グランピングランタン

あお

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第二十二章

不協和音

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新学期。

クラス替えが行われ、同じクラスだった人とは別々になる。今まで見ていた景色が少し変わっていた。しかし、中には同じクラスの人も居れば、そういえば見たことある顔だな。なんて思う人も居た。

龍・田口・加奈子・君島。この4人は龍だけ違うクラスになり、他の3人は同じクラスになった。


〔1年の時、同じクラスの人もいるけど…ほぼ知らない人と同じクラスになったなぁ…。〕

昼休み。
机に頬杖をつきながらクラス全体を見ている龍。なんとなく見渡してるところにー

「木村君、同じクラスだね。」
「お…。おぉ。また同じクラスになったね。」

話しかけてきたのは1年の時、同じクラスだった冴木だ。

「田口君といつも一緒だったからさ少し寂しいんじゃない?」
「いやいや…。そんなことないよ。」
「私も仲良い子と別々になったからちょっと寂しいなぁ。」
「そうなんだ。」
「部活が一緒だから部活に行けば、会えるんだけどね。」
「部活が楽しみだな。吹奏楽部だっけ?」
「そうだよ。よく知ってるね。」
「あぁ…。高梨から聞いたことある。」
「そっかぁ…。高梨さんとも仲良かったもんね木村君。」
「……。」
「何かあったの?」
「いや…。なんでもー」
「おーい。もう他の女の子に移ったのかお前は?」
「ー!!!」

振り向くとそこには田口がいた。

「お、お前クラス隣だろ!」
「まぁまぁいいじゃんか。お前が寂しくないかと思ってさ。なに。もう冴木と仲良くなったの?このやろう!」
「ち、違うよ!私が同じクラスだねって話しかけただけだよ。」
「そうだよ。お前変なこと言うんじゃねーよ。」
「クラスに慣れたか?」
「まぁ…ぼちぼちよ。ぼちぼち。」
「なんだそれ?」
「何も考えてないってことだよ。」
「お前と高梨がまさかなぁ…。」

龍と加奈子が別れたのはもちろん田口・君島の耳には入っていた。
別れて1ヶ月。2人はいつものようには行ってなかった。

「木村。あれから高梨とは何もないんだろ。」
「あぁ。そうだよ。」
「でもまぁ、お前は意外にモテるからなぁ。」
「なんだそれ?」
「え?まだ会ってないの?さっき会ってクラス教えたけど?」
「はぁ?誰にだよ。」
「別れたってのも話たから喜んでたけど。」
「だーかーら。誰にそれをー」
『せんぱーーーーい!!!!』

廊下から大きな叫び声が聞こえた。
クラスの中にドタバタ入ってきた1人の女の子。それはー

「うわぁ!お前…この学校に入ってきたのかよ!?」
「そうです。先輩に会いたくて先輩と同じ高校選びました!」

龍と田口の前に現れたのは1つ歳が下の岩本飛鳥。龍と同じ中学校でちょっとした幼馴染だ。

「飛鳥ちゃんやっぱり来たね。」
「田口先輩ありがとうございます!」
「というかお前…。先輩のクラスに入るなよ!外行くぞ外!」

そういうと龍と岩本は教室を出て、売店近くのベンチに向かった。田口は笑いながら自分の教室へと帰って行った。

「ーったく!みんなびっくりするだろ!いきなり入ってくるなんて。」
「早く先輩に会いたかったんです。」
「あ…あぁありがとう。」
「だって先輩。加奈子さんと別れたんですよね?」
「あぁ…。」
「田口さんから聞きました。寂しがってるって。」
「寂しがってるってそんなことないよ。」
「嘘!加奈子さんの話すると、ちょっと顔が怖くなるもん。」
〔仕方ねーだろよ…。〕
「はぁ…まだ気持ちの整理がつかないからね。」

腕を組みながらベンチから立ち上がる龍。

「そんなに好きだったんですか?」
「うーん。まぁ…そうだな。」
「私は…先輩が好きです。」
「あ、ありがとう。」
「私が先輩の寂しさ、埋めます。」
「はぁ?」

振り向くとー

ーぎゅっ。

「うぇ!?お、おい!」

岩本が龍に抱きつく。

「私が…そばにいます!離れません!」


ーその頃、田口のクラス。

「なぁ綾子。」
「なに?」
「木村って…。高梨ともう戻らないのかな?」
「……さぁ。」
「何か知ってんの?」
「うーん。まぁね。」
「なんだよ。教えろよ!」
「あんたすぐ木村君に言うじゃん。」
「言わねーよ!」
「加奈子はねー」
「なになに?私の話?」

田口と君島の話に割って入る加奈子。

「うわぁ!びっくりした…。」
「私の話?」
「う、うん…。」
「高梨は好きな男とかいねぇのかよ?もう木村とは別れたんだろ?」
「う、うん。」

複雑な表情をする加奈子。

「加奈子だって傷ついてるんだからそんな話はしないの!」
「なんでよ。別れを切り出したのは高梨だろ?」
「…。」
「もう!相変わらず女心がわかってないんだから!行こ。加奈子。」

加奈子の手を引っ張り、教室から出て行く2人。

「なんだよ。俺は2人により戻して欲しいのにさ。」

いじける田口。

「ごめんね加奈子。あいつには言っとくから。」
「ううん。大丈夫だよ。」
「あのね…。田口も加奈子の事心配してるんだ。別れたって聞いて、田口ショック受けてさ。」
「そうなんだ。」

うつむく加奈子。

「まぁ別れるのがダメとかじゃないよ。私はそう決断した加奈子を応援してるから。」
「ありがとう綾子。」
「私はちゃんと分かってるよ。」
「え?」
「なんで木村君と別れたかって。」
「そうなの?」

2人は龍の話を中心に恋バナに花が咲く。

「ーって言ったんだ。」
「そっかぁ…。好きな人なんて言われたら、男は何も言えないもんね。」
「うんうん。」
「もう一度…。私を見て欲しかったんだ。」
「ぷ…ぷぷぷ!」

吹き出す君島。

「なに!どうしたの綾子!?」
「ごめんごめん。いや、話聞いてたら、別れたのに加奈子は木村君の事が大好きなんだって、よく伝わるよ。逆に別れてもっと好きになったんじゃない?」
「私は小さい時から龍の事、大好きだよ。」

頷く君島。

「2人は付き合い長いんだから。大丈夫だよ。」
「うん。あれから喋れてないからちょっと不安だけどね。」
「木村君、案外モテるからね。」
「もぉー綾子!」
「あはは!あー」

ハッと遠くを見る君島。
それに釣られ同じ方向を向く加奈子。

「ーえ。」

目線の先には岩本に抱きしめられていた龍が立っていた。



続く。
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