7 / 61
7話 リュカとの夜
しおりを挟む
結局アンリは出て行ったきり戻らず、そのまま夜になった。
(よかった……エリオにされたようなことをまたされるのかと思うと、正直嫌だったんだよね)
私はホッと胸を撫で下ろしつつ、夕ご飯を作った。エリオに頼んで食材も揃えてもらったし、調理場はいろいろと作れるように整備されている。
(夜は何にするかな……魚はないからやっぱり肉か。醤油もないし、和食が無理となると、ビーフシチューとか?)
料理を作っている間は余計なことを考えなくていいから案外楽しい。
私は玉ねぎを刻みながら、頭の中を空っぽにした。
リュカ様の部屋で夕飯は食べろと言われ、その通りに訪れる。でもドアをノックしても返事がない。
「リュカ様、ジュリです。いらっしゃらないんですか」
(おかしいな……)
勝手に入るのも悪いしと思って踵を返したところでドアのロックが外れる音がした。
「ああ……お前か」
振り返ると、いかにも今起きましたという顔のリュカ様が立っている。朝からこの時間までずーっと眠っていたということだろうか。
「夕飯を一緒に食べなさいと言われているので、来ました」
「……入れ」
無関心な声で言うと、ドアを開けたまま彼は部屋の中へ戻って行った。私はその隙間にそっと体を入れて中へ入る。
(わ……)
入った途端目にはいる大量の本の山に驚いて足を止めた。
(まるで図書館だな。リュカ様って本が好きなんだ)
「シチューか」
テーブルに並べられた食事を見て、リュカ様が目を細める。このメニューはお気に召したのだろうか。
「ワインがある。あれと合わせたら美味いだろ」
「ああ……合いますね」
(アンリじゃなくリュカ様だったら美味しい料理が出せそうだな)
そんなことを思いつつ、テーブルについた。
あまり好意的でないかと思っていたけど、リュカ様の態度はそれほどひどくない。私はシチューとワインを交互に口に入れるリュカ様の顔をそっと盗み見る。
髪は黒いのに瞳は青い。不思議な感じがしてそのまま見つめていると、視線に気付いたリュカ様が顔を上げた。
「何か言いたいことでもあるのか」
「あ、いえ……リュカ様って目が青いんだなあと思って。それにアンリに本当に似てますね」
「……」
スプーンを置いたリュカ様が軽く口を拭って私を見る。
「アンリと俺は双子だからな。似ているのは当然だ。それと……俺に対して様を付けるのはやめろ。必要ない」
「え、でも……」
「アンリのことは呼び捨てなんだろ?」
じっと見つめる瞳が何を語りたいのかは汲み取れない。それでも呼び捨てでいいと言ってくれるのだから、そうした方がいいのかもしれない。
「わかりました。でも、リュカもアンリを嫌っているんですか」
(アンリは明らかにリュカを敵視してたから)
ワイングラスを手に取ると、リュカは呆れたようなため息と共に首を振った。
「別に……興味はない。国を継ぐ気も今はそれほどないし、アンリを気に入ったなら、あっちとの間に子供をもうければいい」
「っ!」
リュカはやはり私にはちっとも興味はないみたいだ。
(あれ、なんで私少しショックを受けてるの?)
自分心に、戸惑う。
アンリは強引だけれど嫌いというほどではない……でも、リュカに対しても特別触れられたくないという嫌悪感は今の所ない。
(ここに来た夜に、撫でてもらった手が温かかったせいかな)
顔がそっくりなことも手伝って、私は二人の王子を両方気に留めているらしかった。
(こんな滅茶苦茶なところに連れてこられたのに、どうしてだろう)
困惑しつつ、リュカの質問に答える。
「子供をもうけるとか、やっぱりまだ全然ピンとこないです。その手前で、もっと整えたいことが山ほどあるし……」
「整えるって何をだ」
「ええと、心を通わせるとか……触れたいって気持ちになる準備です」
アンリもそうだが、この人も相当に恋愛とは程遠いセックスをしてきたみたいだ。それでも快楽は得られるんだろうけれども。やはり私は、ただ、ただ、体を重ねることに意味を見いだせない。
(まあ、後継者を産むために連れてこられたなら、仕方ないのか)
自分の中で答えを出そうとしていると、リュカはまじまじと私を見た。
「面白いことを言う女だな。お前のいた世界では、そういう準備がないと触れられない決まりでもあったのか?」
「いえ、決まりではなく。愛し合うってそういうことだと思うので」
(この世界では通じないんだろうか)
自分の求めるお互いを求めあう愛情という行為は、とても理解されづらいようだ、というのは実感している。
それでも体だけの関係っていうのは悲しすぎる。
私は急に食欲がなくなって、ワインだけを口にした。
(お酒は美味しいんだ……葡萄の香りがすごくいい)
リュカは食事を終えて、立ち上がると私の腕を引いて席を立たせた。
「な、何ですか?」
「あんた護衛がついてて、身動きがとれないだろ」
「あ……」
私は貴重な女性ということで、丈夫そうな護衛を数人付けられている。どこへ行くにも彼らがいるから、目的の場所以外には行けない。
「息が詰まる前に、気晴らしに別の場所に連れて行ってやる」
言うなり、彼は窓から私を抱き抱えると軽々とそこを飛び越えた。
思わず目をつむってリュカの首にしがみつく。
(落ちるよ!)
予想したような衝撃はなく、ストンとどこかへ着地したような感覚があってそっと目を開く。するとそこは広く開けた草原だった。二つの月が、池に綺麗に映っている。
「ここは城の裏庭だ。もっと行くとさらにいい眺めになるが、今夜はここでいいだろ」
草むらに腰を下ろすと、リュカはそこへ寝そべった。
そのリラックスした様子に、私も安心して隣にそっと座る。
(ああ……気持ちいい)
ワインで火照った体にそよ風が吹気抜けていく。
(にしても、リュカはどうして私をここに連れてきてくれたんだろ)
寝そべるリュカに視線を向けると、彼は薄く目を開いて夜空を見ていた。
「朝も昼もなくて、夜だけの世界だったら俺は国を統治してもいいと思ってる」
「そう……なの」
(アンリは夜を徹底的に嫌ってるみたいだし……不思議な人たちだな)
極端な発想や意見を聞いて、私はリュカも何かやっぱり欠落しているような気がした。
「ただ国民は闇より光を欲する傾向が強い。俺を支持する者もいるにはいるが、勢力として強いとは言えない。だからもう……特に争う気は無いんだ」
どうしてこんな話をしてくれているのかわからないけど、リュカにも考えがあって、悩みがあって……それなりに苦しんでいるのが伝わってくる。
「光も闇も、両方無いといけないと思いますよ」
「何……?」
「私のいた世界ではそうです。夜の闇が無いと美しい花も咲き乱れてはくれないんです」
(だから、どちらか一方だけを取るという発想は止めた方が……)
言いたいことはもっとあったけれど、リュカがそれを止めた。私の手をぎゅっと握って起き上がる。
「話しているだけでいいっていう女は珍しい。ジュリ、俺の部屋に今までどおり通え」
「あ……はい」
手を握られていることに動揺し、私は目を瞬かせた。
見かけは艶のある立派な青年だけれど、リュカも心を開ける人を求める寂しい人のように見えた。
(こんな風に誰かから必要とされたことがないから……やっぱり嬉しいと思ってしまう)
私自身も実はとても心が乾いていたんじゃないだろうかと気がつく。
この世界に来てしまったのは本当に事故みたいなものだけど、それもまた運命だったのかな……そんなことまで思ってしまう始末だった。
寂しい心が引き合った……もしカリーナ王国の王子二人と私を繋ぐ理由があるのだとしたら、それが当たっているようにも思えた。
(よかった……エリオにされたようなことをまたされるのかと思うと、正直嫌だったんだよね)
私はホッと胸を撫で下ろしつつ、夕ご飯を作った。エリオに頼んで食材も揃えてもらったし、調理場はいろいろと作れるように整備されている。
(夜は何にするかな……魚はないからやっぱり肉か。醤油もないし、和食が無理となると、ビーフシチューとか?)
料理を作っている間は余計なことを考えなくていいから案外楽しい。
私は玉ねぎを刻みながら、頭の中を空っぽにした。
リュカ様の部屋で夕飯は食べろと言われ、その通りに訪れる。でもドアをノックしても返事がない。
「リュカ様、ジュリです。いらっしゃらないんですか」
(おかしいな……)
勝手に入るのも悪いしと思って踵を返したところでドアのロックが外れる音がした。
「ああ……お前か」
振り返ると、いかにも今起きましたという顔のリュカ様が立っている。朝からこの時間までずーっと眠っていたということだろうか。
「夕飯を一緒に食べなさいと言われているので、来ました」
「……入れ」
無関心な声で言うと、ドアを開けたまま彼は部屋の中へ戻って行った。私はその隙間にそっと体を入れて中へ入る。
(わ……)
入った途端目にはいる大量の本の山に驚いて足を止めた。
(まるで図書館だな。リュカ様って本が好きなんだ)
「シチューか」
テーブルに並べられた食事を見て、リュカ様が目を細める。このメニューはお気に召したのだろうか。
「ワインがある。あれと合わせたら美味いだろ」
「ああ……合いますね」
(アンリじゃなくリュカ様だったら美味しい料理が出せそうだな)
そんなことを思いつつ、テーブルについた。
あまり好意的でないかと思っていたけど、リュカ様の態度はそれほどひどくない。私はシチューとワインを交互に口に入れるリュカ様の顔をそっと盗み見る。
髪は黒いのに瞳は青い。不思議な感じがしてそのまま見つめていると、視線に気付いたリュカ様が顔を上げた。
「何か言いたいことでもあるのか」
「あ、いえ……リュカ様って目が青いんだなあと思って。それにアンリに本当に似てますね」
「……」
スプーンを置いたリュカ様が軽く口を拭って私を見る。
「アンリと俺は双子だからな。似ているのは当然だ。それと……俺に対して様を付けるのはやめろ。必要ない」
「え、でも……」
「アンリのことは呼び捨てなんだろ?」
じっと見つめる瞳が何を語りたいのかは汲み取れない。それでも呼び捨てでいいと言ってくれるのだから、そうした方がいいのかもしれない。
「わかりました。でも、リュカもアンリを嫌っているんですか」
(アンリは明らかにリュカを敵視してたから)
ワイングラスを手に取ると、リュカは呆れたようなため息と共に首を振った。
「別に……興味はない。国を継ぐ気も今はそれほどないし、アンリを気に入ったなら、あっちとの間に子供をもうければいい」
「っ!」
リュカはやはり私にはちっとも興味はないみたいだ。
(あれ、なんで私少しショックを受けてるの?)
自分心に、戸惑う。
アンリは強引だけれど嫌いというほどではない……でも、リュカに対しても特別触れられたくないという嫌悪感は今の所ない。
(ここに来た夜に、撫でてもらった手が温かかったせいかな)
顔がそっくりなことも手伝って、私は二人の王子を両方気に留めているらしかった。
(こんな滅茶苦茶なところに連れてこられたのに、どうしてだろう)
困惑しつつ、リュカの質問に答える。
「子供をもうけるとか、やっぱりまだ全然ピンとこないです。その手前で、もっと整えたいことが山ほどあるし……」
「整えるって何をだ」
「ええと、心を通わせるとか……触れたいって気持ちになる準備です」
アンリもそうだが、この人も相当に恋愛とは程遠いセックスをしてきたみたいだ。それでも快楽は得られるんだろうけれども。やはり私は、ただ、ただ、体を重ねることに意味を見いだせない。
(まあ、後継者を産むために連れてこられたなら、仕方ないのか)
自分の中で答えを出そうとしていると、リュカはまじまじと私を見た。
「面白いことを言う女だな。お前のいた世界では、そういう準備がないと触れられない決まりでもあったのか?」
「いえ、決まりではなく。愛し合うってそういうことだと思うので」
(この世界では通じないんだろうか)
自分の求めるお互いを求めあう愛情という行為は、とても理解されづらいようだ、というのは実感している。
それでも体だけの関係っていうのは悲しすぎる。
私は急に食欲がなくなって、ワインだけを口にした。
(お酒は美味しいんだ……葡萄の香りがすごくいい)
リュカは食事を終えて、立ち上がると私の腕を引いて席を立たせた。
「な、何ですか?」
「あんた護衛がついてて、身動きがとれないだろ」
「あ……」
私は貴重な女性ということで、丈夫そうな護衛を数人付けられている。どこへ行くにも彼らがいるから、目的の場所以外には行けない。
「息が詰まる前に、気晴らしに別の場所に連れて行ってやる」
言うなり、彼は窓から私を抱き抱えると軽々とそこを飛び越えた。
思わず目をつむってリュカの首にしがみつく。
(落ちるよ!)
予想したような衝撃はなく、ストンとどこかへ着地したような感覚があってそっと目を開く。するとそこは広く開けた草原だった。二つの月が、池に綺麗に映っている。
「ここは城の裏庭だ。もっと行くとさらにいい眺めになるが、今夜はここでいいだろ」
草むらに腰を下ろすと、リュカはそこへ寝そべった。
そのリラックスした様子に、私も安心して隣にそっと座る。
(ああ……気持ちいい)
ワインで火照った体にそよ風が吹気抜けていく。
(にしても、リュカはどうして私をここに連れてきてくれたんだろ)
寝そべるリュカに視線を向けると、彼は薄く目を開いて夜空を見ていた。
「朝も昼もなくて、夜だけの世界だったら俺は国を統治してもいいと思ってる」
「そう……なの」
(アンリは夜を徹底的に嫌ってるみたいだし……不思議な人たちだな)
極端な発想や意見を聞いて、私はリュカも何かやっぱり欠落しているような気がした。
「ただ国民は闇より光を欲する傾向が強い。俺を支持する者もいるにはいるが、勢力として強いとは言えない。だからもう……特に争う気は無いんだ」
どうしてこんな話をしてくれているのかわからないけど、リュカにも考えがあって、悩みがあって……それなりに苦しんでいるのが伝わってくる。
「光も闇も、両方無いといけないと思いますよ」
「何……?」
「私のいた世界ではそうです。夜の闇が無いと美しい花も咲き乱れてはくれないんです」
(だから、どちらか一方だけを取るという発想は止めた方が……)
言いたいことはもっとあったけれど、リュカがそれを止めた。私の手をぎゅっと握って起き上がる。
「話しているだけでいいっていう女は珍しい。ジュリ、俺の部屋に今までどおり通え」
「あ……はい」
手を握られていることに動揺し、私は目を瞬かせた。
見かけは艶のある立派な青年だけれど、リュカも心を開ける人を求める寂しい人のように見えた。
(こんな風に誰かから必要とされたことがないから……やっぱり嬉しいと思ってしまう)
私自身も実はとても心が乾いていたんじゃないだろうかと気がつく。
この世界に来てしまったのは本当に事故みたいなものだけど、それもまた運命だったのかな……そんなことまで思ってしまう始末だった。
寂しい心が引き合った……もしカリーナ王国の王子二人と私を繋ぐ理由があるのだとしたら、それが当たっているようにも思えた。
0
あなたにおすすめの小説
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる