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一話完結:婚約破棄? 第一王子様は、妹を新しい婚約者に選んだのですか!
しおりを挟む「え、婚約破棄? 第一王子様は、妹を新しい婚約者に選んだのですか!」
屋敷で驚きの声を上げた私の名前はギンチヨ、侯爵家の長女であり、銀髪で青緑の瞳を持ちます。
第一王子は私の3歳年上であり、私が婚約者に選ばれていました。
それが、私の4歳年下の妹を、新しく婚約者に選ぶなんて!
王家は、我が侯爵家の豊富な資金を目当てに、婚約の話を要請してきました。
私と妹は、双子と間違えられる美人姉妹です。ただし、並んで見ると、髪の色、瞳の色が、ほんの少し違います。
妹は、両親から大事に育てられ、自由奔放な美人に育ち、男性をとっかえひっかえ遊んでいます。
姉の私は、お金儲けに関する厳しい教育を強いられたため、慎重かつ現実的な性格になりました。
両親は、お金が一番だと考える人達で、領地からの税収も、税率を上げれば増えると考えています。
私が、教育を活かして領地改革したおかげで、税収が増えたなんて、思ってもいないでしょう。
「は? 私が、妹の影武者を務めるのですか?」
第一王子の婚約者となると、暗殺の危険があるため、影武者として私を差し出せと、王家から要請がありました。
あれ? 私が婚約者だった時には、いませんでしたよね!
断ることなどできません。両親は喜んで、私を差し出します。
今日から、私は、存在しない令嬢になりました。
◇
王宮で、影武者として働き始めました。
国の行事で、国王夫妻の後ろに立っているだけで、お給金を頂けます。ラッキーです。
妹の代わりに、王太子妃としての教育を受けます。これは違うと思いますが、仕事だと言われました。
第一王子との会話も禁止されています。彼は浮気性なので、女性が近づくと、危険だそうです。
と言うか、第一王子は、栗毛でブロンドの瞳でしたよね? 私の横の第一王子は、黒髪に黒の瞳ですよ!
黒髪に黒い瞳の男性を見ると、同級生だった第二王子を思い出します。
彼は、第一王子のスペアとして、表に出ない生活を強いられていました。今の私みたいに。
私に優しかった彼のことを、私は、教室のスミから、淡い想いで見つめていました。
「ダメダメ、私は、影武者です。恋愛禁止です」
自分の想いを押し隠し、お仕事に専念します。
◇
今日は、婚約発表の日にお披露目する“姿絵”の、モデルをします。
国民には、王家と侯爵家の婚約が決まったと、個人名を伏せて、流してあります。
私は、モデル立ちする第一王子の隣に立ち、腕を組み、ポーズを作ります。
愛のない男性に寄り添うのは嫌ですが、彼の側だと、なぜか落ち着きます。
終わっても、彼と腕を組んでいたら、、、
「なれなれしくするな、俺が惚れてしまうだろ。俺には、想っている令嬢がいるんだ」
彼は、照れているようです。浮気性の第一王子らしくありません。
妹は、面倒な男性に嫁ぐようです。まぁ、妹も浮気性なので、意外と気が合うかもしれません。
◇
「え? 第一王子様と妹が、誘拐された?」
大変な事件が発生しました。
二人がお忍びで行動したため、護衛が誰も付いていなかったそうです。
でも、今、私の横に第一王子が立っていますよね?
「「え? もしかして、影武者?」」
私と彼の声が重なりました。
彼は、まさかの、第一王子の影武者でした。所作が王家の威厳を持っていたので、すっかり騙されました。
「バレましたね。私は、婚約者の姉です」
正体を明かしました。
「なんだ、ギンチヨか。俺だ、クロガネだ」
彼は、第二王子でした。
「男性の化粧って、恐ろしいですね、気が付きませんでした」
「俺もだ」
気が付いてしまうと、恥ずかしくて、一歩離れてしまいました。本当は、近づきたいのに!
◇
国王は、身代金を払わない事を決定しました。
そして、犯人の隠れ家を探ったところ、なんと、我が侯爵家の別荘でした。
別荘の中で、私の両親も加わり、王子や妹の浮気仲間も入れて、秘密のパーティーを開いていた所を、襲われたらしいです。
王国では、別荘ごと、全てを焼き消す作戦を進めています。
「あんな妹や両親に、何の未練もありません」
私は、全てを焼き消す作戦への同意書に、すぐ署名しました。
後日、別荘の焼け跡を調査した結果、誘拐は自作自演だったことが分かりました。
たぶんですが、国王は知っていたのだと思います。
妹たちは、国家反逆罪で処刑されたと公表され、国王は、テロには屈しないと宣言し、国民からの支持率を上げました。
◇
「クロガネ第二王子と、ギンチヨ侯爵家令嬢との結婚式は、予定した日程で行う」
国王が宣言し、今は準備に忙しい日々をおくっています。
第二王子に私が寄り添う“姿絵”も出来上がり、準備万端です。
でも、なにか大事なことを忘れているような……
結婚式の前日、クロガネ第二王子が私の部屋にいらっしゃいました。
メイドさんたちが、そそくさと部屋を出ていきます。
「結婚する前に、言っておきたいことがある」
「ギンチヨは、俺のところへ、家を捨てて来るのだから、帰る場所は無いと思え、これから俺がお前の家だ」
第二王子が、微笑んで語ってくれました。
「それは、学園時代に流行ったポエムの一節ですね」
私も、微笑みます。
「そうだ、学園時代から、ギンチヨのことが好きだった。結婚してくれ」
待っていたプロポーズです。
「私も、学園時代から、……んッ」
クロガネ第二王子は、明日の結婚式まで、待ってくれませんでした。
━━ FIN ━━
【後書き】
お読みいただきありがとうございました。
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第二王子のセリフで関〇宣言の歌詞を連想してしまいました(笑)