とある街の変な噂では全て男が被害に

実田 苗子

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$$本屋の赤いヘッドホンで音楽を聴くな

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 稀に現れる試聴コーナーの怪異、よく目立つ赤色のヘッドホン、この噂を知っている人間は試聴コーナー自体を避けるし、そもそも本屋に通う人間に試し聴きをする人間は殆どいない。
 しかし、自分は少し他の人間よりも違うのだと、優れているのだと示したい者は違ったりする。よりにもよって赤いヘッドホンを手に取った若い男。

「…………♪」

 見た目だけは良いヘッドホンを頭につけ、試し聴きの為再生ボタンを押した、押したのだが音楽が流れない。
 故障か?と何度も連打し、置かれているCDのパッケージを見ようとした彼の逃げられない無防備な耳に、人の息のような音が容赦なく向けられた。

ふぅー…
「ッひゃ♡」

 敏感な耳なのだろう、ちょっと甘い声を出して肩をくねらす彼。慌てて周りを見渡し、誰にも見られていない、聞かれていないことを確認するとヘッドホンを外そうとした。
 しかし、外れない、引っ張ろうがズラそうが、耳から外すことが出来ない。その間もずっと優しい吐息音が彼の耳を犯し続け、ゾワゾワとした防ぎようの無い刺激に身悶える。

ふぅ
「…ッ♡、なんで、取れな……ッ!」

ふー……
「ッあ♡、く、ぁ……っ」

ふぅ…ふーぅっ…ふーー……
「んぅッ♡は、ふ、ぁぁ………っ♡ゃっ♡」

 感じやすい彼の耳穴に向けて、音だけでなく、細く生温かい息を送り込むヘッドホン。
 男の肩が跳ね、腰をくねらせ、必死に耳から外そうと震える指先を赤いヘッドホンに食い込ませる。

ふぅー…ふっ、ふー……
「ァッ♡…ぅ、なん、で、耳ぃ……ッ♡」

 息を吹き込まれるたびに耳の中の産毛がそわつき、鼓膜が震え、いいようのない変な感覚が彼の背中を駆け上がる。
 
ふー…はー……ふーぅ……
「ひゃぅぁっ…♡もう、ゃめぇ♡ひゃめぇ……ッ♡」

 身を捩り、力が抜けそうな脚を必死に立たせ、性感に蕩けた目尻から涙を流す。ヘッドホンを爪で掻こうと隙間に捩じ込もうと、いやらしい吐息からは逃げられない。

ふー…………はむっ
「ァッ、ぁ…♡ん……ぃっ!!?」

 両耳を吐息で炙られ、敏感になり切った耳のふちを喰まれた。音だけでなく、湿って熱い舌と唇の感触。快感よりも恐怖が勝ち、正気に戻った彼が無理やりヘッドホンを剥がし取る。
 取った、のだが、外気に晒された筈の彼の両耳を喰む見えない口は離れない。

はむ、はむ…はみ……
「ぁ゛♡やら、ァ…ッ♡ぃぅっ♡」

 そして、赤いヘッドホンから伸びるコードが彼の手首をひとまとめに拘束してしまい、耳を庇えなくしてしまった。

ふー…はぷ…はみ……
「ちょっ!?ンふぁ……ッ♡ぁ、はぅぅ…♡♡」

 弱々しいが無視できない甘い刺激、コードを解く為手首を開いたり、擦り付けたり、指をかけたりと足掻く彼。
 しかし、やはり性感帯である耳を喰まれたり、優しく息をかけられたりされ集中出来ないらしい。艶っぽい声を漏らしながら身体を震わせる、はしたなく脚を擦り合わせている。

はむはむ…はーっ…ふぅ…はみ……
「解けッ、ほどっ、ぉ♡ゃ、んんんぅ…♡や、めろ、ぉ……たべッ、ァッ♡♡」

 試聴台に肘をつき、尻を淫らに振って妖しい刺激に耐える彼。弄ばれているのは耳、性器でもない、ただ他の人間よりも少しだけ敏感な性感帯。
 なのに彼の男根は強く服を押し上げ、腰を淫猥に躍らせ、顔を赤く染めて直接的な刺激を求めてひくつかせている。

はむ…ちゅっ!ちゅ、ぺろ…れる……くちゅっ
「ン…♡ひゃっ!?なッ、ァッ♡だめっ、なめ、ぅ♡、ぅはぁぁ…………ッ♡♡」
 
 下着を湿らせ、衣服にまで滲む性感に浮かされた男根の証。吸われ舐められ、甘噛まれ、はしたない声をあげて両耳を襲う水音に耐え続ける彼。

ちゅっ、ちゅ、ちゅくっ…ぬる…れるれる…ちゅぷッ…!
「はー……ッ♡はっ♡ァッ♡もう…♡ゃ、ひゃ、んんんぅ゛…………ッ♡♡」

 耳穴に細い舌先が這入りこみ、脳に近い場所を犯される感覚に唇を噛み締めながら仰け反った彼。前の濡れが広がり、とろとろの表情と羞恥にの水膜で歪む瞳の焦点が揺れる。

ぐちゅぐちゅっ!ずるる…ッぴちゃ…くちゅぬにゅる……ぢゅるるるッ!!
「ぉ゛ッ♡ねがっぃ、ぁッ♡ひゃぁぁぁ……ッ!も゛ッ♡ゆるひてッ♡はぁぁんッ♡♡」

 激しく舐め犯され、恥ずかしい声を抑え切れず喘ぎ悶える若い男、耐え切れない快感に彼の膝が折れ床に崩れ落ち、コードに拘束されて擦れ赤くなった手首だけが台の上に残された。

ぐちゅ…ちゅくっ!ちゅっ、ちゅっ、ぴちゃ、くちゅぴちゃっ……!
「ンッ♡んやぁッ♡♡だめっ♡みみもぅやらぁッ♡♡ひゃぁぁっ♡ぅぁんっ♡♡」

 強い快感と腰へ溜まるもどかしさ、自分の脚に昂った前を擦り付け、イヤイヤと頭を振りながらも絶頂を望む淫らな動きを繰り返す。
 性感帯とはいえ、責められているのは耳だけ。たとえ内側を濡れた舌先で舐められようと、ふちを優しく喰まれようと、耳たぶを甘噛みされようと、穴の中を生温い水音で満たされようと、イけない、出せない。刺激が足りない。
 
くちくち…ニュルッ!ぺろぴちゃ…はむ、かぷ、くちゅくちゅくちゅ……っ!
「はっ♡はぁぁ……ッ♡ゃぁぁ…♡ァッ♡らめぇ……ッ♡♡ン゛くぅぁぁ…………っっ♡♡」

 もどかしく甘くむず痒く、しかし耐えられそうもない刺激に彼の背筋がピンと伸びる。太腿はいじらしく擦り合わされ、前はひっきりなしに震え、熱い吐息と快感による甘い声を漏らしながら身悶え続けた。

ちゅく…ぴちゅ…ぴちゃぬるにゅるくちゅぬちゅ……っ
「ンぅ…♡ァッ♡ぅぅう…っ♡やっ♡ンふぅ…………ッ♡♡」

 耳の中、裏、外問わず舐め吸われ、脚を折りたたんだ状態で床に崩れ落ちた彼は、ねっとり甘い刺激を逃がすこともできずに注がれ続ける。
 快感が背中を走り腰の熱を上げ、声を震わせ脚をぴくつかせ、甘ったるい快楽に身体を蕩けさせた。
ぬるぬるした触手が耳の先、裏、中問わずいやらし

ちゅっ!ちゅぅっ!ぴちゅ…くちゅ、じゅるるるッ!!
「は、ぅん……♡ぁっ♡ひ、ぁぁ……♡ンッふぁぁ…………ッッ♡♡」

 全身を蝕む快感に責められ続ける若い男、拘束された手首から力を全て抜き、ただ両耳から与えられる刺激に腰を揺らめかせ喘ぐだけとなった。
 粘り気のある水音が脳を溶かし、甘い痺れが全身の力を抜く、もう彼の身体の中で力が入っているのは刺激を待ち望む男根だけとなってしまった。

れる、ぴちゃ…くちゅ…ぬちゅ……
「ふぁぁぁ……ッ♡ぁん…♡ァッ♡ふ、ふぁ…………っ♡ぁぁ……♡♡」

 しかし、蕩けた彼の意思とはまた別に、昂り切った前が終わりを求めて腰を動かし続ける。ヘコヘコと情けなく、ゆったり動かされるそこは酷い有様で、まるで漏らしたのではと思うほど染みが広がってしまっていた。
 淫乱な責苦で我慢が効かなくなっている彼の身体、一際大きく腰を振った時、たまたま、イイ所にあった試聴台に強く擦り付けられ。

ずりゅっ❤︎
「あ゛ッッ♡♡♡」

 あっけなく甘イキし、じわっと滲んだ白濁液を濡れぼそった下着へと追加で染み込ませてしまった。

ちゅっ、れるれる…ぴちゃっ、くちゅくちゅ…ちゅぱっ……!
「~~~ッ♡♡!!?ォ゛ッ~~………♡♡♡く、ぐ……ッ♡♡ゥ゛……………ッォッ♡♡♡♡」

 長く甘い絶頂、尿道を迫り上がる精液。じわっ♡じゅわっ♡と短く滲むような吐精が繰り返され、彼の脳内と身体を多幸感が包む。
 果てているというのに意地悪く耳を責めるナニカに腰を震わせ最大限に縮こまり、拘束された手を頭より上で必死に自分の手同士絡めて呻くその姿は、遠目から見ると神に祈っているようにも見えた。



 後日、同じ本屋の店内に彼は居た。死んでしまうかというほど甘イキさせられ、自分の髪が耳にかかる度に、風が首筋を撫でる度に、変な吐息を漏らしてしまうほど開発された両耳に耐えかねてもう一度。
 目の前の赤いヘッドホンを手に取り、頭につける、少しして、生温い息。

…………ふー…
「ふ、ァッ♡♡」

 ひと吹きで床に崩れ落ちた彼の手首を、赤いヘッドホンに繋がるコードが背中側で纏めた。
 
 
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