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43 星読みと少年王③
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顔をのぞき込む隼斗を、どうでしょうかと、はぐらかすスナナ。
「……そう言えば、ご当選者様のお名前は、隼斗とおっしゃるのですよね」
「そうだよ。ハヤブサっていう、鳥の字を書くんだ」
良い名です、とスナナは感慨深そうに隼斗を見つめた。
「エジプトの民は、ハヤブサを守りの神としています」
スナナは隼斗に背を向けて、エレベーターの中に乗り込んだ。
「ご当選者様のお国では、ハヤブサは、シュンとも読めるのでしたね?」
ならば、と隼斗に背を向けたまま、スナナは小さく続けた。
「心配せずとも、彼とはすぐに会えるでしょう。ですが、その『彼』が、あなたの知っている『彼』とは限らない、とだけ覚えておいてください」
予想どおり、スナナはエレベーターと共にするりと消えていった。
腕のタブレットに手を乗せる。それから、シュンから預かったままの、黄金のメダルに触れた。
「今度こそ、手放さないぞ」
エジプト展で隼斗が受け取ったメダルは、極悪なアムルに奪われたままギザの台地に置いてきた。
あそこでシュンの手助けがなかったら、隼斗はどうなっていたことだろうか。
「今度こそ絶対に、失敗しないぞ。早くクイズに答えて、もう一度ギザに行きたいって、スナナさんにお願いするんだ。父さんを迎えに行かなきゃ」
二十四・ルクソール、と表示されたタブレットを見つめ、隼斗はコブシを握った。
液晶画面をのぞき込み、小さく息を吐き出す。そこには、隼斗のするべき行動が表示されるはずなのだ。
『川沿いに歩き、初めに出会った人に黄金のメダルを……』
「見せる?」
そんなことできるわけない、と隼斗はひとりごちる。また奪われるわけにはいかないのだ。
不安げに視線をめぐらせ、ここで初めて、辺りにごう音が響いているのに気が付いた。まるで、すぐ横を電車が走っているかのような音だ。
これが川の流れる音なのだろうか、と引き寄せられるように、隼斗は駆け出した。
やがて、巨大なヘビにも似た大河のうねりが視界に入る。慎重に辺りをうかがいながら近づくと、川べりで何かの作業をしている老人に気づいた。
「メダルを……見せる、の? あの人に?」
「……そう言えば、ご当選者様のお名前は、隼斗とおっしゃるのですよね」
「そうだよ。ハヤブサっていう、鳥の字を書くんだ」
良い名です、とスナナは感慨深そうに隼斗を見つめた。
「エジプトの民は、ハヤブサを守りの神としています」
スナナは隼斗に背を向けて、エレベーターの中に乗り込んだ。
「ご当選者様のお国では、ハヤブサは、シュンとも読めるのでしたね?」
ならば、と隼斗に背を向けたまま、スナナは小さく続けた。
「心配せずとも、彼とはすぐに会えるでしょう。ですが、その『彼』が、あなたの知っている『彼』とは限らない、とだけ覚えておいてください」
予想どおり、スナナはエレベーターと共にするりと消えていった。
腕のタブレットに手を乗せる。それから、シュンから預かったままの、黄金のメダルに触れた。
「今度こそ、手放さないぞ」
エジプト展で隼斗が受け取ったメダルは、極悪なアムルに奪われたままギザの台地に置いてきた。
あそこでシュンの手助けがなかったら、隼斗はどうなっていたことだろうか。
「今度こそ絶対に、失敗しないぞ。早くクイズに答えて、もう一度ギザに行きたいって、スナナさんにお願いするんだ。父さんを迎えに行かなきゃ」
二十四・ルクソール、と表示されたタブレットを見つめ、隼斗はコブシを握った。
液晶画面をのぞき込み、小さく息を吐き出す。そこには、隼斗のするべき行動が表示されるはずなのだ。
『川沿いに歩き、初めに出会った人に黄金のメダルを……』
「見せる?」
そんなことできるわけない、と隼斗はひとりごちる。また奪われるわけにはいかないのだ。
不安げに視線をめぐらせ、ここで初めて、辺りにごう音が響いているのに気が付いた。まるで、すぐ横を電車が走っているかのような音だ。
これが川の流れる音なのだろうか、と引き寄せられるように、隼斗は駆け出した。
やがて、巨大なヘビにも似た大河のうねりが視界に入る。慎重に辺りをうかがいながら近づくと、川べりで何かの作業をしている老人に気づいた。
「メダルを……見せる、の? あの人に?」
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