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第22話
しおりを挟む二人は騎士団から少し歩いた所にある、オレンジ色のオールドレンガで出来たお洒落な喫茶店に入る、扉は木製で蔦が少し蔦っていてレトロな雰囲気がある。
店内に入ると店の中を照らすステンドグラスの照明がオレンジ色で暖かく感じられる。
アンティーク人形や小物、テーブル、椅子が年代物でシックな落ち着いた感じがとても居心地の良い空間を作り上げている。
3時のお茶をするには少し早いせいか店内には二人の他に客はいない、そんな中二人は半個室になっているテーブル席へと案内された。
「素敵なお店ですね、落ち着いてる雰囲気が好きです」
ソフィアは嬉しそうに店内を見渡す。
そんなソフィアの様子にルイスは自分が好きな店を気に入ってくれた事に心の中でとても喜んだ。
「俺もこの店の雰囲気が好きでな、ここのコーヒーも美味しくてお気に入りなんだ。紅茶やハーブティーも美味しいぞ、飲み物を頼むとお茶請けのクッキーが2枚付いてきて、それも良く飲み物に合うんだ」
店員が注文を取りに来ると、ルイスはコーヒーをソフィアはハーブティーを頼んだ。
待っている間に、昨日の事やレティシアがオークのお肉を貰って喜んでいる事、そのお肉は休み明けに騎士の人達に沢山の振る舞おうと考えていると話していたら、店員が飲み物を持ってきた。
「コーヒーと、ハーブティーをお持ち致しました」
机に置かれた2つの飲み物からはとても良い香りが漂ってくる、店員に礼を言うとルイスとソフィアは飲み物を口にした。
「あぁ、美味いな。いつも通り香りも良い」
「ハーブティーもほんのりとした甘さと柑橘系の香りが口の中で広がって美味しいです」
小皿に乗せられたクッキーを一口囓ると、ほのかな甘みとナッツの香ばしさが美味しく、お茶とよく合う。
ソフィアは楽しくお茶を啜っていると、ふとルイスの顔が曇った様な気がした。
(どうしたのかしら?)
首をかしげて、ルイスが言葉にするのを待つが、中々口にしない。
「ルイスさん、どうかされましたか?」
ソフィアはこちらから聞いた方が話し始めやすいだろうと思いルイスに声をかけると
「ソフィアに聞いてほしい事があるんだ」
と、ルイスが真剣な顔をしてソフィアの顔を見た。
「……はい」
余りにも真剣なルイスの顔に、ソフィアはゴクリと息の飲みルイスの言う言葉を待つ。
「その………実は、俺の名はルイス・グラシアと言うんだ。
グラシア領の当主であり、伯爵位を賜っている」
突然のルイスのカミングアウトにソフィアは固まった、まさかルイスが高位貴族とは思っていなかったからである。
今まで、ルイスと言う名しか聞いていなかったので貴族だと思っていなかったのだ。
「わ、私、今までさん付けで呼んでしまって、申し訳ございませんでした」
ソフィアは今までの無礼を慌てて頭を下げ謝る。
「いや、良いんだソフィア、俺が貴女にそう呼んで欲しいと言ったのだから…それよりも貴族と黙っていて申し訳なかった」
「いえ、そんな……でもどうして伯爵の当主様が騎士団の団長さんを為さっているんですか?
昔、騎士などの危ない職には貴族の当主様は中々ならないとお聞きしたのですが」
昔、とある人物から聞いた言葉を思い出したソフィアはルイスへと訪ねた。
そのソフィアの問にルイスは、少し過去の事を思い出しながら説明しだした。
「そうだな、貴族当主が騎士になる事は少ないが我がグラシア家は代々騎士の家系なのだ、父も祖父も騎士団の団長を賜った事があってな。
父の騎士の姿を見て育った俺も騎士になるのが夢だった、18の年に騎士になり4年前に起きた隣国との戦争で武功を立てた俺は第三騎士団長に任命された。
30の年になるまでは団長を続けようと思っていたのだが
…団長を任命された年のある日、大雨の続く日に両親の乗っていた馬車が土砂崩れに巻き込まれてしまい、亡くなったのだ」
「え…ご両親が」
「あぁ…両親が亡くなり俺は若くして当主になった、その為やむ終えなく団長を辞して領地に戻ろうとしたのだが
叔父がせっかく王に任命されたのだから、しばらく励む様にと言って下さってな。
今は叔父が領地代行をしてくださっている、亡くなった父も俺が騎士をしている姿を空から見ていたいだろうから辞めるなと」
「そうだったのですね。込み入ったお話を聞いてしまい申し訳ありません」
余りにも重い話を聞いてしまいソフィアは恐縮してしまった。
「いや、良いんだ。貴女には俺の事を知ってほしいから話したんだ」
「え、それって…どう言う意味ですか?」
机に置いてあったソフィアの手をそっと握りしめルイスは決意した顔で言う。
「ソフィア、俺は貴女が好きだ」
突然のルイスの告白にソフィアの頭の中は真っ白になった、好きな人に告白されて嬉しいと心の中で思っている筈なのに、先程の高位貴族の当主という事実だけでいっぱいいっぱいだった思考が遂に停止したのだ。
「で、でも…私は平民です。貴族の方と結婚など」
違う、本当は貴方が好きだとソフィアは思った。だけど伯爵という位がソフィアに重くのしかかる。
「この国では貴族と平民が結婚する事は禁止されていない、王にさえ許可を取る事が出来れば結婚できる。
それにソフィアが身分を気にするのであれば伯爵家と懇意にしている男爵の養女になる事も可能だ」
「でも…その…」
私なんかが伯爵夫人になれるとは思えない。だけど、ルイスの握る手を離したくない。
「俺は貴女が良い、貴女じゃなければ駄目なんだ。
ずっと側にいて貴女を守りたい、どうか俺の手を取って欲しい…ソフィアの心を俺にくれないか
………俺の婚約者になって欲しい」
(…………婚約者。)
ソフィアもルイスの事が好きだが、余りにも色々問題があり過ぎて、ルイスの言葉に頷くことが出来ない。
「すみません…少し考える時間を下さい」
短期間に詰め込まれた情報にソフィアは考える時間が欲しいとルイスに告げ「お先に失礼します」と言いながらお金を置いてお店を出ていってしまった。
その場にはソフィアに振られたと思ったルイスがフリーズして固まっていた。
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