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「あ、久しぶりに竜也が来る」
木曜日の帰り道。ラインが届いた。
「タツヤ? あぁ、あのクズ男か」
相変わらず、オルは竜也に厳しい。
「ねぇ、なんでそんなにジャッジが厳しいの?」
「厳しいか? 多分赤尾女史が見ても、クズ男と判断するぞ」
そうかなぁ。
私が納得いかない顔をしているのを見て、オルは笑った。
「今日、弥生は少し引いた目線で彼を見てみろ。あと、赤尾女史のこの間の話や、最近の婚活話を思い出しておけ」
赤尾さんの最近の婚活話? なんだっけ。
あまりにもありすぎて、どれがどれだか、あまり覚えていないのだ。
ただ、少し前に赤尾さんが私にしてくれた、思っていることを話した方が良いという話。あれはきちんと覚えている。
今日は、竜也に対して思ったことを、口にしてみようと思う。
──全部は無理だろうけど、少しずつ。
帰宅して、料理の支度をしているとベルが連続で二回鳴る。竜也が到着したのだ。
「よ。久しぶり。仕事が忙しくてさ、ごめんな」
「仕事じゃ仕方ないよねぇ。上がって」
そう。竜也は仕事が忙しいから、なかなか休日にゆっくり会うことができない。私も休日は庭仕事とかしたいから、それはそれで別に良いや、って思ってる。平日の夜に、うちに来て、一緒にご飯を食べる時間があれば──。あれ? なんか似た話、最近赤尾さんから聞いた気がする。
なんだっけかな。
それにしても、久しぶりに会った竜也はなんだかこんな顔だっけ、と思ってしまう。前はもう少し格好良く見えていた気がするけど。オルを見慣れてしまったせいだろうか。そうなると、ちょっとした弊害だな、イケメンが近くにいるのって。
「な、今日はちょっと話があるんだ」
「ん? なにー? お味噌汁温めてたから、火を消してくるね」
先にこたつの前で座る竜也に、麦茶を出して前に座った。
「なぁ。来年一緒になろう」
え、これ。もしかしてプロポーズ? ついに? ついに私結婚ってこと? 赤尾さんごめん。私の方が先に結婚しちゃうかもしれない。
「それで、お前を養うためにさ。俺、独立しようと思ってるんだ」
──ん?
「ほら、俺コンサルだろ? 今も結構評価してもらってるし、このまま独立して会社設立したら、お前も楽できるだろうしさ」
別に私、養ってもらわなくても良いんだけど。まぁ、でもその気概は嬉しい。
「それで、会社の設立のための軍資金を、共同出資って形で出して欲しいんだ。俺の貯金だけだと、少し足りなくてさ」
おっとぉ? 話が変わってきたぞ。
そういえば、赤尾さんがこの間アプリで会った男性の話をしていたのを思い出した。確か、二回目のデートからお家デートしたがるし、手作りの料理を食べたがる。自分の財布は出さず──え、あれ? これ、全部竜也当てはまるね?
もしかして、私騙されそうになってる? 今。
赤尾さんがあの日私にしてくれた話を思い出す。
私に対して真摯な態度を取ってくれたこと、あったかな竜也。
確かに、今までずっと竜也に対して口答えとかしてこなかったし、御しやすい女って思われてたのかもしれない。でも、赤尾さんの言うとおり、私は年収四〇〇万以下で、竜也はコンサルってことは、多分私より収入が良いはずだよね。まぁ──本当にコンサルなんだとしたら、に今の私からするとなってしまうけど。
あのときの赤尾さんの言葉が、表情が、態度が、今ビンビンと理解できてしまっている。うう、理解したくなかったけど、理解できて良かったのだろう。
「お、おい。どした? びっくりしちゃった? プロポーズとか、突然だったしな」
ふふふふふ。こうなったら、しっかり応対してあげようじゃないの。
馬鹿にされっぱなしで、いてたまるもんですか。
木曜日の帰り道。ラインが届いた。
「タツヤ? あぁ、あのクズ男か」
相変わらず、オルは竜也に厳しい。
「ねぇ、なんでそんなにジャッジが厳しいの?」
「厳しいか? 多分赤尾女史が見ても、クズ男と判断するぞ」
そうかなぁ。
私が納得いかない顔をしているのを見て、オルは笑った。
「今日、弥生は少し引いた目線で彼を見てみろ。あと、赤尾女史のこの間の話や、最近の婚活話を思い出しておけ」
赤尾さんの最近の婚活話? なんだっけ。
あまりにもありすぎて、どれがどれだか、あまり覚えていないのだ。
ただ、少し前に赤尾さんが私にしてくれた、思っていることを話した方が良いという話。あれはきちんと覚えている。
今日は、竜也に対して思ったことを、口にしてみようと思う。
──全部は無理だろうけど、少しずつ。
帰宅して、料理の支度をしているとベルが連続で二回鳴る。竜也が到着したのだ。
「よ。久しぶり。仕事が忙しくてさ、ごめんな」
「仕事じゃ仕方ないよねぇ。上がって」
そう。竜也は仕事が忙しいから、なかなか休日にゆっくり会うことができない。私も休日は庭仕事とかしたいから、それはそれで別に良いや、って思ってる。平日の夜に、うちに来て、一緒にご飯を食べる時間があれば──。あれ? なんか似た話、最近赤尾さんから聞いた気がする。
なんだっけかな。
それにしても、久しぶりに会った竜也はなんだかこんな顔だっけ、と思ってしまう。前はもう少し格好良く見えていた気がするけど。オルを見慣れてしまったせいだろうか。そうなると、ちょっとした弊害だな、イケメンが近くにいるのって。
「な、今日はちょっと話があるんだ」
「ん? なにー? お味噌汁温めてたから、火を消してくるね」
先にこたつの前で座る竜也に、麦茶を出して前に座った。
「なぁ。来年一緒になろう」
え、これ。もしかしてプロポーズ? ついに? ついに私結婚ってこと? 赤尾さんごめん。私の方が先に結婚しちゃうかもしれない。
「それで、お前を養うためにさ。俺、独立しようと思ってるんだ」
──ん?
「ほら、俺コンサルだろ? 今も結構評価してもらってるし、このまま独立して会社設立したら、お前も楽できるだろうしさ」
別に私、養ってもらわなくても良いんだけど。まぁ、でもその気概は嬉しい。
「それで、会社の設立のための軍資金を、共同出資って形で出して欲しいんだ。俺の貯金だけだと、少し足りなくてさ」
おっとぉ? 話が変わってきたぞ。
そういえば、赤尾さんがこの間アプリで会った男性の話をしていたのを思い出した。確か、二回目のデートからお家デートしたがるし、手作りの料理を食べたがる。自分の財布は出さず──え、あれ? これ、全部竜也当てはまるね?
もしかして、私騙されそうになってる? 今。
赤尾さんがあの日私にしてくれた話を思い出す。
私に対して真摯な態度を取ってくれたこと、あったかな竜也。
確かに、今までずっと竜也に対して口答えとかしてこなかったし、御しやすい女って思われてたのかもしれない。でも、赤尾さんの言うとおり、私は年収四〇〇万以下で、竜也はコンサルってことは、多分私より収入が良いはずだよね。まぁ──本当にコンサルなんだとしたら、に今の私からするとなってしまうけど。
あのときの赤尾さんの言葉が、表情が、態度が、今ビンビンと理解できてしまっている。うう、理解したくなかったけど、理解できて良かったのだろう。
「お、おい。どした? びっくりしちゃった? プロポーズとか、突然だったしな」
ふふふふふ。こうなったら、しっかり応対してあげようじゃないの。
馬鹿にされっぱなしで、いてたまるもんですか。
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