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53 夢見の国で逢いましょう③
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でもさ、と隼斗は小さく声を上げる。
「国を混乱させてでも、改革をしなければならない理由があったんでしょう?」
それに答えたのは、やはり姉だった。
「そうよ。祈る神を変えたのも、都を移したのも、すべては神官たちから権力を取り戻すのが目的だったの。力を持ちすぎた神官は、王の威光を脅かすようになっていたから」
「それなら、別に先々代の王様だけが悪いわけじゃ……」
「悪いのだ」
背を向けたまま言い放った少年王は、そのまま部屋を出て行こうとした。それを、姉アンケセナーメンが止める。
「お待ち下さい」
それからすぐに隼斗の肩を揺すって、頭を寄せる。
「いい? 隼斗。あんたの答えに、この広大な国の命運がすべてかかっているの。今、ツタンカーメン様は……神官アイの……その、つまり……」
「はっきり申してよい。王は神官の言いなりなのだ、と」
姉アンケセナーメンは口を閉じ、少年王は唇の一端をつり上げた。
現状に満足せず、懸命に抗おうとするも、どうすることもできない。そんなもどかしさを抱え迷う彼を助けたい、と隼斗は願った。
「だめだよ、シュン! 闘わなきゃ! 先々代の王様だけを悪者にするなんて、おかしいよ」
「……事はそんなに単純ではない」
「単純さ! 先々代の王様のこと……お父さんのこと、大好きなんでしょう? そのお父さんを悪者にするの、本当は嫌なんでしょう?」
それは、と何か言いかけてから口を閉じ、シュンはしばらく石畳の床に目を落としていた。
「預言者よ、初めに頼みがあると申したはず。おれは、おまえに、アイの問うたことを肯定して欲しいだけなのだ。この国の問題は、必ずおれが自分で解決する。今はまだ、その時ではないのだ」
「だめだよ! それじゃあ、間に合わない! もう生きていられる時間はあまり残っていないよ!」
「――どういうことだ?」
シュンに聞き返され、隼斗は思わず絶句した。
説得しようとあせるあまり、余計なことを口にしてしまった。
「それは、星読みの預言なのか」
飛び出してきた姉が、隼斗の口元に手を伸ばす。
「国を混乱させてでも、改革をしなければならない理由があったんでしょう?」
それに答えたのは、やはり姉だった。
「そうよ。祈る神を変えたのも、都を移したのも、すべては神官たちから権力を取り戻すのが目的だったの。力を持ちすぎた神官は、王の威光を脅かすようになっていたから」
「それなら、別に先々代の王様だけが悪いわけじゃ……」
「悪いのだ」
背を向けたまま言い放った少年王は、そのまま部屋を出て行こうとした。それを、姉アンケセナーメンが止める。
「お待ち下さい」
それからすぐに隼斗の肩を揺すって、頭を寄せる。
「いい? 隼斗。あんたの答えに、この広大な国の命運がすべてかかっているの。今、ツタンカーメン様は……神官アイの……その、つまり……」
「はっきり申してよい。王は神官の言いなりなのだ、と」
姉アンケセナーメンは口を閉じ、少年王は唇の一端をつり上げた。
現状に満足せず、懸命に抗おうとするも、どうすることもできない。そんなもどかしさを抱え迷う彼を助けたい、と隼斗は願った。
「だめだよ、シュン! 闘わなきゃ! 先々代の王様だけを悪者にするなんて、おかしいよ」
「……事はそんなに単純ではない」
「単純さ! 先々代の王様のこと……お父さんのこと、大好きなんでしょう? そのお父さんを悪者にするの、本当は嫌なんでしょう?」
それは、と何か言いかけてから口を閉じ、シュンはしばらく石畳の床に目を落としていた。
「預言者よ、初めに頼みがあると申したはず。おれは、おまえに、アイの問うたことを肯定して欲しいだけなのだ。この国の問題は、必ずおれが自分で解決する。今はまだ、その時ではないのだ」
「だめだよ! それじゃあ、間に合わない! もう生きていられる時間はあまり残っていないよ!」
「――どういうことだ?」
シュンに聞き返され、隼斗は思わず絶句した。
説得しようとあせるあまり、余計なことを口にしてしまった。
「それは、星読みの預言なのか」
飛び出してきた姉が、隼斗の口元に手を伸ばす。
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