悪役令嬢は浪人生〜破滅フラグ以前に舞台の学園の入試に落ちました。ごめんヒロイン、卒業パーティーには行けません。私は今、予備校で勉強中です〜

凛海

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9.悪役令嬢は浪人生+あとがき

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 私が耗筆塾の女子寮に着いてから2日が経過した。

 寮での生活にも少しずつ慣れて来た。食事の質はさすがに公爵家には劣るものの、それでも十分美味しくその心配は必要無さそうだった。部屋にはトイレなど一通りの設備があり、特段不自由だったことはない。
 強いて言えば洗濯を自分でしないといけない事が面倒だった。それも手洗いなどという原始的な方法でやらなければいけないと知って以降、私はどんどん質素な服を着るようになった。ドレスなどは着るたびに洗わなくても良いだろうが、しかしそれでもやらずに済むのならば出来るだけ避けたかった。結果、私はワンピースなどの出来るだけラフな格好をする様になった。適応力には自信がある。

 また、どうやらこの寮に到着したのは私が最初だったようで、初日の昼には1人で食事をしたが、夜には新しくここに来たと思われる人間が何人かいた。彼女達は皆貴族の令嬢なのだろう。みすぼらしい格好をしたものは1人もおらず、それどころか2、3人はド派手なドレスを着てさえいた。

 また何人かは私の事を見て驚いていたが、多分彼女達は私がキュルケに乗り移る前の知り合いなのだろう。とはいえ私は本来のキュルケの記憶を引き継いでいない。面倒な事になりそうな予感がした私はさっさと退場する事にした。

 そんなこんなでこの女子寮の人数も増えていき、1階も2階もその部屋の全てが埋まったようだった。人数にして言えば40人ぐらいだろうか。

 そして人数が増えればトラブルも増え、時折ヒステリックな叫び声が聞こえるようになった。耳をすませば彼女達が何と叫んでいるのかは聞こえるのだが……大方、さっさと家に返せだの、どうしてこの私がこんな事をしなければいけないのだだの、そういったところだろう。

 これだから温室育ちのお嬢様は……いや私もか。


 ……とにかく!今日はあるイベントが待っている。

 何を隠そうここは予備校の寮なのだ。

 であればつまり……


「おはよう!受験に失敗したお馬鹿さん達ぃっ!!」


 ……予備校の授業が待っている。

 えぇ!?何その挨拶!?

 予備校の講師ってそんなに口悪いの!?

「ちょっと!?どういう事ですの!!」

 おうおう、プライドの高そうなお嬢さんがいきなり噛み付いている。

 ちなみにここは女子寮から少し離れた場所にある、耗筆塾の本館だ。私達はこれから毎日、女子寮からここまで通う事になるという訳だ。

 教室は日本風であり、ここにも君フォルが和製ゲームである事の影響が表れている。

「そうだ!俺たちにそのふざけた口をきいたことを後悔させてやる!!」

 今度は別の坊ちゃんが噛み付いた。ずんぐりむっくりのおデブちゃんだ。

 そう、ここには男子もいた。「女子」寮があるのだから「男子」寮があっても、つまり男子生徒がいても不思議ではない。

 寮は別々だが授業は一緒に受けるようだ。

 とにかく、目の前の爽やかな笑顔を浮かべたナイスガイな三十路の男の言葉のせいで、教室は一気に険悪な空気に包まれる。

 明らかにプライドの高そうな貴族の子女を相手にそんな物言いをすれば、なるほど彼ら彼女らはキレるだろう。

 しかし当の本人はまるで気にした様子もなく言葉を続ける。

「おうおう!今年も活きの良いのが入ったなぁ!!俺は嬉しいぜっ!!!」

 ……なるほどね。熱血バカね。

 そう思った私だったが、しかし直後に男の纏う空気が変わった。

「出て行けよ。文句があるんならよ」
「っ!てめぇ!」

 さっきのおデブちゃんが立ち上がって一歩足を踏み出す……が、それ以上前に進むことはない。

 何故なら――

「どうした?魔法を見せただけでビビって動けなくなっちまったか?」

 ――男の手にはいつのまにか指揮棒のような杖と、周囲には緑色に光る魔法陣のようなモノが浮かんでいた。

 おデブちゃんが立ち上がって一歩踏み出すまでのその一瞬で、それだけの事をやってのけた。緑光ということは風の魔法を使っておデブちゃんを吹き飛ばそうとしたという事か。

「っぐ……」

 さっきまでの威勢はどこにいったのやら、おデブちゃんは席に座ってしまった。

「まぁお前らはあの程度の試験に落ちる奴らだ。座学も実技もカスみたいなもんって事だろ」

 ひ、ひどい……

 え?予備校ってここまで生徒をボロクソにいうところなの?

 周りがほとんどみんな内部進学勢だった私にとって、予備校というものは全くもって未知の世界の話だった。

「で?他の連中は……特に何も無さそうだな」

 男のいう通り、教室には20人ほどの生徒が居たがさっき騒いだ女子も含めてみんな静まり返っている。

「じゃ改めて。俺はサラムだ。色々あってここの講師を務めている。他にも講師はいるが……まぁお前らの担当は俺だ」

 なるほど。目の前の飄々とした様子の男が母が言っていたサラム先生とやらか。

 ……イケメンだ。その上長身。更には魔法の腕も達人級と来た。

「というわけで早速授業だ」

 そう言ってサラムは教室の隅に重ねてあった教科書を配り始めた……が、私はその本に見覚えがあった。

「つ、机の上にあった本じゃん……」

 キュルケの自室の机に積んであったやたら難しい事が書いてあった分厚い本と全く同じモノが私に配られる。

 うげ……やっぱりコレをやらないといけないのか……
 まぁあの入試問題を見て以降そんな気はしていたけど。

 ……え?ていうことは私コレを一年で全部やらなきゃいけないってこと?

「よし。全員貰ったな!時間がねぇからさっさといくぞ。4ページを開け!」

 う、うぅ……

 やりたくないよぉぉぉ!!!!!





「――んなわけで第5次遡及魔法子証明実験はランハルト卿が成功させたってことだ。……今日はこんなもんでいいだろ」

 おっ、おわったぁ……

 難しすぎん?え、15歳がやるには難しすぎん?

 キュルケもクリスティーもこのアホ難しい勉強をしてたっていうの!?

 そりゃ試験会場に30歳ぐらいの人が居るわけだ……

「それじゃ各自もう寮に戻っていいぞ。明日も朝9時には座っておけよ」

 既に外は暗い。昼食を食べに一度寮に戻ったが、それ以外はずっと授業を受けていた。もちろん多少の休憩時間はあったが。

 何にしろ、私達は9時間以上授業を聞いていた。ずっと座っていたせいで腰やら首やら、体の節々が痛い。

 さっさと夕飯を食べて寝よう――

「キュルケ様、お久しぶりでござます」

 ――と思ったのに近くにいた男子生徒が話しかけて来た。

 うわめんどくさ……てか誰?

「え?え、えぇ久しぶり……ね?」

 とりあえず話を合わせてさっさと帰ろう。男子なら寮までは追っかけてこないはず。

「そうですね。以前お会いしたのはカムラス領ででしたが……随分とお変わりになられたようで?」

 うげ。私はキュルケの記憶を引き継いでいないんだから昔の話はやめて欲しい……

「そ、そうかしら?まぁあれからそれなりに時間が経っているじゃない?だったら私も少しは変わるものよ?」

 苦しい。あまりにも苦しい言い訳だったが、コレで乗り切るしかない。

「なるほど。そうかもしれませんね」
「おいお前ら!さっさと寮に戻って明日に備えろ」

 た、助かったー!

 サンキューサラム!ありがとう!

 あとは目の前の詳細不明の男子生徒がさっさとどこかに行けばいいのだけれど……

「……という事ですので、私はここで。またいつかゆっくりと話しましょう」
「えぇ。楽しみにしているわ」
「はい。では」

 そう言って彼は一礼して教室を出て行った。

 そういえば名前も何も聞いていなかったけど……まぁいいわ。

 さっさと寮に戻ろう。

 授業は大変そうだし、元のキュルケの人間関係とかの問題もあるけど、ホームレスにならないですんだのは御の字だ。

 よく考えれば学院に入学しなかった事で、私の破滅フラグは破壊された。

 うーん。そう考えるとうまい感じにまとまって良かったのかもしれない。

 よし!

 せっかく何とかなったんだから、この一年間、予備校生活……いや、浪人生活を頑張ろう!

 一年遅れで学院に入ったら破滅フラグはさすがに立たない……はず!

 そして貴族令嬢としての生活を取り戻してやる!!

 がんばるぞーーー!!!

























「あぁ、キュルケ。お前にお客さんだ」

 いざ帰ろうとした私に、サラムが声を掛けてきた。

 客?私に?

 母親かしら?

「相手は……まぁ見りゃわかるからいいか。ほらいくぞ」

 サラムがそのまま歩き出す。

「ちょ、ちょっと」

 私は急いで追いかける。

「だ、誰なんですか?お客さんって」
「いいから着いてこい……大学の時みたいにヘマるなよ」

 ………え?

 いま、サラムは「大学」って……

 私はその事を聞こうとしたが、それは出来なかった。


「あら、キュルケさん。本当にこんな所にいらっしゃったなんて。うふふ、惨めなものですわね」


 私を訪ねてきた客人が――


「く、クリスティー……どうしてここに……!?」


 ――クリスティーが私の目の前で口を開いたからだ。














ーーーーーーーーーー
アルファポリス様では後書き欄がありませんので、こちらにご報告させて頂きます。
ーーーーーーーーーー

 これで当作品は一旦完結となります。
 拙作を読んでいただき、本当にありがとうございました。

 私のTwitterでも報告させて頂いた通り、この作品は原案者である清水薬子様(@Dns378)のご好意により執筆をさせて頂いていた作品でございます。
 この場を借りて、快く原案を使用することを許可していただいた清水様に改めて感謝申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

 また、拙い文章ではありましたが、この作品を最後までお読み頂いた読者の皆様に、心からの感謝を。

 cパートにて続きがあるかの様な描写を致しましたが、これは元々本作は3万字以内で完結すると公言して発表した作品だからでございます。
 というのも、本作を書いていくうちに、書きたいことがどんどんと増えてしまい、3万字では抑えきれない事に気づきました。結果、「そうだ、好評だったら続きを書く、という事にしよう!」などと愚考し次第です。

 そんな経緯がありますので、読者の皆様のうちに、もしもキュルケの予備校生活の様子や、クリスティーの真の姿を知りたい方がいらっしゃいましたら、是非ともご評価頂き、その旨を感想欄に書いていただければ、もしかしたら続編を書かせていただくかもしれません。

 最後に宣伝の様なことをしてしまいましたが、いずれにせよ8月8日現在では、この回をもって完結とさせて頂きます。

 繰り返しになりますが、拙作『悪役令嬢は浪人生!?~破滅フラグ以前に舞台となる学園の入学試験に失敗しましたので退場します。ごめんヒロイン、卒業パーティーには行けそうにありません。私は今、予備校で来年の受験を見据えて勉強中です~』をお読み頂き、本当にありがとうございました。

 以上、凛海でした。
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