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消耗戦:「星葉実の記録」
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「うっ…ごほっ…ごほっ…」
身体が重い。常に毒素を吐き出している今の状態は全力疾走をしているのと同義だ。
意図せず呼吸は荒くなるし、肺も冷たい。
久々だな…こんな苦しみは。
壁に寄りかかりながらふらふらとした足取りで裏門を目指す。
距離にしておよそ数百メートル程度、さほど距離はないと思っていた。
「マジか…」
廊下の突き当り、裏門に続く道が完全に閉鎖されていた。
「はは…そういうこと…」
本来なら緊急用の通路として設置されていたこの道が閉ざされた。
すなわち、私を逃がすことよりも犯人を捕まえることの方を重要視しているらしい。
「冷たいなぁ…」
シャッターが降りている場所はそれぞれ外へと通じる通路の出口付近。
校門から靴箱までに一つでもシャッターが降りていればまだ少し時間はある。
私が取れる選択は一つしかない。
「上がろう…」
エレベーターは幸いにも近い。靴箱からみて正面と、廊下の突き当り近くに1か所ずつ。
加えて階段はそれに隣接する形で置かれている。
「よい…しょ」
背負っていたカバンをその場に降ろす。
侵入警報が鳴ってからおよそ10分が経った。依然として犯人の動きも目的もつかめない。
誤作動なのではないか。はたまた職員が誤った方法でゲートを通過してしまったんじゃないか。
そんな想像が頭には浮かんでいた。
うわ…廊下ベチャベチャになってる…あとで怒られたりしないかな…
廊下を引き返しエレベーターへと向かう。その時だった、聞きなじみのない音が廊下中に鳴り響く。
ドドドド!ピュンピュン!
「っ!…」
それは明らかに銃声だった。
そして、続けざまに責め立てるかのような爆発音が鳴り響く。
ドン!ドン!
「―かな」
「あぁ、――電気はー」
「ふっ…ふっ…」
落ち着け…落ち着け私…
この廊下はロの字型になっている。声が聞こえてきたのはおそらく靴箱の方から。
犯人はおそらく爆薬でシャッターを破ったんだ…!
で…銃声は反対側の廊下からのはずだ。明らかに音が遠かったから。
「くっ…!」
全身の力を振り絞り、エレベーターへと走り出す。
上階に上がりさえすれば…!
余力を使い切る覚悟で大きく腕を振り、エレベーターの前へとたどり着く。
そこで私を待っていたのは絶望だった。
「う、うそ…?」
エレベーターのランプがついていない。ここ、ここは…非常電源のはず…!どうして…!?
「気を―くなー相手は殺戮―なもん」
「ち、近い…!」
靴を脱ぎ捨て階段を駆け上がる。爪は割れ、服もボロボロ、視界は陰る。
「はぁっ…ごほっ…」
3階へと続く階段の中腹。もうすぐそこに3階が見えている。
だがもう既に星葉は限界だった。
「がっ!」
階段を踏み外し、全身を鋭い痛みが駆け巡る。不幸にも頭を強く打ってしまっていた。
視界がちらつく。
駄目だ…もう疲れた…
ここで死ぬのならそれもいいかな…
「―――――」
「キレイな星…」
数多の星が夜空を駆けていく。速い星、遅い星、ピカピカと点滅する星。
どれだけ手を伸ばしても追いかけても届かない。
「どうして…どうして私は皆と一緒に行けないの?」
一際大きな星が見えた。それは他の星達のどれよりも美しく、心惹かれる星。
「あぁ…まって、待ってよ。どうか行かないで…」
「私も…空に…」
「ああ、通報は遅れてるはずだ」
「にしても不安になるくれぇザルな警備だな。あんなガキどもがなんでマスターキーなんて持ってんだよ」
「さぁな」
「待て…!ここからはやばそうだ…」
「全員装備を着けろ。少しでも気を抜けばただじゃ済まんぞ」
「ガスがやべぇな。視界が曇ってやがる」
「ここからは二手に分かれるぞ。見つけ次第捕縛しろ」
「了解」
身体が重い。常に毒素を吐き出している今の状態は全力疾走をしているのと同義だ。
意図せず呼吸は荒くなるし、肺も冷たい。
久々だな…こんな苦しみは。
壁に寄りかかりながらふらふらとした足取りで裏門を目指す。
距離にしておよそ数百メートル程度、さほど距離はないと思っていた。
「マジか…」
廊下の突き当り、裏門に続く道が完全に閉鎖されていた。
「はは…そういうこと…」
本来なら緊急用の通路として設置されていたこの道が閉ざされた。
すなわち、私を逃がすことよりも犯人を捕まえることの方を重要視しているらしい。
「冷たいなぁ…」
シャッターが降りている場所はそれぞれ外へと通じる通路の出口付近。
校門から靴箱までに一つでもシャッターが降りていればまだ少し時間はある。
私が取れる選択は一つしかない。
「上がろう…」
エレベーターは幸いにも近い。靴箱からみて正面と、廊下の突き当り近くに1か所ずつ。
加えて階段はそれに隣接する形で置かれている。
「よい…しょ」
背負っていたカバンをその場に降ろす。
侵入警報が鳴ってからおよそ10分が経った。依然として犯人の動きも目的もつかめない。
誤作動なのではないか。はたまた職員が誤った方法でゲートを通過してしまったんじゃないか。
そんな想像が頭には浮かんでいた。
うわ…廊下ベチャベチャになってる…あとで怒られたりしないかな…
廊下を引き返しエレベーターへと向かう。その時だった、聞きなじみのない音が廊下中に鳴り響く。
ドドドド!ピュンピュン!
「っ!…」
それは明らかに銃声だった。
そして、続けざまに責め立てるかのような爆発音が鳴り響く。
ドン!ドン!
「―かな」
「あぁ、――電気はー」
「ふっ…ふっ…」
落ち着け…落ち着け私…
この廊下はロの字型になっている。声が聞こえてきたのはおそらく靴箱の方から。
犯人はおそらく爆薬でシャッターを破ったんだ…!
で…銃声は反対側の廊下からのはずだ。明らかに音が遠かったから。
「くっ…!」
全身の力を振り絞り、エレベーターへと走り出す。
上階に上がりさえすれば…!
余力を使い切る覚悟で大きく腕を振り、エレベーターの前へとたどり着く。
そこで私を待っていたのは絶望だった。
「う、うそ…?」
エレベーターのランプがついていない。ここ、ここは…非常電源のはず…!どうして…!?
「気を―くなー相手は殺戮―なもん」
「ち、近い…!」
靴を脱ぎ捨て階段を駆け上がる。爪は割れ、服もボロボロ、視界は陰る。
「はぁっ…ごほっ…」
3階へと続く階段の中腹。もうすぐそこに3階が見えている。
だがもう既に星葉は限界だった。
「がっ!」
階段を踏み外し、全身を鋭い痛みが駆け巡る。不幸にも頭を強く打ってしまっていた。
視界がちらつく。
駄目だ…もう疲れた…
ここで死ぬのならそれもいいかな…
「―――――」
「キレイな星…」
数多の星が夜空を駆けていく。速い星、遅い星、ピカピカと点滅する星。
どれだけ手を伸ばしても追いかけても届かない。
「どうして…どうして私は皆と一緒に行けないの?」
一際大きな星が見えた。それは他の星達のどれよりも美しく、心惹かれる星。
「あぁ…まって、待ってよ。どうか行かないで…」
「私も…空に…」
「ああ、通報は遅れてるはずだ」
「にしても不安になるくれぇザルな警備だな。あんなガキどもがなんでマスターキーなんて持ってんだよ」
「さぁな」
「待て…!ここからはやばそうだ…」
「全員装備を着けろ。少しでも気を抜けばただじゃ済まんぞ」
「ガスがやべぇな。視界が曇ってやがる」
「ここからは二手に分かれるぞ。見つけ次第捕縛しろ」
「了解」
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