上げると、知らない女が隼斗をのぞき込んで立っていた。
 すでに日は高く昇っていて、まばゆい光が隼斗を照らしている。
 女は心配そうに何度も声をかけてくるが、隼斗には何を言っているのかまったく理解できない。 
 タブレットのカウントダウンがさらに八つ減り、「八・ギザ」と表示されている。ここでの滞在時間は、残り八時間だ。
「あの、ぼく……大丈夫です」
 ためらいがちに声を上げると、女も驚いたように目を見張った。
 そのまま立ち上がり、隼斗に背を向ける。横になったままの体勢で目だけで追うと、女がすばやく家の中に戻っていくのが見えた。
「あれ、もしかして、ことばが通じないのかな」
 そうであれば、家族の行方はもちろん、ここがどこなのか知ることはできない。
 隼斗はゆっくりと上体を起こした。
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