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届かない恋

心残り。

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君が涙を流していないか、君が孤独でないか。
それが、心残りだった。
もう会えなくなるなら、もっと君を愛していればよかった。
もっと、君を抱き締めればよかった。
もっと、君の孤独を失くしたかった。

もっと……そう、もっと。

やりたい事なんて、山の様にあったんだ。

だけど、そんなことよりもっと……君の隣にいたかった。
もう、君の涙を拭うことも、君の悲しみを包むことも、君を笑顔にすることもできない。
それでも、それでも、君の隣にいたいと願えたなら……。


君が僕のために流す涙も悲しみも愛しいのに、苦しむ君は僕に刺さる。

忘れていいよ。辛いだけなら。
忘れないで。辛くても。

君の側にはいられないから。
君に見えなくても側にいたい。

嫌いになって、僕を捨ててもいいんだ。
嫌いにならないで、僕を好きなままでいて。

沢山、沢山……僕の中で感情が競い合う。

君の苦しみを解くのは簡単なんだ。
だけど、それが嫌なんだ。
苦しくても、僕のことを忘れないで欲しい。
好きだってことを嘘にしないで欲しい。
君の中に、僕を残していて欲しい。

わかってる、こんなの君が苦しいだけだって。

わかってる。僕がもう、君の隣にいられないって。

わかってるのに、君が苦しんでいる姿は耐えられない。

でも、忘れられてしまうのは苦しいんだ。

もう、動かないはずの心臓が痛むんだ。



ごめんね、ごめん。
君を好きになって、ごめん。
君を苦しませてごめん。
さよならって、言えなくてごめん。
置いていってごめん。
我儘で、ごめんね。
大好きだよ、愛してる。

だから、どうか苦しまないで。
僕の事を忘れてください。

僕はもう、悲しんだりしないから。

君が苦しいだけなら、もう、いいんだよ。

君に愛されて、僕は幸せだった。
これは、本当だから。

バイバイ、愛しい人。

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