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しおりを挟む召喚されてから約2か月。
周囲の女性陣のやっかみが酷くなってきてウザくなったのと、もう城内や城下街から得られる情報が無いと思った所で、上級の聖魔法である『範囲結界』と特級の『完全回復』を習得したと知らせた。
お偉さん達は、上級の魔法は使える人が少ない事、ましてや特級はこの国で使える人は居ないのだと、見るからにはしゃいでいた。
すぐにも、討伐出発準備が整えられ、仰々しいパレードが行われ、魔王討伐パーティーは出発させられた。
パーティーメンバーは、勇者だという、この国の王子セイル=ルークサンドラ。騎士団出身の剣士ラルク。冒険者出身だという、拳闘士ガープと、あの自己顕示欲の塊の女魔法使いリズペリア。そして、私。
ルークサンドラ国を出るまでは、王子風を吹かせ、高級宿や貴族の屋敷に我が物顔で泊まり。
野営なんかこれっぽっちもする気が無かったみたいだ。
恩着せがましく魔獣を倒し、その見返りにと贅沢をする。
困っている人を見返りなく助ける、といった物語の勇者的な部分はなくて。
全てが茶番。
そうとしか見えなかった。
*
ルークサンドラ国を出てからも、彼らの考え方は変わらなかった。
でも、自国と同じ振る舞いで、上手く行くことがないのを知っているからか、王子は外面良くふるまっていた。
騎士は何も言わない。
元々冒険者の拳闘士と魔法使いは、偉そうなままだった。
行く先々の冒険者ギルドで依頼を受けて、魔獣を倒す。
残念な事に、他国の冒険者ギルドで、上位依頼を受け討伐成功していることから考えるに、彼らはそれなりに強いようだ。
でも、それ故にどこか横柄で、他の冒険者を見下している。
そんな雰囲気がありありだから、他の冒険者達も遠巻きにしていた。
*
2つ目に訪れた国で、地龍と呼ばれる大きなトカゲがみたいな魔物が現れて。
それを倒すのに他の3人パーティー、4人パーティーの冒険者達と共闘する事があった。
4人パーティーの回復役さんがいたから回復はお願いして、私は支援魔法を飛ばして全員にかけまくった。
回復をお任せできるから、支援魔法が切れるタイミングを測って飛ばすのは凄く楽だった。
それでなくても、いつも勇者パーティーの面々は特攻しか頭にないから。
支援が遅れたら文句言うし。
自分が下手して怪我してるのに、回復が遅いって怒るし・・・
私の支援魔法を見て、回復役さんは凄く驚いていた。
不思議に思って話を聞くと、触れないで回復や支援魔法をかけるのは凄く難しい事なんだと、これはとっても戦いが楽になる、むしろ革命的な事なんだと言われて。
そんな事、初めて知った。
私のやる事なんて、できて当たり前の事だって、言われ続けていたから。
それに、討伐が終わった後、他のパーティーの面々から、「ありがとう、支援のおかげで、とても戦いやすかった。」って喜ばれて、お礼を言われた。
人に喜ばれるって、こんなにも嬉しいんだなって。
久しぶりに人としての役割を果たしたのかなって。
とっても気の良い人達だったから、回復役さんに、そっと『回復』の効果を上げる方法・・・『洗浄』『消毒』を教えてあげた。
それに、『回復』を飛ばすコツ・・・言ってしまえば、ホーミング機能だ。その人に渡す事だけを考えて、他を視界に入れないように考えてるから、障害物を越えていく状態。私はそうやってる、って話した。
彼女はすっごくビックリしてたけど、すぐにコツを掴んでくれた。
『回復』が使えない人が回復薬を使うときにも、傷口を綺麗に洗うと違うと伝えたら、「水を出すのは生活魔法で使える人が多いから、すっごく役に立つ」って喜んでくれた。
だから嬉しくて、どんどん広めて下さいねって伝えたら、回復役さんに怪訝そうな顔されて、渋々頷かれた。
「聖女サマが教えてくれたんだよって、ちゃんと広めるからね。」
最後は笑って言ってくれたけど、何だったんだろう。
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