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26 扉が開くとは限りません①
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必死になった隼斗は、暗闇へと飛び込んだ。アムルの罵声が迫ってくる。少しでも時間をかせごうと、淡い光を放つ鏡モドキをひっくり返しながら進んだ。
どこをどう走ったのか、夢中で地上に降りると、カウントダウンは「四」まで減っている。
「あと四時間か。どうしよう、メダル取れなかった」
それでも、このままここにとどまれば、いずれアムルに捕まってしまうだろう。
隼斗は、ぶるぶる震えの止まらない身をかき抱いた。
何度目かの休憩をして砂地に寝転ぶと、隼斗は目だけを動かして、忌まわしい三角形を見やった。
いくら歩いても、走っても、ちっとも小さくならない。
そもそも、エレベーターを降りたのが、この方角なのかさえ確かではない。
自然と手のひらをかざして……気が付いた。
「……血だ」
頭をぶつけ、たくさんの血を流して倒れたヒゲ面の男。
唇が震えた。全身の力が抜けきって、隼斗の心はしぼんだ風船みたいになる。
「早くみんなに会いたい」
火照ったほおを、風がなぞった。
風が吹き始めたということは、砂嵐になる危険もある。このまま寝そべっていたら、砂に埋もれて動けなくなるかも知れない。
のそのそ起き上がった隼斗は、砂地にできた真新しい隆起に気づいた。何かが移動したかのようなオウトツだ。
脳裏をかすめる、ひとつの可能性。
瞬間。駆け出そうとした隼斗の靴先が、ぐにょりと沈み込む。まどう一歩が、頼りなく砂地をかいた。ああ、と叫ぶ間もなく隼斗の視界は回る。
まるでジェット機のようなごう音が、辺りに響いた。何か巨大なものがうね回る軌跡が、砂地に弧を描いていく。
おそるおそる目を上げた先に、ちょっとしたビルのようにそびえる巨大ミミズの肢体。
「サンドワーム。どうしてこうも次々と!」
隼斗は、すばやく腕に手を伸ばした。液晶画面を切り替える。きれいに並んだ、三つのボタン。
「今使わなくて、いつ使う!」
どこをどう走ったのか、夢中で地上に降りると、カウントダウンは「四」まで減っている。
「あと四時間か。どうしよう、メダル取れなかった」
それでも、このままここにとどまれば、いずれアムルに捕まってしまうだろう。
隼斗は、ぶるぶる震えの止まらない身をかき抱いた。
何度目かの休憩をして砂地に寝転ぶと、隼斗は目だけを動かして、忌まわしい三角形を見やった。
いくら歩いても、走っても、ちっとも小さくならない。
そもそも、エレベーターを降りたのが、この方角なのかさえ確かではない。
自然と手のひらをかざして……気が付いた。
「……血だ」
頭をぶつけ、たくさんの血を流して倒れたヒゲ面の男。
唇が震えた。全身の力が抜けきって、隼斗の心はしぼんだ風船みたいになる。
「早くみんなに会いたい」
火照ったほおを、風がなぞった。
風が吹き始めたということは、砂嵐になる危険もある。このまま寝そべっていたら、砂に埋もれて動けなくなるかも知れない。
のそのそ起き上がった隼斗は、砂地にできた真新しい隆起に気づいた。何かが移動したかのようなオウトツだ。
脳裏をかすめる、ひとつの可能性。
瞬間。駆け出そうとした隼斗の靴先が、ぐにょりと沈み込む。まどう一歩が、頼りなく砂地をかいた。ああ、と叫ぶ間もなく隼斗の視界は回る。
まるでジェット機のようなごう音が、辺りに響いた。何か巨大なものがうね回る軌跡が、砂地に弧を描いていく。
おそるおそる目を上げた先に、ちょっとしたビルのようにそびえる巨大ミミズの肢体。
「サンドワーム。どうしてこうも次々と!」
隼斗は、すばやく腕に手を伸ばした。液晶画面を切り替える。きれいに並んだ、三つのボタン。
「今使わなくて、いつ使う!」
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