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一話完結

三度目の初恋

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初めて君を見た時、君が運命の人ならいいのにって思った。

実際、君は僕の運命で、僕は君との幸せを神に誓った。

次に見た君は美しかった。初めはわからなかったけれど、君と話すにつれて君があの時の子だってわかった。

僕はまた、君と居られる幸せを喜んだ。

そしてまた、君に出会った。

今度の君は少し悲しげで、僕は堪らず声をかけた。君は驚いていたけれど、僕に悪意がないと判断したのか静かに話し出した。

僕は、その言葉を聞いて悲しくなった。

君を助けたいと心から思った。

それでも、今度の君は僕以外の人を運命に選んだ。

僕じゃ、駄目だった。

初めて運命が負けた。

僕は君の親友にしか、なれなかった。
それでいいと思う。
だけど、それでも…。

僕と君は運命だった。

けれど運命は性別一つで壊れてしまった。

回る輪廻をどんなに走っても、その壁だけは越えさせてくれなかった。

1回目は人間だった。

2回目は違う動物。

3回目は同じ性別。

運命の赤い糸は三度目の初恋で千切れた。

僕は、君となら何度でも恋ができると思っていたんだ。

でも、君は違ったみたいだ。

僕は運命に従って恋をしていた。
君は性別に従って恋をしている。

たった、それだけの違いなのに。

僕じゃ、駄目なんだね。

さよなら、僕の運命。

四度目の初恋はきっと、君じゃない人だ。
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