少年王と時空の扉

みっち~6画

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44 星読みと少年王④

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 仮に、彼がアムルのような強欲な人間だとしたら、また大切なメダルを奪われてしまうだろう。
「でも、あの人、絶対に……若くない、よね」
 老人には、アムルのような凶暴さも腕力もない。
 メダルを覆うように包み込んだまま、隼斗はどんどん川べりに近寄っていく。背の高い茂みの影からは、老人の姿がよく観察できた。
 そのか細い腕には、豪奢な装飾の腕輪がいくつも重ね付けられている。
 最初のうちは単なる村人かと軽く考えていたのだが、どうやら一定の地位にある人物のようにも思えた。
 小さく落ちくぼんだ目元には、隼斗の何倍も生きてきた知性の輝きが光っている。
「メダルを見せたら、また盗られちゃうかも知れない」
 隼斗は足を止める。わき上がる不安を、いっこうに打ち消すことができない。
 この老人はアムルのような腕力はないかも知れないが、代わりにその何十倍もの策略をめぐらせる知性がある。知性は、武器だ。
 ギザの台地でメダルを奪われさえしなければ、あんな苦労をせずにすんだのだ。そう考えると、メダルを見せびらかすのは愚か者のように思えてくる。
 行動を決めかねて長いことその場に立ち尽くしていると、水辺に群生している長い葦の合間から、別の男の影が現れた。
 ほおに長い傷跡のある、壮年の男だった。
「どうです、姿を見せましたか?」
 老人はことばで答えず、ゆったりと首を振り、長くて深いため息をついた。
 隼斗は息を止め、ほかにも人が来るのかと、いよいよ身を沈ませる。
「……やはり、今回ばかりはファラオのお味方をするわけには参りませぬな。古来よりの言い伝えと申されても、そこは何の根拠のないことばかり」
 ほお傷の男が、いらいらした態度を隠しもせずに、両腕を胸の前で組んだ。老人は、わずかに目をむいて、うなるような声を上げる。
「何を言う。めったなことを申すな! 我らまで背いたとしたら、いったいだれがあの方をお守りするのか」
 水辺に生えている大量の草木の影に身をひそめ、隼斗はじっと彼らの話に耳をかたむけた。
「ファラオは申された。まさに今この川べりに、星読みの預言者様が現れるのだと」
 どくり、と隼斗の心臓が跳び上がった。
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