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41 星読みと少年王①
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そんなに強くにらまなくても、とスナナは両手を上げる。
「私、単なる雇われ社員にすぎないんですから」
言いながら砂地に腰を下ろし、その横をぽんぽん、とたたく。
「座りますか、それともそのまま突っ立っています?」
このままでいいと、できるだけぶっきらぼうに聞こえるように、隼斗は声を荒げた。
「説明してよ。ここはどこ? またギザの台地なの? 父さんは無事? 母さん、姉ちゃんはどこにいるの? シュンはどうしてギザに残ったの? あんたみんな知っているんだろ、答えろよ!」
音の出そうなほど大きくまたたきを繰り返し、スナナはゆったりと腰を上げた。
細かい砂の粒が渦巻いて、宙に舞う。
都合が悪くなれば、また自分を取り残してさっさと消えてしまうのではないか。急に不安に駆られた隼斗は、彼の青いそで口をしっかと握った。
「行かないって、約束して。ぼくが納得するまで、どこにも行かないって」
ええ、とあっさりうなずいたスナナは、腕のタブレットに目を向けた。
「もうお気づきでしょうが、これはあなたが次に成すべきことのガイドになるものです。何をすればいいのか迷ったときは、すぐに開いて浮かび上がる指示をお読みください」
「でもそれって、一番はじめに言うことなんじゃないの?」
そうですねぇ、とスナナは視線を宙にさまよわせる。
「……ご要望として、お受けいたします。今後の課題ですね。さて」
強引に両手を打ち鳴らしたスナナは立ち上がり、周囲をふにゃふにゃ歩き出した。
「先ほどの質問にお答え致しましょう」
革靴に入り込んだ砂粒を払いながら、スナナは隼斗を見やる。
「まず場所ですが、ルクソールという地名を聞いたことはありますか」
「もちろん。それ、エジプト展の年表に書いてあった。ずっと昔の、エジプトの都でしょ?」
合格、と言わんばかりに目を細めたスナナは、にこやかに破顔した。
「新王国時代です。先ほどまでいたギザより時代が進んだ、有名な少年王の治世ですよ。きっと楽しめることでしょう。あと、ご家族の消息ですが……」
言いにくそうに、スナナはことばを切った。
「ご承知のとおり、お父上は、いまだギザにおいでです。ですが、何も問題はありません。あの地で、ファラオの従兄弟ヘムオンとして、豪勢に暮らしておられるのですから」
「でもアムルがいるでしょ? あいつ、ぼくたちの秘密に気づいているんだ」
「私、単なる雇われ社員にすぎないんですから」
言いながら砂地に腰を下ろし、その横をぽんぽん、とたたく。
「座りますか、それともそのまま突っ立っています?」
このままでいいと、できるだけぶっきらぼうに聞こえるように、隼斗は声を荒げた。
「説明してよ。ここはどこ? またギザの台地なの? 父さんは無事? 母さん、姉ちゃんはどこにいるの? シュンはどうしてギザに残ったの? あんたみんな知っているんだろ、答えろよ!」
音の出そうなほど大きくまたたきを繰り返し、スナナはゆったりと腰を上げた。
細かい砂の粒が渦巻いて、宙に舞う。
都合が悪くなれば、また自分を取り残してさっさと消えてしまうのではないか。急に不安に駆られた隼斗は、彼の青いそで口をしっかと握った。
「行かないって、約束して。ぼくが納得するまで、どこにも行かないって」
ええ、とあっさりうなずいたスナナは、腕のタブレットに目を向けた。
「もうお気づきでしょうが、これはあなたが次に成すべきことのガイドになるものです。何をすればいいのか迷ったときは、すぐに開いて浮かび上がる指示をお読みください」
「でもそれって、一番はじめに言うことなんじゃないの?」
そうですねぇ、とスナナは視線を宙にさまよわせる。
「……ご要望として、お受けいたします。今後の課題ですね。さて」
強引に両手を打ち鳴らしたスナナは立ち上がり、周囲をふにゃふにゃ歩き出した。
「先ほどの質問にお答え致しましょう」
革靴に入り込んだ砂粒を払いながら、スナナは隼斗を見やる。
「まず場所ですが、ルクソールという地名を聞いたことはありますか」
「もちろん。それ、エジプト展の年表に書いてあった。ずっと昔の、エジプトの都でしょ?」
合格、と言わんばかりに目を細めたスナナは、にこやかに破顔した。
「新王国時代です。先ほどまでいたギザより時代が進んだ、有名な少年王の治世ですよ。きっと楽しめることでしょう。あと、ご家族の消息ですが……」
言いにくそうに、スナナはことばを切った。
「ご承知のとおり、お父上は、いまだギザにおいでです。ですが、何も問題はありません。あの地で、ファラオの従兄弟ヘムオンとして、豪勢に暮らしておられるのですから」
「でもアムルがいるでしょ? あいつ、ぼくたちの秘密に気づいているんだ」
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