お調子者のオタクがテクニックをもらったら、美少女にモテまくりで異世界生活がチョロすぎる♪(´ε`*)

豆夏

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4話 幼女とプロテイン

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素蓋すぶたさん、お遣いに行ってくれませんか?」

「お遣い?」

 なんだかんだでシュリカさんの店の空き部屋で寝泊まりしてるオレは、ときどき雑用を頼まれることがある。

 前回のレッスンがその一つだったけど、今回のは簡単そうだ。

 ティフシーはパチンと両手を合わせた。

「実は、お店で使ってるプロテインの在庫が切れかけてるんです! 本当は私が行かなきゃいけないんですけど、シュリカさんが素蓋さんにお願いしたら? って」

「いいよ、寝泊まりさせてもらってるからね~」

 それに、ティフシーの頼み方がかわいいしな!

 前屈みになったティフシーは、ワンピースの首元が大きく開いて、鎖骨がチラッと見えている。爽やかなエロさだ。

 このポーズでお願いされたら、『ねぇ、水ナシでバームクーヘン丸ごと食べて?』みたいなムチャなお願いでも引き受けるぜ!

「ありがとうございます! 素蓋さん、そしたら、ここに住所と必要なものが書いてあるので、よろしくお願いします!」

「おーけー!」

 と笑顔で受け取ったメモを見て、オレは安請け合いしたことを後悔した。

 書いてあった内容はコレである。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

◯必要なもの

 ・ホエイプロテイン……八十キロ

 ・ソイプロテイン……六十キロ

 ・ガゼインプロテイン……七十キロ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ようするに、合計二百キログラム超のお遣いだ。

 ちなみに、この世界に車はない。

 移動手段は『ダッシュ』か『猛ダッシュ』の二択だからだ。

 キツすぎるだろ!

「ティフシー、マジで? こんなに必要なの? 重すぎない?」

「ふふっ、大丈夫ですよ。台車がありますから!」

「台車があるのは知ってるよ!」

 なかったらシャトルラン並に往復することになるだろ。

「ちなみに、この店ってどのくらいの距離?」

「近いですよ! 十キロくらい先です!」

「そっか、まあギリギリ許容範囲かな」

 近くはないけどな!

 車があれば一瞬だけど、この世界には道路すらないのだ。

「素蓋さん、ごめんなさい!」

 ティフシーは店の外の台車を指さすと、申し訳なさそうに言った。

「帰りは荷物があるからトレーニングになりますけど、行きは軽くて退屈ですよね? 本当は私が荷台に乗ってあげたいですけど」

「いや、求めてないよ!?」

 この世界の住人、どんだけトレーニングしたいんだよ!

「じゃあ、がんばってくださいね! 行ってらっしゃ~い!」

「行ってきます!」

 オレはちょっとエプロンにも見えるワンピース姿のティフシーに見送られて、新婚気分で出かけた。


  ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 一時間後。

 思ったより早く、目的のプロテインショップについた。

 あらゆる技術(テクニック)を強化していたおかげで、台車のコントロールはバッチリ。走るフォームもパーフェクトで、最小限の体力消耗で済んだのだ。

 店に入ると、浅黒い肌のマッチョのおっさんがスクワットをしていた。

「フンッ……フンッ……フンッ……ヘイ! プロテインをフンッ! 買いに来たのかいフンッ!」

 スクワット続けるのかよ!

 回れ右して帰りたくなったぞ。

「ええと、このプロテイン三種類ください」

 オレが紙を渡すと、マッチョは汗だくスマイルで、店の奥に声をかけた。

「オーケー! ヘイッ スワンヌ! ヘルプ!」

 もはや全部英語である。

「なにー?」

 店の奥から現れたのは、天使……じゃなくて、三歳くらいの女の子だった。

 ブロンドヘアにブルーの瞳。真っ白な肌。森の中で見かけたら、うっかり精霊だと思ってしまいそうなほどの美幼女だ。

「スワンヌ、ちょっと袋の縁を押えといてほしいんだ! できるかい?」

「はーい、パパぁ」

 かわいっ!

 こんな天使にパパって呼ばれるとか……月額いくらだよ!?

「お会計は八万五千円さっ」

「ちょっと高いな!」

 って、プロテインの話か。

 八万円であの子にパパって呼んでもらえるなら、年一で頼むけどな!

「コイツはマッスルカンパニーの上物なのさ! 僕も毎日飲んでるよ! この通りっ!」

 そう言って力こぶを作る浅黒マッチョが視界の隅に入ってるけど、オレはもちろん天使しか見てない。

 適当にお会計を済ますと、二人が準備を始めた。

「ヘイ、まずはホエイ八十キロ! 行くぞスワンヌ」

「はーい」

 そう言って、袋の口を開くスワンヌ。

 浅黒マッチョは巨大なシャベルのようなものを持って、ドバドバと粉を投入していく。

 原始的だな!

「ちょ、オッサン! これって袋に小分けにしないのか!?」

「しないさっ! こうした方がトレーニングになるだろう?」

「なんだその価値観!?」

 地球の知識がアホな異世界の住人に絶賛される展開かと思ったのに、それを下回るアホだとは!

「おっとっ!」

「ん?」

 浅黒マッチョはシャベルで隣の袋を倒してしまい、床に大量の粉がこぼれた。

 地味な惨事だ。五千円分くらいはあるだろう。

「もったいないな。やっぱりこのやり方は効率よくないんじゃないか?」

 と、オレは親切で言ったのだが。

「いや、問題ない。三秒ルールさ!」

 そう言って浅黒マッチョはこぼれた粉を別の袋に入れ始めた。

「ちょっと待てぇえええええええ! 粉物に三秒ルールは適用されないだろ! あと、三秒はとっくに経ってる!」

「問題ないさ。私が飲む」

「じゃあいいや!」

 この超健康体のオッサンなら心配ない。毒を飲んでもピンピンしてそうだしな。


 そして数分後。


 袋詰めが終わり、袋はオッサンが全部台車に乗せてくれた。

「サンキュー! オッサン!」

「ハッハッハ! このくらい、ウォームアップにもならないさ!」

 台車には像の大食い選手権でもするのかというほど、巨大な袋が三つ積まれている。

 いくら技術(テクニック)があっても、これを十キロも転がして帰るのはキツいな……。

 と思っていると、オッサンがオレの肩をパンと叩いた。

「なぁ、キミはシュリカ君の店で働いているんだろう?」

「おう、そうだけど」

「よかったら、荷台にもう一つ荷物を追加してもいいかい?」

 すでに限界突破してるのに!? まだ追加するの!?

「いや、もう乗らないんじゃないかな? 残念だけどまたの機会に」

「ハッハッハ、それなら仕方ないな!」

「ちなみに、追加の荷物って何だったんだ?」

 そう言うと、浅黒マッチョは天使の肩にポンと手を置いた。

「スワンヌさ! この子に手伝いをしてくれたご褒美に、最高のプロテインドリンクをごちそうするって約束したのさ! シュリカ君の店のプロテインドリンクを飲ませてあげたかったんだが、もう荷物が乗らないなら仕方な」

「荷台はガラ空きだぜ! どこでも乗りな! スワンヌちゃん、オレが店まで連れて行ってあげるぜ!」

「ハッハッハ! よかったなスワンヌ!」

「わーい。ありがとー」

 天使は小さな手足で荷台によじ登ると、プロテインの袋をイスにしてポスッと座った。

 可愛い!

「じゃあいくよ!」

「うんっ!」

 オレは店を出ると、技術テクニックをフル活用して台車を転がした。

 急カーブを曲がり、坂道を転がり、細い石のブロックの上を弾む。

 通行人からは、

「ワーオ!」

「だれだあのマッスルは!」

「プリティだわ!」

「素敵なマッチョね!」

 などと、注目を集めていた。

 坂道はオレも台車に乗って、一つのタイヤでバランスを取り、下っていく。

「やっほぉおおお! スワンヌちゃん、楽しんでる?」

「うんっ!」

 異世界の景色が左右を流れていく。

 これはかなり気持ちがいい!

 先の方に階段を見つけたスワンヌちゃんが、「あっ!」と指をさした。

 このまま転がっていったら危ないと思ったんだろう。

「大丈夫。楽勝だよ」

 オレは高速で階段に突っ込んでいく。 

 スワンヌちゃんがオレの腕にギュッとしがみついてきた。

「いっくぜー!」

「ひゃああ!」

 オレは合計三百キロを越える台車を体重移動だけでコントロールし、石畳の階段を華麗に下りた。

 階段の上下にいたマッチョたちから歓声が沸き起こる。

「まだまだーっ!」

「ひゃあああ!」

 オレは店に帰るまで、スワンヌちゃんとの台車ドライブを堪能した。

 この日以来、スワンヌちゃんはどきどき店にプロテインドリンクを飲みに来るようになった。



 
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