太陽と月に抱かれて ~異世界で王子を産みなさい!?~

伊東悠香

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9話 太陽に抱かれる(1)

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 アンリの部屋へ行くようにと言われていたのだけれど、私はどうにもまだ疼きが収まらずに自室のベッドでうずくまっていた。
 部屋を去る時に、エリオが言っていた言葉を思い出す。
『あれくらいの媚薬でこんなに感じてしまうとは思いませんでした。まだおさまらないようでしたら、自分でどうにかしてください』
 自分でどうにか……という言葉が妙に残っている。つまり自分でこの疼きを処理しろということなんだろう。エリオに指でされたようなことを自分で?
(無理、恥ずかしくてできない!)
 それでも股の間をもじもじさせると、じわっと甘い快感が響いてくる。これは今まで知らなかった苦しみ……と言っても過言じゃない。
 痛いとか痒いというものを我慢するのも辛い。
 でも、こういう疼きを我慢するっていうのは言葉では表現できないような辛さだ。
(でもこうしくている間にも、アンリが呼びに来てしまうかも)
 そう思った瞬間、ドアがノックされた。
「ジュリ、具合悪いって聞いたけど。大丈夫?」
 アンリの声だった。
 エリオは体調が悪いと伝えてくれたみたいだ。
(よかった。媚薬のせいでこんな風になってるなんて言われてたら、どうしようかと思った)
 ホッとしながらドアの向こうにいるアンリに返事をする。
「大丈夫、休めば元気になるから。今日は一人にしておいてもらえる?」
「……」
 少し間があった後、部屋のドアがガチャリと開けられた。私は驚いて身を起こす。
「アンリ、私体調が……」
「知ってる。だから今日は僕がジュリを看病してあげるよ」
 堂々と部屋に足を踏み入れると、ドアを締めて私の方へ歩いてきた。
 顔にはいつもの笑顔はなく、どこか挑戦的なものを見るような目をしている。
「看病は要らない……自分でどうにかできるから」
 私の言葉は聞こえていないかのように黙ってベッドに腰掛けると、額にすっと手を伸ばす。ひんやりした手の感触に思わずビクリと体が跳ねそうになった。
「熱っぽいけど、風邪って雰囲気でもないね」
 全部見透かしたように微笑むと、耳元まで唇を寄せて囁く。
「ジュリから僕を誘う香りを感じるんだけど」
「…っ」
 あの媚薬入りの紅茶が何か香りを漂わせているんだろうか。私は慌てて袖を嗅いでみるけれど、自分でわかるはずもない。
 私の挙動を見て、アンリはくすくすと笑う。
「やっぱりそういうこと?」
「え……っ」
 アンリの手が私の首にかかり、ぐっと引き寄せられた。抵抗もできないほどの力で抑えられ、強引なキスが唇に落とされる。
「ん……ふぁ…っ」
 唇から伝わる感触は不思議なほど甘美で、とろけるような声が漏れてしまった。
「たった二日で僕を誘えるようになるとはね」
「ち、違う……これは薬のせいなの」
 もう体調が悪いという言い訳は通じなさそうなのを察し、私はエリオに飲まされた媚薬のことを打ち明けた。でもアンリはそれを聞いたからといって、特に驚いた顔も見せない。
「数滴の媚薬程度じゃ、簡単に濡れたりしないはずだよ」
「え……」
「まあ、相当淫らな素質があれば別だけど」
 エリオも言っていた『淫乱の素養』というもの。それを私が持っているというの?
 ありえない……これまでそんな部分とは掛け離れた世界で生きてきたのに、今更女に目覚めるなんて。
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