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1部 おっかなびっくり放浪編
3 採取、料理、平常心
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次の日の朝。
私はホットワインを飲みながら昼までだらだらと過ごし、ようやくインビジブルタワーから出た。
「採取しよう。薬草も摘んで、夜は薬湯に入ろうかな」
今日は足首まであるロングパーカーに身を包み、キャップを被った。靴下をはくのが面倒だったのでビーサンを出してはいた。完全に舐めプスタイルだ。
位置を調べよう。地図、探知、探索。
「……フブルフォレスト深部──草食獣は浅い森、肉食獣は森の中心部に集まっているわね」
鬱蒼とした森の中。
虫や鳥の鳴き声が聞こえてくる。
川のせせらぎに、遠くに猿もいるようだ。昨日は全速力で飛行してきたから、かなり深いところまできてしまった。
「ブシャアァァァ!」
「あ、一角ブタがいるー」
寝てたのに踏んで起こしてしまった。
スキル、溺死で始末する。
ブタ肉は内臓や血でソーセージが作れる。せっかくの獲物だ。失血死や毒殺は避けて、無駄なく使えるようにする。
おまけに溺死を使うと獲物は水球に包まれ口から胃の内容物と、肛門から排泄物を出して──まぁ、その、苦しませることにはなるけど解体するときラクだと思ったから。ごめんよ。
「身は洗浄して、角はいらんから地面に刺しておこう。これを目印に転移門を刻んで……地図にも位置を記す、と」
転移門とは、転移魔法で移動する際、どこのポイントに移動するか正確な位置を指定する為の門だ。
飛行で採取を再開。
森の中で採取できるプラチナ草は輝きが強い。実はこれ、煙草の材料なのだ。
天狗の鼻と呼ばれる、真っ赤なキノコを見付けた。極微量だが麻酔成分が入っている。プラチナ草と組み合わせると煙草になる。
日本では煙草もお酒も二十歳からだったけど、この世界の成人年齢は15歳。……よし吸うか。
それでも吸う前に辺りをきょろきょろとした。
「ん? 木の幹にヘビコウモリがいるね。あれは要らないや」
作業高速化で作りたての煙草をプカプカ。肺に入れた煙を吐き出し、宙を眺める。
木々の間から漏れる陽射しの中で、煙が不思議な踊りを舞っていた。
あぁ……ニッキー。昨夜夢に出てきて、私に助けてって言ってたなぁ。
「はぁー……仕方ないじゃん。完全に死体見ちゃったんだから。慣れたくないけど、慣れるしかないよ」
煙草プカプカ。平常心。平常心。
収納から飴玉を出す。
う~ん。やっぱりまだ食欲ないなぁ。
でも甘いもの、飴玉くらいなら、体が受け付ける。
何か動くものが見えて木の上までいくと、蔦ワタリ蟹が巣を作っていた。
ハサミで威嚇されたので窒息で素早く始末する。今夜は蟹雑炊とかいいかもね。卵とじにして、ネギ散らして。
気付くとあちこちに蔦ワタリ蟹が巣を作っていた。殆どの木にいる。今は繁殖期なのかな? 転移門を刻んだし、卵を抱えた頃にまた獲りにこよう。
インビジブルタワーに戻り、キッチンに入って蟹を洗った。
ぶつ切りして魔法鍋にいれて出汁をとる。
あ、収納にうどんがあったな。やっぱ味噌うどんにしよ。
煮込んでる間、ソファーにダイブしてホットコーヒーを出した。煙草もプカプカ。収納から灰皿代わりの空き瓶を出す。煙草と珈琲、最高。
また寝てしまった。
もう夕方だ。今夜もこの場所で寝よう。
魔法鍋の蟹うどんは、出来立て熱々のまま時間を止めていた。どんぶりに移して収納する。まだ食欲がわかない。
「旅の弁当でも作るかー」
収納からミュージックラビットを取り出す。バンザーイした兎のヌイグルミだ。前世で数十万円は課金した娯楽アイテム。無料BGMが20曲に、ダンジョン周回用に1000曲くらい有料ダウンロードした曲が入ってる。今はとにかく音が欲しい。
「あ~♪ これこれ、やっぱ料理中はハードロックよねぇ~。ファーック、ファーック♪」
収納からミックス粉と卵、蜂蜜を取り出す。
水を加えて混ぜ混ぜ。
2キロのパンケーキの元が出来た。
型に流し込み、魔導オーブンにいれてスイッチオン。
「あ、そうだ。処理しとかなきゃ」
料理スキルで一角ブタを解体。
トンカツと生姜焼き用に背ロースをカットし、バラ肉はカレーと酢豚用にブロック切り。
ブタは皮も美味しいので産毛を焼いて水に浸ける。ふやけてきたら薄く表皮を削って処理する。千切りにして炒め物に使うのだ。
骨や豚足はスープにしよう。大鍋に放り込む。
「収納にソーセージが沢山あったから……とりあえず内臓はすぐ食べれるようにしとくか」
血はソーセージや罠猟に使えるので大事に保存しておく。内臓は洗浄して体液や臭みを消す。全て一口サイズに切り、塩を入れたお湯で煮込む。
うん、いい感じ。
余ったブタの頭から舌と頬肉を削ぎとって収納する。これでブラウンシチュー作らなきゃ。あ、しまった料理用の赤ワインがない! とりあえずドリンク用のホットワインで代用すればいいか。
細かい肉片は今度撒き餌に使おう。ブタの顔も猟で使えるからね、収納収納。
「あー、お腹すーいーたー」
でも蟹うどんの気分じゃない。
収納からステーキ付きのペペロンチーノを出す。辛いソースもドバドバかける。
「んみゃー!」
辛い! 唾液が溢れる溢れる。
「ステーキにはコショウよね……む? コショウは在庫があまりないな……」
お腹一杯になって、ソファーでふんぞり返って寝た。
チクチク。微かに肌への干渉。それもかなり遠くから。これは……。
「……っ、お父様の千里眼だ!」
飛び起きて掛けられた千里眼を解除……しなかった。
居場所はバレていないが恐らくこちらから千里眼を解除したら、バレる。
こんな深い森の中までお父様の千里眼が通るとは……てかインビジブルタワーは私の存在すら隠してくれる。おまけに隠密まで発動させているのだ。
あの男の千里眼……距離と感度の精度が桁外れだ。
一度戻ってお父様を偵察するべきか?
ステータスを開き取得可スキルを見る。
「透明化、認識阻害、どれも隠密の下位のスキル……他になにかないかな」
下の方までスクロールすると【影遊び】というスキルが出てきた。あ、そういやこれでよく遊んだなぁ。全身真っ黒になって、体もペラペラになるやつ。他のプレイヤーにはりついて「うぜぇ」と返される戦闘ではなんの役にも立たないスキルだ。
この【影遊び】と……小さくなる【小人】のスキルと飛行を合わせて。鏡で見ると……うん、ペラペラの黒い蝶が飛んでるみたい。
よし、偵察の時はこれでいこう!
なんか小腹が空いてきたな。
元に戻って焼き上がってたパンケーキを摘まみながら、周囲を探知探索する。
「あ……夜光蝶がいる。それも沢山」
夜光蝶が飛んでるということは、近くでゾンビの行進がある筈。
夜光蝶は深い森に生息している。そして夜になるとキラキラと輝くいざないの麟粉を出す。それと同時にどこからともなく出てくるゾンビ。彼等は夜光蝶が出す麟粉の光につられて歩く。1体、2体と蝶に誘われてゾンビの行進が出来上がるのだ。
夜光蝶の麟粉は黄金と同じ価格で引き取られる。おまけに地面に落ちる前に取らないと消えてしまうのだ。麟粉の採取に集中しすぎるとゾンビに襲われるし、ゾンビを倒し切ってしまうと夜光蝶は飛びさってしまう。
このクエストは神出鬼没で、何回かクリアした。
今の私にとってはラクな獲物だ。
インビジブルタワーから飛びだすと、ちょうどゾンビの行進が目の前にあった。気持ち悪っ。
ゾンビの上を飛行すると、うようよと集まってきた。まとまったところで結界でゾンビを囲む。不規則に舞っていた夜光蝶が何匹も戻ってきて、ゾンビの上を舞う。結界に触れた麟粉はそのまま私の異空間に収納される。
一見ゾンビが夜光蝶を追ってるように見えるけど、ゾンビと夜光蝶はワンセットなのよねぇ。
ハロウィンイベントで手に入れたゾンビの皮を被れば夜光蝶は寄ってくるけど、現実であの麟粉を頭にふりかけられるのは避けたい。
夜光蝶の麟粉、その正体はコショウだ。
この世界では高級調味料で、金と同じ価格で取引されている。コショウは栽培されていない。ゾンビに噛まれる覚悟で、夜光蝶から手に入れるしかないのだ。
「おっ。もう500g集まったか。このまま放置しておこう。夜明けまでに100キロは溜まるかな~」
インビジブルタワーを収納して夜の森を飛行する。その場から離れたかった。
やっぱり現実でゾンビを見ると、怖くて目が冴えちゃうよね~。体とかマジで腐ってるし。
飴玉を舐めながら精神を落ち着かせる。
「あ、山菜マスター!」
山菜マスターとは、黄色いローブを着てカゴを背負った、たまに森の中にいるおじさんだ。川や山にもいる。欲しい山菜があれば物々交換してくれる。コショウ同様こちらも神出鬼没だけど根気よく探せば見つけ出せる。
「おじさーん!」
隠密を解いて手を振る。
ちょうど欲しい山菜があったのだ。
「おじさーん!」
ナムル系で使える山菜が欲しいな。あと天ぷらにできる山菜も。
「おじさーん! おじさー……」
そこで私はしまったと空中停止した。
ゲームでは、山菜マスターは運営が作ったオートモードの無害キャラだったけど、現実ではどうよ?
「……っ、な……なんだお前は! 怪しい奴……それ以上近付くな!」
ほら、いきなり呼ばれた山菜マスターも固まってるじゃん。おまけに採取用の鉈まで取り出して身構えたし。
私はホットワインを飲みながら昼までだらだらと過ごし、ようやくインビジブルタワーから出た。
「採取しよう。薬草も摘んで、夜は薬湯に入ろうかな」
今日は足首まであるロングパーカーに身を包み、キャップを被った。靴下をはくのが面倒だったのでビーサンを出してはいた。完全に舐めプスタイルだ。
位置を調べよう。地図、探知、探索。
「……フブルフォレスト深部──草食獣は浅い森、肉食獣は森の中心部に集まっているわね」
鬱蒼とした森の中。
虫や鳥の鳴き声が聞こえてくる。
川のせせらぎに、遠くに猿もいるようだ。昨日は全速力で飛行してきたから、かなり深いところまできてしまった。
「ブシャアァァァ!」
「あ、一角ブタがいるー」
寝てたのに踏んで起こしてしまった。
スキル、溺死で始末する。
ブタ肉は内臓や血でソーセージが作れる。せっかくの獲物だ。失血死や毒殺は避けて、無駄なく使えるようにする。
おまけに溺死を使うと獲物は水球に包まれ口から胃の内容物と、肛門から排泄物を出して──まぁ、その、苦しませることにはなるけど解体するときラクだと思ったから。ごめんよ。
「身は洗浄して、角はいらんから地面に刺しておこう。これを目印に転移門を刻んで……地図にも位置を記す、と」
転移門とは、転移魔法で移動する際、どこのポイントに移動するか正確な位置を指定する為の門だ。
飛行で採取を再開。
森の中で採取できるプラチナ草は輝きが強い。実はこれ、煙草の材料なのだ。
天狗の鼻と呼ばれる、真っ赤なキノコを見付けた。極微量だが麻酔成分が入っている。プラチナ草と組み合わせると煙草になる。
日本では煙草もお酒も二十歳からだったけど、この世界の成人年齢は15歳。……よし吸うか。
それでも吸う前に辺りをきょろきょろとした。
「ん? 木の幹にヘビコウモリがいるね。あれは要らないや」
作業高速化で作りたての煙草をプカプカ。肺に入れた煙を吐き出し、宙を眺める。
木々の間から漏れる陽射しの中で、煙が不思議な踊りを舞っていた。
あぁ……ニッキー。昨夜夢に出てきて、私に助けてって言ってたなぁ。
「はぁー……仕方ないじゃん。完全に死体見ちゃったんだから。慣れたくないけど、慣れるしかないよ」
煙草プカプカ。平常心。平常心。
収納から飴玉を出す。
う~ん。やっぱりまだ食欲ないなぁ。
でも甘いもの、飴玉くらいなら、体が受け付ける。
何か動くものが見えて木の上までいくと、蔦ワタリ蟹が巣を作っていた。
ハサミで威嚇されたので窒息で素早く始末する。今夜は蟹雑炊とかいいかもね。卵とじにして、ネギ散らして。
気付くとあちこちに蔦ワタリ蟹が巣を作っていた。殆どの木にいる。今は繁殖期なのかな? 転移門を刻んだし、卵を抱えた頃にまた獲りにこよう。
インビジブルタワーに戻り、キッチンに入って蟹を洗った。
ぶつ切りして魔法鍋にいれて出汁をとる。
あ、収納にうどんがあったな。やっぱ味噌うどんにしよ。
煮込んでる間、ソファーにダイブしてホットコーヒーを出した。煙草もプカプカ。収納から灰皿代わりの空き瓶を出す。煙草と珈琲、最高。
また寝てしまった。
もう夕方だ。今夜もこの場所で寝よう。
魔法鍋の蟹うどんは、出来立て熱々のまま時間を止めていた。どんぶりに移して収納する。まだ食欲がわかない。
「旅の弁当でも作るかー」
収納からミュージックラビットを取り出す。バンザーイした兎のヌイグルミだ。前世で数十万円は課金した娯楽アイテム。無料BGMが20曲に、ダンジョン周回用に1000曲くらい有料ダウンロードした曲が入ってる。今はとにかく音が欲しい。
「あ~♪ これこれ、やっぱ料理中はハードロックよねぇ~。ファーック、ファーック♪」
収納からミックス粉と卵、蜂蜜を取り出す。
水を加えて混ぜ混ぜ。
2キロのパンケーキの元が出来た。
型に流し込み、魔導オーブンにいれてスイッチオン。
「あ、そうだ。処理しとかなきゃ」
料理スキルで一角ブタを解体。
トンカツと生姜焼き用に背ロースをカットし、バラ肉はカレーと酢豚用にブロック切り。
ブタは皮も美味しいので産毛を焼いて水に浸ける。ふやけてきたら薄く表皮を削って処理する。千切りにして炒め物に使うのだ。
骨や豚足はスープにしよう。大鍋に放り込む。
「収納にソーセージが沢山あったから……とりあえず内臓はすぐ食べれるようにしとくか」
血はソーセージや罠猟に使えるので大事に保存しておく。内臓は洗浄して体液や臭みを消す。全て一口サイズに切り、塩を入れたお湯で煮込む。
うん、いい感じ。
余ったブタの頭から舌と頬肉を削ぎとって収納する。これでブラウンシチュー作らなきゃ。あ、しまった料理用の赤ワインがない! とりあえずドリンク用のホットワインで代用すればいいか。
細かい肉片は今度撒き餌に使おう。ブタの顔も猟で使えるからね、収納収納。
「あー、お腹すーいーたー」
でも蟹うどんの気分じゃない。
収納からステーキ付きのペペロンチーノを出す。辛いソースもドバドバかける。
「んみゃー!」
辛い! 唾液が溢れる溢れる。
「ステーキにはコショウよね……む? コショウは在庫があまりないな……」
お腹一杯になって、ソファーでふんぞり返って寝た。
チクチク。微かに肌への干渉。それもかなり遠くから。これは……。
「……っ、お父様の千里眼だ!」
飛び起きて掛けられた千里眼を解除……しなかった。
居場所はバレていないが恐らくこちらから千里眼を解除したら、バレる。
こんな深い森の中までお父様の千里眼が通るとは……てかインビジブルタワーは私の存在すら隠してくれる。おまけに隠密まで発動させているのだ。
あの男の千里眼……距離と感度の精度が桁外れだ。
一度戻ってお父様を偵察するべきか?
ステータスを開き取得可スキルを見る。
「透明化、認識阻害、どれも隠密の下位のスキル……他になにかないかな」
下の方までスクロールすると【影遊び】というスキルが出てきた。あ、そういやこれでよく遊んだなぁ。全身真っ黒になって、体もペラペラになるやつ。他のプレイヤーにはりついて「うぜぇ」と返される戦闘ではなんの役にも立たないスキルだ。
この【影遊び】と……小さくなる【小人】のスキルと飛行を合わせて。鏡で見ると……うん、ペラペラの黒い蝶が飛んでるみたい。
よし、偵察の時はこれでいこう!
なんか小腹が空いてきたな。
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「あ……夜光蝶がいる。それも沢山」
夜光蝶が飛んでるということは、近くでゾンビの行進がある筈。
夜光蝶は深い森に生息している。そして夜になるとキラキラと輝くいざないの麟粉を出す。それと同時にどこからともなく出てくるゾンビ。彼等は夜光蝶が出す麟粉の光につられて歩く。1体、2体と蝶に誘われてゾンビの行進が出来上がるのだ。
夜光蝶の麟粉は黄金と同じ価格で引き取られる。おまけに地面に落ちる前に取らないと消えてしまうのだ。麟粉の採取に集中しすぎるとゾンビに襲われるし、ゾンビを倒し切ってしまうと夜光蝶は飛びさってしまう。
このクエストは神出鬼没で、何回かクリアした。
今の私にとってはラクな獲物だ。
インビジブルタワーから飛びだすと、ちょうどゾンビの行進が目の前にあった。気持ち悪っ。
ゾンビの上を飛行すると、うようよと集まってきた。まとまったところで結界でゾンビを囲む。不規則に舞っていた夜光蝶が何匹も戻ってきて、ゾンビの上を舞う。結界に触れた麟粉はそのまま私の異空間に収納される。
一見ゾンビが夜光蝶を追ってるように見えるけど、ゾンビと夜光蝶はワンセットなのよねぇ。
ハロウィンイベントで手に入れたゾンビの皮を被れば夜光蝶は寄ってくるけど、現実であの麟粉を頭にふりかけられるのは避けたい。
夜光蝶の麟粉、その正体はコショウだ。
この世界では高級調味料で、金と同じ価格で取引されている。コショウは栽培されていない。ゾンビに噛まれる覚悟で、夜光蝶から手に入れるしかないのだ。
「おっ。もう500g集まったか。このまま放置しておこう。夜明けまでに100キロは溜まるかな~」
インビジブルタワーを収納して夜の森を飛行する。その場から離れたかった。
やっぱり現実でゾンビを見ると、怖くて目が冴えちゃうよね~。体とかマジで腐ってるし。
飴玉を舐めながら精神を落ち着かせる。
「あ、山菜マスター!」
山菜マスターとは、黄色いローブを着てカゴを背負った、たまに森の中にいるおじさんだ。川や山にもいる。欲しい山菜があれば物々交換してくれる。コショウ同様こちらも神出鬼没だけど根気よく探せば見つけ出せる。
「おじさーん!」
隠密を解いて手を振る。
ちょうど欲しい山菜があったのだ。
「おじさーん!」
ナムル系で使える山菜が欲しいな。あと天ぷらにできる山菜も。
「おじさーん! おじさー……」
そこで私はしまったと空中停止した。
ゲームでは、山菜マスターは運営が作ったオートモードの無害キャラだったけど、現実ではどうよ?
「……っ、な……なんだお前は! 怪しい奴……それ以上近付くな!」
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