48 / 55
第48話 パンはパンでも食べられないパンはな~んだ?
しおりを挟む
マフィンクスはまず老爺に焦点を当てた。
巨大な双眼に射抜かれ、老爺がビクリと肩をそびやかす。
「では老人、第一問目のクイズはそなたに答えてもらおうかのう。一応注意しておくが、周りの者は答えを教えぬようにな」
一呼吸置いてから、マフィンクスが第一問目を出題する。
「朝は二本、昼は二本、夜は四本。これな~んだ?」
「む…」
老爺は眉を寄せて熟考し始めた。
「なんか、どこかで聞いた問題だね…」
小声で陸人が呟く。
「確かにあの問題と似ているな」
オーガストは思案げに腕を組みながら、
「しかし本数が若干違うような…」
「うん。人間なら四本、二本、三本だもんね」
およそ一分のシンキングタイムが終了し、マフィンクスが老爺に回答を求める。
「え…ええと――――ま…待ってくれ、もう少し時間を…」
「“待ってくれ、もう少し時間を”が、そなたの回答だな」
「ち…違う!そうではない――――」
「残念、不正解だ。正解は、“シメオン・ヴァロシャーツ”。そこに立っている騎士の青年だ」
「ほう、マトン君は月明りを浴びて羊化するから、夜は四本足ということか」
「なるほど、わりとよく出来た問題だね」
「私達の呪いのことも知っているなんて、かなりの情報通ね」
「おい、お前ら!感心してる場合か!」
いつものごとく、シメオンは突っ込んだ。
クイズに正解できなかった老爺はマフィンクスに縋って懇願していた。
「頼む…。孫を奪わないでくれ!サンディはわしの宝なんじゃ!食うならわしを食え!」
「じいちゃん…!」
「何をほざくか、老人よ。それはそなたの“命より大切なもの”であろう。わしが奪うのは“命の次に大切なもの”だ。というわけで、それを頂くぞ」
マフィンクスは口を大きく開け、触手のように舌を伸ばして老爺から痰壺をむしり取った。
「ぎゃぁぁぁぁ!わしの大事な壺がぁぁぁぁ!」
壺は長い舌に絡め取られ、その巨大な体の中へと収められた。
「え…?あの壺食べちゃった?」
陸人達は唖然としてその場に立っていた。
「ねぇ、そろそろ封印が解ける時間じゃない?」
陸人の言葉にオーガストが深く頷く。
「うむ…そうだな。あの中で封印が解けたら、風船みたいに爆発するんじゃなかろうか」
「ホホホ、期待するだけ無駄だぞ」
マフィンクスが陸人達の会話を聞きつけ、にんまりと口角を上げる。
「実を言うと、たった今封印が解けたところだ。しかしゴブリン共はすでに原型を留めておらん。なぜならわしの胃液はどんなものも一瞬にして溶かしてしまうからのう」
「くっ…なんて化け物だ」
シメオンが敵意に満ちた目でマフィンクスを睨みつける。
「ほう、そなた良い目をしておるな」
マフィンクスはさっそく次のターゲットを彼に決めた。
「では羊人間の騎士よ、第二問はそなたに問う。パンはパンでも食べられないパンはな~んだ?」
「は?そんなの決まってんだろ。フライ――――」
「待ってシメオン!よく考えて!」
「そうだ、マトン君!普通の回答じゃ駄目だ!」
「こらこら、口出しするのはルール違反だぞ。そなた達は黙っておれ」
マフィンクスは両目から細いビームを出して陸人達の足元の砂を一部焦がした。
威嚇ビームを出され、やむ無く陸人達は口を閉ざした。
「では、シンキングタイム終了だ。そなたの回答を聞こうか、青年」
シメオンは舌打ちし、腹立たし気に回答した。
「答えは…“腐ったパン”だ」
「う~む…残念、不正解だ」
「は?腐ったパンは食べられないだろ!」
「いいや、わしは普通に食べれるぞ。腹痛もおこさん。正解は大衆レストラン“ボンボンジュール”の岩石スコーンだ。あの店は千年以上も続く老舗だが、料理は殺人的に不味くて食えたものではないからのう」
「は?!ざけんなよ!スコーンってパンじゃねーだろ!イースト菌入ってねーだろ!」
「わしの中ではスコーンはパンだ」
「スコーンはスコーンだろ?!」
「とにかくそなたは不正解したのだ。ルールに則り、命の次に大切なものを頂くぞ」
マフィンクスの長い舌がシメオンの手中にあるデルタストーンへと伸びていく。
「くそっ…。渡してたまるかっ!」
シメオンはとっさの判断で石を陸人に投げて寄越した。
「ふっ…。これであの石はもう俺の持ち物じゃないから、奪うことはできないぞ。どうだ、悔しいだろ?」
「ふむ…」
マフィンクスは相変わらず余裕の表情だ。
「仕方ないのう。では代わりにこれをいただくとするか」
マフィンクスはシメオンの大剣を奪っていった。
「ああああ!俺の剣がぁぁ!」
シメオンは地面に膝をつき、両手で頭を抱えて悲嘆の叫びを上げた。
「さて、それでは―――」
マフィンクスは愉快そうにくつくつ笑いながら、最後のクイズの回答者を指名した。
「三問目はそなたに答えてもらおうかのう、小僧よ」
陸人は唇を噛み、デルタストーンをぎゅっと握り締めた。
巨大な双眼に射抜かれ、老爺がビクリと肩をそびやかす。
「では老人、第一問目のクイズはそなたに答えてもらおうかのう。一応注意しておくが、周りの者は答えを教えぬようにな」
一呼吸置いてから、マフィンクスが第一問目を出題する。
「朝は二本、昼は二本、夜は四本。これな~んだ?」
「む…」
老爺は眉を寄せて熟考し始めた。
「なんか、どこかで聞いた問題だね…」
小声で陸人が呟く。
「確かにあの問題と似ているな」
オーガストは思案げに腕を組みながら、
「しかし本数が若干違うような…」
「うん。人間なら四本、二本、三本だもんね」
およそ一分のシンキングタイムが終了し、マフィンクスが老爺に回答を求める。
「え…ええと――――ま…待ってくれ、もう少し時間を…」
「“待ってくれ、もう少し時間を”が、そなたの回答だな」
「ち…違う!そうではない――――」
「残念、不正解だ。正解は、“シメオン・ヴァロシャーツ”。そこに立っている騎士の青年だ」
「ほう、マトン君は月明りを浴びて羊化するから、夜は四本足ということか」
「なるほど、わりとよく出来た問題だね」
「私達の呪いのことも知っているなんて、かなりの情報通ね」
「おい、お前ら!感心してる場合か!」
いつものごとく、シメオンは突っ込んだ。
クイズに正解できなかった老爺はマフィンクスに縋って懇願していた。
「頼む…。孫を奪わないでくれ!サンディはわしの宝なんじゃ!食うならわしを食え!」
「じいちゃん…!」
「何をほざくか、老人よ。それはそなたの“命より大切なもの”であろう。わしが奪うのは“命の次に大切なもの”だ。というわけで、それを頂くぞ」
マフィンクスは口を大きく開け、触手のように舌を伸ばして老爺から痰壺をむしり取った。
「ぎゃぁぁぁぁ!わしの大事な壺がぁぁぁぁ!」
壺は長い舌に絡め取られ、その巨大な体の中へと収められた。
「え…?あの壺食べちゃった?」
陸人達は唖然としてその場に立っていた。
「ねぇ、そろそろ封印が解ける時間じゃない?」
陸人の言葉にオーガストが深く頷く。
「うむ…そうだな。あの中で封印が解けたら、風船みたいに爆発するんじゃなかろうか」
「ホホホ、期待するだけ無駄だぞ」
マフィンクスが陸人達の会話を聞きつけ、にんまりと口角を上げる。
「実を言うと、たった今封印が解けたところだ。しかしゴブリン共はすでに原型を留めておらん。なぜならわしの胃液はどんなものも一瞬にして溶かしてしまうからのう」
「くっ…なんて化け物だ」
シメオンが敵意に満ちた目でマフィンクスを睨みつける。
「ほう、そなた良い目をしておるな」
マフィンクスはさっそく次のターゲットを彼に決めた。
「では羊人間の騎士よ、第二問はそなたに問う。パンはパンでも食べられないパンはな~んだ?」
「は?そんなの決まってんだろ。フライ――――」
「待ってシメオン!よく考えて!」
「そうだ、マトン君!普通の回答じゃ駄目だ!」
「こらこら、口出しするのはルール違反だぞ。そなた達は黙っておれ」
マフィンクスは両目から細いビームを出して陸人達の足元の砂を一部焦がした。
威嚇ビームを出され、やむ無く陸人達は口を閉ざした。
「では、シンキングタイム終了だ。そなたの回答を聞こうか、青年」
シメオンは舌打ちし、腹立たし気に回答した。
「答えは…“腐ったパン”だ」
「う~む…残念、不正解だ」
「は?腐ったパンは食べられないだろ!」
「いいや、わしは普通に食べれるぞ。腹痛もおこさん。正解は大衆レストラン“ボンボンジュール”の岩石スコーンだ。あの店は千年以上も続く老舗だが、料理は殺人的に不味くて食えたものではないからのう」
「は?!ざけんなよ!スコーンってパンじゃねーだろ!イースト菌入ってねーだろ!」
「わしの中ではスコーンはパンだ」
「スコーンはスコーンだろ?!」
「とにかくそなたは不正解したのだ。ルールに則り、命の次に大切なものを頂くぞ」
マフィンクスの長い舌がシメオンの手中にあるデルタストーンへと伸びていく。
「くそっ…。渡してたまるかっ!」
シメオンはとっさの判断で石を陸人に投げて寄越した。
「ふっ…。これであの石はもう俺の持ち物じゃないから、奪うことはできないぞ。どうだ、悔しいだろ?」
「ふむ…」
マフィンクスは相変わらず余裕の表情だ。
「仕方ないのう。では代わりにこれをいただくとするか」
マフィンクスはシメオンの大剣を奪っていった。
「ああああ!俺の剣がぁぁ!」
シメオンは地面に膝をつき、両手で頭を抱えて悲嘆の叫びを上げた。
「さて、それでは―――」
マフィンクスは愉快そうにくつくつ笑いながら、最後のクイズの回答者を指名した。
「三問目はそなたに答えてもらおうかのう、小僧よ」
陸人は唇を噛み、デルタストーンをぎゅっと握り締めた。
0
あなたにおすすめの小説
彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中
桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。
やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。
「助けなんていらないわよ?」
は?
しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。
「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。
彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
【完結】国外追放の王女様と辺境開拓。王女様は落ちぶれた国王様から国を買うそうです。異世界転移したらキモデブ!?激ヤセからハーレム生活!
花咲一樹
ファンタジー
【錬聖スキルで美少女達と辺境開拓国造り。地面を掘ったら凄い物が出てきたよ!国外追放された王女様は、落ちぶれた国王様゛から国を買うそうです】
《異世界転移.キモデブ.激ヤセ.モテモテハーレムからの辺境建国物語》
天野川冬馬は、階段から落ちて異世界の若者と魂の交換転移をしてしまった。冬馬が目覚めると、そこは異世界の学院。そしてキモデブの体になっていた。
キモデブことリオン(冬馬)は婚活の神様の天啓で三人の美少女が婚約者になった。
一方、キモデブの婚約者となった王女ルミアーナ。国王である兄から婚約破棄を言い渡されるが、それを断り国外追放となってしまう。
キモデブのリオン、国外追放王女のルミアーナ、義妹のシルフィ、無双少女のクスノハの四人に、神様から降ったクエストは辺境の森の開拓だった。
辺境の森でのんびりとスローライフと思いきや、ルミアーナには大きな野望があった。
辺境の森の小さな家から始まる秘密国家。
国王の悪政により借金まみれで、沈みかけている母国。
リオンとルミアーナは母国を救う事が出来るのか。
※激しいバトルは有りませんので、ご注意下さい
カクヨムにてフォローワー2500人越えの人気作
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる