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一話完結

不器用で一途な狂愛の話

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ボタボタと君の心へ落ちて行く

真っ白な君を、いつの間にか汚して行く

こんな気持ちなければいいのに

こんな気持ちになるくらいなら

君から僕が、消えちゃえばいいのに

そう思いながら、君の隣を歩いて何年になるだろう

意気地のない僕は

この汚い気持ちを告げられず

素知らぬ顔で君の隣を歩いている

もし、この気持ちを知られてしまったら、君は僕からきっと離れて行ってしまう。


「おはよ!」

朝の気怠さなんて吹き飛ばす、最高の笑顔を僕にくれる君が

「ありがと」

頬を赤らめて、照れくさそうに僕に告げる君が

そんな、君が

「...大嫌い」

僕のたった、一つの想いで、壊れてしまう。

朝の太陽に照らされて、きらきらと輝いていた瞳が、汚物を見るように、失望するように、僕を見る。
僕の心を温めてくれた君の声が、僕の心を突き刺す。

だから、それくらいだったら

君が笑うのが、君が幸せなのが、僕がいるからじゃなくていい

僕は、誰かと笑う君を見るだけでいい

君の幸せを、願うだけでいい

どうか、どうか、それだけでいいから

もし、君の世界から、僕が消えても構わないから

君を想う心だけは、どうか、誰にも知られず、どこにも行かず、
僕の中の君だけは、誰にも奪われませんように。
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