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第4章
課外授業 その三
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マリベルは浅い風呂につかりながら黒猫剣士の話を続けている。かつてお姉ちゃんからお風呂で聞いた話を再現しているのだ。物語というものがよく分からないマリベルにはその話し方しかできない。
隣のパトリシアが目を輝かせて聞き入ってくれるのがマリベルは嬉しい。今まで黒猫剣士のことを一緒に話せる相手はいなかった。軍隊の兵士たちはまるで興味を持ってくれなかったし、副官のミレーラはマリベルの言うことを聞いているようで全く聞いていない。領主のアニスや側近のゴニはいつも忙しそう。同居しているマヒメは絵本を読んだことがなくて話が通じない。
そもそもほとんどの人は暗黒騎士を怖がってまともに話ができなかった。
「それでね、黒猫剣士はね、小さな火の鳥が洞穴に入っていったのを見つけたの。火の鳥がみんなを困らせるのは止めさせなきゃと思って、黒猫剣士は洞穴に入って追っかけることにしたの。でも、洞穴の中には水がたくさん流れていたの」
マリベルはそこまで話して一息ついた。
「それで?!」
話に熱中しているパトリシアは続きを促す。
マリベルは詰まる。
「あのね、ここから先は滑るお風呂で聞いたの」
「滑る風呂? そこでなければ話せないの?」
「うん……」
パトリシアは岩場を見回す。
滑り台のような風呂がある。ずいぶんと高くて大きい。急流を曲がりくねりながら滑り下って最後には滝に飛び出す造りだ。
「……ああいうのかしら?」
「あんなに高くなかったもん…… でも、あんなの」
マリベルの獣耳がぺしょんと伏せる。
ドワーフのビジェンたちはがんばりすぎなのだ。かつての温泉は大火山の作戦で溶岩に埋もれてしまった。それと同じぐらいの大きさで造り直せばいいのに。
それと前に来たときはお姉ちゃんが一緒に滑ってくれた。だから我慢できたのに。
その考えに至ったマリベルは床が無くなるような恐怖に襲われる。もうマリベルを守ってくれるお姉ちゃんはいない。だって、だってお姉ちゃんは死——
マリベルの全身から暗黒の瘴気が噴き出しそうになる。バランを求める叫びが口からあふれそうだ。
「大丈夫!」
湯につかっているというのに血の気が引いて冷たくなっていくマリベルの手を、パトリシアの熱い手が包んだ。
「二人でならきっと大丈夫ですわ!」
がたがた震えるマリベルの小さな手にパトリシアの手から熱が伝わってくる。
マリベルが見上げるとパトリシアと目が合った。イザベルお姉ちゃんの強い目とは全然違う、でもなぜだか元気が出てくる。
「行きましょうよ! ね!」
パトリシアの手に引っ張り上げられるようにしてマリベルは立ち上がった。
二人は身体から湯気を上げ、お湯を滴らせながら手をつないで向かう。滑る風呂のある場所までたどり着く。
気を付けて階段を登っていき、高台までやってきた。狭い床が柵で囲まれていて、滑り台の入口へと続いている。風が吹いていて、早く滑らないと寒い。
マリベルは下に目をやる。長い長い滑り台がくねっている。どういう仕組みか、温泉の湯がここまで汲み上げられてきていて滑り台に流されている。とてもよく滑りそうだ。
マリベルの心臓がバクバクする。手がまた冷たくなってきそうだ。
でもお姉ちゃんから聞いた話がよみがえってくる。それを話す。
「黒猫剣士も怖かったの。洞穴の奥は真っ暗で、どこまで深いのか分からなくって、周りから流れ込んできた水がごうごうと流れているの。でも黒猫剣士は耳をぴんと立てたの」
お姉ちゃんはそう話してくれた。だからマリベルも話す。お姉ちゃんがいるのと同じに。
お姉ちゃんは怖がるマリベルを励ましてくれた。だからマリベルは怖いけどがんばった。今もがんばる。だってそうしないと、お姉ちゃんがいないことになっちゃうから。
そうなのだ、お姉ちゃんが言ってくれたことを守っていれば、お姉ちゃんがやるとおりのことをやっていれば、お姉ちゃんがいるのと同じなのだ。お姉ちゃんはいなくなったりしていない。今もここにいる。
マリベルは今までずっとやってきたように自分を説得する。心に開いている大きな穴を闇で埋めて、獣耳をぴんと立てようとする。
でも、今までと何かが違う。
パトリシアと手をつなぎ、恐怖を共にしている。そして彼女から胸のときめきも伝わってくる。
パトリシアは唾をごくりと飲み込んで、
「思っていたよりもずっと急ですけど、私がついていますわ」
震えている声とは裏腹の強気な言葉で、滑り台の入口へと足を踏み出した。手をつないだままのマリベルも進む。
パトリシアは滑るためにしゃがむ。マリベルもしゃがむ。
滑り台ではお湯が音を立てて流れている。二人はずっと下の方まで目をやって、急流が白く砕ける様に思わず身を寄せ合い震わせる。つないだ手と触れる肌が熱い。
マリベルは自分の奥底から押し出すように、
「それでね、黒猫剣士は思いきって飛び込んだの」
「……でしたら私たちも飛び込まないと」
パトリシアも振り絞るように言う。
「行きますわよ…… マリベル、手を離さないと危ないですわ」
パトリシアからそう言われて、マリベルはきょとんとする。
「握っているのはパティだもん」
「そんなことないですわ。マリベルが握っていますわよ」
パトリシアもきょとんとする。
二人はお互いに手を放そうとして引っ張り合う。手が外れない。お互いにぎゅっと握りしめている。
マリベルはどうして自分が手を離せないのかよく分からない。力が足りないのだろうか。
「それじゃあ、一二の三で離すもん」
「そ、そうですわね」
「「一」」
「「二の」」
「「……三!」」
二人は全力を込めて互いの手を引っ張り剥がした。勢い余って二人ともバランスを崩す。倒れそうになった二人は慌ててまた手を握り合おうと腕を伸ばす。そして滑り台の方へと転げた。
「あっ!」
「みゃっ!」
二人は転がり落ちるように滑り台を下り始めた。
隣のパトリシアが目を輝かせて聞き入ってくれるのがマリベルは嬉しい。今まで黒猫剣士のことを一緒に話せる相手はいなかった。軍隊の兵士たちはまるで興味を持ってくれなかったし、副官のミレーラはマリベルの言うことを聞いているようで全く聞いていない。領主のアニスや側近のゴニはいつも忙しそう。同居しているマヒメは絵本を読んだことがなくて話が通じない。
そもそもほとんどの人は暗黒騎士を怖がってまともに話ができなかった。
「それでね、黒猫剣士はね、小さな火の鳥が洞穴に入っていったのを見つけたの。火の鳥がみんなを困らせるのは止めさせなきゃと思って、黒猫剣士は洞穴に入って追っかけることにしたの。でも、洞穴の中には水がたくさん流れていたの」
マリベルはそこまで話して一息ついた。
「それで?!」
話に熱中しているパトリシアは続きを促す。
マリベルは詰まる。
「あのね、ここから先は滑るお風呂で聞いたの」
「滑る風呂? そこでなければ話せないの?」
「うん……」
パトリシアは岩場を見回す。
滑り台のような風呂がある。ずいぶんと高くて大きい。急流を曲がりくねりながら滑り下って最後には滝に飛び出す造りだ。
「……ああいうのかしら?」
「あんなに高くなかったもん…… でも、あんなの」
マリベルの獣耳がぺしょんと伏せる。
ドワーフのビジェンたちはがんばりすぎなのだ。かつての温泉は大火山の作戦で溶岩に埋もれてしまった。それと同じぐらいの大きさで造り直せばいいのに。
それと前に来たときはお姉ちゃんが一緒に滑ってくれた。だから我慢できたのに。
その考えに至ったマリベルは床が無くなるような恐怖に襲われる。もうマリベルを守ってくれるお姉ちゃんはいない。だって、だってお姉ちゃんは死——
マリベルの全身から暗黒の瘴気が噴き出しそうになる。バランを求める叫びが口からあふれそうだ。
「大丈夫!」
湯につかっているというのに血の気が引いて冷たくなっていくマリベルの手を、パトリシアの熱い手が包んだ。
「二人でならきっと大丈夫ですわ!」
がたがた震えるマリベルの小さな手にパトリシアの手から熱が伝わってくる。
マリベルが見上げるとパトリシアと目が合った。イザベルお姉ちゃんの強い目とは全然違う、でもなぜだか元気が出てくる。
「行きましょうよ! ね!」
パトリシアの手に引っ張り上げられるようにしてマリベルは立ち上がった。
二人は身体から湯気を上げ、お湯を滴らせながら手をつないで向かう。滑る風呂のある場所までたどり着く。
気を付けて階段を登っていき、高台までやってきた。狭い床が柵で囲まれていて、滑り台の入口へと続いている。風が吹いていて、早く滑らないと寒い。
マリベルは下に目をやる。長い長い滑り台がくねっている。どういう仕組みか、温泉の湯がここまで汲み上げられてきていて滑り台に流されている。とてもよく滑りそうだ。
マリベルの心臓がバクバクする。手がまた冷たくなってきそうだ。
でもお姉ちゃんから聞いた話がよみがえってくる。それを話す。
「黒猫剣士も怖かったの。洞穴の奥は真っ暗で、どこまで深いのか分からなくって、周りから流れ込んできた水がごうごうと流れているの。でも黒猫剣士は耳をぴんと立てたの」
お姉ちゃんはそう話してくれた。だからマリベルも話す。お姉ちゃんがいるのと同じに。
お姉ちゃんは怖がるマリベルを励ましてくれた。だからマリベルは怖いけどがんばった。今もがんばる。だってそうしないと、お姉ちゃんがいないことになっちゃうから。
そうなのだ、お姉ちゃんが言ってくれたことを守っていれば、お姉ちゃんがやるとおりのことをやっていれば、お姉ちゃんがいるのと同じなのだ。お姉ちゃんはいなくなったりしていない。今もここにいる。
マリベルは今までずっとやってきたように自分を説得する。心に開いている大きな穴を闇で埋めて、獣耳をぴんと立てようとする。
でも、今までと何かが違う。
パトリシアと手をつなぎ、恐怖を共にしている。そして彼女から胸のときめきも伝わってくる。
パトリシアは唾をごくりと飲み込んで、
「思っていたよりもずっと急ですけど、私がついていますわ」
震えている声とは裏腹の強気な言葉で、滑り台の入口へと足を踏み出した。手をつないだままのマリベルも進む。
パトリシアは滑るためにしゃがむ。マリベルもしゃがむ。
滑り台ではお湯が音を立てて流れている。二人はずっと下の方まで目をやって、急流が白く砕ける様に思わず身を寄せ合い震わせる。つないだ手と触れる肌が熱い。
マリベルは自分の奥底から押し出すように、
「それでね、黒猫剣士は思いきって飛び込んだの」
「……でしたら私たちも飛び込まないと」
パトリシアも振り絞るように言う。
「行きますわよ…… マリベル、手を離さないと危ないですわ」
パトリシアからそう言われて、マリベルはきょとんとする。
「握っているのはパティだもん」
「そんなことないですわ。マリベルが握っていますわよ」
パトリシアもきょとんとする。
二人はお互いに手を放そうとして引っ張り合う。手が外れない。お互いにぎゅっと握りしめている。
マリベルはどうして自分が手を離せないのかよく分からない。力が足りないのだろうか。
「それじゃあ、一二の三で離すもん」
「そ、そうですわね」
「「一」」
「「二の」」
「「……三!」」
二人は全力を込めて互いの手を引っ張り剥がした。勢い余って二人ともバランスを崩す。倒れそうになった二人は慌ててまた手を握り合おうと腕を伸ばす。そして滑り台の方へと転げた。
「あっ!」
「みゃっ!」
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