怪演!ゴーストレストラン

日向コタ

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第4章 Last Day

3.また会う日まで

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 天国に来てからおそらく5年の月日がたった。天国には時間という概念がないため、正確なことはわからない。天国での暮らしはすごく原始的な生活のように見えて、実は理想的な暮らしなのだと思う。
 寝ることや食べること、亡くなった人たちとの会話を楽しむ世界。生きていた頃は当たり前すぎて見逃していた幸せがここにはある。何もないのに満たされる暮らしがここにはあった。

 天国に来てから1年ほどたつとレストランを始めた。最小限の調理器具を使って、得意のハンバーグを作って、皆に振る舞っていた。しかし、零とは未だに会えていない。もう5年もの月日がたつが、また必ず零とレストランをやりたいと思っている。

 「マスター今日もハンバーグ、美味しいよ。生きてた頃から作ってたんだろ?」

 「はい、レストランをやってました。零っていう少し年上の親友と。あ、零って人を知りませんか?」

 「うーん、零くんていう名前は聞き覚えがないなあ。また俺の友人にも聞いておくよ。」

 「ありがとうございます!」

 お客さんの男性は70ルーペ(天国の通貨)を支払うと、手を振って店を後にした。

 「今日も会えなかったか…。」
 光太はブレスレットに右手を添え、静かに祈った。するとあの日の光景が蘇る。零との約束、必ず天国でもレストランをやると誓ったあの日。どんなに離れていても、必ず引き合わせてくれる。そんな気がして止まなかったー。

 ー2025年、東京体育館。Vリーグの舞台に"背番号8"をつけた弥生の姿があった。
 アメリカ留学中にメキメキと実力をつけた弥生は、高校卒業後は実業団への道を選んだ。日本でもトップクラスでプレーする弥生は、次期オリンピック候補にも選出されていた。

 Vリーグ最終戦を終えた弥生はチームメイトとの打ち上げを終え、寮に帰宅した。今期は最終結果2位となり、あと一歩及ばなかった無念の気持ちで一杯だった。
 弥生が帰宅後、いつものようにポストを開けると一通の封筒が入っていた。実家から転送されたもののようだが、送り主は「錦光太」とあった。
 弥生は「えっ!!」と、思わず声を上げて驚いた。5年前に亡くなったはずの光太から手紙が届いた…。どういうわけかわからなかったが、5年前の淡い青春時代を思い浮かべながら封筒を開けた。
 そこには一通の手紙が入っていた。

 "弥生ちゃんへ

 今も弥生ちゃんはバレーボール頑張っているのかな。
 弥生ちゃんが留学に行って、帰ってきたら報告会をしようって言ってくれたのが、とても嬉しかったです。楽しみにしていましたが、叶うことなく、勝手にあの世へいってしまい、ごめんなさい。
 実は、あなたのことが大好きでした。このことを言えなかった女々しい自分が、唯一の心残りです。
 それぞれ違う道を歩むことになるけど、またどこかで会えたらいいな。

 光太より"

 「光太くん…。」

 弥生は手紙を丁寧に折り畳むと、ベランダへ向かった。12月の夜風は冷たく、空気は透き通り、星たちは一段と輝いて見える。弥生はベランダの手すりに両ひじをつき、空を眺めた。

 「ありがとう!いつかまた必ず。」

 煌めく星たちを眺め、そして気が済むまで、光太の面影を夜空に探し続けた。
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