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第12話 取り合えずいっぺん死んでもらおうか
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シワだらけでイマイチ表情がわからないが、老婆はムッとしているようだ。
「ワシはれっきとした人間じゃぞ」
「え?!」
陸人とシメオンは大層驚いた。
「人喰い山姥じゃないの?」
「違うわい。ワシはこの館の主、アラクネじゃ。一応魔女歴80年のベテランじゃから、言葉には気をつけい。で、話の続きじゃが―――」
「でも、さっき部屋の前に人骨あったよ、人骨!本当は食べたんでしょ?」
「あれは人骨ではない。スープを作るために使う豚骨じゃ」
「そのスープで人間の肉を煮込むんじゃ…」
「違うと言っとるじゃろ、ボケッ!」
山姥、もとい老婆アラクネは陸人を黙らせ、それから巻物に視線を転じた。
「そんなことよりお前さん、どこでそのジャン・ギッフェルの巻物を手に入れた?」
「え…?じいちゃんの家の床下だけど…」
「床下…?ほう、そうか」
「っていうか、なんでこれがジャンの巻物だって知ってるの?」
「題箋に黒い三日月が記されとるじゃろ。それはジャンのシンボルマークじゃ」
「ふーん…。で、そのジャンさんって一体何者なの?そんなにすごい人なの?」
「おいおい、お前知らないのか?」
シメオンはかなり呆れているようだ。
「ジャン・ギッフェルは古から語り継がれている伝説の魔法使いの一人だぞ。奴が作成したという魔導書『望の書』は、魔導書の原典として千年以上経った今でも多くの魔法使い達に読まれている。魔法使いじゃない俺でさえも知ってるぞ」
陸人は目を丸くした。まさかそれほど凄い人物だったなんて、思いもよらなかったのだ。
しかし、同時に疑問も沸き起こってきた。
そんな伝説の魔法使いの遺品が、なぜ祖父の家の床下に保管されていたのか。
シメオンが説明を続ける。
「ジャン・ギッフェルは死の床につく直前、とんでもない秘宝を遺したらしく、その秘宝の在りかを“朔の書”という闇の魔導書に記してどこかに隠したと言われている。おそらくお前が持っているその巻物がそうだ」
「ふーん、なるほどね。だからあんた達政府は魔法協会の規律に違反するとか適当な嘘ついてまで僕から巻物を奪いたかったわけか」
「俺の名前は覚えられないくせに、そういうことはちゃんと覚えてるんだな」
「でもさぁ、さっき見つけたのはとんでもない秘宝どころかただの石ころだったけどなぁ」
「それはただの“石ころ”ではない」
今度はアラクネが喋り出す。
「ジャンが隠した五つの“デルタストーン”の一つじゃ」
「デルタストーン?なにそれ?」
「ジャンが精霊の国でちょろまかしてきた魔法石じゃ」
「うわ…超罰当たりな人じゃん!」
「まぁ、そこは気にするでない。で、わしが子供の頃に聞いた言い伝えに寄れば、その五つの魔法石を全て集めて古の神殿にある魔方陣に設置すると、神様っぽい人が現れて、願いを三つ叶えてくれるらしいんじゃ」
「え?!本当?!」
暗闇に一筋の希望の光が差したような気がした。その神様っぽい人に頼めば、元の世界に戻れるかもしれないのだ。
「おい、ババア…。マジかよ、その話?」
シメオンも知らなかったらしく、かなり驚いている。
「お前さんの羊化はおそらく朔の書の呪いじゃろうから、石を集めて呪いの解除を願えばいい」
「はぁ?!そんなしち面倒くさいこと誰がするか!他にも方法はあるはずだ。あんたベテランの魔女なんだから、何か呪いを解く秘薬の作り方とか知ってんだろ?」
「はて…。そんなものあったかのう…?」
「ボケたふりしてんじゃねーよ!」
「わからん奴じゃのう。お前さんの羊化は朔の書の呪い、つまり千年も昔の古代魔法による呪い。真夏にニット帽を被るファッション並に理解不能なんじゃよ」
「なんだよ、その例えは!」
「古の魔法についてはまだ解明されていないことが多いんじゃ。『望の書』に書かれた魔法知識だけでは、古代魔法を駆使することは難しいんじゃよ」
「チッ…!」
シメオンは恨みがましく陸人を睨んだ。
「こうなった以上、お前にも協力してもらうぞ、小僧。石を全部見つけるまで付き合ってもらうからな」
「わ…わかってるよ、協力するって。だからもう角で突くとか言わないでよ」
だが陸人はある重大なことを思い出し、「しまった!」と声を上げた。
「まずい…。さっき見つけた一つ目のお宝、おじさんにあげちゃったんだ…」
「なんだと、コラ!」
「だって、どうせただの石ころだし、あげても損はないと思ったんだよ」
「そうか、わかった。取り合えずいっぺん死んでもらおうか」
「ままま、待って!ちゃんと取り返すから!約束するよ、本当に!」
「チッ…!もういい、疲れたから今日はもう寝る!」
シメオンは四肢を折りたたんで体を丸めた。
「じゃあ、僕も今のうちに休んでおこう…」
陸人も寝ることにした。
「ワシはれっきとした人間じゃぞ」
「え?!」
陸人とシメオンは大層驚いた。
「人喰い山姥じゃないの?」
「違うわい。ワシはこの館の主、アラクネじゃ。一応魔女歴80年のベテランじゃから、言葉には気をつけい。で、話の続きじゃが―――」
「でも、さっき部屋の前に人骨あったよ、人骨!本当は食べたんでしょ?」
「あれは人骨ではない。スープを作るために使う豚骨じゃ」
「そのスープで人間の肉を煮込むんじゃ…」
「違うと言っとるじゃろ、ボケッ!」
山姥、もとい老婆アラクネは陸人を黙らせ、それから巻物に視線を転じた。
「そんなことよりお前さん、どこでそのジャン・ギッフェルの巻物を手に入れた?」
「え…?じいちゃんの家の床下だけど…」
「床下…?ほう、そうか」
「っていうか、なんでこれがジャンの巻物だって知ってるの?」
「題箋に黒い三日月が記されとるじゃろ。それはジャンのシンボルマークじゃ」
「ふーん…。で、そのジャンさんって一体何者なの?そんなにすごい人なの?」
「おいおい、お前知らないのか?」
シメオンはかなり呆れているようだ。
「ジャン・ギッフェルは古から語り継がれている伝説の魔法使いの一人だぞ。奴が作成したという魔導書『望の書』は、魔導書の原典として千年以上経った今でも多くの魔法使い達に読まれている。魔法使いじゃない俺でさえも知ってるぞ」
陸人は目を丸くした。まさかそれほど凄い人物だったなんて、思いもよらなかったのだ。
しかし、同時に疑問も沸き起こってきた。
そんな伝説の魔法使いの遺品が、なぜ祖父の家の床下に保管されていたのか。
シメオンが説明を続ける。
「ジャン・ギッフェルは死の床につく直前、とんでもない秘宝を遺したらしく、その秘宝の在りかを“朔の書”という闇の魔導書に記してどこかに隠したと言われている。おそらくお前が持っているその巻物がそうだ」
「ふーん、なるほどね。だからあんた達政府は魔法協会の規律に違反するとか適当な嘘ついてまで僕から巻物を奪いたかったわけか」
「俺の名前は覚えられないくせに、そういうことはちゃんと覚えてるんだな」
「でもさぁ、さっき見つけたのはとんでもない秘宝どころかただの石ころだったけどなぁ」
「それはただの“石ころ”ではない」
今度はアラクネが喋り出す。
「ジャンが隠した五つの“デルタストーン”の一つじゃ」
「デルタストーン?なにそれ?」
「ジャンが精霊の国でちょろまかしてきた魔法石じゃ」
「うわ…超罰当たりな人じゃん!」
「まぁ、そこは気にするでない。で、わしが子供の頃に聞いた言い伝えに寄れば、その五つの魔法石を全て集めて古の神殿にある魔方陣に設置すると、神様っぽい人が現れて、願いを三つ叶えてくれるらしいんじゃ」
「え?!本当?!」
暗闇に一筋の希望の光が差したような気がした。その神様っぽい人に頼めば、元の世界に戻れるかもしれないのだ。
「おい、ババア…。マジかよ、その話?」
シメオンも知らなかったらしく、かなり驚いている。
「お前さんの羊化はおそらく朔の書の呪いじゃろうから、石を集めて呪いの解除を願えばいい」
「はぁ?!そんなしち面倒くさいこと誰がするか!他にも方法はあるはずだ。あんたベテランの魔女なんだから、何か呪いを解く秘薬の作り方とか知ってんだろ?」
「はて…。そんなものあったかのう…?」
「ボケたふりしてんじゃねーよ!」
「わからん奴じゃのう。お前さんの羊化は朔の書の呪い、つまり千年も昔の古代魔法による呪い。真夏にニット帽を被るファッション並に理解不能なんじゃよ」
「なんだよ、その例えは!」
「古の魔法についてはまだ解明されていないことが多いんじゃ。『望の書』に書かれた魔法知識だけでは、古代魔法を駆使することは難しいんじゃよ」
「チッ…!」
シメオンは恨みがましく陸人を睨んだ。
「こうなった以上、お前にも協力してもらうぞ、小僧。石を全部見つけるまで付き合ってもらうからな」
「わ…わかってるよ、協力するって。だからもう角で突くとか言わないでよ」
だが陸人はある重大なことを思い出し、「しまった!」と声を上げた。
「まずい…。さっき見つけた一つ目のお宝、おじさんにあげちゃったんだ…」
「なんだと、コラ!」
「だって、どうせただの石ころだし、あげても損はないと思ったんだよ」
「そうか、わかった。取り合えずいっぺん死んでもらおうか」
「ままま、待って!ちゃんと取り返すから!約束するよ、本当に!」
「チッ…!もういい、疲れたから今日はもう寝る!」
シメオンは四肢を折りたたんで体を丸めた。
「じゃあ、僕も今のうちに休んでおこう…」
陸人も寝ることにした。
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