劣情過分の恋情未満【R18】

こいなだ陽日

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【8】劣情過分の恋情未満★

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 翌朝、朝食の時間は非常に気まずかった。いくら性におおらかな村といっても、父親が娘の夜這いを許すなんてどうにかしている。
 いたたまれない気持ちになって、一人うつむいているエスティーナをよそに、ユングとオズはこれからのことを話していた。
 オズはエスティーナのことを王都に連れて帰る気満々のようだが、ユングは年頃の娘に結婚して欲しいとは思っていたものの、まさか挙式前に王都に連れて帰ることは予想外だったようで、難色を示した。だが、オズはエスティーナを連れて帰ることだけは決して譲らず、エスティーナもまた王都に行くつもりだったので、ユングが折れることとなる。
 しかし、土詰めの引き継ぎも含めて準備もあるからと、三日後に帰還することになった。
 土詰めは、使用人の娘である十一歳の少女にやらせてみたところ、品質は問題ないとのことだった。問題なさそうで、エスティーナはほっと胸をなで下ろす。そして、もう自分には土を詰める資格が無いのかと思うと、少しだけ寂しくなった。
 結婚式は来月、村で行うことになった。ドレスだけは城下街であつらえるとのことだ。式にかかる費用も全てオズが支払い、必要であれば準備のための人材も派遣するようだ。
 結婚の知らせを聞いたアルマンは、エスティーナが初対面の男と結婚を決めたことに納得いかないようだったが、オズが初めて抱いた相手がエスティーナだと知ると、
「お前の好みは童貞だったのか……。それじゃ、この村の男じゃ駄目だな」
と、身を引いていった。
 こうしてばたばたとした一日を終え、夜は二人とも同じ部屋で眠る。二人の婚約はあっという間に村中に知れ渡ったし、使用人もみんな知っているので、エスティーナは堂々と客室にいた。
「そういえば、オズ様っておいくつなんですか?」
 体を重ねているのに、歳も知らなかったとエスティーナは訊ねてみた。
「三十一だ。もうじき、三十二になる」
「そうなんですか」
 オズは見た目通りの年齢だった。エスティーナはもうすぐ二十五なので、丁度良い年齢差かも知れない。
「私、オズ様って騎士様だとばかり思っていました。夢の中では軍議とか仰ってましたし。魔導士なのに、すごく体を鍛えてらっしゃいますよね?」
「魔導士であっても、戦争が始まれば前線にでるのだ。軍議にも出るし、体も鍛えておかねば生き残れぬ」
 エスティーナは六年前の戦争がどれほど過酷なのものだったのか分からない。しかし、国境付近の村は焼き払われたというし、隣国から援軍が来なければ負けていたというので、よほど激しい戦場だったのだろう。
 彼にはそれを生き抜くだけの力があり、そして決断力があったのだ。エスティーナはオズのことを改めてすごい男なのだと思う。
「また戦争が始まったら行くんですか?」
「筆頭魔導士だからな。しかし、隣国と合同で国境付近に結界を張り、軍を置いているので、そう簡単に攻めてくることはないだろう。毎年必ず隣国と合同で大々的な軍議を行い、牽制している。案ずるな」
「そういえば、夢の中で軍議は大変だって聞いた覚えがあります。でも、大変な割りには、その期間中は毎日夢の中で会っていたような……」
「精神的に大変なのだ。そなたを抱かねば身が持たぬ」
 そう言うと、オズは甘えるようにエスティーナに頬ずりをしてきた。エスティーナは彼の頭を優しく撫でる。
「そういえば、オズ様の家はどういうところなのですか? 私もそこに住むのですよね?」
「ああ、わたくしは魔導士寮に住んでいる。筆頭魔導士に与えられた部屋だから大きいぞ。そなたを娶るのだから、隣室も借りよう」
「りょ、寮っ?」
 流石にそれは予想外だったので、エスティーナは思わず大きな声を上げてしまった。
「嫌です。無理です。だって、他にもいっぱい宮廷魔導士の人がいるんですよね? そこで一緒に暮らすって、私には敷居が高いです」
「魔導士寮は王宮から近い場所に建てられているのだが、有事の際のために、筆頭魔導士か副筆頭魔導士のどちらか一方は必ず魔導士寮に住まなければならない。しかし先日、副筆頭魔導士が結婚して寮を出てしまった。わたくしは、寮を出ることはできぬ」
「え、えええええ……」
「そなたが過ごしやすいように尽力する。そもそも、寮を出られぬのはわたくしの都合ではない。融通が利くだろうし、筆頭魔導士の権力を惜しみなく発揮しよう」
 そう言われても、寮というのは抵抗がある。実際に行ってみないとどのようなものかは分からないけれど、現時点でエスティーナの気分は沈んでしまった。それが思いきり表情にでてしまう。
「そんなに嫌なのか」
「さすがに抵抗があります」
「どうしてもというなら、筆頭魔導士を辞そう。……ふむ、この村に残ればそなたの父も喜ぶだろうな」
「いやいやいやいや、そんな簡単に辞めないでください!」
 エスティーナはぶんぶんと首を振った。
 そうだ、この男は決断が早いのだ。辞めると決めてしまえば即行動に出るだろうし、土人形を使って人間の意識を召喚するというとてつもない魔術を使えるような男が筆頭魔導士の座を降りるなど、国にとって重大な損失にしか思えない。だから必死で引き留める。
「しかし、そなたは寮が嫌なのであろう?」
「うっ……。まだ実際にどんなものなのか見てないですから! 見たら気が変わるかもしれませんし!」
「そうか……分かった。それについては、向こうに着いてから話し合おう」
 どうやら今のところは辞めるつもりはないようだ……と、エスティーナはほっと胸をなで下ろした。
 もともと、エスティーナは土詰めのために純潔を守り続けるほど真面目な女性だ。自分の我が儘で夫となる男の仕事を失わせるなんて、そんなことはできない。オズだって、土人形の魔術を使ってまで貞操を貫いてきたのだから、魔導士の仕事が気に入っているはずだ。
「……ところでエスティーナ。まだお互いに分からぬことばかりだから、会話を重ねるのは良いことだと思う。しかしそれは、今である必要はない」
 オズがエスティーナの肩を抱き寄せる。
「いつまで焦らすつもりだ。わたくしは、先ほどからずっと……そなたを、抱きたい」
 その一言で、がらりと雰囲気が変わった。二人の間に独特の空気が流れる。
 エスティーナが瞳を閉じると、唇が重ねられた。



「……っ、んぅ」
 オズはエスティーナの秘処に顔を埋め、丹念に舐め上げる。どうやら彼はそこを舐めることをいたく気に入ったようで、彼の舌は肉芽をつついたり、陰唇をなぞったり、蜜口に出し挿れたりとせわしなく動いていた。
「やっ、あ……、……っ、もう……」
「達するのか? 好きなだけいくが良い」
「――――っうう!」
 エスティーナがぶるぶると体を震わせると、オズはとても嬉しそうだった。まだ体を繋げる前なのに、実は既に三度目の絶頂を迎えている。
 気持ちいいけれど、蜜口が切なく震えた。そこで、ようやくオズが昂ぶったものをエスティーナにあてがう。度重なる絶頂でとろとろになったその場所は、すんなりとオズのものを受け入れた。
「……っ、あ……」
 ぴりっとした痛みはあるけれど、快楽のほうが勝る。なにより、繋がれた喜びのほうが強かった。舌も気持ち良かったけれど、ずっと彼のものが欲しかったのだ。
「土人形の時は、そなたは奥が好きだったな。今はどうだ? 慣れぬなら、浅い部分のほうがいいか?」
 エスティーナの中を探るように、オズはぐるりと腰を回した。
「っあん!」
 びくりと腰が震える。
「回されるのが良いのか?」
 エスティーナがいい反応をしたので、オズはぐるりと腰を回した。腰の動く方向に秘肉が引っ張られ、結合部が形を変えるのがとても淫猥でいい眺めだ。オズは満足げに瞳を細める。
「……っ、や……、これ、……っん。中、拡げられる、感じがして……っ、んう」
 狭い孔をむりやり拡張されるような感覚に、ぞくぞくとエスティーナの腰が疼いた。男根の動きに合わせて動く秘肉は、嬉しそうに蜜を滲ませ震えている。
「っ、んんぅ……やっ、ああぁ……だめ、中……っ」
「エスティーナ……」
 オズはエスティーナに口づけ、彼女の口内も舌でかき回す。腰を回し、時折ずんと奥を穿つと、びくりと大きく体が跳ねた。
「あっ、奥……っ、んむっ、ん……」
 口内も蜜口もかき回されて、エスティーナの思考回路がぐちゃぐちゃになっていく。
「や……もう……っ、私――――」
 三度達している体は、簡単に高みまで押し上げられた。再び最奥を穿たれた瞬間、エスティーナはあっけなく果てる。
「――――っ!」
 オズの欲望を強くしめつけ、膣肉はうねりをあげる。しぼりとられるように、オズは彼女の中に白濁を注ぎこんだ。
「……あ……」
 ほぼ同時に達し、二人はぎゅっと抱きあう。
「……オズ様」
 エスティーナは潤んだ瞳でオズを見つめた。自分ばかりが気持ち良くなってしまって、なんだか申し訳なくなってしまう。
 達した直後に敏感になるのは、男も女も変わらないはずだと、エスティーナは下から腰を突き上げた。予想通り、オズが眉根を寄せる。
「エスティーナ……っ?」
「私ばっかり、連続で……。オズ様も連続で気持ち良くなってください」
「いや、十分気持ち良……ッ、あ」
 エスティーナはオズの腰に手を回し、ずんずんと下から腰を突き上げる。肉と肉がぶつかるたび、結合部から精があふれ出て、彼の内腿や下腹に散った。ぐちゅん、ぐちゅんと淫猥な音がする。
「ま、待て、待つのだエスティーナ」
「私だって、オズ様を気持ち良くしたいんです。それに、夢の中では体が動かなかったから、こうして動けるのが嬉しくて……」
 エスティーナはそっと結合部に手を伸ばす。そして、彼の陰嚢に触れた。その瞬間、オズが目を見開く。
「エスティーナ、それは……!」
「これ、気持ちいいって聞いたことがあります」
 エスティーナは陰嚢を揉みながら、腰を突き上げた。
「……ッ、あ……、ク……」
 オズの端正な顔がゆがみ、掠れた声がこぼれ落ちる。感じているのだと、エスティーナにも分かった。そして、妙に色気のある顔に胸が高鳴る。
「オズ様……」
 受動的ではなく、能動的に彼を気持ち良くしていることが嬉しくて、エスティーナはどんどん腰を振った。時折下腹に力をこめてきゅっとしめつけると、オズが色気の含んだ声を漏らす。
「オズ様、オズ様……っ」
 このまま彼を絶頂にまで導くのだと思った瞬間、オズの手がエスティーナの乳首をつまみ上げた。こりこりと指の腹で擦りあげる。
「……っああ!」
 びくりと、エスティーナの動きが止まった。
「やっ、だめ、それ……」
「一人では果てぬぞ……そなたも一緒だ」
 きゅうっと強く胸の頂と引っ張られて、エスティーナの腰が浮く。しかしそれはオズに快楽を与えた。
「……ッ」
「オズ様、……っあ、先に、気持ち良くなってください……」
「ならぬ。そなたも一緒だと言ったはずだ」
「だって、ん、私は、もう、何度も……っあん!」
「男には限度がある。だが、女はそうとは限らない。性別の差だ。何度でも達するが良い」
 エスティーナの腰の動きに合わせて、オズも腰を打ち付けてくる。そして一番気持ちいい部分が擦れ合った瞬間、二人は同時に果てた。
 肉棒が打ち震え、秘肉は嬉しそうに彼のものをしめつける。捲かれた精を奥へと誘うように媚肉が波打った。



 終わって冷静になったあと、ふとエスティーナが訊ねる。
「……もしかして、魔術の時みたいに、私が動かないほうがいいですか?」
「いや、そんなことはない。そなたは予想外の動きをするが……わたくしはそれを嬉しく思う」
「なら良かったです」
 エスティーナが微笑むと、オズはその額にちゅっと口づけを落とした。
「しかし、そなたは昨日まで乙女だったにしては、ずいぶんと色事の知識が深いな」
「友達から色々聞いているので」
「そうか……。では、わたくしも精進せねばな」
「えっ」
 驚きの声を上げると、オズは口角を上げてにやりと微笑む。
 けれど、それを楽しみだと思ってしまう自分もいて、エスティーナはやはり、結婚するならこの人しかいないと思ってしまうのだった。
 なにせ、夢の中の憧れの相手が実在していたのだ。少々早すぎるとは思ったものの、現実で抱かれるのが嫌なはずがない。
 仮初めに出会って数年、しかし実際に出会ってからはまだ二日。この気持ちはまだ恋情には満たないけれど――――きっとその日がくるのも、そう遠い日のことではないだろうとエスティーナは思った。

「劣情過分の恋情未満」完
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